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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
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第333星:守護神破り

斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。『グリット』は『加速投球(アクセルスロー)』で、投擲した物体が跳ね返り続けるほど加速していく能力。



◆中国地方


百目鬼(どうめき) 大河

 鳥取根拠地のエース。身長が2m近くあり好戦的な性格ではあるが、局面を見極める冷静さも兼ね備える。戦闘の荒々しさから、『荒波鬼』の異名を持つ。『グリット』は『硬化』で、『メナス』の攻撃も凌ぐ硬度を誇る。同じ鳥取根拠地である駿河とは仲が良い上連携力がある。

 

安鬼(あじき) 駿河

 鳥取根拠地の戦略担当。人の深層心理を理解するのが上手く、要は空気を読むのが得意。言葉巧みに味方の士気をあげたりまとめ上げたりする。『グリット』は『引用率糸』で、10本の指それぞれから目的に応じた糸を放つもの。これを駆使し、『メナス』の動きを鈍らせ、大河が倒す連携が鳥取根拠地の強み。


大心地(おごろち) 安奈やすな

 広島根拠地のエース。非常に穏やかでふわふわした性格の女性。庇護欲に狩られるような雰囲気を纏っており、駿河達とは別の意味で士気を上げるのが得意。


渦巻 カリナ

 山口根拠地のエース。刺々しい口調とサバサバした雰囲気、好戦的な様子が特徴の女性。独断行動に走るように見えて、その実、自身の能力を活かすための動きをするのが得意。『グリット』は、『螺旋形状(ジ・スパイラル)』で、触れたモノ、もしくは一定の範囲内の物質を螺旋状に捻じ曲げる。触れてなくても操れるため、気付けば拘束されているケースも多い。



◆九州沖縄地方



仙波 盾子(じゅんこ)

 鹿児島根拠地のエース。『メナス』を倒した功績ではなく、味方を幾度と救ってきた功績で選ばれた特異な例で『守護神』の二つ名を持つ。凛々しく毅然とした態度を取るが、頑固ではなく、柔軟な思考も併せ持つ。『グリット』は『守護壁(エスクード)』で、線上に盾を展開する。その盾は非常に堅固でありながら展開も素早く、絶対防御とも評される。


才波 アズサ

 福岡根拠地のエース。寡黙でやや覇気に欠ける口調なのが特徴的だが、自分の役割をしっかりと果たす程度の自覚と覚悟を持っている。『死中に活路(アライブ・ヴィジョン)』で、相手の攻撃が当たる場所が淡く輝いて見えるようになる。あまり前線へは飛び込まないが、この効果を活かした戦闘も得意とする。


与那覇 ナミ・ミナ

 沖縄根拠地の双子のエース。見慣れた人でも間違える程そっくりな双子で、息もぴったし。時々交互にセリフを呟くこともあるため、思考も全く同じなのではと言われる。『グリット』はナミが『液状化』、ミナが『硬化』。連携もずば抜けており、タッグで右に出るものはいない。沖縄人らしく明るく前向き。

「成る程、面白い作戦だ。それならあの攻撃を止められるかも知れない。よし、やろう」



 ナミとミナの作戦を聞き、盾子は即断した。


 今こうして話している間にも、真衣の投げた球は加速を続けているために、悩んでいる時間は無かったからだ。



「だが二人のタイミングが重要だ。大丈夫か?」



 盾子は真剣な眼差しで二人に問いかけたが、二人は相変わらず明るい顔で盾子の質問に答えた。



「やは〜!盾子さんナミ達にそれを聞いちゃう!?」

「なは〜!ミナ達二人の連携は誰にも負けないさ〜!!」

「……ふっ、確かに愚問だったな」



 それで作戦は決まり、盾子達は再び加速した真衣の球を迎え撃つ準備を整えた。



「さっきの二人の攻撃で、真衣君の攻撃は減速した筈だ。まだ目で追えるな、アズサ」

「…うん、いける」



 しっかりと可視化された攻撃線を捉えているのを確認し、盾子は一つ頷き、自身は即座に盾を形成できる準備を整える。



「…そこ!」



 アズサが指差した方を直ぐに捉え、盾子は即座に盾を形成した。


 それから少し遅れて、真衣の球がその軌道上を突き進んできていた。



「今だ二人とも!!」

「やは〜!!いくさミナ!!『液状化』!!」



 真衣の攻撃に対し、先ずナミが盾子の『エスクード』に触れ、堅固な盾を敢えて軟化させる。


 すると、真衣の球は跳ね返ることなく、埋もれるようにして盾の中にめり込んでいく。



「よし!ここまでは成功さ〜!!」



 しかし、『液状化』した反動で跳ね返る事がなくなった分、球はその勢いで盾を貫こうとしていた。



「ミナ!!」

「もうやってるさ〜!!『硬化』!!」



 これに対応したのがミナ。『液状化』で軟化した盾に球が埋もれた瞬間、入れ替わるようにしてミナが盾に触れる。


 そして瞬時に『硬化』させることで、再び盾を堅固なものへと戻し、跳ね返す事なく真衣の球を閉じ込めることに成功していた。



「盾子さんやったさ〜!!」

「これでもう加速の仕様がないさ〜!!」



 攻撃を抑え込み喜ぶ二人が、笑顔で振り返る。


 その視線の先には、攻撃の矛を向けられている盾子の姿があった。



「(しまった…球の軌道に視線を向けたたから別の攻撃にまで意識が…!!)」



 遅れて気付いたのはアズサ。


 隣に立つ盾子の周囲には、盾子の姿が見えなくなるほどの眩い色が覆いかぶさっていた。


 反応が遅れたのは、盾子も同様であった。



「(初めから球による攻撃は陽動…狙いは、意識をこの攻撃から割くことかッ!!)」



 矛を向けた人物、盾子の盾と真衣の攻撃により出来た死角を掻い潜り接近していた朝陽が、攻撃態勢に入っていた。



「『閃光の(ブリリアント・)』…」



 朝陽が攻撃を放つ刹那に、盾子が行ったことは二つ。


 一つは盾を形成し、それをぶつけることで側にいたアズサを遠ざけること。


 そしてその後に、自身の前に盾を形成し、防御することであった。



「『弾丸よ(ゲジョス)』!!」



 それはコンマ数秒の出来事。


 つぎの瞬間、眩いばかりの閃光が迸り、その光は盾子を飲み込んでいった。



「盾子さん!!」



 自分を逃すために身を挺して守ってくれた盾子の名前を、アズサが叫ぶ。


 閃光と共に吹き荒れた爆煙の中から、煙を掻い潜るようにして一人の人影が現れる。


 攻撃の衝撃か、はたまた自ら後方へ飛んだのか、姿を見せたのは盾子だった。


 ズザザァ、と地面を擦りながら、盾子は転がる事なく体勢を立て直す。



「盾子さん、無事だったさ〜!!」

「流石盾子さん!!安心したさ〜!!」



 爆煙の中から現れた盾子の側に歩み寄るナミとミナの二人であったが、アズサ、そして本人である盾子の表情は険しかった。



「盾子さん…その手…」

「…ふっ、やられたな…」



 盾子の右手は、朝陽の攻撃を防ぎきれず薄く煙をあげ焦げていた。


 煙が晴れると、そこには槍を携え、笑みを浮かべる朝陽の姿があった。



「『守護神』、破りました!!」



 味方に傷一つ負わさないという『守護神』の名を破られながら、盾子は悔しがる様子はなく、その表情は寧ろ歓喜に満ちていた。



「…盾子さん、笑ってる?」

「ふふっ…あぁすまない。このような傷を負ったのは、高揚するような戦いは久方振りなもので、少し昂ってしまっている」



 盾子は決して好戦的な人物ではない。


 寧ろ護ることを生業としているだけあって、争いに対しては保守的な考えを持つ人物である。


 その性格と『グリット』も相まって、これまで戦いで気分が高揚するような事は滅多に無かった。


 しかしいま、自身に与えられた二つ名、『守護神』という壁を破られ、初めて高揚感を覚えていた。



「(攻撃をさせて誘い込む…それを読み取って、そして敢えてその誘いに乗った。だから私達は彼女の攻撃の核を見抜けなかった…実力だけではないと言うことか)」



 改めて、自分が対峙している相手の強さを知り、盾子は思わず身震いした。


 それは、初めて『メナス』と対峙した時の恐怖による震えではなく、武者震いであることはすぐに分かった。



「ナミ、ミナ、私が言うのも何だが、護ってから攻めるやり方だけではダメだ。こちらからの攻勢も必要だ。あの技を使おう」



 盾子が口にした提案に、ナミとミナの二人は、珍しく笑顔を無くし、驚いた表情を浮かべていた。



「え、アレをやるさ〜!?」

「決勝まで隠しておこうって言ってたとっておきさ〜!?」

「出し惜しみして勝てる相手じゃない事はもう十分分かった筈だ。ならばこちらも全力で迎え撃つべきだ。そうだろう?」



 盾子の説得に、ナミとミナはコクンと頷き、アズサは「盾子さんが言うなら」と鼻から反対する考えは無いようであった。



「行くぞ。今度は我々が彼女達の度肝を抜いてやる番だ」






●●●






「私の能力は、大河さんにとっては天敵の一つだと思う。でも、それを上手く補う連携があって、攻撃に至るまで辿り着けないのが現状よ」

「ふむ、つまり私の役割は、夜宵が攻撃をするまでの道を作る事か」



 ツーカーのような会話で状況を理解していく瑠河に頼もしさを覚えながら、夜宵達は再び中国選抜へと接近していった。



「私の能力は矢を強化するようなモノでは無いからな。寧ろ大河殿とは相性が悪い。私がすべき事は、彼女を孤立させることにありそうだ」

「それが理想ね。けれど、彼女の隣にいる駿河さんとの連携は良く耳にするわ。簡単にはいかないでしょうね」

「だろうな。現に私の最初の奇襲も、彼女の手で防がれた。ただ無闇矢鱈に放つだけでは防がれるのが関の山だろう」



 夜宵の推測に、瑠河も同意するように頷く。



「だが彼女の『引用率糸』の真骨頂は、様々な局面に応じて糸の性質を操ることにある。量というより質に重きを置いた能力と言えるだろう」

「…そういう捉え方をするのなら、瑠河の能力は…」

「無論、量に重きを置いた能力になるな」



 瑠河の『グリット』、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』は、特定の秒数ごとに放った矢が増えていく能力。


 巧みな技術を要する駿河の『グリット』とは、確かに対極の能力と言えるだろう。



「じゃあ、とりあえず放って、隙を作るのが一番ってこと?」

「それもありだが、単純過ぎて破られる可能性も高い。良手とは言えないな」



 まるで問題を出されているかのような問答に、夜宵が眉を顰めていると、瑠河はクスリと笑みを浮かべた。


「量と言ってもな、扱い方次第でやりようはいくらでもあるということさ」



 そこで瑠河は足を止め、夜宵もそれに続いた。


 そして瑠河は、その場で弓筒から矢を三本取り出し、待ち構える中国メンバーに向けて構えた。



「真正面から放つの?距離は十分あるから分裂量は稼げるだろうけど…」

「なに、言いたい事は分かる。この距離では夜宵が攻撃をするには不十分な立ち位置だと言うのだろう?」



 言い辛く口にできなかった事を、瑠河は自分が代弁するように自ら口にした。



「だが不十分かどうかはこれを見てから判断してほしい。まだ君達にも教えていない、私のとっておきだ」



 そう言って矢を弦に括り付けた瑠河は、グッと矢を引く。


 そして、自身のルーティンでもある言霊を呟く。



「『放発必中(はっぱひっちゅう)』・大鳥群(だいちょうぐん)の矢」



 これまでには無かった言葉を添え、瑠河はヒュン…と矢を放った。

※後書きです






ども、琥珀です。


なんだか一気に暖かくなりましたね。というか暖かいを通り越して暑い。


春はどうしたんですかね?

桜だけは綺麗に咲いてますが、気温だけちょっとフライングしてる感があります…


もう少し『暖かい』感覚を楽しませて下さい四季さん…


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。

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