表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
393/481

第359星:誘導攻撃

◆関東地方


斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『硬歪翼球ウルツァイト・ウィングレット』を所有している。



◆東京本部選抜


唯我 天城 (17)

東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作(タキオン・レイン)』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。


佐伯 遥 (24)

東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手(バレットアーチャー)』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。


草壁 円香 (21)

東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。『グリット』は『計算予知オートマチック・サイト』で、相手の動きを計測し、経過と共に予知のように読み解くもの。また、実戦で活用できるようそれに見合った高い戦闘能力を有する。


片桐 葉子 (21)

東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波(トランスミッション)』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。



◆近畿地方


黒田 カナエ (22)

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月 (24)

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。


真田 幸町 (24)

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進(ストレートアクセル)』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。


織田 野々 (24)

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器を持っている。

「第二波が来ます!!皆さん、私の後ろへ!!」



 最初の攻撃を予測していた朝陽は、遥の初撃を素早く対処。その後の動きについて考えていると、間も無く第二波となる攻撃が迫ってきていた。



「『光の矢(プフェイル)』!!」



 それを迎え撃つべく、朝陽は『フリューゲル』と共に光の矢を再度放つ。


 光の矢が遥の放った『輝弾』に直撃しようかというところで、突如遥の『輝弾』が朝陽の矢を避けるように直角に曲がり、そして再び朝陽達の方へと向かってきた。



「(これは…、自動じゃ無い!!手動で弾丸を操作してるんだ!!)」



 直ぐに攻撃の性質を見抜いた朝陽は、『フリューゲル』を周囲に展開。


 夜宵達を囲うようにして展開された『フリューゲル』に光が灯ると、その光が繋がっていく。



「『光の守護盾(シュッツァー)』!!」



 それにより、朝陽達の周囲に光のドーム状の盾が形成され、迫ってきていた遥の弾丸を弾き返していった。



「これが佐伯 遥の『輝弾射手(バレット・アーチャー)』か。第二部で見ていたとはいえ、フィールド全域が射程範囲とは、反則も良いところだ」



 実際に攻撃を体感して、改めてその脅威を身で感じた瑠河が呟く。



「朝陽、彼女の攻撃は私が防ぐんじゃダメなの?継続的に闇を出せば、私の『グリット』なら『エナジー』を消費しないで済むわ」



 夜宵の提案に、しかし朝陽は首を横に振った。



「遥さんの攻撃は、視界ゼロの状態でも正確に当ててくる精度がある。お姉ちゃんの『グリット』なら、遥さんの攻撃を飲み込むのは簡単だけど、ほんの僅かな隙間から攻撃を通されるかもしれない。だから、遥さんの攻撃に対処するのは、私が一番適してると思う」



 朝陽の言葉には説得力があり、瑠河と真衣の二人も賛同して頷いた。


 夜宵は少し悔しそうな表情を浮かべていたが、朝陽は直ぐ様言葉を続けた。



「お姉ちゃんの『グリット』が活きるのは、寧ろその後だよ!葉子さんや天城さんの『グリット』に対しては、お姉ちゃんの方が効果的に対処できると思う!だから、その局面になるまで、『エナジー』を温存してて!!」



 繊細な攻防を求められているこの状況で、既に先を見越していた朝陽の発言に、夜宵は悔しさを覚えながらも、力強く頷いた。



「恐らくこれは牽制だな。第二部と同じく、東京選抜のメンバーが接近するまでの時間を作るための攻撃のはずだ。だがその手は一度見ている。何が狙いだ…?」



 瑠河が遥の狙いを読もうとするなか、更に第三波が襲い掛かる。


 しかも、攻撃の軌道は真正面からではなく、真横から迫るような弾道であった。



「(これは『光の守護盾(シュッツァー)』の強度じゃ防げない…!!『光の壁(ヴァント)』なら確実に防げるけど、自由に弾道を操れるなら、壁を避けてくる可能性もある。ここは…)」



 朝陽は迫り来る遥の弾丸に合わせて槍を向けていき、真横にまで迫ってきたところで、別の盾を作り出した。



「『閃光の盾よ(ブリリアント・シルト)』!!」



 槍だけでなく、『フリューゲル』も交えて複数の傘状の盾を形成し、朝陽は遥の弾丸を受け流していった。


 朝陽の予想通り、放たれた弾丸のいくつかは壁を避けるような動きをしており、朝陽の盾がこれを防いだことで、ここは朝陽が読み勝った形になった。



「(第二部より弾幕が激しい…何の狙いがあって?)」



 しかし、考える時間さえ与えられず、遠方から第三波が放たれた。


 放たれた弾丸は、今度は斜め横へと舞い上がっていくと、角度を急変させ朝陽達の方へ。


 そして、まだ距離のある段階でパンッ!と弾け、細かな弾丸となって朝陽達に襲い掛かってきた。



「(広範囲な拡散弾?この威力なら『光の盾(シルト)』で防げるけど、もし拡散弾も操れるとしたら…)」



 朝陽は一瞬の逡巡の末、先程と同じように『閃光の盾よ(ブリリアント・シルト)』を展開。



「みんな、このまま後方へ下がって!弾丸を受け流しながら回避行動へ!!」



 その上で関東選抜の面々に指示を出し、夜宵達もそれに従って動き出す。


 朝陽の予想に反して弾丸は変動することは無かったが、無数の細かなら弾丸が雨のように降り注ぎ、傘状の盾となった朝陽の『フリューゲル』が、それを受け流していく。



「(これは何の意図があって…?私達をバラけさせるため…?)」



 遥の攻撃の意図を掴もうとする朝陽は、ハッと気付く。



「(視界を上空へ向けるため!!)」



 結論に至るや否や朝陽の動き出しは早く、『光の聖槍ブリリアント・ヘレバルデ』を真横に向け、迷うことなく叫んだ。



「『光の壁(ヴァント)』!!」



 朝陽の槍の先端から光が放たれ、一瞬にして光の壁が作られていく。


 その直後、細かな弾丸となって降り注いだ『輝弾』によって巻き起こされた煙の中から、複数の『輝弾』が朝陽達に襲い掛かった。


 事前に盾を形成していた朝陽は、これを防ぐことに成功するが、その弾丸は触れた瞬間爆裂し、朝陽達はその爆風によって更に後方へ下がらされる。



「す、すごい弾幕ですぅ!!このままじゃ反撃出来ません〜!!」



 遥の反撃の隙を与えない攻撃に、真衣が泣きそうな声で叫ぶ。


 夜宵と瑠河もこれを打開するための方法を考えていたが、この時、攻撃を受けていた朝陽だけが違和感を感じ取っていた。



「(おかしい…確かに反撃出来ないほどの弾幕だけど、防げないほどの攻撃じゃない…攻めに出るならもっと強力な攻撃も出来るはず)」



 それは、第二部における遥の合成弾を見ていたからこそ分かることであった。



「(ここまで放たれたのは、全部合成してない通常の弾丸。もし、私達にダメージを負わせるためなら、もっと強力な攻撃をしてくるはず。それをしてこないってことは、この攻撃には別の狙いがあるってこと?)」



 第四波を警戒しながらも、朝陽は遥の攻撃の意味を理解しようとしていた。


 予想に反して第四波は来なかったものの、朝陽が頭を悩ませていた答えは、後方からやってきた。



「やれやれ、やっぱりこうなりますよね」



 朝陽達がバッと振り返ると、そこには、同じく後方へ撤退させられていた近畿選抜が立っていた。


 その瞬間、朝陽は遥の一連の攻撃の意図を察した。



「そっか、さっきまでの攻撃は、私達にダメージを与えるためのものじゃなくて…」

「お、察しが良いですね斑鳩 朝陽さん。その通り。彼女の今までの攻撃は、私達を合流させるための誘導弾だったんですよ」



 朝陽の答えが正しいことを証明するように、カナエがそれに答え、肯定した。



「カナエさんは…それが分かっていて何でわざわざ…」

「わざわざその手に乗ったか、ですか?まぁ色々理由はありますよ。ま、結論だけ言うと、合流した方が都合が良いってだけの話です。()()()()()()()



 遥の攻撃による策略だけでなく、カナエの戦略にも翻弄され、朝陽達は完全に後の手を踏まされていた。



「まぁ貴方達にとっても悪い話ではないですよ。何せこれで、八人で東京選抜を迎え打てるわけですから。ほら」



 そう言ってカナエが親指で向けた先には、遥の誘導した通りの場所に立っていた、天城と葉子が立っていた。



「私達を合流させることで、東京選抜の目標も一つに絞られる。それはつまり、東京選抜のメンバーも集結して戦える、ということを意味するわけですよ。頭良いですよね〜遥さん。バラバラな個人集団を、こんな形でまとめ上げるんですから」



 カナエは強制的にまとめ上げる遥の戦略に呆れた様子を見せながらも、同時に素直な賛辞を送った。



「…一つの地域で、二つの地域を相手にしようと言うわけか。第二部の時と言い、どこまでも自信家だな、東京選抜は」



 流石の瑠河も、ここまで舐められていることに腹が立ったのか、その口調はいつもより低かった。



「その物言い、まるで我らと手を組むと言っているようなものだぞ?そう簡単に決めて良いのか、関東の射手よ」



 野々は、既に取り出した『端折り長谷部』を肩にトントンと当てながら、瑠河に尋ねる。



「簡単に決めるもの何も、そういうつもりだからわざと彼女の誘導に引っかかったんでしょ、貴方達。どっちの手に乗るのも癪だけど、それで有利になるのは確かだし、それにそっちの方が彼女たちにギャフンと言わせてやれそうだもの」



 挑発的な物言いの野々の言葉に、夜宵は冷静に答える。


 野々は「フハッ!」と笑みをこぼすと、満悦そうに頷いた。



「良いな。最低限の頭はあるようだ。これなら組む価値はある。まさか第一部と同じく共同戦線を張るとは思わなかったがな!!」



 愉快そうに笑う野々の言葉を皮切りに、関東と近畿の臨時共同戦線が決まった。






●●●






「言っとくけど、足を引っ張ったら引っ叩くからね」

「それはこっちのセリフだ。足元すくわれてピンチになっても助けねーからな」



 短い言葉のやり取りで、二人の仲が険悪なのが見てとれたが、それでも視線はしっかりと二つの地域に向けられていた。


 少し離れた場所に位置する円香と遥のサポートを背に、前衛を務める天城と葉子は、迷うことなく前に出た。

※後書きです






ども、琥珀です。


先日はたくさんのお祝いのお言葉をいただけました。

なかには読者の方もいらっしゃいましたでしたでしょうか。


お陰様でなんとレビューまでいただけ、恵まれた誕生日となりました。


歳を重ねても、しっかりと執筆作業は進めて参りたいと思っておりますので、読者の皆様、これからもどうぞ本作を宜しくお願い致します!


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ