表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
370/481

第336星:夜宵の葛藤

斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。



◆中国地方


百目鬼(どうめき) 大河

 鳥取根拠地のエース。身長が2m近くあり好戦的な性格ではあるが、局面を見極める冷静さも兼ね備える。戦闘の荒々しさから、『荒波鬼』の異名を持つ。『グリット』は『硬化』で、『メナス』の攻撃も凌ぐ硬度を誇る。同じ鳥取根拠地である駿河とは仲が良い上連携力がある。

 

安鬼(あじき) 駿河

 鳥取根拠地の戦略担当。人の深層心理を理解するのが上手く、要は空気を読むのが得意。言葉巧みに味方の士気をあげたりまとめ上げたりする。『グリット』は『引用率糸』で、10本の指それぞれから目的に応じた糸を放つもの。これを駆使し、『メナス』の動きを鈍らせ、大河が倒す連携が鳥取根拠地の強み。


大心地(おごろち) 安奈やすな

 広島根拠地のエース。非常に穏やかでふわふわした性格の女性。庇護欲に狩られるような雰囲気を纏っており、駿河達とは別の意味で士気を上げるのが得意。


渦巻 カリナ

 山口根拠地のエース。刺々しい口調とサバサバした雰囲気、好戦的な様子が特徴の女性。独断行動に走るように見えて、その実、自身の能力を活かすための動きをするのが得意。『グリット』は、『螺旋形状(ジ・スパイラル)』で、触れたモノ、もしくは一定の範囲内の物質を螺旋状に捻じ曲げる。触れてなくても操れるため、気付けば拘束されているケースも多い。



◆九州沖縄地方



仙波 盾子(じゅんこ)

 鹿児島根拠地のエース。『メナス』を倒した功績ではなく、味方を幾度と救ってきた功績で選ばれた特異な例で『守護神』の二つ名を持つ。凛々しく毅然とした態度を取るが、頑固ではなく、柔軟な思考も併せ持つ。『グリット』は『守護壁(エスクード)』で、線上に盾を展開する。その盾は非常に堅固でありながら展開も素早く、絶対防御とも評される。


才波 アズサ

 福岡根拠地のエース。寡黙でやや覇気に欠ける口調なのが特徴的だが、自分の役割をしっかりと果たす程度の自覚と覚悟を持っている。『死中に活路(アライブ・ヴィジョン)』で、相手の攻撃が当たる場所が淡く輝いて見えるようになる。あまり前線へは飛び込まないが、この効果を活かした戦闘も得意とする。


与那覇 ナミ・ミナ

 沖縄根拠地の双子のエース。見慣れた人でも間違える程そっくりな双子で、息もぴったし。時々交互にセリフを呟くこともあるため、思考も全く同じなのではと言われる。『グリット』はナミが『液状化』、ミナが『硬化』。連携もずば抜けており、タッグで右に出るものはいない。沖縄人らしく明るく前向き。

「朝陽!?」



 遠目からではあるが、朝陽が攻撃を受け、波のようなものに飲み込まれた瞬間を、夜宵はハッキリと目にしていた。



「…!!いかん、夜宵!!『グリット』から意識を割くな!!」



 瑠河の注意も虚しく、動揺した夜宵の『グリット』は、中国メンバーを抑え込んでいた闇の触手が一瞬緩んでしまっていた。


 そして、中国選抜メンバー、安鬼 駿河にとってはその一瞬だけで十分であった。


 緩まった触手から両手を抜け出すと、そこから十本の糸を自身含め身内全員に放つ。


 糸は、実体化した夜宵の闇に見事に吸着し、それを巧みに操り、拘束を振り解くことに成功していた。


 一同は直ぐにその場から離れ、夜宵の追撃を警戒するが、特にそういった動向は見られなかった。



「ふぅ!間一髪!よく分かりませんが、彼女の拘束が緩んで良かったですね〜!」



 良い汗かいた!と言わんばかりに額を拭い、駿河は何事も無かったかのように味方のピンチを救う。



「助かったぜ駿河。相変わらず抜け目のねぇ奴だな」

「そりゃあもう。チャンスってのはいつ来るか分からないですからね」



 ニヒヒ、と笑う駿河に、信頼を置いている大河はニッと笑みを返す。



「ですが相手に助けられたのもありますね。拘束が緩んだのは、恐らく夜宵さんに動揺する何かがあったからだと思いますが…」

「それなら…アレだろ、原因」



 カリナが指差した方向には、波が流れてそのまま固まったような状態の物体が出来上がっていた。



「攻撃されたのは…斑鳩 朝陽か。確か斑鳩 夜宵はアイツの姉だよな?」

「ですねぇ。それが津波?に飲み込まれたんですから、まぁ動揺はしますよね」



 駿河の言葉の通り、夜宵は目に見えて動揺していた。


 咄嗟に動こうとする夜宵を、バッと瑠河が身体を入れて制止した。



「落ち着け夜宵!!戦いを放棄する気か!?」

「どいて瑠河!!朝陽がピンチなのよ!!」



 先程までとはまるで別人のような慌てた様子に、思わぬ欠点を見つけてしまったと瑠河は考えながら、改めて夜宵を制止した。



「良いか夜宵。脱落していたら上のモニターに名前が表示される筈だし、命の危険があるレベルなら審判である『シュヴァリエ』の京極さんが対処している筈だ。そのどちらもないと言うことは、朝陽はいま無事だと言うことを現している」

「けど…!!夜宵があの波の中で固められているという事実にもなるわ!!私の闇ならあの波を全部飲み込める!!」



 冷静なのか取り乱しているのか分からない状態ではあったが、少なくとも行かせて良い場面ではない事は確かであった。



「そうなれば私は一人で中国メンバーと対峙しなくてはならない。お前は実際の戦場でも味方が窮地に陥るのを分かった上で妹を優先するのか?」



 瑠河の鋭く厳しい指摘に、夜宵は思わず言葉に詰まる。



「冷静になれ。先程までの戦いを見ていたが、朝陽は選抜に選ばれるだけの実力はあったし、ただやられるだけの愚か者でも無い。それは私よりも夜宵の方がわかっている筈だ」

「それは……!!」



 続け様に出される指摘に、やはり夜宵は言い返すことが出来ない。



「もっと仲間を…妹を信頼してやれ。そして中国選抜の相手を託された私達の使命に集中しろ。ここで下手に動いて状況を悪くして敗北した時、仮に助けられたとしても一番責任を感じるのは朝陽なんだぞ?」



 不本意ではあったが、瑠河は朝陽を言質にするような言い回しで夜宵を落ち着かせようと試みる。


 その効果は的面で、夜宵は表情を歪めながらも、大きく深呼吸をした後、瑠河の言葉に頷いた。



「そう……そうね。瑠河の言う通りだわ。私達は私達の相手に集中する。それが今の最善なのよね」



 ようやく冷静さを取り戻した夜宵は、表面上は取り繕った表情で、中国選抜へと向き直った。



「(どうにか落ち着いたか…だが内心は穏やかではあるまい。()()は言ったが、身内が窮地に陥っていれば動揺もする)」



 瑠河も夜宵に向けていった自身の言葉を心苦しく思いながらも、その迷いを一度内に抑え込んだ。



「状況はリセットされた。いや、寧ろ不利になったと言えるだろう。同じ攻撃はもう通じない。慎重に行く必要があるぞ」



 夜宵は口にせず、頷いて答える。



「けれど時間を掛けていても拉致があかないわ。出来れば朝陽の救出にも向かいたい」



 やはり心の内は朝陽に向かっているようで、夜宵の思考は、中国選抜をいかに早く倒すかに偏っているようであった。


 一抹の不安を抱きながらも、千載一遇のチャンスを逃してしまったのも事実である。


 そう言った意味で、後手に回るよりは先手を打つべきだという考えは瑠河にもあった。



「だがネタがバレてしまった以上、慎重に行かざるを得ないぞ。どうするつもりだ」

「もう、()()()()()()()()



 そう呟く夜宵の周囲から、煙にも似た黒い瘴気が徐々に広がっていった。



「この場を、私のフィールドに塗り替えてやるわ」



 この時、何故か瑠河は、夜宵の発言に対し、頼もしさではなく、恐怖にも似たような感覚を覚えていた。






●●●






「あれは…?」



 夜宵から発せられている黒い瘴気に、咲夜は眉を顰めた。



「あれは…あれがボクとの特訓の成果でね。簡単に言えば、夜宵君の闇が最大限に発揮できる環境を、自ら作り出そう、という発想から生まれた技なんだ」



 大和も同じく黒い瘴気を発している夜宵の姿を見ながら、咲夜の疑問に答える。



「確かに、それなら彼女の展開力の遅さを補うことは可能ですが…ですが、それは屋内の、それも決められたフィールドがあるからこそ有効な技なのでは?」



 大和と夜宵の編み出した技の有用性を認めながらも、咲夜は純粋な疑問と課題について大和に問い詰める。



「そうだね。()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()、それでも現状だと咲夜の言う通りだね」



 大和はそれについて否定する事なく、むしろ肯定して受け入れた。



「でも逆を言えば、この『大輝戦』という舞台で見れば有効であるのも事実。夜宵君もそれをわかった上で習得しただろう」



 大和が行ったのは、あくまで提案と提示。そしてそれを受け入れ、モノにしたのは夜宵である。


 責任逃れをするつもりは毛頭ないが、あくまで選択をしたのは夜宵であると、大和は暗に口にしていた。



「…ですが、本来の実戦で真価を発揮できないような技を…ただ『大輝戦』だけに焦点をあてた技が、果たして彼女のために鳴るでしょうか…」



 大和達のことを否定しているわけではない。


 寧ろ咲夜は、夜宵の将来を見据えての心配をしての発言であった。


 『大輝戦』は確かに大きな舞台ではあるが、その大きさ故にそれに捉われ、全体が見えていないのでは無いかと心配していたのである。



「全てが無駄というわけでは無いよ。『アウトロー』や、『レジスタンス』との戦いがこれからあるかもしれないことを鑑みたら、彼女の新技は対人戦闘では大きく役に立つ筈だ」

「それは…そうかも知れませんが…」



 指揮官としてはやはり不安があるのか、咲夜の返答はどこかぎこちなかった。


 しかし大和は大和で、別のことを懸念していた。



「それにしても、夜宵君、本来使用する目的とタイミングよりも早いな」

「…?どういうことです?」



 膝に肘を乗せ、ジッと様子を伺う大和に、咲夜が尋ねる。



「見たら分かるだろうけど、周囲を闇で覆うなんて事をしようものなら、夜宵君の『エナジー』は大量に消費される。こんな比較的序盤の、それも盤面が硬直してるタイミングで使用するのは、あんまり良いタイミングとは言えないんだが…」



 大和の指摘に、咲夜も改めてその事を認識し、「確かに…」と頷く。



「それに、あの技は確かに強力だけど、弱点が多い。さっきみたいに実体化させる闇の能力にしか応用出来ないことに加えて、展開しているのが相手にも丸わかりだ。あれじゃ本来の強さを十分に発揮できないぞ」



 無論、この点に関しても大和は夜宵に伝えていたが、夜宵はそれを無視して使用している様子であった。



「それは…ですが理解はできます。朝陽()さんが目の前でやられているのです。心情としては、いち早く決着をつけたいと思うものでしょう」

「まぁ…それはそうか」



 互いに妹を持つ身として、その点に関してはすぐに理解することができた。



「これが悪手にならないと良いけどね…」



 一抹の不安を抱えながら、二人は夜宵達の戦闘に、再び意識を集中させていった。


※後書きです






ども、琥珀です。


実はパソコンが壊れてしまいまして、ただいま修理中です。


今日・明日に影響が出るわけではありませんが、もしかしたら来週の投稿はストップしてしまうかもしれません…


仕事もあってなかなかパソコン会社に送ることも出来ずにいるため、時間もかかりそうです…


この件に関しては次回の更新で改めてご報告させていただきますので、もう少々お待ちください。


本日もお読みいただきましてありがとうございました。

次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ