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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
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第377星:キーマン脱落

◆関東地方


斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『硬歪翼球ウルツァイト・ウィングレット』を所有している。



◆東京本部選抜


唯我 天城 (17)

東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作(タキオン・レイン)』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。


佐伯 遥 (24)

東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手(バレットアーチャー)』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。


草壁 円香 (21)

東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知オートマチック・サイト』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。


片桐 葉子 (21)

東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波(トランスミッション)』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。



◆近畿地方


黒田 カナエ (22)

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月 (24)

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。


真田 幸町 (24)

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進(ストレートアクセル)』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。


織田 野々 (24)

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。『グリット』は『他化自在天降臨たけじざいてんこうりん』で、自身の背面に5〜15mのエナジー体を顕現させ、高い防御力と攻撃で相手を圧倒する能力。

 第二部で圧倒的な指揮と実力を見せつけていた遥の早期脱落は、観客席を大いに湧かせた。


 しかし、当事者である、特に近畿選抜の面々にその勝利の余韻に浸っている余裕は一切なかった。



「ゲホッ!!カナエ!!カナエ、大丈夫!?」



 決死の回避により、どうにか直撃を避けた沙月は、土煙を払いながら同じくその場にいたカナエを声を上げて探していた。


 やがて、周囲を漂っていた土煙は晴れていき、ゆっくりとカナエの姿が現れた。


 カナエは地面にうつ伏せの状態で倒れており、沙月は目を大きく見開いてカナエのもとへと駆けつけた。



「カナエ!!しっかりして!?」



 遥の放った攻撃は、カナエを的確に捉えていた。


 元々『グリッター』の中では身体能力で劣るカナエは、遥の攻撃を回避し切ることができず、致命的なダメージを負っていた。



「ゲホッ…い、いやぁ…やってしまい…ました。遥さんを追い詰めていた…ところまではプラン通りだったのに……まさか、最後の最後で……私を狙ってくる……とは」



 沙月に抱えられながら、カナエは苦しそうにしながら笑みを浮かべてつぶやいた。



「あまり喋らないで…!とにかく、一旦安全なところへ…」



 移動しようとする沙月の手を、カナエはグッと掴み、首を横に振った。



「沙月さん…私の身体のことは…私が分かってます。これは一挙一動…一手の読みが重要になる……その局面で読み逃した…私の過失であり…結果です」

「ッ!!」



 ヒュー…ヒュー…と辛そうに呼吸をしながら、カナエは精一杯沙月に言葉を残していく。



「沙月…さん、受け入れましょう。受け入れた上で、私に出来る最後のことを…します!」

「最後のことって……!」



 その瞬間、沙月の脳裏に無数のイメージが思い浮かんでいく。



「これは……」

「私が…考えていたプランです…全部は無理…ですが、可能な限りを…イメージに添えて渡しました……あとは、お願いします…」



 カナエはグッと力強く沙月の手を握り、沙月もその想いを受け取るようにして手を握り返した。



「分かった。貴方の覚悟、確かに受け取ったわ」



 そう告げると、カナエはニッと笑みを浮かべ、ゆっくりと意識を手放した。



「ほいほい。ほんじゃ悪いがこの嬢ちゃん、回収させて貰うよ」



 そこへ現れたのは、審判であり『シュヴァリエ』でもある俊雅。


 一体今までどこにいたのか分からないまま、突如として姿を現した俊雅は、カナエを抱き抱え、観客席にいる別の『シュヴァリエ』、結束 移魅に合図を送った。


 すると、カナエを包み込むようにして謎の空間が現れ、次の瞬間には、カナエの姿は無くなっていた。



「まったく、東京選抜(うちのモン)は加減ってやつを知らないから困るね」



 俊雅はどこか面倒臭そうに髪を乱暴に掻きむしっていると、沙月が心配そうか目付きでこちらを見ていることに気付く。



「あ〜…余計なことを言ったかもしれないけど心配しなくて良い。傷は小さく無いが、診るのは東京選抜選りすぐりの医師達だ。万が一なんてことは絶対に無いから安心しな」



 その言葉で少し安堵したのか、沙月の表情は僅かに柔らかくなる。



「じゃあ俺は審判に戻るから。君も、残りの戦いを悔いのないようにね」



 そう言うと俊雅は再び姿を消し、フィールドのどこにもその姿は見えなくなった。


 あとに残された沙月は、最後に抱きしめたカナエの感覚を握りしめるようにし、毅然とした表情で立ち上がった。



「まだまだ。本当の戦いは、ここからよ」






●●●






「……バトルロワイヤルというなかで、まさか助けられる、という展開があるとはな」



 遥を脱落させた野々は、振り向きざまに朝陽の方を振り返る。



「結果論です。私にとっても遥さんは何としても倒したい方でしたから」



 朝陽は野々の言葉に、にこやかに笑って答えた。



「フハハ!共通の敵を倒すために我を利用したか!なかなかやってくれるな」



 勿論野々は朝陽の言葉が心の底からの言葉ではないことを理解していた。


 遥の攻撃を防いだ時に朝陽が溢した一言を、野々もキチンと聞き取っていたからである。



「…佐伯 遥の攻撃を相殺する貴様の攻撃が無ければ、敗北していたのは我だったろう。我らが『グリッター』同士であることを、貴様は示してくれた。我らしくは無いのだがな、思わず感銘を受けてしまったよ」



 フッと笑みを浮かべながら、野々は自分の素直な胸の内を朝陽に打ち明けた。



「バトルロワイヤルで言うのも変な話だが、貴様には礼を言おう、斑鳩 朝陽。貴様のお陰で、今の我は生き残っている。この事実は決して忘れん。決してな」



 真っ直ぐと朝陽を見つめながら伝えた後、野々はそれまで抑えていた『グリット』を再び顕現させた。



「だが、残念ながら今回はそれで手を引くわけにはいかぬ。例え身を守ってもらった恩人といえど、戦わなくてはならぬ。それが『大輝戦』だ」



 ジャキン、と『へし折り長谷部』を構えながら、野々は高らかと宣言した。



「貴様とて、それを分かった上での行動であろう?」

「勿論です」



 同じく、『光輝く聖槍ブリリアント・ヘレバルデ』を構えながら、朝陽も答えた。



「手を抜いて貰ったり、勝ちを譲って貰うために助けた訳じゃありません。私が…私達が勝つためにやった行動ですから!」



 朝陽の答えは望んだ通りの答えであったのか、野々はニヤッと笑みを浮かべた。



「さぁ!今度は貴様との一騎打ちだ!!楽しませてくれよ斑鳩 朝陽ぃ!!」






●●●






「東京選抜がまさかの二人脱落。そして近畿の智将、黒田 カナエさんも脱落。これは少々予想外な展開でしたね」



 観客席で恐らく序盤戦が終わりを告げたのを見計らい、咲夜は大和に尋ねた。



「戦況のキーマンを握っていたであろう佐伯 遥君に、戦況のほぼ全てを把握していた黒田 カナエ君。この二人のビッグネームの脱落は驚くのと同時に興味深いね」

「確かに…これでフィールドに残ったのは実質的に戦闘員のみ。このまま文字通り『バトルロワイヤル』へと発展するのか、それとも慎重を期して膠着した状態になるのか、興味深く思います」



 大和の考察に賛同するように、咲夜もこれに頷く。



「咲夜から見て、今の攻防はどう見た?」



 今度は大和が咲夜に尋ねると、咲夜は顎に手を当て、僅かに考える素振りを見せる。



「カナエさんの戦局を読み、動かす力は流石でした。佐伯 遥さんへのあれ以上の対抗策を講じなかったのも、野々さんの『グリット』ならば必要ないと判断したからでしょう。恐らく私が現場に立っていても、同じ判断をしたと思います」



 咲夜の評価に、大和は興味深そうに頷く。



「ですが、それを逆手にとって一手上回った佐伯 遥さんも流石と言えるでしょう。単調な攻撃をわざと続けることで、野々さんを誘い込みつつ、カナエさんから自分を意識から外した。だからこそ打てた一手だったと思います」

「そうだね。一か八かではあったけど、思い切った良い判断だとボクも思ったよ」



 咲夜の考えに賛同する形で、大和も頷く。



「カナエさんはこの攻撃で脱落することになりましたが、結局のところ、『グリッター』としての実力な側面が不足していた点が仇となったと思います。智将、参謀、軍師などと言われようとも、やられてしまえばそこまでです。彼女が今後もう一皮剥けるためには、彼女自身が強くなる必要があるでしょうね」

「まぁそうだね。実際、同じ攻撃を受けてた沙月君は無傷だった訳だし、彼女の唯一の弱点がここにきて仇になったんだろうね」



 これにも大和は賛同し、自分の意見も添えて頷いた。



「対して遥さんは、葉子さんを脱落させてしまったことへの自責の念から、野々さんをに固執し、視野が狭まり、朝陽さんの存在を過失していたのが敗因でしょう。確かに作戦は上手くいってましたが、今までの彼女なら朝陽さんの動向もしっかりと把握していたはず。彼女の敗因もまた、彼女に有り、といったところでしょうか」



 咲夜はそこまで告げたところで、「但し」、と付け加えた。



「朝陽さんはもう少し行動を遅くすべきでしたね。そうすれば、野々さんが遥さんに敗れたあと、その隙に朝陽さんが遥さんを倒すことも可能だったはずです。明確な判断ミスでしょうね」



 手厳しい意見を述べる咲夜の方をジッと見ながら、大和はニヤ〜と笑みを浮かべながら尋ねた。



「そんなこと言って、ホントは朝陽君がああいう行動をした真意は分かってるんでしょ、咲夜?」



 大和に見つめられ、咲夜はジト目で見返しながら、ハァ…とため息を溢した。



「彼女のことです。共闘をしている最中に、味方であった野々さんに情が湧いたのでしょう。だから、遥さんの攻撃から野々さんの身を守った」

「そうだね、ボクもそう思うよ。だって朝陽君だから」



 大和の言葉に、咲夜は再びため息を溢す。



「…まぁ実際の戦場でその甘さにつられなければ構いません。彼女は自分の正義にどこまでも真っ直ぐですから」



 半ば諦めたような、寧ろ朝陽を褒めるような言葉に、大和は笑みを浮かべて頷いた。


 そして、その視線は再び戦場へと向けられる。



「(東京選抜と近畿選抜は脳と舵をそれぞれ失った。それがどう影響するか…決勝は、ここから一気に舞台が動きそうだ)」



 大輝戦決勝は、大きな佳境に入ろうとしていた。

※後書きです






ども、琥珀です。


私はラーメンが大好きです。

特に最近は魚介系、なかでも煮干し系が大好きです。


ちょっと遠出する時は、必ず探すくらいですね。


美味しいお店は見つけられるのですが、遠出した時しか行けないのが残念です…


単なる趣味の話でした…


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は、土日のお休みを挟みまして、月曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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