第434星:共闘
神宮院 アンナ
レジスタンスの穏健派、『ジェネラス』のリーダー。従来の『レジスタンス』そのもののリーダーでもあったが、イクサと決別したことで勢力が二分。決別した末、敗北した。穏健派だけあり、平和的な思考を持ち主。言葉で人の心を動かすタイプで、心から『グリッター』と人の平等な世界を願っている。イクサに敗北したことで行方をくらませていたが…?
樹神 三咲
千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務める。
佐久間 椿
千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。『アウトロー』との戦いでかつての自分と葛藤するが、三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』隊長。
【椿小隊】
写沢 七
写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。
重袮 言葉
活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…対象に関係なくトラウマを想起させる『グリット』を操る。
海藤 海音
誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな予備動作から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。
【三咲小隊】
椎名 紬
ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手と視線を交わすことで、視界を共有する『グリット』を持つ。
八条 凛
自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。触れた物体に自身の『エナジー』を纏わせ、その物体をの向きを操る『グリット』を持つ。
大刀祢 タチ
メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に斬撃状の『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。
「『グリットガン』と『グリットマシンガン』で『ユニティメナス』を牽制します!ダメージはほとんど無いでしょうが、レーザーを放つのを抑えることは可能なはずです!!」
三咲の指示で、海音、タチ、そしてアンナの三人を除く全員が各々銃を構えて攻撃を開始した。
三咲、椿、七、紬、凛の五人だけになってしまってはいたが、三咲の思惑通り、一斉射撃は『ユニティメナス』を上手く牽制しており、防御の姿勢を取る状況上、レーザーを放つことは出来ないようであった。
その弾幕を上手く利用し、海音、タチの二人が『ユニティメナス』に急接近していく。
本来なら驚異的な身体能力を持つ『ユニティメナス』の動向に警戒すべき場面ではあるが、二人はアンナの言葉を信じて愚直に進んでいった。
「『パイルグリット』を無くしたから、私の攻撃は決め手にかける!トドメはタチに任せるからね!」
「分かった。『影漆』の太刀捌きを見せてやろう」
グッと『バトル・マシナリー』を握りしめ、タチは更に意識を集中させていく。
その後方では、アンナが杖を構え、そして全身から翡翠色の『エナジー』の粒子を噴き出していた。
「(サポーターに回ると言った以上、強力な技は必要ありません。私が行うのは、彼女達二人が攻撃を行うための道標を作ること)」
そう考えたアンナは、フッと杖を軽く横に振るった。
「『突風』」
次の瞬間、アンナの背後を中心に猛烈な風が吹き、『ユニティメナス』に向かって吹き荒れた。
『ァ゛ア゛!?』
その風の勢いは凄まじく、三咲達が放つ輝弾を防ぐために組んでいた手が剥がれてしまうほどであった。
そして輝弾をモロに浴びることとなった『ユニティメナス』達は、その攻撃の嵐を受けて僅かにグラつく。
「…行くぞ!」
そして、気付けばまだ距離が離れていたはずの海音とタチの二人が直ぐそばにまで迫っていた。
通常ならば、二人が『ユニティメナス』に到達するまで、まだ数秒を要しただろう。
しかし、ここでもアンナのサポートが効果を表していた。
先程放った突風は、『ユニティメナス』の防御を剥がすだけの役割を果たすだけでなく、前進を続ける二人の追い風となるように計算されていた。
それも、『ユニティメナス』に対しては防御を崩すほどの突風にしながら、海音とタチに関しては背中を押す程度の風量に調整されていた。
これにより、二人は想定されるよりも数秒早く『ユニティメナス』の懐に辿り着き、そして目測で接近するまでの感覚を予測していた『ユニティメナス』も、予想外の早さに驚いていたのである。
『ゥ゛…ァ゛ア゛ア゛ア゛!!!!』
しかし、これだけでは『ユニティメナス』は引き下がらなかった。
両腕は弾かれ、全身に輝弾を浴びていた状況にも関わらず、頭部の触手を操り、接近した二人に攻撃を仕掛けた。
「…!」
「やば!」
完全に抑え込めていたと考えていた二人は、この状況からの反撃に驚く。
しかし、それを直ぐに冷静にさせたのはアンナだった。
『触手は私が全て対応します。海音さんはフリーになってしまう《ユニティメナス》の直接攻撃への対応を、その後にタチさんが攻撃を仕掛けて下さい』
耳元から聞こえてきた声に瞬時に反応した二人は、まず両者の位置を入れ替えた。
アンナの言う通り、『ユニティメナス』の攻撃に対応するために前へ海音が、そして、その攻防の隙を狙うために後ろへタチが移動した。
そして、その一瞬の間に、アンナも行動に移っていた。
「『鎌鼬』」
今までよりも強く振るわれた杖に合わせ、攻撃を仕掛けてきた『ユニティメナス』の頭部に風が吹き荒れる。
風は細かく吹き荒れると、伸びて襲い掛かろうとしていた『メナス』の触手を次々と切り裂いていった。
『ォ゛ア゛!?』
仕掛けようとした攻撃が未然に防がれたどころか、全て切り裂かれたことに、『メナス』は驚いた様子を見せる。
それが、一瞬の隙となった。
「おっ…りゃあ!!」
僅かに動きが止まった瞬間を見逃さず、海音が両足で『ユニティメナス』の両腕を蹴り込み、大きく身体を開かせた。
「フッ!!」
そこへすかさずタチが懐から入り込み、刃を『ユニティメナス』へ突き立てた。
『ォ゛…ア゛ア゛!!』
弱点であるはずの胸部。
その部分を貫いたにも関わらず、『ユニティメナス』は驚異の持久力で、これに持ち堪えていた。
「あぁ、分かっていたよ。この程度の攻撃には耐えることくらいはな」
しかし、それを見てもタチは冷静だった。
グッと『影漆』を握りしめると、その刃に『エナジー』を注ぎ込んだ。
「『影漆』──刻斬飛影」
次の瞬間、『ユニティメナス』の内部から無数の斬撃が切り刻まれ、『メナス』の全身から黒い瘴気が噴き出した。
「先程のアンナさんの戦い方を参考にさせて貰った。内部は案外脆い…のだろう?」
『カ……ァ゛…ア゛』
『ユニティメナス』は全身をビクビクとさせながら、やがてゆっくりと黒い塵となって消滅していった。
「やった!」
後方で支援射撃していた凛が飛び跳ねるようにして喜ぶものの、前衛の二人は全く油断していなかった。
「残ったもう一体の『ユニティメナス』が来るぞ!」
「分かってる!もう一回、確実に仕留めにいこう!」
残された『ユニティメナス』は一体。それを倒し切るまでは油断しない。
これは、今までの強敵との戦いで、根拠地の面々が学んできたことであった。
「(私の戦闘を見て、直ぐにそれを自分のスタイルとして活かし、一体の『メナス』を倒しても次の敵への警戒も怠らない…優秀な子達ですね)」
組織としてだけでなく、個人としてもしっかりと育まれている光景を見て、アンナは小さく笑みを浮かべる。
そして、海音・タチに続いて、残った最後の『ユニティメナス』に意識を向けようとした時だった───ゴポポ…
「──ッ!!」
その攻撃を仕掛けていたアンナが真っ先にその気配を感じ取り、すぐさま勢いよく振り返った。
「これは、想定よりも早い…!!」
振り返った先では、海面に向かって伸びる竜巻が今も渦巻いており、そして───パァン!!
その竜巻が弾け飛んだ。
それと同時に、海中から先程まで封じ込められていた『コマンダーメナス』が姿を現した。
「ちっ!『コマンダーメナス』が復帰するまでに、『ユニティメナス』を全部倒しておきたかったな」
「…だが『ユニティメナス』は残り一体。後方支援もある状況で、人数もこちらの方が圧倒的に多い。不利な状況では無いはずだ」
二人はあくまで冷静に状況を分析して言葉を発していたが、唯一『コマンダーメナス』を一層警戒していたのはアンナだった。
「(…確かに、残った戦力と向こうの残存戦力を見れば、私達が有利な状況ではあります…ですが…)」
アンナが警戒心を高めたのは、アンナが使用した『竜巻』から、『コマンダーメナス』が無傷で生還したからである。
今回の使用目的は、アンナの意図した通り『コマンダーメナス』の動きを封じ込めるためであるため、先程までの状況は正しい。
しかし、当然ながら『竜巻』には攻撃能力の側面も持っている。
敵を巻き込みながら風で飲み込み、そこから生じる激しい突風によって全身を打ち付けながら、裂傷も起こさせる強力な技である。
「(確実に動きを封じ込めるために、海面に飲み込ませる本来の用途とは違う使い方をしたとはいえ、少なくない攻撃力も有していたはず…本来なら、海面から出てきた時にはすでに弱った状態であって、そこに止めを刺すだけのつもりであったのに…)」
実際の『コマンダーメナス』の姿は、少なくとも外観上は無傷。
それどころか、自身の動きを封じ込められたことに怒りを覚え、アンナ達を睨みつけているようにさえ見えた。
「(『ユニティメナス』は戦闘能力を、『コマンダーメナス』は統率力をそれぞれ上げられた個体であると考えていましたが、その認識は改める必要があるかも知れません。もし、『コマンダーメナス』が、統率力も上げられた個体なのだとしたら…)」
アンナは『ユニティメナス』から身体を背け、一人『コマンダーメナス』の方を向いた。
「申し訳ありません皆さま。『コマンダーメナス』を抑え込むことが出来ませんでした。しばらくの間、『コマンダーメナス』は私がお相手します。残った一体の『ユニティメナス』は、皆さまにお任せして宜しいでしょうか」
不審な点は、小隊の面々を困惑させると考えたアンナは、敢えてその情報は伝えることをしなかった。
『了解です。強化された個体でも、一体だけなら私達だけで撃退出来るはずです。寧ろ、そちらに数名メンバーを派遣しましょうか?』
『ユニティメナス』一体に今のメンバーの人数は過剰だと考えたのか、三咲はアンナに増援の提案をする。
「いえ、こちらは一先ず問題ありません。それよりも、『ユニティメナス』を確実に倒すことを目的に行動されて下さい」
『…了解。《コマンダーメナス》はお任せします』
アンナはその提案を断り、三咲もそれを受け入れた。
『ァ゛ア゛…』
怒りに満ちた『コマンダーメナス』と向かい合いながら、アンナは警戒心を高め、これと対峙した。
※後書きです
ども、琥珀です。
私は特撮が大好きです。アニメなども好きなんですが、一番はやっぱり特撮です。
アニメは日常ストーリーもありますが、特撮と同じく空想のヒーローストーリーが多いのに、何が違うんでしょうか…
俳優という、実際の人間が演じて、もしかしたら本当にいるのかも?と感じさせてくれる点の違いかも知れませんね。
私、ウルト○マン大好きです。
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。




