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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
3章 ー最高本部出向編ー
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第39星:最高議会

早乙女さおとめ護里まもり

『軍』における『グリッター』最高権力、最高司令官の女性。『グリッター』を仲間以上、家族のように思っており、子供達と呼ぶ。日本だけに留まらず世界に存在する『グリッター』から人格者として知られ、一目置かれている、正に『グリッター』の母。

────『軍』最高本部・会議室



『それではこれより、定例の最高議会を始めていく』



 円形の机には人影が六名。更にその前には横並びの席のが用意され、そこには五名が座っていた。


 と言っても、一人の人物と除けば、残りの人物達はここにはいない。予め用意された機械によって投影されたホログラフによる映像でその場にいるように見えているだけだ。



『おや?一人足りないようですが?』



 ホログラフ越しの声色で、一人の男性がこの場にいる女性に尋ねる。



「あら、ホント!来てないのはっと…まぁ、関東ね!」



 どこかトボけたような調子で答えたのは、『軍』最高司令官である早乙女 護里。いつものように笑みを浮かべている。



「まぁあそこは今ちょっと特殊な事情があるのよ。少しの遅刻は許してあげて頂戴」



 護里がそう言うと、机を囲んでいた六人は仕方ない、と言った様子で落ち着いていく。


 しかし、円形の机の頂点に座っている護里の後方に位置する五名の人物達は納得していない様子だった。



『そのものはどうやらこの会議を甘く見ているようだな。そんな人物が総司令官など務まるのかね早乙女総司令官』



 直接的な表現はないものの、これは遠回しに護里を貶している発言である。



 『軍』の形式は、最高権限を持つ最高議会をトップに、最高司令官が次につく。そしてその下には各地方、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、北海道の七つを拠点とした本部が敷かれている。


 その本部を束ねるのが、各本部総司令官であり、その管轄下としてそれぞれに根拠地が存在する。そして各本部の総司令官は、『グリッター』全てを束ねる最高司令官である護里が任命することとなっている。


 つまり、総司令官を疑うと言うことは、その人物を任命した最高司令官(護里)を疑うことを意味するのだ。


 その意図を汲み取り、机を囲む六名はホログラフ越しでも分かるほどの怒気を僅かに放つ。しかし、当の本人である護里は笑顔でどこ吹く風であった。



「心配には及びません最高議会の皆様。関東総司令官に任命したのは()()()()()。これまでに私の選んだ子達が何か失態しまして?」



 護里の言葉に、今度は最高議会のメンバー達が押し黙る。言い返せる言葉が無いからだ。



「さぁほら!噂をすれば関東総司令官さんのお出ましよ!!」



 護里の言う通り、先程まで起動していなかったホログラムの最後の一つが起動し、その人物の姿が映し出されていた。



『遅れてしまい申し訳ありません』



 声の主は比較的若さを感じさせる青年であった。これまで発言してきた人物たちの声がどれも年季の入ったものであることを考えると、やや異質とも言えるだろう。


 他の総司令官もどこか険悪そうな雰囲気でその青年を眺めているのが感じ取れる。


 その中で護里だけは青年を友好的に見つめており、当の本人である青年もあまり気にしている様子はなかった。



「さぁ、それでは全員揃ったところで議会を始めましょう。今日の議題は、メナスの『知性』についてです」



 議題について発言されると、周囲が僅かにざわつく。総意を発言したのは最高議会の人物だった。



『報告書は読ませてもらったよ。だが本当にあり得るのかね。あのメナスに知性などと…』

『この地球に初めてメナスは出現してから早百年…だがその歴史を見ても、メナスに知性が見られたことなど一度も無い。それが唐突に《知性》など…』

「あり得る、あり得ないの段階は既に越しております。報告書に記載されておりましたのは可能性ではなく、確定事項となっております。いま議論すべきは可能性の有無ではなく、この事態に対しどう対処・対応していくかになります」



 議題の中心となるテーマから逸れないよう、護里が話を仕切っていく。



『では、その《知性》が存在するという証拠はあるのですか?』

「それに関してはお渡しした資料の情報提供者…関東総司令官にお話ししていただくのが一番良いかと思われます。関東総司令官、良いですか?」

『承りました』



 青年は了承すると、席から立ちあがり全員に説明を始める。



『最高司令官に代わり、私が説明を引き継がせていただきます。まずはこちらをご覧ください』



 そう言って備え付けられたモニターに映し出されたのは、メナスと戦う『グリッター』の姿だった。



『これは?』

『関東本部管轄、群馬根拠地から提供していただいたメナスが《知性》を持つという証拠映像です。このままモニターをご覧ください』



────群馬本部、戦闘映像




『後方、4時の方向からメナスが接近しとるがね!!』

『分かってる!!けど前にもメナスが来てて対処すんのもよいじゃないです!!』

『くっちゃべってねぇで足動かせ!!囲まれっぞ!?』

『ま、待って!!どうして進行方向にメナスが!?』

『なんなん!?なんでこんなメナスが先を読む動きを…』

『全方位レーザー発射体勢確認!!隊長!!』

『ダメ!!逃げ切れない!!』

『いやあああああああああああ………………』



────映像、終了



 各総司令官、そして護里の八人は、映像が終わると悲痛な面持ちで俯いていた。


 しかし、最高議会側は彼女達の死(そんなこと)よりも、これが何を表すのかの方が気になるようだった。



『これが何だと言うのかね?』

『…映像は僅か十数秒だけのものでしたが、メナスが《知性》を持って彼女達を追い詰めたものと考えられませんか?』

『バカを言え。たったこれだけの映像で何の確証に繋がると言うんだね』

『物事には偶々というものがある。この時は偶々行く先行く先にメナスが居たと言うだけだろう』

『数にモノを言わせる。メナスにはそれができるからな』



 最高議会の人間は青年の意見をまったく受け止めない。それどころか、人が死んだというのにどこか嘲笑しているようにも見えた。


 ただ一人、興味を持ったように笑っている人物を除いて…



『いま我々のことについて討論するのは不毛でしょうから避けさせていただきます。この情報だけでは不足とのことでしたので、もう一つ映像を見ていただきたく思います』



 青年がもう一度モニターに手を向けると、再び画面に映像が映し出される。




────関東本部、戦闘映像


『…!?ちょ、待っ!?』

『────三咲、これは…』

「メナスが…海面に潜んでいたんです…私の《グリット》から逃れるためか、この包囲網を打ち破るためか…ともかくこのメナス達は初めから、この包囲網を破るためにずっと海面に潜んでいたんです!!』






●     ●     ●







『くっ!!散らばってたメナスが集まって!?【光の翼(フリューゲル)】』






●     ●     ●






『メナスが上空に集まって…あちゃ~そう来るのねぇ…』

『メナスの戦いは先程から何か違うものでした。こういう行動をとる可能性もあり得ます』





●     ●     ●





『報告します!!根拠地支部にメナスの敵影を補足しました!!目標を根拠地に変えた様子です!!』




────映像、終了




『…これは?』

『同じく私が管轄する関東支部、千葉根拠地から提供された映像です。ご覧いただいたのは問題のシーンのみですが、これまでのメナスとは異なる行動をしていることがよくお分かりになるはずです』



 最高議会の面々も、この場面の数々には押し黙る。



『…では、《知性》があると断定するとして、それが今後どのような展開を生むと予想するのかね』

『現状のメナスの《知性》レベルであるのならば、それをあらかじめ想定しておくことで事前・事後ともに対応は可能だと考えます。現に千葉根拠地の司令官は事前・事後両方の対応を想定した戦術で先日の戦闘を問題なく対処したとの報告を受けています』

「フフッ」



 青年の回答に、何故か傾聴していた護里が笑みを零した。



『…最高司令官…』

「ごめんなさいね、不謹慎だったわ。報告を続けて頂戴♪」



 呆れ口調で嗜める青年に謝罪し、護里は続きを促した。青年は「やれやれ」とため息を吐きながらも、小さな笑みを浮かべて続けた。



『もし、メナスの知性がこのまま《進化》を続けていった場合、現状の戦い方だけでは勝てなくなることもあり得ます』

『…つまり、何が言いたいのかね?』

『…《軍》という組織の元、彼女達を束縛したままの戦い方ではなく、彼女達個人個人を尊重し、自由を与えた状態での戦闘が必要になるかと…』



 ダンッ!!と強く机をたたく音が会議室内に響き渡る。



『ふざけたことをぬかすな!!《グリッター》に自由を与えるだと!?』

『いつ我々に牙をむくとも分からない者どもに自由を与えてどうする!!』



 最高議会の発言に強い不快感を感じながらも、青年は尚冷静に努め反論を試みる。しかし、その前に最高議会の発言を嗜めた人物がいた。



『まぁ皆様落ち着いてください』



 同じ最高議会のメンバーであり、最年少の人物、月影つきかげ 天星てんせいだった。



『彼の意見もあながち間違いではありません。このまま進化の過程を続けていくことを考えれば、現状維持では我々は再び敗北の一途を辿ることでしょう。直ぐにでは無いにしても、将来的な面で制限の緩和を考えなければなりません』



 天星という人物は、最高議会でも一目置かれており、その発言に他のメンバーも唸りながら納得している様子だった。



『しかし、他の皆様も仰られています通り、今の段階で制限を緩和することは出来ません。関東総司令官どの』

『はい』

『先程までの発言は、全て現場ではなく報告を報告した内容であると見受けられます』

『…えぇ、そうです』

『それでしたら…』



 天星はホログラム越しに笑みを浮かべ、青年にこう提案する。



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

※ここから先は筆者の後書きになります!!興味の無い方はどうぞ読み飛ばして下さい!!





ども、琥珀であります!!

本編について語ることないので私の近況でも笑

と言っても変わったことは無いんですが…強いて言うならそうですね。バイクの免許取ろうと思ってます終


なかなか週三更新に戻すのは難しそうですが、早めに戻せるよう頑張りますm(_ _)m


本日もお読みくださりありがとうございました!次の更新は金曜日を予定しております!!

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