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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
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第370星:他化自在天降臨ーたけじざいてんこうりんー

◆関東地方


斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『硬歪翼球ウルツァイト・ウィングレット』を所有している。



◆東京本部選抜


唯我 天城 (17)

東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作(タキオン・レイン)』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。


佐伯 遥 (24)

東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手(バレットアーチャー)』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。


草壁 円香 (21)

東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知オートマチック・サイト』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。


片桐 葉子 (21)

東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波(トランスミッション)』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。



◆近畿地方


黒田 カナエ (22)

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月 (24)

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。


真田 幸町 (24)

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進(ストレートアクセル)』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。


織田 野々 (24)

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。

 『他化自在天降臨たけじざいてんこうりん』。


 それが、自らを最強と自負する、織田 野々の『グリット』である。


 その能力は至ってシンプル。


 自身の背面から5〜15mにも及ぶエナジー体の巨人を顕現させ、自動、若しくは自在に操ると言うものである。


 シンプルではあるが、その能力は攻防ともに最強クラス。


 その防御力は『守護神』、仙波 盾子の『盾』に匹敵し、繰り出される攻撃は『戦神』、 鍜名(かじな) 剣美の『矛』にも及ぶと言われている。


 第一部の選抜メンバー、そして遥達が要所で野々の事を恐れていた理由。


 それが、それが織田 野々の持つ最強の『グリット』、『他化自在天降臨たけじざいてんこうりん』なのである。


 カナエの指示で現れた鎧武者の巨人。それが現れた瞬間、カナエは、そばに立つ瑠河にソッと話しかけた。



「瑠河さん、私達との共同戦線はここまでです。名残惜しくはありますが、ここからは敵同士に戻りましょう」

「…唐突だな…と言いたいところだが、奇襲をかけないでいてくれる辺り、まだ優しい方か。あんなものを見せられてはな…」



 突然の共同戦線解除の言葉に、しかし瑠河はそれを冷静に受け止めていた。


 理由は当然、野々の『他化自在天降臨たけじざいてんこうりん』を見たから。


 条件が整った時点で、カナエ達は瑠河に奇襲を仕掛けることも可能で有った。


 それをしなかったのは、ここまで戦いを共にしてきた仲であることと、野々の『グリット』を発動させるための条件を整えるための協力があったからであることを、瑠河も理解していた。


 謂わばカナエは、有利に出来る状況にありながらそれを放棄し、正々堂々戦うことを選び、瑠河達が仕切り直すための時間を与えたのである。


 それは、第三部で朝陽達が見せた姿勢に通ずるものがあった。


 そして当然、瑠河はその提案を受け入れた。


 それ以上言葉を交わすことはせず、直ぐにその場を離れると、現在は孤立している真衣の方へと駆け寄っていった。


 そんな瑠河をライバル視している沙月が、去っていく瑠河の背中を見届ける。



「何かアレよね。カナエって意外と甘ちゃんというか、詰めが甘いところあるわよね」



 沙月は弓の弦をビーンと揺らしながら、瑠河を見逃したカナエを揶揄うようにして言い放った。



「まぁ…否定はしませんよ。もちろん、実戦(本番)ではこんなことしませんけども。それでも、彼女達の協力無しで、東京選抜に対する()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それなら、仕切り直す時間くらい与えたって、良いではないですか」



 的を射ている発言に苦笑いをしながらも、カナエはハッキリと答えた。


 答えを返された沙月も、元々悪感情は抱いていなかったようで、ニッと笑みを浮かべた。



「良いんじゃない?実際の戦場ではともかく、こういう戦いで真正面から戦うのは私は好きよ。第三部でも、彼女達はそうしたわけだしね」

「フフッ、そうですね。もしかしたら私も、その姿に感化されてしまったのかもしれません」



 二人は互いに見合って笑みを浮かべながら、野々の作り出した巨大な鎧武者が蹂躙する姿を眺めた。






●●●






「ふむ、悪くない。第一部でエナジーを殆ど使用しなかったのもあって、良く安定している」



 具現化させた巨大な鎧武者と動きを重ねながら、野々は自身の状態を測っていく。



「な、何これ…!!」



 そんな野々の『グリット』を、最も間近で見ていたのはタッグを組んでいた朝陽であった。


 朝陽の距離からは全貌が見えないほどの大きさをした鎧武者。


 その圧倒的な存在感が、見ているだけで朝陽を萎縮させていた。



「下がっていろ斑鳩 朝陽。お前には手を出さん。()()()



 その中心地となる足元には、鎧武者を具現化させている野々の姿があった。



「野々…さん…」

「お前にはこの状況を作り出してくれた借りがある。先ずはそれを返す。関東選抜との戦いは……それからだ」



 ニィ…と笑みを浮かべた野々は、そのまま鎧武者とともに移動を始めた。


 その先にいるのは、カナエの策略により、一箇所に集められた東京選抜の三人だった。



「来たか……あれを正面から相手にするのは骨が折れるぞ。こうなる前に少しでも疲弊させておきたかったが…」



 遥はふらつく身体をゆっくりと起こし、ドンドンと迫り来る鎧武者と対峙する。



「すいません…私の読み込みが甘く、この状況を作り出してしまいました…」



 自分の行動が悉く裏目に出てしまっていることを猛省する円香に対し、遥は慰めの言葉はかけなかった。



「そう思うんだったら、ここから挽回する方法を模索することだ。()()は正真正銘の最強クラスの『グリット』。私達はこの不利な状況から、打開しなくてはいけないんだからね」

「ッ…はい」



 円香も気を引き締めなおし、目の前から迫る鎧武者に目を向けた。


 しかし、その巨大な体躯と存在感に圧倒され、全身に緊張が走る。



「大丈夫だよ円香」



 そんな円香に声をかけたのは葉子。背中をバシンと叩き、緊張で固まった身体に喝を入れる。



「こんなピンチ、私達何度も切り抜けてきたじゃん。今度だっていけるよ。私達なら、ね」



 無論、葉子にも打開策があるわけてはない。


 それでも、強がりでも何でも、この状況に臆さない葉子の姿勢に、円香も気力を取り戻していった。



「…部分の具現化は見ましたが、全身の具現化は初めて。分析に入ります」

「分かったよ。それなら私達は出来るだけ情報を引き出すために引っ掻きまわそうじゃないか」

「分かりました」



 円香の言葉を皮切りに、遥、葉子の両名が戦闘体制に入る。


 その前には、大胆不敵に笑う野々と巨大な鎧武者の姿があった。






●●●






「あれが… 『他化自在天降臨たけじざいてんこうりん』…。データ上では確認していましたが、実物を見ると…これはなかなか…」

「壮観だよね、見てるだけなら」



 野々の『他化自在天降臨たけじざいてんこうりん』を見た大和と咲夜の二人は、客席からも伝わってくる圧倒的な存在感を肌で感じ取っていた。



「えぇ…本当に。あれと対峙することを想定するのは、流石の私でも骨が折れます」



 そんな咲夜の答えを聞き、大和は思わず苦笑いを浮かべた。



()()()()()…か。でも倒せない、とは言わないんだね」



 そう問われた咲夜は、「ん〜…」と考える素振りを見せた咲夜は、やがてコクリと頷いた。



「無論、真正面から挑めば私の『グリット』でも弾かれるでしょう。それにあれ程の巨大な体躯、警戒して距離を取ろうものなら、反撃する間も無くやられるのは目に見えています」



 データ意外では初めて見るはずの野々『グリット』を、咲夜は冷静に分析していく。



「かといって、迂闊に接近すれば、あの巨大な体躯から繰り出せる範囲の広い攻撃に瞬時にやられてしまいます。まさに攻防一体。最強と呼ばれるうちの『グリット』に相応しい能力だと思います」

「そうだね。あれだけの巨体なら動きが多少鈍くてもリーチでカバー出来る。第一部でも、あの巨大な一部を具現化することで回避する間もスペースも無く次々と選抜メンバーを脱落させていったからね。これは手強いよ」



 咲夜の考察に、大和も自身の考えを付け足しながら賛同する。



「ですが……彼女の『グリット』には、明確な弱点があります。そこを突けば、攻略することは可能でしょう。無論、それも至難の業ではありますが」



 それどころか、既に弱点を見出していた咲夜の発言に、大和はその凄さに思わず苦笑いを浮かべる。


 その内容について尋ねようとした矢先、ふと、大和はある方向に視線を向ける。


 その視線の先にあるのは、一般開放された観客席。


 そこでは、普段は差別的な意識を持った一般人達が、熱狂的な戦闘に湧いていた。


 大和が見ていたのは、その一般席にいる一人の人物。


 一見すればただの観客にしか見えないが、大和の目には何か違和感のようなものを感じ取っていた。



「(なんだろうな……一般人とは違う気配というか、身のこなしが……)」



 暫く様子を伺っていた大和であったが、やがてゆっくりと立ち上がった。



「あら?大和、どちらへ?」

「うん?…まぁちょっと、お務めを果たしに行こうかなって」



 そんな大和の言葉に、咲夜は首を傾げていたが、大和は小さく手を振り、その場を離れていった。

※後書きです






ども、琥珀です。


左半身の麻痺が続いてる琥珀ですが、何とか片手で執筆を続けています。


ただやはりペースダウンと、疲労アップは避けられず、来週はやはり週三更新が目処になると思います。


ご愛読されてる方がいらっしゃいましたら、このペースを維持できず申し訳ありません…

最低でも週三ペースは頑張りますので、引き続き宜しくお願いします。


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は木曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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