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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
11章 ー強化個体出現ー
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第433星:『そんなこと』

神宮院 アンナ

 レジスタンスの穏健派、『ジェネラス』のリーダー。従来の『レジスタンス』そのもののリーダーでもあったが、イクサと決別したことで勢力が二分。決別した末、敗北した。穏健派だけあり、平和的な思考を持ち主。言葉で人の心を動かすタイプで、心から『グリッター』と人の平等な世界を願っている。イクサに敗北したことで行方をくらませていたが…?


樹神 三咲

千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務める。


佐久間 椿

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。『アウトロー』との戦いでかつての自分と葛藤するが、三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』隊長。



【椿小隊】

写沢 七

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。


重袮 言葉

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…対象に関係なくトラウマを想起させる『グリット』を操る。


海藤 海音

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな予備動作から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。


【三咲小隊】

椎名 紬

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手と視線を交わすことで、視界を共有する『グリット』を持つ。


八条 凛

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。触れた物体に自身の『エナジー』を纏わせ、その物体をの向きを操る『グリット』を持つ。


大刀祢 タチ

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に斬撃状の『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。

「仲…間…?」



 三咲からの発せられた言葉を、アンナは聞き間違えたと思った。


 それも当然である。完全な敵、とまではいかなくとも、『軍』と対立している『レジスタンス』という組織にいた身分である。


 正体を全員に明かしたいま、三咲達は自分に悪感情を抱くことさえ当然と思っていたからだ。


 その三咲達から、自分のことを『仲間』と言われれば、呆然ともするだろう。



「仲間…私が…ですか?」

「そうです。アンナさんは、私達の仲間です」



 やはり三咲の言葉は、聞き間違いなどでは無かった。


 尋ね返しても、改めて自分のことを仲間であると強く認識させるための言葉が返ってきただけであった。



「ですが…私は『レジスタンス』の一員で…それもリーダーでもあったのですよ?そんな私が、貴方達から仲間と呼ばれる資格なんて…」

「そんなことは、今の私達には関係ありません」



 困惑するアンナの言葉に被せるようにして、三咲が強く答える。



「確かに『軍』と『レジスタンス』は、友好的ではないかも知れません。それに…確かに私達は、『レジスタンス』に襲撃され、小さくない被害を受けました」



 三咲の口から紡がれるのは全て事実であり、アンナもそれを『レジスタンス』の一員として重く受け止める。



「なら…何故…」

「でも今、私達の前に立つアンナさんは、私達のために戦って下さっています。私達を守るために身体を張って下さっています。それなら今のアンナさんは、私達の仲間。『レジスタンス』の神宮院 アンナではなく、私達と共に戦ってくれる、仲間です!」



 放たれた言葉は力強く、芯のこもったものであった。



「そんな…ただそれだけのことで…」

「それだけで、私達にとっては十分なんです。それだけで、私達は一緒に手を取り戦える、仲間になれる」



 未だ困惑するアンナに対し、三咲の言葉はどこまでも真っ直ぐであった。


 アンナは三咲の後ろに立つ面々を見るが、全員が三咲の言葉に賛同し、そして頷いていた。



「一緒に戦いましょう、アンナさん。『レジスタンス』としてのわだかまり何て捨てて、私達の仲間として」



 三咲のこの言葉を最後にアンナはようやく困惑と驚きから解放され、そして小さく笑みを浮かべた。



「(あれだけの出来事があっても、貴方達は、『そんなこと』だと切って捨てて、そして私に手を差し伸べて下さるのですね…)」



 根拠地における三咲達の姿を見て、アンナは自分の目指すべき道を掴んだつもりでいた。


 しかし、目の前に立つ一同の姿を見て、その考えを更に改めさせられることとなった。



「この根拠地がどうしてここまで環境を変えることが出来たのか…その本当の理由を、いま理解することが出来た気がします」



 それと同時に、アンナは、何故自分がここにいるメンバー達のために、命を掛けて戦いに赴いたのかも理解することが出来ていた。



「分かりました。同じ敵と戦う仲間として、宜しくお願いします。千葉根拠地の皆さん」



 アンナは心の楔を解き放ち、三咲達小隊メンバーと手を組むことを決めた。


 そして再び振り返り、全員が『ユニティメナス』達に目を向ける。


 そこでは、アンナの風により足止めされながらも、敵意剥き出してこちらを睨む『ユニティメナス』の姿があった。


 しかし、その鋭い眼光に怯むメンバーは、もう誰一人いなかった。



「ご覧になられたかと思いますが、いま現在、私の力で『コマンダーメナス』を抑えています。ですが、向こうの頭を除いたにも関わらず、死角をついた攻撃も『ユニティメナス』には通用しませんでした」

「海音ちゃんやタチちゃんが直接対峙したのを見た時も思ったけど〜、純粋な身体能力だけでも私達の『グリット』に対応出来ちゃうの、チートだよね〜」



 ここまでの戦闘の経過を共有していると、椿はハァ、と小さくため息をこぼした。



「ですが、『パイルグリット』が貫通したり、アンナさんの攻撃が通用したりと、決して無敵な訳ではありません。数も残り二対。攻撃が通用するなら、この数なら攻め込めるはずです」



 三咲が冷静に戦況をまとめると、アンナがチラッと視線を別の方向に向けながら、メンバー達に耳打ちした。



「それともう一つ。いま抑え込んでいる『コマンダーメナス』ですが、そろそろ私の『竜巻(トルナード)』の効果が切れてしまいます。そうすると…」

「…『コマンダーメナス』が復活するってことですね。『コマンダーメナス』の戦闘能力は未知数ですけど、それなら尚いち早く『ユニティメナス』の数を減らしておかないと」



 アンナの発言の意図をいち早く察した三咲が、直ぐに方針を定める。



「私の『グリット』は、状況によりますがサポートにも適しています。先程と同じように、前衛にお二人が立っていただき、それを私含め他のメンバーがサポートする形が一番良いと思います」



 攻め方を模索する中で、作戦を立案したのはアンナだった。



「私は、彼からいただいたデータと、あなた方の訓練の実際の様子を見て、おおよその戦闘スタイルを把握することが出来ています。対して皆さんは、私の『グリット』の戦闘スタイルを把握出来ていません。それならば、私がサポートに回る方が戦いやすいでしょう」



 流石は元とは言え『レジスタンス』のリーダーだけということもあってか、その作戦と指示は的確で、理にかなったものであった。


 また、大和と似たような声色なこともあり、全員が自然と納得してしまうようなカリスマ性も備わっていた。



「なるほど、確かにそれが一番良さそうです。『ユニティメナス』はあと二体ですし、先程よりは苦戦しないはず。海音、タチ、いけますか?」

「当然!!」

「任せて下さい。『ユニティメナス』の動きも掴んで来たところです」



 三咲が二人に尋ねると、海音もタチも力強く返答した。



「三咲さんと紬さんのお二人は、変わらず『ユニティメナス』の動向を『グリット』で探っていて下さい。他の皆さんは『グリットガン』で牽制しつつ、椿さんは効果がありそうな罠を仕掛けて下さい。『ユニティメナス』に対する直接攻撃に対する二人へのサポートは、私が行います」



 もはや現場の指揮官のような振る舞いをしているアンナの言動に、どこか大和や咲夜の面影を重ねながら、全員が返答した。



「海音さん、タチさんのお二人は、『ユニティメナス』の攻撃に対して()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。『メナス』の攻撃は全て私が対処します」

「え…」

「でも…」



 アンナの大胆な発言に、流石のタチと海音の二人も困惑する。



「先程までの戦闘で、『ユニティメナス』の戦闘力は把握しました。例え攻勢を仕掛けてこようとも、全て対応してみせます」



 前に立つ二人を見つめながら、アンナは真摯な瞳で訴えかけていた。



「私を、信じていただけるのなら」



 海音、タチの二人は、アンナと数秒視線を交わした後、今度は二人で目を合わせ頷いた。



「分かった。私はアンナさんを信じる」

「私も信じよう。『メナス』の攻撃に対して、私は一切対応しない」



 アンナの強い言葉に、二人も真摯に答えた。



「…ありがとうございます。こんな、私の言葉を信じて下さって」



 その答えに安堵したのか、アンナはフッと笑みを浮かべた。



「方針は決まりましたね。次の戦いで決着をつけます。司令官、ここまでの作戦で問題はありませんか?」

『全部聞いていたよ。全く問題ない。アンナさんの指示通りに動いて、今度こそ決着をつけて来るんだ』

「「「了解!!!!」」」



 大和の言葉に、全員が力強く返答した。


 その裏で、大和は回線を切り替え、アンナにだけ通信の声を届けた。



『海音君とタチ君を…いえ、みんなを宜しくお願いします』

「…!」



 自分にだけ届けられた言葉に、アンナは僅かに驚いた様子をみせながら、そして小さく笑みを浮かべた。



「勿論です。やっと見つけた私の希望、そして目指すべき未来。その光を絶やさせはしません」



 そして、他の面々と同じように、アンナもまた大和の言葉に力強く答えた。

※後書きです






ども、琥珀です。


明けましておめでとう御座います(遅い)

新年早々更新が滞ってしまい申し訳ありませんでした…


今週から通常通り、週三回更新を再開して参ります。


今年も本作をどうぞ宜しくお願いします!


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は水曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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