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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
373/481

第339星:仙波 盾子

斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『硬歪翼球ウルツァイト・ウィングレット』を所有している。



◆中国地方


百目鬼(どうめき) 大河

 鳥取根拠地のエース。身長が2m近くあり好戦的な性格ではあるが、局面を見極める冷静さも兼ね備える。戦闘の荒々しさから、『荒波鬼』の異名を持つ。『グリット』は『硬化』で、『メナス』の攻撃も凌ぐ硬度を誇る。同じ鳥取根拠地である駿河とは仲が良い上連携力がある。

 

安鬼(あじき) 駿河

 鳥取根拠地の戦略担当。人の深層心理を理解するのが上手く、要は空気を読むのが得意。言葉巧みに味方の士気をあげたりまとめ上げたりする。『グリット』は『引用率糸』で、10本の指それぞれから目的に応じた糸を放つもの。これを駆使し、『メナス』の動きを鈍らせ、大河が倒す連携が鳥取根拠地の強み。


大心地(おごろち) 安奈やすな

 広島根拠地のエース。非常に穏やかでふわふわした性格の女性。庇護欲に狩られるような雰囲気を纏っており、駿河達とは別の意味で士気を上げるのが得意。


渦巻 カリナ

 山口根拠地のエース。刺々しい口調とサバサバした雰囲気、好戦的な様子が特徴の女性。独断行動に走るように見えて、その実、自身の能力を活かすための動きをするのが得意。『グリット』は、『螺旋形状(ジ・スパイラル)』で、触れたモノ、もしくは一定の範囲内の物質を螺旋状に捻じ曲げる。触れてなくても操れるため、気付けば拘束されているケースも多い。



◆九州沖縄地方



仙波 盾子(じゅんこ)

 鹿児島根拠地のエース。『メナス』を倒した功績ではなく、味方を幾度と救ってきた功績で選ばれた特異な例で『守護神』の二つ名を持つ。凛々しく毅然とした態度を取るが、頑固ではなく、柔軟な思考も併せ持つ。『グリット』は『守護壁(エスクード)』で、線上に盾を展開する。その盾は非常に堅固でありながら展開も素早く、絶対防御とも評される。


才波 アズサ

 福岡根拠地のエース。寡黙でやや覇気に欠ける口調なのが特徴的だが、自分の役割をしっかりと果たす程度の自覚と覚悟を持っている。『死中に活路(アライブ・ヴィジョン)』で、相手の攻撃が当たる場所が淡く輝いて見えるようになる。あまり前線へは飛び込まないが、この効果を活かした戦闘も得意とする。


与那覇 ナミ・ミナ

 沖縄根拠地の双子のエース。見慣れた人でも間違える程そっくりな双子で、息もぴったし。時々交互にセリフを呟くこともあるため、思考も全く同じなのではと言われる。『グリット』はナミが『液状化』、ミナが『硬化』。連携もずば抜けており、タッグで右に出るものはいない。沖縄人らしく明るく前向き。

 その時、自分の身に何が起きたのか分からなかった。


 眩いばかりの閃光とともに自分の身体に走る強い衝撃。しかしそれは、朝陽の攻撃によるものではなく、人がぶつかったような衝撃であった。



「ッ!?アズサ!!」



 衝撃の正体は直ぐに分かった。


 予想外の攻撃に動揺し、ほんの僅かな硬直をしてしまった瞬間、盾子よりもいち早く朝陽の攻撃を()()()()アズサが、盾子を突き飛ばしたのだ。


 盾子はアズサによって守られた。そして当然、盾子を救ったアズサは回避など出来ず、朝陽の攻撃を受けた。



「あ、アズサ!!」

「あいよ、ちょくら触らないでくれな」



 盾子が駆け寄ろうとした瞬間、審判である俊雅が間に割って入り、盾子を制した。


 そして、周囲に漂う土煙を片手で振り払うと、その中心に倒れ込んでいるアズサを確認する。



「…アウトだな。直ぐに治療が必要な程でも無いが、これ以上の戦闘への参加は無理だ。良いな」



 盾子は何かを言いかけたが、俊雅の横で横たわる傷だらけのアズサを見て、何も言うことは出来ず頷いた。


 俊雅もそれを見ると、観客席の移魅に合図を送り、移魅の『グリット』により、その場から消えるように転送されていった。


 そしてその後、フィールドの天井に設置されたモニターには、才波 アズサの脱落が表示された。



「やは〜…アズサさん…脱落しちゃったさ〜…」

「なは〜…盾子さん…落ち込む事ないさ〜…」



 アズサの指示を聞き、いち早く回避に転じて難を逃れていたナミとミナの二人が、アズサの脱落を悲しみつつも、盾子を慰める。


 そんな盾子は、暫く無言のまま俯き、やがて自分の直ぐそばに盾を形成すると… ────ゴンッ!!


 二人が驚いて思わず肩を揺らすほど、勢いよく頭を叩きつけた。



「じゅ、盾子さん!?」

「自棄はいけないさぁ!!」



 二人が慌てて止めに入るが、盾子は二回もぶつけるつもりは無かったようで、二人を優しく引き離す。



「…大丈夫だ。自棄になんてなっていない…ただ…」



 握る音が聞こえてくるほど、強く拳を握りしめる盾子の表情は、怒りの形相を浮かべていた。



「己の未熟さに……憤りを隠せないでいるだけだっ…!」



 今度は壁を強く殴りつけ、盾子は行き場のない怒りをぶつけていた。



「私は…己の力を過信していた。『守護神』等と持て囃され、護ることに固持し、防ぐことにこだわり…そしてアズサを脱落させた…」



 拳を壁に叩きつけたまま、盾子は全身を震わせる。



「あの時、防ぐことに拘ろうとせず、アズサの判断を聞いて、回避すべきであった……アズサを脱落させたのは私の責任だ!!」



 もう一度拳を叩きつけ、盾子は悔しそうに歯嚙みする。



「私は……『守護神』失格だな…」

「「それは違うさ盾子さん!!」」



 盾子が小さく呟いた言葉を、ナミとミナの二人は大声で否定した。



「確かに今回はアズサさんを守れなかったさ!!それは盾子さんにとってはとっても辛いことかも知れないさ!!」

「でも盾子さんが『守護神』って呼ばれるのは、これまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「……!」



 俯き、怒りで満ちていた盾子の表情が、僅かに和らぐ。



「戦場では確かにその一回が命取りにもなるさ!!でも、ここは『大輝戦』!!ダメだったのならやり直すことが出来る舞台さ!!」

「アズサさんを守れなかったなら!!アズサさんを脱落させてしまったと思うなら!!二度と失敗なんてしないって、そうやり直せば良いさ!!」



 二人は更に盾子に詰め寄り、盾子の怒気などモノともせず、更に続ける。



「ここで戦う事をやめたら、アズサさんに何て言うつもりさ!!」

「これで諦めたら、アズサさんは何で盾子さんのために犠牲になったさ!!」



 二人で盾子の手を片方ずつ、両手で包み込み、最後の言葉を盾子に届けた。



「「これで諦めてたら何が『守護神』さっ!!!!」」



 ギュッ…と握りしめられるその手からは、力強さと、そして掛けられた言葉と同じ強い想いが伝わってきていた。


 自分の中に沸々と煮えていた怒りが薄まり、代わりに悔恨の念が襲いかかってきたが、それも直ぐに打ち消されていった。



「……あぁ…本当に、二人の言う通りだ」



 握りしめられた手を、同じように強く握り返し、盾子は少しずつ二人に言葉を返していった。



「アズサは私を庇って脱落した。それは…私が彼女の指示よりも自分のプライドを優先しようとしたからだ。その事実は変わらない」



 盾子は「ならば…」と続ける。



「仲間を窮地に陥れるような安いプライドなど、今この場で捨てよう。私は守護神じゃない」



 スッと目を閉じ、そして再び目を開いた時、そこにはこれまで以上の闘志を灯した瞳をした盾子の姿があった。



「私は…鹿児島根拠地の『グリッター』、仙波 盾子だ!!」






●●●






「あ、あああ朝陽さん!!無事で良かったですぅ!!」

 


 『陸津波』から解放された朝陽のもとへ、先程までの強い瞳を一転させた瑠河が駆け寄る。



「瑠河さんこそ!!ご無事で何よりです!!それに…助けてくださってありがとうございました!!」



 瑠河と熱い握手を交わし、朝陽は感謝の言葉を伝える。



「え、えへへ。で、でもあの中でどうやって…?」



 朝陽に感謝の言葉を告げられ、一瞬嬉しそうな表情を浮かべるも、直ぐに疑問が浮かび問いかける。



「私の光は、自分の『エナジー』を媒介にして創られてます。なので、飲み込まれる瞬間、全身に光のバリアのような膜を纏って身を守ったんです」



 瑠河が成る程〜と納得していると、朝陽は苦笑いを浮かべて続けた。



「でもその為には、常に光を発動させてないといけなくて、あの強い衝撃が加わると固まる物体に飲み込まれたあとは、ずっと固められてた状態でした。だから、瑠河さんが助けてくれなかったら、私はきっと脱落してました。本当にありがとうございます」



 改めてお礼を言われ、瑠河は再び照れた表情を見せる。


 すると、それまで瑠河の周囲を漂っていた『フリューゲル』が、スゥ…と朝陽の槍の周囲へと戻っていった。



「あの…さっきの戦闘で、その朝陽さんの『六枚刃』が私の意思で動かせるようになってたんですけど、それは一体…?」



 それを見て気になっていた事を思い出し、瑠河が朝陽に尋ねる。


 すると朝陽は、少し困ったような表情を浮かべながら、どこか辿々しく答える。



「えっと…私も正直詳しくは説明できないんですけど…この『六枚刃』…『フリューゲル』に、一つの命令(プログラム)を落とし込んだんです」

「ぷ、『プログラム』…ですか?」



 初めて聞くスキルに、瑠河は首を傾げる。



「はい、そうです。その内容は、『私が拘束されている間、私が解放されるまで瑠河さんの意思に従う事』。それを『フリューゲル』にプログラミング化することで、『フリューゲル』が瑠河さんの意思に従って行動するようになったんです」



 説明を受け、瑠河は納得はしたが理解ができないといった複雑な表情を浮かべていた。



「『フリューゲル』も朝陽さんの『グリット』の一部ですよね?つまり、私はさっきの一瞬、朝陽さんの『グリット』を操っていたことになってしまうと思うんですが…」

「正確にはちょっと違うんですが、そう言う認識で良いと思います」



 首を傾げ悩む瑠河に、朝陽は苦笑いを浮かべて頷いた。



「そ、そんな事が出来るんですね。改めて朝陽さんの『グリット』ってすごい…」

「あ、いえ!これは私の『グリット』に備わってた能力じゃなくて、訓練で身に付けた技術なんです!正直なところ、試したのはさっきが初めてだったんですが、上手くいって良かったです!」



 身に付けたスキルであることにも驚いたが、それ以上にそれほど高度な技術を、ぶっつけ本番で実行させた朝陽本人に対して、瑠河は一番驚いていた。



「(やっぱり…凄いです、朝陽さん)」



 自分では遠く及ばない。


 普段の自分なら、それをマイナスに受け止めていただろう。


 しかしこの時瑠河は、不思議とそんな考えはもたず、寧ろ尊敬の念を持って、自分もその一歩を踏み出したいとポジティブに考えていた。



「…!九州選抜がまた来ます!瑠河さん、また行けますか?」

「も、勿論です!今度はもっと朝陽さんの力になれるように頑張ります!」



 瑠河は両手を胸の前でグッと握りしめ、朝陽の言葉に力強く答えた。

※後書きです






ども、琥珀です。


ゲリラ更新しました。

PC壊れたショックは荒療治が良いと思い、水木金で更新しようと思います。


この先どうなるかなんて最早私にも分かりませんが、どうぞお付き合い下さいませ。


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は明日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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