第327星:猛攻
斑鳩 朝陽(18)
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪』。
斑鳩夜宵(22)
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪』。
矢武雨 瑠河 (24)
栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜』。
道祖土 真衣 (22)
埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。
◆中国地方
百目鬼 大河
鳥取根拠地のエース。身長が2m近くあり好戦的な性格ではあるが、局面を見極める冷静さも兼ね備える。戦闘の荒々しさから、『荒波鬼』の異名を持つ。『グリット』は『硬化』で、『メナス』の攻撃も凌ぐ硬度を誇る。同じ茨城根拠地である駿河とは仲が良い上連携力がある。
安鬼 駿河
鳥取根拠地の戦略担当。人の深層心理を理解するのが上手く、要は空気を読むのが得意。言葉巧みに味方の士気をあげたりまとめ上げたりする。『グリット』は『引用率糸』で、10本の指それぞれから目的に応じた糸を放つもの。これを駆使し、『メナス』の動きを鈍らせ、大河が倒す連携が鳥取根拠地の強み。
大心地 安奈
広島根拠地のエース。非常に穏やかでふわふわした性格の女性。庇護欲に狩られるような雰囲気を纏っており、駿河達とは別の意味で士気を上げるのが得意。
渦巻 カリナ
山口根拠地のエース。刺々しい口調とサバサバした雰囲気、好戦的な様子が特徴の女性。独断行動に走るように見えて、その実、自身の能力を活かすための動きをするのが得意。
◆九州沖縄地方
仙波 盾子
鹿児島根拠地のエース。『メナス』を倒した功績ではなく、味方を幾度と救ってきた功績で選ばれた特異な例で『守護神』の二つ名を持つ。凛々しく毅然とした態度を取るが、頑固ではなく、柔軟な思考も併せ持つ。『グリット』は『守護壁』で、線上に盾を展開する。その盾は非常に堅固でありながら展開も素早く、絶対防御とも評される。
才波 アズサ
福岡根拠地のエース。寡黙でやや覇気に欠ける口調なのが特徴的だが、自分の役割をしっかりと果たす程度の自覚と覚悟を持っている。
与那覇 ナミ・ミナ
沖縄根拠地の双子のエース。見慣れた人でも間違える程そっくりな双子で、息もぴったし。時々交互にセリフを呟くこともあるため、思考も全く同じなのではと言われる。『グリット』はナミが『液状化』、ミナが『硬化』。連携もずば抜けており、タッグで右に出るものはいない。沖縄人らしく明るく前向き。
福岡根拠地のエースである才波 アズサの『グリット』、『死中に活路』は、相手の攻撃の気配を察知し、それを可視化する能力である。
具体的には相手の攻撃の動線上が淡く輝いて見えるようになり、かなりの確率で攻撃を回避する事が可能である。
更に、先程の朝陽の攻撃を見切ったように、可視化された攻撃の動線の色で強弱を見極めることが出来るため、状況判断にも優れている能力である。
味方への指示だけでも大きく貢献する事が可能であるが、この能力を最大限に発揮するのは、自身で即座に判断し、攻勢に出れる点である。
そのため、ナミとミナの影に隠れてはいるが、アズサ自身の戦闘能力も非常に高く、個人で打開できるだけの力を有している。
これまでは朝陽の多彩な攻撃を防ぐためにサポートに回っていたものの、ここからは対応ではなく攻勢に回ることになる。
つまりはアズサも攻撃に参加することが可能ということ、即ち能力の真価を発揮する場面が訪れたということである。
但しそれは────
「おらぁぁぁぁぁ!!」
「ひゃっはぁぁぁ!!」
────ナミ達が後退したのと同時に攻め込んだ大河達の攻勢を見届けてからになるだろう。
「(次から次へと攻撃が来るけど、みんな正面から仕掛けてくれるから戦いやすい)」
朝陽の考えの通り、大河達もナミ達同様真っ正面から朝陽に攻撃を仕掛け続けていた。
そして今回はそこにもう一人、カリナが加わっていた。
「今度は簡単には吹き飛ばされないぜぇ!!」
既に硬化を発動させていた大河は、ナミ達の攻撃を仕掛けた瞬間を利用し、既に距離を詰めていた。
「朝陽!!」
流石に三人同時の攻撃は対処しきれないと考えたのか、夜宵が再び『闇の影』を発動させる。
朝陽の影から無数の尾のようなものが飛び出し、大河達を捕捉しようと試みる。
「それはもう…見たぜぇ!!」
瞬間、カリナが影に向かって手をかざし、思い切りよく手を横に振った。
「え!?」
すると、夜宵が操っていたはずの影が、突如朝陽に絡みつくようにして全身に巻き付いた。
その動きはどこか不規則で、曲がったと言うより捻れたといった表現が正しいような状況であった。
これが山口根拠地のエースである、渦巻 カリナの『グリット』、『螺旋形状』。
触れたモノ、もしくは一定の範囲内の物質を螺旋状に捻じ曲げる能力である。
触れていなくても効果を発揮するため、今回のような状況になれば、不意をつくようにして気付けば拘束されているような状況を作り出すことが可能である。
「更にオマケですよ!!」
朝陽が動けなくなったところへ、駿河が更に自身の『グリット』を朝陽に巻きつけ、二重に拘束する。
「大河さん、今ですよ!!」
「おうよ!!」
そして、既に目の前にまで迫っていた大河が拳を掲げる。
「いかん!!」
瑠河がその攻撃を制止すべく矢を放つが、身体を硬質化させた大河は、その矢を難なく弾く。
「お姉ちゃん、ごめん!!」
その拳が振り下ろされようかという時、朝陽はまず夜宵に謝罪。
その後、周囲を漂っていた『フリューゲル』を自身の周囲に展開させた。
「『光の刃翼』!!」
周囲を浮遊していた『フリューゲル』が光輝くと、『フリューゲル』は一斉に朝陽に向かって行く。
その『フリューゲル』が次々と駿河の糸と夜宵の闇を切り裂き、一瞬にして高速を解いていった。
「おせぇ!!」
しかしそれでも大河は躊躇なく拳を振り下ろした。
「ヤッ!!」
朝陽の対応も素早かった。身体を捻りながら槍を回し、大河の拳に石突で思い切り叩きつけた。
「おぉ!?」
ダメージこそなかったものの、軌道を変えられた大河の拳は地面に叩きつけられる。
「『光の矢』!!」
そこで出来た隙に『フリューゲル』を周囲に呼び寄せ、ほぼゼロ距離から無数の光線を放った。
「はっはぁ!!しゃらくさいぜ!!」
しかし、大河は硬化した身体で防ぎ、後退りしながらも朝陽の光線を力付くで弾き返していた。
「(硬い!出力を抑えた攻撃じゃ仕留められない!)」
自身の攻撃が弾かれた事に僅かに動揺しつつも、朝陽は次の攻撃方法を考えていた。
「動き止まってんぞおい!!」
が、その一瞬の間に大河の背後からカリナが現れ、朝陽の光線に対して手を向けた。
「『螺旋形状』!!」
その瞬間、朝陽から放たれていた光線が捻じ曲げられていき、大河から軌道がそれていった。
「(光線が曲げられた!!カリナさんの『グリット』は奏さんの能力と同じで光線も曲げられるんだ!!)」
思考に捉われたことで動きが止まった事に気が付き、次の瞬間ハッと我に変えるが、既に大河は攻撃態勢に入っていた。
「今度こそ貰ったぜ!!」
攻撃直後のため反撃の余裕はなく、朝陽は止むを得ず槍で防御の体制を取る。
「『闇夜の月輪』」
その拳が直撃しようかというところで、朝陽の周囲を囲うようにして黒い闇が現れた。
「!!」
夜宵が纏わせた闇の危険性を察した大河は、触れる寸前のところで拳を止めた。
「『闇の槍』」
闇の動きはそこで終わらず、そこから無数のトゲのような槍が形成され、大河に襲い掛かった。
「チッ!!」
距離が近いため回避を諦め、大河は再び防御の構えを取る。
「おっ!?」
しかし、夜宵が形成した槍は、硬質化し朝陽の攻撃さえ凌いだ大河の身体を簡単に貫いていった。
「大河!!」
危険を察した駿河は、即座に糸を飛ばし、その糸を大河の背中に付けると、思い切り良く引っ張った。
それに引っ張られる形で大河は後退し、刺さっていた夜宵の槍も抜けていった。
「大丈夫!?」
「あぁ、心配ねぇよ。刺さった時はビックリしたが、一個一個が小さい分、ダメージも小せぇ。蚊に刺された程度だよ」
その言葉に嘘は無く、大河は直ぐに起き上がると、少量の出血をした身体をゴキゴキと鳴らしながら動かした。
「けどどういう理屈だ?こんなちゃっちい攻撃を塞げないほど、アタシの『硬化』は柔い代物じゃないんだがな」
自分のダメージよりも、ダメージを受けたことの方が気になるのか、大河は駿河に尋ねる。
「確か、斑鳩 夜宵さんが扱う闇は、物体の性質を無視して飲み込むことが可能であったはず。恐らく、彼女の闇には、大河さんの『硬化』さえ意味が無いんですよ」
「なんだそりゃ。チートも良いところじゃねぇか。そりゃアタシの直感も拳を止めさせるわな」
口では文句を言いながらも、大河は興味深い相手であると認識し、笑みを浮かべていた。
一方で朝陽を囲っていた闇を解除した夜宵は、朝陽と背中を並べるようにして立つ。
「大事だった、朝陽?」
「ありがとうお姉ちゃん。助かったよ!」
朝陽の礼に夜宵は笑みを浮かべて頷くと、視線を大河達中国選抜の方へと向けた。
「普段の朝陽なら問題ないだろうけど、対人である事を想定すると、百目鬼 大河と貴方の相性はあまり良くなさそうね」
「多分…出力を上げて、貫通性や斬撃性の高い攻撃にすれば対処できると思うけど、その辺の微調整は直ぐには難しいかも」
夜宵の指摘に朝陽は素直に頷き、事実であることを認めた。
「朝陽なら時間があれば調整出来るだろうけど、今見たように私ならその調整が無くても対応できるわ。だから私が中国選抜を中心に、朝陽が九州選抜を中心に戦う。これで行きましょう」
夜宵にされた提案に、朝陽は一度後方支援で離れている瑠河と真衣の方を見ると、二人もこれに頷き、賛成の意思を示した。
「分かった!じゃあ背中は預けるね、お姉ちゃん!」
「任せなさい。頼りになるお姉ちゃんの姿、見せてあげるわ」
そういうと、朝陽は全身から光を放出させ、背後に立つ夜宵は、全身に闇を纏わせていった。
「行くわよ、朝陽!!」
「うん、お姉ちゃん!!」
そして、互いに背から離れ、任せられた各地域に向かって攻勢を仕掛けた。
※本日の後書きはお休みさせていただきます
次回の更新で三周年になります!
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本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。




