第360星:前衛連携
◆関東地方
斑鳩 朝陽（18）
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪』。
斑鳩夜宵（22）
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…？『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪』。
矢武雨 瑠河 （24）
栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜』。
道祖土 真衣 （22）
埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具』、『硬歪翼球』を所有している。
◆東京本部選抜
唯我 天城 （17）
東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。
佐伯 遥 （24）
東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。
草壁 円香 （21）
東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。
片桐 葉子 （21）
東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。
◆近畿地方
黒田 カナエ （22）
兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。
射武屋 沙月 （24）
奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。
真田 幸町 （24）
京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。
織田 野々 （24）
大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。
「前衛は私が！！」
「私も参ります！！」
接近してる天城と葉子を見て、朝陽と幸町がこれに続く。
「『輝伝衝波』」
接近し切る前に葉子が『グリット』を発動。床から『エナジー』を伝播させ、朝陽と幸町の側まで接近させる。
「『フリューゲル』、『光の盾』！！」
朝陽はすぐさま『フリューゲル』を展開。そして、自身たちに迫っていた葉子の攻撃を、六枚刃で作られた盾で防ぐ。
「お見事！！攻撃の筋を見切った反応速度もさながら、的確に防御を展開した判断力も流石です！！前衛に出てこられたのも納得です！！」
側にいたため思わず守ってしまった朝陽であったが、幸町はそれを込みで屈託なく朝陽を褒め称えた。
「ご存知かと思いますが、向こうの前衛の一人、唯我 天城さんは、一瞬で超高速に至れる強力な『グリット』の持ち主です！私の『グリット』も似た系譜ですが、あそこまで一気には加速できません！ですが相性としては私がお相手するのがベストかと思います！如何でしょう！？」
「如何ってあの……えっと、良いと思います！！」
どこか同じ小隊の曲山 奏を彷彿させる口調の強さに圧倒されながらも、朝陽はしっかりと考えな末にこれを了承した。
もう一人の前衛である片桐 葉子は、接近戦も可能な中距離タイプであると朝陽は踏んでいた。
それを踏まえれば、同じく中距離攻撃を可能とする朝陽が対峙する方が適任であると考えたからだ。
「生意気に防いじゃって。ムカつくわね」
「防がれる場所に撃つからだろうが。もっと死角を狙え下手くそ」
「あ゛ぁ゛ん゛！？」
もはや仲の悪さなど微塵も隠さない両者ではあったが、今の一瞬を除けば、二人の視線は関東選抜から離れることはなかった。
「先に突っ込んで来る幸町って奴は俺がやる。加速しまくる奴とやれるのは楽しそうだからな。もう片方の女はお前に任せんぞ」
「だからアンタが決めるなって……って、もう行ってるし！！」
葉子の答えを聞く前に、天城は更に前へと進んでいき、先陣を切っている幸町へと突っ込んでいた。
「〜〜〜〜〜〜〜っ！！」
やるせない気持ちを必死に堪えながら、しかし、葉子自身も朝陽を相手にする方が適任であると考えていたため、どうにか怒りを収める。
「（アイツ、中・遠距離の攻撃もあるんでしょ？それに、さっきはサラッと防御されたけど、割とシビアな所を狙ったはず。それを難なく捌いてるんだから、結構なやり手ね）」
普段は気分屋な葉子であったが、初撃を塞がれたことで、珍しく早いうちにスイッチが入っていた。
「『直進邁進猛進』！！」
天城が前に出たのを見計らって、幸町は早い段階で『グリット』を発動。
天城の『グリット』に対し、幸町の『グリット』は加速するまでに時間がかかるためである。
「おもしれぇ、スピード勝負をしようってか！！」
対して天城は『グリット』を発動せず。
初速が遅いことを理解している上で、真正面からそれを叩き潰そうという魂胆である。
「ったくあのバカ。そうやって相手に時間を与えてピンチになったのにまだ懲りてないの？」
そんな天城に対し、呆れた様子を見せた葉子は、片手の弾数八発のうち、朝陽達に放った四発の『輝伝衝波』から、更に四発、今度は朝陽に狙いを絞って攻撃を仕掛けた。
「…！！」
朝陽はこれに気が付くが、今度は盾を形成しなかった。
代わりに、衝撃が朝陽に届く瞬間、槍を高速回転させ、その衝撃を全て弾き返していた。
「ッ！？はぁ！？」
これには流石の葉子も驚きを隠せないでいた。
出力を対人用に抑えているとはいえ、それでも人一人を吹き飛ばす程度の十分な威力は保っている。
それを、朝陽は盾を形成するでもなく、槍で捌き、受け流していた。
「（ざっけんじゃないわよ！！そんな事普通出来ないでしょ！！）」
この時、無論朝陽はただ槍を奮うだけで回避したわけではない。
朝陽はここまでの序盤の戦闘だけで『エナジー』を酷使し過ぎていると判断し、槍の周囲にのみ光を集約させた。
こうして耐久力を上げる事で、葉子の『輝伝衝波』に耐えられる状態を作り上げる。
あとは伝播して迫ってくる攻撃を読み切り、槍で捌き受け流しつつ、『エナジー』の消費を抑えることにも成功していた。
「よかった…出来た」
朝陽はホッと胸を撫で下ろす。
朝陽のこの一連の攻撃は、葉子の姿が見えていたから、そしてその導線が視認できたからこその芸当である。
しかしとはいえ、葉子の『輝伝衝波』の伝播速度はかなり素早く、視認した時には衝撃が迫ってきている程である。
それを、初見で成し遂げられたのは、咲夜との修練の賜物と言えるだろう。
「（たまたま…なわけないわよね。一発ならまだしも、四発全部止められたんだから。だとすれば、下手に無駄撃ちできない…あぁもう腹立つわね…！！）」
自分の能力に予想外の対応をされたことに腹立たしさを覚えながらも、葉子は出来る限り冷静さを保ち、耳元の通信機に手を当てる。
「遥さんすいません、私の攻撃が通じない奴がいるみたいです」
『見てたよ。彼女の戦闘力は想像以上だね。私も積極的に介入したいところだが…』
珍しく口籠る遥の様子をおかしく思いながら、葉子は朝陽達よりも後方を見る。
するとそこでは、二人の弓者が万全の体勢で迎撃体制をとっていた。
「なるほど、援護射撃は無理そうですね」
『直ぐにはね。ただ君達が相手している二人については、円香がしっかりとサーチしてる。時間が経てば経つほど有利になるのはこっちだよ』
遥の言う通り、自分達より少し離れた位置では、円香がこちらを凝視していた。
円香の『グリット』、『計算予知』は、相手を観察すればする程、その動きを見極め、更には次の行動まで読み取ることを可能とする能力である。
遥の言う通り、攻撃やせめぎ合いを続けていけば、円香が攻守のパターンを読み取り、弱点を炙り出すことが可能だろう。
「でも、それに頼りっぱなしってのも癪よね」
遥はそう言うと、右手に小型の『輝線銃』、左手に『戦闘補具』を構え、より好戦的な構えをとった。
天城と幸町の戦いになど目もくれず、葉子は朝陽にのみ意識を集中させる。
────ダンッ、ダンッ！と放たれる『グリットガン』の弾丸を、朝陽は容易く槍で弾く。
「（まぁ、私の『グリット』でさえ弾くんだもの、これくらいは普通に防ぐわよね）」
特に驚いた様子は見せず、葉子は再び『グリットガン』を放つ。
ダメージを与える事が目的ではなく、最初の遥と同様、朝陽との距離を詰めることが狙いであった。
その目論見通り、細かな弾丸を防いでいた朝陽は反撃に転ずる事ができず、葉子の接近を許してしまう。
そこからは葉子はダガーで朝陽に攻撃をしつつ、時折『グリットガン』による至近距離弾で牽制を仕掛ける。
「（これだけ攻撃の手数を増やせば集中力も散漫になるでしょ！隙を見せたら『輝伝衝波』で一気に…）」
「『フリューゲル』！！」
しかし、ここで朝陽はそれまで待機させていた『フリューゲル』を展開。
細かな攻撃を仕掛けてくる葉子に対し、『フリューゲル』によりそれに勝る手数をかけて逆に葉子を追い詰めていく。
「あ゛ぁ゛もう！！次から次へと鬱陶しいわね！！どんだけ万能なのよアンタの能力は！！」
罵倒を通り越して褒め言葉になっていたが、朝陽はそれで表情を変えることはなく、葉子を攻め立てた。
「この…！！調子に乗るんじゃ無いわよ！！『輝伝』…」
葉子が床に手を当て、『グリット』を発動しようとした時、それを待っていたとばかりに朝陽が動き出す。
「『光の矢』！！」
壁や床に手で直接触れることで発動する『輝伝衝波』は、逆を言えば触れる瞬間が一番隙が出来ることを意味する。
朝陽はそれに気づいており、敢えて葉子の接近を許していた。
そして、焦れて『グリット』を発動するのを待ち、そして狙い通り、葉子は『グリット』を発動させた。
朝陽の放った光の矢は、まっすぐ葉子へと向かっていき────
※後書きです
ども、琥珀です。
先日は急遽投稿をお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。
夜から体調が優れず、これはダメだと思い、早めに休載判断しました。
お陰様で今はもう大丈夫ですので、これからまた再開してまいりまたいと思いますので、宜しくお願いします。
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は水曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。
