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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
401/481

第367星:計算予知

◆関東地方


斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『硬歪翼球ウルツァイト・ウィングレット』を所有している。



◆東京本部選抜


唯我 天城 (17)

東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作(タキオン・レイン)』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。


佐伯 遥 (24)

東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手(バレットアーチャー)』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。


草壁 円香 (21)

東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知オートマチック・サイト』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。


片桐 葉子 (21)

東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波(トランスミッション)』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。



◆近畿地方


黒田 カナエ (22)

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月 (24)

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。


真田 幸町 (24)

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進(ストレートアクセル)』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。


織田 野々 (24)

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。

「シッ…!!」



 素手による鋭い攻撃が、避けた朝陽の顔の直ぐ横をすり抜ける。


 その避けた先に、勢いをそのままつけた円香の肘が迫っていた。


 朝陽は身体を仰反らせ、これをギリギリ回避する。


 しかし、それすらも読み越していた円香は、仰反ったことでバランスを崩した朝陽の足目掛けて、姿勢を比較して回し蹴りを仕掛けてきた。



「ッ!!」



 次々と繰り出される技に圧倒されながらも、朝陽は仰反った姿勢から地面に手をつけ、バク転をすることでこれを何とか回避した。



「(こ、この人!第二部の戦いで見た時は後方支援タイプだと思ったたのに、全然戦闘もいけるの!?というか、接近戦だけなら片桐さんよりよっぽど強い!)」



 円香は身体を半身に、常に両足でステップを踏むインファイトスタイルを見せつける。


 朝陽の考えの通り、円香の『グリット』の性質上、円香本人には然程戦闘能力が高くないと考える人は少なくない。


 しかし実際は逆で、相手の動きを観察すればする程、見極めから予測まで可能になる『計算予知(オートマチックサイト)』を利用した戦闘こそ、円香の真骨頂である。


 無論、それを可能とする戦闘能力が備わってこその効力ではあるが、円香はそれをしっかりと補っている。


 インファイタースタイルを取る円香の接近戦における戦闘能力は、単体であれば『メナス』にも対抗出来るほどの実力者である。


 そして、それ程の実力者を相手にすれば、当然意識は円香に向けられて行き…



「チッ!!いったぞ、斑鳩 朝陽!!」



 少し離れた位置で戦闘を行なっていた野々が、朝陽に向かって叫ぶ。


 その直後、朝陽の真後ろから衝撃が走る。


 野々と対峙していた、葉子の『輝伝衝波(トランスミッション)』による攻撃である。


 予め意識外の攻撃に対する自動防御のプログラミングを『フリューゲル』に行なっていた朝陽は、直撃こそ防いだものの、その衝撃により体勢を崩される。


 当然、その隙を円香が見逃すはずも無く、一瞬にして距離を詰めると、朝陽の顎目掛けて掌底を狙う。



「ッ!!」



 朝陽は咄嗟に『フリューゲル』の一つを操り、()()()()()()()()()()


 それにより、瞬間的に倒れ込む速度が速くなり、間一髪のところでこれを避ける。


 しかし、目前にはそれを見越していた、否、予測していた円香の蹴りが迫っていた。


 朝陽は両手をクロスさせ、円香から繰り出された前蹴りを防ぐが、身体は大きく後方へ吹き飛ばされていった。


 空中で身体を回転させ、どうにか無事に着地するものの、防御に使った両腕はジンジンと痛みを発していた。



「(全く攻められない…と言うより、攻めようとすると、それを全部逆手に取られる…これが草壁さんの予測能力…)」



 槍を交互に持ちながら、両手をグッパッとさせ、朝陽は両腕の痛みを紛らわせる。



「(動きが見極められてる分、先生よりもやり辛いかも知らない。これを突破するのは簡単にはいかない。それに、意識を向けすぎたら、さっきみたいに片桐さんから攻撃が来る。一人じゃ無くて全体を見ないと…)」



 円香を攻略する方法を模索する中で、対峙する円香も小さな驚きを覚えていた。



「(予測よりも動きが鋭い。それに、事前情報よりも戦闘慣れしてる。接近戦でここまで崩し切れないのは予測外だった)」



 全ては咲夜の訓練の賜物であったが、それは円香が知る由もない事である。



「(でも、その動きも見極めてきた。次の動きも予測できるようになってきたし、時間の問題。押し切れる今の状況で倒さないと)」



 円香は再び半身になり、ステップを踏み出す。それを見た朝陽も、槍を構え、反撃の姿勢を見せていた。


 両者の間で火花が散る中、別の場所では、別の二人による戦闘が行われていた。



「フハッ!この我を前にして他のやつに目移りする余裕があるとはな!舐められたものよ!」



 そう声を張り上げるのは野々。


 愛刀である『へし折り長谷部』を、対峙する葉子へと振り下ろす。


 葉子はこれをダガーで防ぎながら、「チッ」と舌打ちする。



「別にそこまで余裕があるわけじゃないわよ。今のだって、円香と培ってきた連携の中で一瞬の隙を突いただけだし。ていうか…」



 葉子は力押しで野々を押し返すと、攻撃を防いだ方の手をプラプラとさせながら、野々に尋ねる。



「アンタ、『グリット』解放させないのね」



 そう言われた野々の目が、僅かに細められる。



「正直、アンタとタイマン張ることになった時、結構警戒してたのよ。『グリット』を使用した時のアンタの強さは、正直常識を超えてるからね。それは第一部の部分具現からだけでもわかってた」



 葉子は「けれど…」と目線だけ野々に向けて続ける。



「今のアンタにはそれすらやる気配が無い。使えば一瞬で戦局を変えられるだけの力があるのに、それをしない。まぁ理由としては、黒田 カナエに止められてるのもあるんでしょうけど」



 ダガーをクルクルと回転させ、ピタリと止めた後、再び構えた葉子は、ニッと不敵な笑みを浮かべ、野々に向かって言い放った。



「ぶっちゃけ、『グリット』を使ってこないアンタは、そこまで怖く無いわ」



 これは半分挑発。


 織田 野々の『グリット』が強力無比で、厄介なのは事実であるが、使用してこないのには訳があると葉子は踏んでいた。


 自身にとってもリスクのある挑発ではあるが、策略を張り巡らせることに於いては右に出る者はいない黒田 カナエの作戦を、少しでも綻ばせてやろうという狙いであった。


 ましてや野々は、傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人と本来ならば他の者と連むことを好まない性格をしている。


 ならばこの状況にはストレスを抱えている筈だし、挑発にノッてくると確信していた。


 そんな葉子の挑発に対し野々は……



「あ〜まぁ我、単体独力での戦闘が得意というわけではないからな〜」



 軽く受け流した。


 この受け答えは予想外だったのか、葉子思わず眉を顰め、その反応を見て、野々はニッと笑みを浮かべた。



「挑発にノらなかったのが予想外か?」



 内心を見透かされた葉子は、表情にこそ出さなかったが、心の中で舌打ちをした。



「フハハ!まぁ遅からず貴様が我を動かすために挑発してくるであろうことは分かっていたよ。そして、今までの我なら間違いなくノッかっていただろうよ。うちの参謀殿(黒田 カナエ)の指示があってもな」



 最早癖なのか、野々は『へし折り長谷部』を肩にトントンと当てながら続けた。



「我は我が最強となり得ると信じて止まん。次なる『シュヴァリエ』に選ばれるのは自分だともな。だが……」



 肩を叩く動作を止め、野々は周囲の戦場に目を配る。



「この『大輝戦』を経て、自分の中で考える最強の在り方が少し変わった。そも『最強』とは、自分一人で成るものではない、とな」



 そして、周囲で戦う面々に目を向けた後、野々は再び葉子に向き直った。



「我は最強。だが一人で戦っているわけではない。大輝戦で共に戦う仲間、大阪根拠地で共に戦う仲間、そういった支えとなる仲間が側におり、そしてそんな仲間のために死力を尽くし、勝利する。それが我の目指す新たな最強だと考え直した」



 ジッとこちらを見る野々から放たれる圧は、葉子も認めざるを得ないほど、強者の()()であった。



「御託ばっか並べちゃって…随分と丸くなったんじゃ無いの?『魔王』とまで呼ばれた織田 野々がさ」

「フハハッ!!確かにそうかもしれんな!!だが、そう変化せざるを得ないほど、この大輝戦では気付きを得られたとも言える」



 ジャキ…と愛刀を構え、野々は真っ直ぐ葉子を見据える。



「だからその時までは、我は我がすべきことに注力する。それが我らが軍師殿の指示だからな」



 野々は変わらず愛刀を向けたまま、しかし、相対する葉子が一瞬ゾクッとする程のプレッシャーを放ち出した。



「だが、その時が来た時は覚悟しておけよ?先程の挑発も含めて、今の我が溜め込んでいる分全てを倍にして返してやろうぞ」



 ビリビリとひりつく程に肌で感じるプレッシャー。


 葉子はこれまで引き締めていた気持ちをより一層引き締め直した。


 それはつまり、東京選抜のエースである葉子が、織田 野々好敵手であると認めたことを意味していた。

※後書きです






ども、琥珀です。


一週間の連続投稿にお付き合いいただきありがとうございました。


少しでも本編の舞台の高揚感を思い出して感じてくださっていれば幸いです。


現在もリハビリは続けており、僅かに回復の兆しが見えてきました。


これまで通りの更新も再開可能かと思われますので、一先ず来週は週三回更新を試みようと思っています。


途中、急遽変更があるかも知れませんが、ご了承いただければと思います。


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は月曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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