第404星:ゼーレ・ブリッツ
◆関東地方
斑鳩 朝陽(18)
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪』。
斑鳩夜宵(22)
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪』。
矢武雨 瑠河 (24)
栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜』。
道祖土 真衣 (22)
埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具』、『硬歪翼球』を所有している。
◆東京本部選抜
唯我 天城 (17)
東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。
佐伯 遥 (24)
東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。
草壁 円香 (21)
東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。
片桐 葉子 (21)
東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。
◆近畿地方
黒田 カナエ (22)
兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。
射武屋 沙月 (24)
奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。
真田 幸町 (24)
京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。
織田 野々 (24)
大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。『グリット』は『他化自在天降臨』で、自身の背面に5〜15mのエナジー体を顕現させ、高い防御力と攻撃で相手を圧倒する能力。
「朝陽さん!!ダメ!!その技だけは使用してはいけない!!」
朝陽の変貌を見た瞬間、咲夜はこれまでに見せたことがない程の動揺した表情で叫んだ。
●●●
「なん……だ、その姿は……」
朝陽の外見に変化は無い。
否、変化はあった。
これまで纏うだけであった光のオーラが朝陽と一体化し、まるで朝陽自身が光になったかのように眩く輝いていたのだ。
それに加え、全身から噴き出る金色の粒子が、ビリビリと天城に圧となって襲い掛かってきていた。
そして天城の本能が、おぞましい程に警戒心を抱かせていた。
────アレはまずい…
と。
「ッ!!ざけんな!!俺がビビってるだと!!さっきまでボロボロになってた奴に、俺が!?」
その恐怖心を、天城は自分の言葉で吹き飛ばした。
「そうかよ!!そんなにやられたきゃお前からやってやるよ!!」
朝陽の金色の粒子に対抗するようにして、天城は『グリット』を発動させ、黄緑色の『エナジー』の粒子を噴き出した。
そして、ここまで朝陽を攻略してきたのと同じように一度目の加速を開始。
そして、朝陽の死角に入ってから、二度目の加速をして攻撃を仕掛けた。
その時、天城は一つの異変に気が付いた。
これまで朝陽は、天城の超加速に対して、必ず一度目の加速には目を向けていた。
それだけでも脅威的なことであるが、しかし今の朝陽は、全くこちらを見ていなかった。
脱力し横たわる夜宵を地べたにそっと寝かせ、天城に背を向けていたのだ。
「(ふざけ…やがって!!)」
コンマ数秒の世界の中で怒りを覚えた天城は、その怒りに身を任せ、思い切り朝陽に突撃していった。
その衝撃で周囲には土煙が起こり、観客席からは天城達の姿を一瞬見失う。
やかで、晴れていった土煙の中からは、信じられない光景を目にすることになった。
「な……に?」
これまで成す術のなかった筈の天城の攻撃を、朝陽は槍を僅かに動かすだけで防いでいた。
「なんだ……なんだよそれは!!」
目の前の光景が信じられなかった天城は思わず叫び、再び『グリット』の発動態勢に入った。
そして、一回目の加速で朝陽の死角に入ろうとした時だった。
「……は?」
その隣では、槍を掲げた朝陽の姿があった。
「なんで、お前がここ……にッ!!」
天城が最後まで言い切る前に、朝陽は槍を横に振るい、天城を吹き飛ばした。
その攻撃速度も尋常な速度ではなく、天城が直前に回避するために加速したにも関わらず、その速度を上回る速度で薙ぎ払われたのである。
「クソがぁ!!」
ギリギリのところで後退してダメージを減らした天城は、直ぐに立ち上がり、朝陽の方を振り返った。
そこには、煌めく金色のオーラと光の粒子を纏った朝陽が、岩の造形物の上から天城を見下ろしていた。
「ふざっ……けんな!!俺を、見下してんじゃねぇ!!」
直情の感情に任せ、天城は『グリット』を発動。
通用しないと見抜いていた筈の真正面からの攻撃を仕掛けようとしていた。
そして、天城が加速した瞬間────
「……あ?」
朝陽の姿が目の前にあった。
「グッ!!」
天城は直ぐに方向を変え、朝陽から距離を取ろうとする。
しかし驚くことに、方向を変え、加速した筈の天城の横を、朝陽は並走していた。
「ハアァッ!!」
朝陽が槍を振り払ったのを見て、天城は直ぐに防御の構えを取り、朝陽の槍による攻撃を受け止めた。
「クッソがぁ!!なんなんだよソレはぁ!!なんなんだよテメェは!!」
理解が追い付かず、天城は遂に声を荒げながら、朝陽に謎の攻撃の正体を問い詰めた。
「私は貴方を許さない!!皆のことを…仲間達のことをバカにした貴方は、絶対に許さない!!」
黄金の粒子と黄緑色の粒子がぶつかり合いながら、天城は自分が明らかに押されているのを感じ取っていた。
天城は朝陽をかわすべく加速。朝陽はそれに追いつくように更に早い速度で加速。
超加速同士の戦いは、もはや誰の目にも留まることが出来ずにいた。
「ふざけんな!!事実を言って何が悪い!!テメェらは、テメェの姉は弱い癖にイキがってた力不足の雑魚だろうが!!」
「黙れ!!」
その怒気にさえ粒子の圧が籠っており、天城は思わず気圧される。
「お前にお姉ちゃんの何が分かるって言うの!!お姉ちゃんはどんなに辛い時でも私達に前を向かせてくれた!!どんなに過酷な時でも、私達を支えてくれた!!私達千葉根拠地の誇りなんだ!!それを!!」
グッと槍に込められる力が更に強くなり、天城はグググッと徐々に押し返されていく。
「何も知らないお前が!!他者を貶すことでしか自分を認められないようなお前が!!」
「私の!!」
「お姉ちゃんを!!」
「バカにするなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
朝陽の光の粒子は留まるところを知らず、そして遂に天城の粒子を飲み込んだ。
●●●
「もう止めなさい朝陽!!それ以上の使用は、本当に取り返しがつかなくなります!!」
聞こえないと分かっていても、咲夜は叫ばずにはいられなかった。
対【オリジン】の時でさえこれ程狼狽えることのなかった咲夜の異変に、大和も遂に耐えきれなくなり咲夜を問い詰めた。
「どう言うことだ咲夜。取り返しがつかなくなる?あの技は一体なんなんだ!?」
咲夜は大和の方には目を向けず、ただ悲痛な面持ちで目を瞑っていた。
「あの技は……『閃光の体躯』。朝陽さん自身が発案し生み出した、究極の必殺技です」
「究極技……だけどその様子じゃ何かわけがあるよな?それは一体なんなんだ?」
大和も咲夜の狼狽振りに冷静さを失っているのか、その口調は普段のものとは違っていた。
「彼女の『閃光の体躯』は、自分自身の身体に流れる『エナジー』を媒介として、自分自身が光になる技です」
「自分自身が…光に?そんな事が可能なのか?」
咲夜は眉を顰め、ゆっくりと頷いた。
「私も当初は不可能と思っていた技でしたが、朝陽さんは『グリット』をプログラム化する技術を身につけ、これを会得したのです」
「プログラム化で会得を…?一体どう言う事なんだ」
鎮痛な面持ちで、今にでもフィールドに飛び出したい気持ちを必死に抑え、咲夜はこれに答える。
「『閃光の体躯』は、いま申し上げた通り朝陽さん自身が光となる技。それはつまり、神経から細胞まで、その全てに『エナジー』を介して光となる技です。朝陽さんはその過程をプログラミング化することで、この難題を克服したのです」
「神経から細胞まで全て…!?だからあれだけの速度と攻撃力を……だがそれは一歩間違えれば…!?」
「はい。もしどこかで不具合でも生じれば、その負担は通常の何倍にもなって跳ね返ってきます。下手をすれば、再起不能さえあり得る…だから私達は使用を禁じてきたのです!!」
咲夜が、朝陽が似た系統の技を使用した時に見せた表情の意味を、大和はようやく理解した。
「使用するだけでも問題がありますが、前提としてあの技はまだ未完成なのです。長時間使用すれば、過度な負荷をかけられた神経や細胞が痛みだし、耐え難い激痛となって朝陽さんに襲い掛かるはずです」
「そんな技を…彼女が…」
「ッ!!朝陽さん!!直ぐに技の使用を止めなさい!!本当に取り返しがつかなくなってしまいます!!」
咲夜は届かないと理解しつつも、大声で叫んだ。
●●●
「(ごめんなさい、先生!!でも、今だけは、引けないんです!!)」
咲夜の言葉は、全ての感覚が人智を越えるモノとなった朝陽の身体、光の速度に達した朝陽に届いていた。
しかし、例え咲夜の言葉であっても朝陽は引き下がることはできなかった。
何よりも誇りに思い、大切なものと考えてきていた『プライド』を傷つけられた朝陽に、退く選択肢は無かった。
「(お願い!!もって、私の身体!!私は絶対に負けられないの!!お姉ちゃんを、根拠地の皆をバカにしたこの人だけには負けられない!!)」
副反応は既に起きていた。
身体から感覚が抜け落ちていくのと同時に、全身に電撃が走るような強い痛みを感じ出していた。
それでも朝陽は止まらなかった。
自分のプライドを全て乗せて、加速し続け、超高速同士の戦いを続けていた。
「(クソ!!俺がスピードで負けてる!?この俺がアイツを目で追えてない!?俺の『グリット』が!?)」
この状況に最も困惑していたのは天城だった。
音速に至る速度を誇る天城の『未光粒操作』。その速度さえ、朝陽の『閃光の体躯』は上回っていた。
「ふざっ…けんなぁ!!この俺が!!俺の『グリット』が、スピード勝負で負けるはずがあるかぁ!!」
完全に頭に血が昇った天城は、押され気味であった朝陽を押し返し、再び『グリット』の発動態勢に入った。
「(ここだ!!ここが勝負どころ!!)」
朝陽は自分の身体がもう限界であることを理解し、この最後の一撃に全てを掛けた。
「良い加減、くたばりやがれぇ!!」
「ハアァァァァァァァァァ!!!!」
超高速同士のぶつかり合い。
それは、周囲に膨大な衝撃波を生み出し、そして瞬いた。
その勝敗は……
※後書きです
ども、琥珀です。
この戦闘シーンは、ガン○ムOOの『Fight』を頭の中で流して想像してください…笑
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。




