第364星:加勢
◆関東地方
斑鳩 朝陽(18)
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪』。
斑鳩夜宵(22)
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪』。
矢武雨 瑠河 (24)
栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜』。
道祖土 真衣 (22)
埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具』、『硬歪翼球』を所有している。
◆東京本部選抜
唯我 天城 (17)
東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。
佐伯 遥 (24)
東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。
草壁 円香 (21)
東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。
片桐 葉子 (21)
東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。
◆近畿地方
黒田 カナエ (22)
兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。
射武屋 沙月 (24)
奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。
真田 幸町 (24)
京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。
織田 野々 (24)
大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。
「(しまった!もうリロードが…!!)」
朝陽は危険を察知し、直ぐに距離を取ろうとするが、葉子の方が反応が早かった。
後方へ退避する朝陽に合わせて葉子はリロードされた『輝伝衝波』を発動。
地面を伝ったエナジーは、朝陽の側面から攻めるようにして伝播し、朝陽に衝撃波を放った。
まだ『フリューゲル』のプログラムが生きていたこともあり、直撃こそ防ぐことは出来たが、その勢いによる余波までは防ぐことが出来ず、朝陽はバランスを崩す。
すかさず葉子は『グリットガン』で射撃。
狙いは当たることではなく、朝陽の『フリューゲル』を封じ込めること。
『フリューゲル』が自動で朝陽を防御しているのを理解した葉子は、乱射することで『フリューゲル』の動きを止める。
その隙に接近し、一気に脱落、ないしはダメージを負わせようというものであった。
「距離を取ったな?」
────ダァン!
がしかし、距離を取ったことでフリーになった葉子に対し、野々が躊躇なく銃剣から弾丸を放つ。
しかし、それも予想していたのか、葉子はこれを回避。そのまま朝陽の方へと駆け寄っていった。
予想外だったのはこの後の野々の行動。
葉子の予測では、野々は銃剣による弾丸を使用した牽制に徹すると考えていた。
しかし、予想に反して野々は前へ出ると、朝陽と葉子の間に割って入り、葉子のダガーと自身の日本刀をぶつけあった。
「チッ…!前に出てくるなんて思わなかったわ…」
「バカか貴様は。リロードが済めば貴様の『グリット』が活きるのは中距離と、不意打ちであろうが。ならば離れている方が危険というものよ」
葉子の『グリット』の特性をしっかりと掴んでいた野々は、葉子のプランには乗らず、その作戦を打開していた。
接近戦においても、咲夜に鍛えられた朝陽と渡り合える程の実力を持つ葉子であるが、真っ向勝負では『グリット』の真価を発揮することは出来ない。
先程の朝陽に対しての行動とは逆に、葉子は距離を取ろうとする。
「ほう、良いのか?この間で距離を取っても」
そう野々に告げられた瞬間、東京選抜である葉子でさえ思わず背筋がゾッとするプレッシャーを感じ取る。
危険を察知した葉子は一旦離れるのをやめ、野々との斬り合いへと戦闘方法を戻した。
「ハッハッハ!今の我の一言でしっかりと危機を察知したか!東京選抜は伊達ではないなぁ!」
愉快そうに笑う野々に対し、いいように操られている葉子は悔しそうに歯噛みしていた。
「(チッ…距離を取りたいけど、取ったら多分、コイツは部分的に『グリット』を発動する。それくらいなら防げるけど、せっかくリロードした弾を一気に消費することになる…それは出来るだけ避けたい。けど…)」
野々の相手をする片手間、葉子はチラッと横を見る。
そこでは、葉子によってバランスを崩された朝陽が立ち上がっており、再び攻撃の態勢を取っていた。
「(この攻防にアイツまで加わったら流石に対応し切れない。そうなれば後退しないと私がやられる…どうする…)」
苦境に立たされるなか、救いとなる声が耳元の通信機から入り込んできた。
『野々さんの足元に一発、朝陽さんを押し出すように二発、【輝伝衝波】を撃って』
誰の声か判断して直ぐに葉子は『グリット』を発動。
通信機の指示通りに『輝伝衝波』を放つと、野々はこれを直前で回避。
朝陽は野々に意識を集中させていたと思っていたために不意打ちをくらった形で、プログラミングされた『フリューゲル』に守られながら後方へ弾き飛ばされる。
「(ほう…あの言葉かけによる牽制をすれば距離を取ることは躊躇うと思ったが、思いの外簡単に…それに斑鳩 朝陽への攻撃のタイミングもベストだったな…)」
回避するために後方へ下がった野々は、葉子の予想外の行動に、僅かに目を細める。
「(いや、違うな。恐らく今のは彼奴自身の判断ではない。この攻撃のタイミングと特性を掴んだ正確性は、恐らく…)」
野々が考え切る前に、その人物は二人の前に姿を現した。
「…思ってたより早かったわね。もうデータの収集は十分なの、円香?」
そこに立っていたのは、これまでどちらの攻防にも参戦していなかった草壁 円香であった。
円香は癖なのか、横髪をサラッと掻き上げると、葉子の言葉に答えるように頷いた。
「元々第一部と第三部で戦闘の様子は見てたから。あとは実際に対面した時の情報さえ手に入れば、八割は完璧よ」
「八割ね…ま、予測不可能な攻撃ってのもあるし、完全ってことは有り得ないもんね」
円香の援護もあって、一息を入れることが出来た葉子は、いつものリラックスした雰囲気に戻る。
「向こうの方は良かったの?」
向こう、というのは恐らく天城のことを指しているのだろう。
それを理解した円香は「問題ない」と頷いた。
「向こうの情報も収集してあるし、遥さんにももう伝えてある。だから向こうは遥さんがなんとかするって」
他ならぬ遥がそう言うのだから、心配は無いだろうと考え、葉子は天城のことを思考から切り離した。
「それで、あの二人を離して良かったの?特に織田 野々なんかはあまり離すと良くないと思うんだけど?」
「接近戦になったら葉子の『グリット』が活きないから。それに、恐らく黒田 カナエさんは野々さんに出来るだけ『グリット』の使用を避けるように伝えてる筈。だからまだこの序盤では心配ない」
葉子の懸念を、円香はスラスラとした口調で答え晴らしていく。
「成る程ね。確かに野々の『グリット』は消費エナジーが多いって聞くもんね。こんな序盤では使わないか。でも斑鳩 朝陽の方はどうするの?」
「それを解決するために私が来た。葉子は嫌かもしれないけど、ここからはツーマンセルで行くよ」
改めて円香がこの場に来た意味を理解し、葉子は悔しそうな表情で乱暴に髪を掻く。
しかし、円香との連携が必要な状況だと認めたのか、次の瞬間にはその横に並んだ。
「やり方は?」
「いつも通り。私が前に出て注意を引きつける。葉子は後方支援しながら隙を見て『輝伝衝波』で仕留めて」
そう言うと円香は、軍服のポケットから手袋を取り出し、それを腕に嵌めた。
それ自体は何の変哲もないただの手袋。但し本人にとっては、戦闘開始を意識するスイッチともなる装飾品であった。
「…大丈夫なの?やり慣れた東京本部のメンツや、単調な『メナス』を相手にすることは違うわよ?」
気分屋の葉子が珍しく気を遣って心配する素振りを見せるが、表情がほとんど変わらない円香は、小さく笑みを浮かべて「大丈夫」と返した。
「データは読み取りから予測までいってるから、十分に対応出来る。中距離戦に徹せられたら少し困るけど、それならそれで葉子の『グリット』が活きるから」
実は葉子とは同期でもありタッグを組むことも多い円香の身を案じながらも、円香の発する言葉は常に正確で的確であることを葉子は知っていた。
だから、これ以上は必要ないと思い言葉を投げかけることはしなかった。
「多分作れる隙はそんなに多くないから、チャンスを逃さないでね?」
「何年一緒にやってると思ってるのよ。逃すわけないでしょ」
互いに目を合わせ、小さく笑みを浮かべると、円香はグッと拳を握りしめ、前へ出た。
「草壁 円香か…押し切れそうだったと言うのに、ここに来てタッグを組まれるとな」
接近する円香を前にして、野々は刀を肩にポンポンと当てながら、面倒臭そうに呟く。
「こっちも二人です。負ける理由にはなりません」
「フハッ!頼もしい言葉だ!確かに負ける理由には成りえんが、劣勢になる理由にはなるかもしれんぞ?彼奴らはタッグとして五年以上は組んでるからな。単純な足し算な我等とは違う」
その言葉を聞いて、朝陽は僅かに驚いた表情を見せるが、それでも瞳だけは微塵も揺るがなかった。
「(フハハ。劣勢になるやもしれんと聞いて微塵も動じんか。カナエが要注意人物として挙げたのも、他の選抜メンバーが此奴を気にかけた理由が分かるな)」
かく言う野々も、この短時間共闘を続けてきた中で朝陽を気に入りつつあり、自分で発言した劣勢になり得る状況を前にしても、敗北する感覚は得ていなかった。
「では奴等に見せてやるか。突貫コンビなりの強さと言うやつを、な!」
「はい!!」
朝陽の力強い返事と共に、二人は迫り来る円香を迎え撃った。
※本日の後書きはお休みさせていただきます
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は明日を予定しておりますので宜しくお願いします。




