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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
11章 ー強化個体出現ー
434/481

第410星:帰還

※本日お知らせがございます!後書きをご一読下さい!!



国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『硬歪翼球ウルツァイト・ウィングレット』を所有している。


早乙女 護進(28)

『大輝戦』で大和達の代わりとして千葉根拠地にやってきた非戦闘員・専門指揮官。『軍』最高司令官である早乙女 護里の息女であるが、品行は非常に悪い。大和の戦術の師であり、現在は再び現役を続行している。


市原 沙雪(28) 女医

千葉根拠地所属の女医。がさつでめんどくさがり屋な性格で、患者が来ることを嫌がる。外科だけでなく内科、精神科にも通じている。適当に見えるが、誰よりも命に対し真摯で、その医療技術も高く、一定範囲の味方を治癒する『グリット』を有する。

「それでは我々はここで」

「あ、朝陽さんに宜しくお伝え下さい!!」



 同じ船に乗っていた瑠河と真衣の二人は、千葉根拠地に到着するや否や、大和達に別れを切り出した。



「おや、そんな直ぐに帰るのかい?『大輝戦』も終わってすぐだ。根拠地で休んで行かなくて平気かい?」



 大和は素直に二人の疲労を考えて提案したが、二人は同時に首を横に振った。



「だ、大丈夫です!今は朝陽さんのことで大変だと思いますので!」



 真衣が先に答えると、瑠河もこれに続く。



「それに、朝陽がこんな状態の中、不謹慎かもしれませんが、一刻も早く根拠地に帰って、私達の優勝を皆に告げたいのです」



 二人の意思を理解した大和は、納得したように頷き、それ以上引き止めることはしなかった。



「分かった。それならもう引き止めることはしないよ」

「瑠河、真衣、貴方達と一緒に戦えた事、誇りに思うわ。本当にありがとう」



 大和の言葉に続くようにして、夜宵が二人に感謝の言葉を述べる。



「そ、それは私のセリフです!夜宵さん達とご一緒出来て、本当に良かったです!私、なんだか大きく成長出来た気がします!」

「私もだ。かつての増援に来て貰った時と今回、二度も戦いを共にすることが出来て嬉しく思う」



 夜宵の感謝の言葉に、逆に二人が感謝の言葉を返す。



戦う場所(根拠地)は違うが、同じ関東圏の仲間だ。いつかまた共闘することもあるだろう。その時はまた、宜しく頼む」



 瑠河の言葉に、三人はそれぞれ握手を交わしていった。



「この場にはいないが、朝陽ともまた共に戦える日を待ち望んでいる。しっかりと養生してくれ、と伝えてくれ」

「分かったわ。あの子は本当に恵まれてるわね」



 夜宵のちょっとして嫉妬に、瑠河達は小さく笑みを浮かべると、停留していた船に再び乗り込んだ。



「それではな夜宵。そして大和司令官、咲夜指揮官。短い期間でしたが、あなた方の下で戦えた事を光栄に思います」

「わ、私達も、今回の経験を忘れずに、これからも精進して参ります!」



 二人は船の上から大和達に敬礼し、大和と咲夜の二人もこれに応えた。



「それはボク達もだ。君達のような優秀な戦士の戦いを見届けられた事を誇りに思う」

「戦いから学んだことは良い事です。ですが、『グリッター』としての本分を忘れずに」

「「はいっ!!」」



 二人の返事を聞き届け、船はゆっくりと動き出していった。


 二人の姿が見えなくなるまで敬礼を続けた後、大和はゆっくりと腕を下ろした。



「ホントに、立派な二人だった。それに成長もしてくれただろう。これからの活躍が楽しみだよ」

「そうですね。彼女達はきっと、次世代を担う大きな人物達となってくれるでしょう」



 そして船の姿が完全に見えなくなったところで、大和達はフッと振り返った。



「さて、医務室に行こう。もう朝陽君が沙雪さんの診察を受けてる筈だ」

「はい。沙雪さんなら直ぐに治療を始める筈です」

「私も行きます。大事な妹のことですから」



 大和達は三人揃って頷くと、船着場をあとにし、急ぎ足で医務室へと向かっていった。






●●●






 ドアをノックし、医務室に入ると、そこには当然沙雪が立っていた。


 そしてその隣には、大和達が『大輝戦』で離れている間に、根拠地の臨時指揮官を務めていた早乙女 護進も立っていた。



「お〜帰ったか」



 護進らしい軽い挨拶に、大和は苦笑いを浮かべながらも、ゆっくりと頭を下げた。



「護進さん。留守の間、ここを守って下さりありがとうございました」

「別にい〜よ。留守の間大きな戦闘はなかったし、何より()()()()()()()()()()()()



 そう言われると、大和は真っ直ぐ護進の方を見た。


 その瞳や立ち振る舞いは、以前この根拠地を任せられた時とは違い、自信と力強さが満ちていた。


 それはつまり……



「(あぁ、良かった。この人()()()()()()()()())」



 指揮官、早乙女 護進の復帰に、密かな胸を躍らせていた。



「再会の挨拶も良いけど、ここは医務室よ。そういうのは他所でやって」

「かぁ〜ったく、いちいち言い方が可愛くなぇなお前は」



 旧知の中である二人は遠慮なく言い合える中であったが、この時は少し事情が違うようであった。



「そうじゃないわよ。貴方にもアイツに用件があるんでしょ?こんなところで油売ってる場合じゃないと思うけど?」



 そう言われて思い出したのか、護進はポンと手を叩き、大和の方へと近付いてきた。



「悪いな大和。お前も朝陽(アイツ)の容体は気になるだろうが、こっちも急用なんだ。ちょっと来てくれ」

「え、いや、しかし…」



 大和としても朝陽の容体は直ぐにでも耳に入れたい内容であったため、護進の言葉には躊躇いを覚えた。



「行ってください大和。沙雪さんからの話は私と夜宵さんでしっかり聞いた後、必ず大和にもご報告しますので」



 咲夜にそう言われ、大和はその後も僅かに躊躇したが、護進が朝陽を後回しにしてでも伝えたい要件も気になり、それを受け入れてその場を去っていった。



「さて、大和(アイツ)は居なくなったけど、私の所見を話すわよ」



 沙雪は大和が居なくなったことなどさして気にせず、手元にあるカルテに目を向けて話し始める。



「まず基本的な診断内容は、東京本部の医師と同じ。伊達に本部の医師を名乗ってないわね」



 フッと沙雪は微笑を浮かべ、話を続ける。



「さて、朝陽の身体は、筋繊維や細胞組織といった、要は身体の内部がボロボロになってる。組織の損傷や負傷ならあり得るが、内面からボロボロになるなんて事例は私でも初めてだ」



 先程までとは打って変わって、カルテを見つめる沙雪の表情は険しかった。



「それでは、朝陽さんは治らないのでしょうか…?」



 咲夜と夜宵は不安げな表情で沙雪の顔を覗き込んだ。



「それはこれから処置してみないと何も言えないわね。言ったでしょ、外傷ではなく内傷の治療なんて初めてだって」



 カルテを肩に当て、沙雪は答える。


 その、確実性のない言葉に、二人は不安からギュッと目を瞑っていた。



「まぁでも私に出来る限りは尽くすわよ。医師として復帰したからには、ね」



 二人が顔を上げると、そこには力強く朝陽を見つめる、医師としての沙雪の姿があった。



「取り敢えずこれから手術室に入る。そこで集中的に私の『誰一人死することの(ダイアグノウシス)無い世界を(ディヴァイン)』を使用して内面からも治療を試みる。それにかけるしかないわ」

「はい…」



 咲夜は力無く返事をするに留まったが、夜宵はそこから一歩前に出て、沙雪の手を強く掴んだ。



「先生…!朝陽を…妹のことをお願いします!」



 師である自分よりも、実姉妹である夜宵の方が思いが強かったのだろう。


 夜宵は精一杯の想いを込めて沙雪に訴えかけた。



「全力は尽くすわ。任せなさい」



 これまでの沙雪なら、めんどくさがり、拒否的な反応を見せていたところだが、最早その面影はどこにも無かった。


 真っ直ぐ夜宵の目を見つめ返し、そしてその手を握り返していた。


 そして、沙雪は複数の医師とともに、医務室から出て手術室へと向かっていった。



「……ッ…」



 姿が見えなくなり、夜宵は不安そうな表情を浮かべていた。



「大丈夫です。沙雪さんを信じましょう。私達に出来るのは、それしかありません」

「…はい」



 咲夜は夜宵の手を握り、ソッと優しく慰めた。






●●●






 一方その頃、先を行く護進に着いていく形で、後ろを追っていく大和が、護進に訪ねる。



「それで、急用とは一体何なんですか?いまの朝陽君の容体を確認すること以上のことは、あまり無いと思うのですが…」

「あ〜それは悪かったと思ってる。お前だって気になってただろうしな。ただ、司令官としてはこれも見逃せない案件なんだよ」



 護進がそこまで言うのだから、事実なのだろうと思い、大和は一旦朝陽への想いに蓋を閉じる。


 そして案内されたのは、千葉根拠地にある一室、一番上質の応接室だった。



「正直ここに居て良い人物なのかは分からなかったが、それに合うだけの価値ある()()だ。ソイツに会って欲しい」

「人物……ですか……それは、一体…?」

「まぁそれは対面した時に明かすよ。開けるぞ」



 護進はコンコンとドアをノックすると、中から返事が返ってくる前に扉を開けた。


 大和が中に入ると、応接室に座っていたのは、キレイなエメラルドグリーンの長い髪が特徴的な女性だった。


 ただ、身体のそこらかしこに包帯やら医療用の湿布が貼ってあり、元の美貌が損なわれているような様子があった。


 その人物に、大和は見覚えがなかった。



「護進さん、この方は……?」

「護進さん、もしかして、此方の方が?」



 大和が護進に尋ねるのと同時に、女性も護進に尋ねた。



「そうだ、前から話してた、この根拠地の本当の司令官だ」



 護進は先に女性の質問に答えると、次いで大和の方を振り返えり、そして衝撃の事実を答えた。



「大和、この女はな、()()()()()()()()()()()()()()、神宮院 アンナだ」

※後書きです。お知らせもあります。






ども、琥珀です。


もう九月ですね。

今年はどうも厄日なのか、嫌なことばかり起きた年でした。


さて、SNSでは既にお知らせさせていただきましたが、実は左の肘を骨折してしまいました。


そのため、激痛のため執筆することが全くできず、投稿が厳しくなってしまいました。


つきましては、誠に申し訳ないのですが、九月いっぱいは更新をお休みさせていただきます。


読んでいただけている読者の皆様には誠に申し訳ありません。


再開は10月3日を予定しておりますので、お待ちいただければと思います。


本日もお読みいただきありがとうございました。

再開まで今しばらくお待ちくださいませ。

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