第403星:許さない!【挿絵有】
◆関東地方
斑鳩 朝陽(18)
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪』。
斑鳩夜宵(22)
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪』。
矢武雨 瑠河 (24)
栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜』。
道祖土 真衣 (22)
埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具』、『硬歪翼球』を所有している。
◆東京本部選抜
唯我 天城 (17)
東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。
佐伯 遥 (24)
東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。
草壁 円香 (21)
東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。
片桐 葉子 (21)
東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。
◆近畿地方
黒田 カナエ (22)
兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。
射武屋 沙月 (24)
奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。
真田 幸町 (24)
京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。
織田 野々 (24)
大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。『グリット』は『他化自在天降臨』で、自身の背面に5〜15mのエナジー体を顕現させ、高い防御力と攻撃で相手を圧倒する能力。
天城の『グリット』が発動し、朝陽に襲い掛かろうとした直前、突如朝陽の身体を黒い影が覆い隠した。
その闇の危険性を察知した天城は、攻撃を直前でストップ。
代わりに、加速した分の勢いで『ソニックブーム』を発動させ、その影を全て吹き飛ばした。
「チッ……片方をヤろうとお前ばもう片方が邪魔をする…面倒な姉妹だな、テメェらは」
「お姉…ちゃん」
朝陽を守ったのは夜宵。
『闇夜の月輪』を発動させ、朝陽の全身を闇で覆うことで、直接攻撃と衝撃波から、その身を守ったのである。
朝陽の『フリューゲル』と違い、夜宵の闇は弾き飛ばされこそするものの、衝撃まで吸収することが可能である。
そのため、今の攻撃で朝陽に危害が及ぶことは無かった。
「当たり前でしょ。大事な妹がやられてるのを黙って見てる姉がどこにいるのよ」
夜宵は闇をフルに展開させながら、天城に対して強く答える。
「あ〜あ甘ったるしい姉妹愛。反吐が出そうだぜ」
そんな二人の様子に、天城は心底嫌そうな表情を見せていた。
そして、チラリと朝陽の方を見た後、その視線を夜宵の方へと向けた。
「ハッ!!良いぜ!!そんなに先にやられてぇならお前から先にやってやるよ!!」
朝陽がもうまともに動けないのを見て、天城は標的を夜宵に変更した。
「ま、待って…!!私はまだ、やれる!!」
「るせぇ脱落寸前の女が!!テメェはアイツをぶっ倒した後にしっかりととどめを刺してやるよ!!」
天城に縋ろうとする朝陽を、天城は乱暴に振り払い、倒した。
「さぁ……お前はどれだけ楽しませてくれるかなぁ」
初めて対峙した朝陽とは違い、夜宵と天城の間では既に格付けが済んでいた。
夜宵の攻撃は当たらず、防御の手段も天城の『ソニックブーム』で弾かれてしまう。
この勝負、実質夜宵に勝ち目がないのは分かりきっていた。
「『混沌の闇』!!」
それでも、夜宵は簡単に負けるつもりは無かった。
纏っていた闇を握りつぶすようにすると、それまでエネルギー体の形をしていた闇が砕け散り、粒子状となって拡がっていった。
「貴方が接近戦を得意としてるなら、私は貴方を近づかせずに倒すだけよ!!」
そして夜宵は、開いていた手のひらを顔の近くまで上げると、それをグッと握りしめた。
次の瞬間、夜宵が展開していた闇の粒子が一瞬にして膨張し、そしてその周囲にあった岩の造形物を飲み込むようにして消滅させていった。
「ハッハハハ!!まだこんな恐ろしい技を持ってたのか!!やるじゃねぇか!!」
しかし、その光景を見ても尚、天城は笑っていた。
「触れるだけじゃなく、側にいるだけで消滅させる黒い粒子か。確かに恐ろしい技だが……」
次の瞬間、天城は全身から黄緑色の『エナジー』を噴き出し、『グリット』の発動態勢に入る。
「粒子に近づかなきゃなんも怖くねぇな!!」
そして天城は再びその姿を消した。
夜宵にとっても、これが苦肉の策であることは分かっていた。
これまでと違い範囲を広げて自身の粒子を散布させるとは言え、その範囲は決して広くない。
そして天城の超高速移動による移動範囲を鑑みれば、こんなもの、何の抵抗の意味をなさないことを理解していた。
何故ならば……
「この粒子、自分の側には散布できねぇもんな…?」
夜宵の背後から声が聞こえて来る。
その直後、凄まじい衝撃が走り、夜宵の纏っていた闇が弾き飛ばされていく。
「…ッ!!」
天城の言う通り、粒子の範囲内の物質を消滅させる『混沌の闇』は強力である。
しかしその反面、その範囲にいる限り、味方はもちろんのこと、自身の周囲に散布することが出来ないという弱点が存在していた。
完全な優位にたっている天城は、それをいち早く見抜き、散布された粒子の外から回り込むようにして移動し、夜宵の背後に迫っていた。
「『闇夜の』…!!」
「何回も言わせんじゃねぇよ。遅ぇんだよ」
夜宵が闇を展開する前に、天城は二度目の加速を発動。
そして、畳み掛けるようにして夜宵に連続攻撃を見舞っていった。
「ウッ……ガハッ……!!」
たった一瞬の攻撃でボロボロになった夜宵は、空中を浮遊した後、地面に叩きつけられて倒れ込んだ。
「お姉…ちゃん!!」
すぐそばで倒れ込む夜宵の側に、朝陽は寄ろうとするが、その間に天城が割って入った。
「感動の再会は脱落してからにしてくれよな。いい加減鬱陶しいんだよ」
天城はもうまともに動くことのできない夜宵の側まで寄ると、襟元を掴み、強引に持ち上げた。
「最後の抵抗にしては情けなかったな。千葉根拠地と言えばここ最近名を聞くようになってたらしいが、拍子抜けだぜ」
「ッ!!ウゥ!!」
夜宵は自身の襟を掴む天城の手を退けようとするが、もはやその力すら無く、ただなすがままに持ち上げられるだけの状態であった。
「そういや前の師から聞いたことがあるぜ。千葉根拠地は大和が来るまでは酷い環境だったみたいじゃねぇか」
勝利を確信しているからか、天城はそのまま追撃せず、夜宵に対して語りかけ始めた。
「チラッとだけみたが、お前、前にも一度『大輝戦』に出てたんだってな。まぁ結果は今みたいに散々だったみたいだけどよ」
「それが、何!!それはもう過去のこと!!今の私は…!!」
「違うってのか?これだけボロボロにされてる状況でか?」
「ッ!!」
反論しようとした夜宵の言葉を、天城はさらに強い言葉で黙らせる。
「ハハハ!!笑わせんなよ!!テメェは何も変わってねぇ!!この舞台で大した活躍も出来ず脱落していくんだよ!!」
「ちが…う!!私はまだ…諦めてない!!私はもう、諦めたりしない!!」
天城の言葉に屈しまいと、夜宵は必死にその手から逃れようとするが、まともに力も入れることが出来ない状態では、それは叶わなかった。
「『大輝戦』に出るほどの実力者だったんだ。大和が来る前から大層なご活躍をされてたんだろうよ…?」
ググッと天城の握る力が強くなり、夜宵を自身の顔をへと近づける。
「ハハハ!!そんなお前が二回も出場した『大輝戦』でこの醜態だ!!テメェの下についてたやつも、テメェ自身もたかが知れてるな!!」
「…ッ!!私の仲間達は…!!」
「お前とは違うってか?だがお前は『大輝戦』の選抜メンバーに選ばれた。そしていま!!その舞台で醜態を晒してる!!その下についてる奴らのことまで、お前が格を下げてるんだよ!!」
「ハァ…!!ハァ…!!私は……私は!!」
もはや言い返す言葉も出てこず、夜宵はただただ悔しそうな表情を浮かべ、天城を睨みつけていた。
「ハハハ!!あとはもう睨みつけるだけが精一杯か!!雑魚らしい、最後だな!!」
天城はグッとそのまま夜宵を掲げると、全身から黄緑色の『エナジー』を噴出させ、夜宵に留めを刺そうとしていた。
「あばよ。精々自分の力不足を痛感して脱落しろや」
夜宵を掴んでいた手を離し、加速した勢いで夜宵をフィールドの外に吹き飛ばそうとした瞬間だった。
「……あ?」
夜宵の姿が、突如として天城の目の前から消えていた。
「なんだ……?何が起こった!?」
その直後、天城は夜宵の居場所をすぐに見つけ出した。
何故ならば、眩くばかりの金色に輝く光のオーラを全身に纏った朝陽の姿が、少し離れた位置にいたからである。
その側には、当然夜宵の姿もあった。
「ハ、ハハハ…!!なんだ、まだ動く力が残って……」
「……さない…」
天城が何かを言いかけた時、小さく微かな声が、それを遮った。
「……あ?」
「許さない」
今度の言葉はハッキリと聞こえてきた。
纏われた、これまでとは度合いの全く違う、怒気を孕んだ怒りの声が。
「私を笑うのも、私を貶すのも良い。戦いを、戦い方を非難されるのも良い…でも……!!」
朝陽の言葉に呼応するように、オーラは渦を巻き、やがて纏っていた光の粒子が次々と溢れ出していった。
溢れ出る金色の光の粒子とは対称に、渦を巻いていた光のオーラは朝陽の身体はと収縮していき、朝陽自身の身体が輝き出した。
金色の光は朝陽の身体を彩っていき、やがて朝陽の全身は金色に輝いていった。
「根拠地の皆を……何よりお姉ちゃんのことを貶したことは、絶対に許さない!!」
そして、朝陽は光になった。
※後書きです
ども、琥珀です。
ご覧いただきました通り、本編に新イラストの挿絵がございます。
相変わらず迫力満点のイラストで、文章の質が大きく上がったと勘違いしてしまいそうになります笑
これに負けない文章を書けるよう、今後も精進して参ります
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。




