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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
357/481

第323星:正面衝突

斑鳩 朝陽(18)

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。



◆中国地方


百目鬼(どうめき) 大河

 鳥取根拠地のエース。身長が2m近くあり好戦的な性格ではあるが、局面を見極める冷静さも兼ね備える。戦闘の荒々しさから、『荒波鬼』の異名を持つ。『グリット』は『硬化』で、『メナス』の攻撃も凌ぐ硬度を誇る。同じ茨城根拠地である駿河とは仲が良い上連携力がある。

 

安鬼(あじき) 駿河

 鳥取根拠地の戦略担当。人の深層心理を理解するのが上手く、要は空気を読むのが得意。言葉巧みに味方の士気をあげたりまとめ上げたりする。


大心地(おごろち) 安奈やすな

 広島根拠地のエース。非常に穏やかでふわふわした性格の女性。庇護欲に狩られるような雰囲気を纏っており、駿河達とは別の意味で士気を上げるのが得意。


渦巻 カリナ

 山口根拠地のエース。刺々しい口調とサバサバした雰囲気、好戦的な様子が特徴の女性。独断行動に走るように見えて、その実、自身の能力を活かすための動きをするのが得意。



◆九州沖縄地方



仙波 盾子(じゅんこ)

 鹿児島根拠地のエース。『メナス』を倒した功績ではなく、味方を幾度と救ってきた功績で選ばれた特異な例で『守護神』の二つ名を持つ。凛々しく毅然とした態度を取るが、頑固ではなく、柔軟な思考も併せ持つ。『グリット』は『守護壁(エスクード)』で、線上に盾を展開する。その盾は非常に堅固でありながら展開も素早く、絶対防御とも評される。


才波 アズサ

 福岡根拠地のエース。寡黙でやや覇気に欠ける口調なのが特徴的だが、自分の役割をしっかりと果たす程度の自覚と覚悟を持っている。


与那覇 ナミ・ミナ

 沖縄根拠地の双子のエース。見慣れた人でも間違える程そっくりな双子で、息もぴったし。時々交互にセリフを呟くこともあるため、思考も全く同じなのではと言われる。『グリット』はナミが『液状化』、ミナが『硬化』。連携もずば抜けており、タッグで右に出るものはいない。沖縄人らしく明るく前向き。

 瑠河の言霊でもある『放発必中』は、射った矢が必ず当たる、と言うわけではない。


 理屈で語るのならば、()()()()()()()()、という表現が正しいだろうか。


 瑠河の放った矢は、放物線を描くように飛び、そして衝突しあっているであろう二つの地域目掛けて落下していった。


 落下した矢の数は、()()()()()()()、回避できるスペースはほとんど無かった。


 これが栃木根拠地のエースである矢武雨 瑠河の『グリット』。


 弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』である。


 更に分裂した矢は、放ってからの時間の経過と共に更に分裂を続け、その分裂した勢いで加速して行く。


 瑠河がわざわざ高い放物線を描くようにして放ったのは、こうして分裂する時間を作るためであり、そして高速で落下させるためであった。


 つまり、瑠河の『放発必中』とは即ち、『数打ちゃ当たる』という理屈である。



「全員私の側へ」



 これに対し、盾子は冷静に対応。


 前に出ていたミナとナミを呼び戻し、的確な位置に盾を展開。矢の雨を完璧に防いでいた。



「あ、よいしょお!!」



 一方の中国地方側はアズサが対応。


 十本のそれぞれの指先から糸が放たれ、無数の矢の数本にくっつかせる。


 そしてそれを横向きに回転させ、擬似的な傘のようなものを作り出し、瑠河の矢の雨を防いでいた。


 これが鳥取根拠地の裏エースである、安鬼(あじき) 駿河の『グリット』、『引用率糸』である。


 10本の指それぞれから目的に応じた糸を放ち、変幻自在に操るもの。


 拘束や吸着、果てには鞭打ちのような効果など、様々な効果をもたらす事が出来るが、駿河これを駆使することで『メナス』の動きを鈍らせ、大河が倒す流れが鳥取根拠地の連携であり、強みである。


 これが、駿河が裏エースと呼ばれる所以である。


 ちなみに、駿河がいま使用した効力は吸着。放った糸には蜘蛛の糸のような吸着力があり、それを矢にくっつけ回転させることで難を逃れたのである。


 やっていることは単純ではあるが、指から放たれる一本一本の糸を寸分違わず当てて応用するのには相当な技術を要するため、軽い表情で行ってはいるが、相当な実力者であることがこの一面だけでも見てとれた。



「いやいやまさか真正面から来るとは。これはちょっと良い意味で予想外だねぇ」



 矢を一通り処理した駿河は、ピッと指についた糸を切り、パンッ、パンッと手の汚れを払うかのように手を叩いた。



「良い意味で…というのは?」



 そこで安奈が、駿河の気になった言い回しについて尋ねる。



「だって、私達はいま二つの地域だけでぶつかってた訳でしょう?そうすると、関東メンバーからすると、ぶつかり合ってる隙をついて不意打ちでも何でも仕掛けられた訳ですよ。それをわざわざ真正面から攻撃を仕掛けて来るなんて、嬉しい誤算、ってやつです」



 安奈は成る程と頷いていたが、隣のカリナはチッと不機嫌そうに舌打ちしていた。



「私ら相手に不意打ちを仕掛ける必要すら無いってことか?舐めやがって」



 そんなカリナの言葉に反応したのは、大河であった。



「いや、恐らくそうじゃないな」

「あん?」



 カリナが大河を見ると、大河はどこか嬉しそうな笑みを浮かべながら続けた。



関東メンバー(アイツら)がわざわざ正面から攻撃して来た理由……それは多分……」






●●●






「性分…?つまり関東メンバーは、敢えて優位性を捨ててまで真っ向勝負を選んだ、ってこと?」



 ゆったりとした口調で、アズサは首を傾げながら盾子の推測に答えた。


 そして盾子も、改めて自分の考えに対し頷いた。



「私は前夜祭で関東メンバーの一人と会っていてな。どこまでも純粋で、素直、それでいて芯の強い人物だった」



 それが朝陽のことを指していることは、他のメンバーは気付いていない。



「だが同時に、やはり経験の少なさ、と言うより若さを感じた。これも推測だが、第二部の東京選抜の戦いを見て、自分達は正々堂々、正面からぶつかり合いたいと考えたのだろう」

「やは〜!なんだかとっても良い子さ〜!」

「なは〜!すっごい友達になりたい子さ〜!」



 その話を聞き、ミナとナミも感心したような様子を見せていた。



「だがまさか本当に正面から攻撃することを選択するとはな。彼女一人ならまだしも、他のメンバーがそれを認めた事が驚きだ。これが愚策にならないと良いな、関東メンバー」



 盾子は自分達が舐められている、とまでは思っていなかったが、あまりの正直な攻撃に、思うところはあった。


 それでも、前夜祭で朝陽と出会った時、そして対戦相手として関東選抜が選ばれた時、盾子の心の中では、どこかでこうなることを予感していた。



「フッフ…中国地方も関東地方も真っ向勝負好きが揃っているな。存分に力を振るえる場になりそうだ」



 そしてその言葉通り、中国地方、そして九州地方の間に割って入るようにして、関東選抜の面々が姿を現したのであった。



「うむ、無事に接近できたな。上手く間を稼ぐ事は出来たというわけだ」



 散らばった矢の一本を抜き取り、それを矢筒に仕舞うと、残った他の分裂した矢が一斉に姿を消していった。


 その光景に、夜宵が驚いた表情を浮かべる。



「へぇ、分裂したものの中から本物が見分けられるのね」

「いや、そういう訳ではなくてな。分裂したものの中から最初に触れたものが本体になるんだ。だからこれも元は分裂体だったかも知れない」



 夜宵含め全員が「へぇ〜」と頷き、そしてすぐに戦闘体制に入る。



「はっはぁ!!斑鳩 朝陽ぃ!!今年の期待のルーキーとやっと会えたぜぇ!!」

「斑鳩 朝陽……決勝の舞台でないのは残念だが、君と交わるのは楽しみにしていたよ」



 大河と盾子。それぞれ反応は違うものの両者一様に朝陽を対象にしていた。



「やれやれ、ド派手にかましたというのに私は無視か…なかなかどうして寂しいものだ」

「それを言うなら私達もよ。ま、うちの妹はそれだけスゴイってことの証明でもあるんだけどね」

「や、やめてよお姉ちゃん!!」



 戦闘体制に入ったにも関わらず、日常と変わらない光景を繰り広げる二人に、思わず瑠河と真衣の二人の頬も綻ぶ。



「さぁさぁここまで来たからには、ここからは純粋な実力と連携勝負!真っ向から戦おうじゃないか!!」



 そして瑠河の言葉を皮切りに、三地域による真っ向勝負が繰り広げられた。






●●●






「全く…彼女達ときたら……」



 朝陽達が真正面から姿を現した時、咲夜は頭を抱えていた。


 それとは対照的に、大和はおかしそうに笑みを浮かべていた。



「ハッハッハ。良いじゃないか咲夜。これまで彼女達はボク達の指揮という、ある意味枷のもと戦って来た。でも『大輝戦(この舞台)』ではそれがない。なら彼女達の思うように戦わせてあげれば良いさ」

「それは…まぁそうなんですが…でもだからと言って、真正面から挑まなくても、それ以外の戦略を練ることも、今の彼女達なら可能であった筈なのに」



 咲夜からすれば、この舞台は朝陽と夜宵の成長を見届ける場であった。


 それが、対策も戦略もなく真正面から挑む姿を見せつけられたのだから、頭を抱えるのも無理は無かった。



「そうだね。そうやって戦うことも可能だった。けどその選択をしなかった。それは、それが彼女達の成長なんじゃないかな?」

「…え?」



 座った姿勢で頬杖をつきながら、大和はジッと朝陽達を見守る。



「ボク達が根拠地に来た時は、みんな過去の指揮官達の振る舞いに恐れを抱いて、ただ命令に従うだけだった。まぁ『軍』のなかで階級がある以上、それもまた一つの形なんだとボクも三咲君から教わりはしたけれど、ボクが目指していたのはそこじゃ無かった」



 大和が朝陽達を見つめる目は、我が子の成長を微笑ましく思う親のような目であった。



「ボクは彼女達に意思を持って欲しかった。自主性を持ち、仲間を大切にする思いやりの心を持って欲しかった。そして、彼女達は時間をかけて過去の楔から解き放たれて、自分達の意思を持つようになった」

「……それが、今の行動であると?」

「ボクはそう思う」



 大和は咲夜の言葉に間髪入れずに答えた。



「朝陽君達が自分達で考え、意志を持って今の行動を選択したのなら、ボクはそれは大切なことだと思う。どんな選択にも、完璧な正解なんて無いんだからね」



 大和の説明に、咲夜も少しずつ納得した様子を見せ、さらに大和は話を続ける。



「それに、咲夜もちょっと見てみたかったんじゃ無い?朝陽君の今の実力をさ」

「………むむぅ…」



 完全に図星をつかれ、咲夜は唇を尖らせる。


 大和は小さく笑みを浮かべながら、再び視線を朝陽達の方へと向ける。



「まぁボク達に出来ることは何も無いよ。今はただ、朝陽君達の判断と行動、その意志を信じよう」



 その言葉に咲夜も頷き、しっかりとこの戦いを見届ける覚悟を決めたのであった。

※後書きです






ども、琥珀です。


私は趣味のレベルで言えば学生時代から小説を書いてるんですが(そんだけ書いててこの文章レベルはウケる……)、大人になるにつれて、具体的な将来の夢を考えるようになったわけですよ。


今は全く違う仕事をしてますが、いつかはラーメン屋を開きたいなって思ってます…


今でも独自に試行したりしてますが、こちらも趣味の域を出ませんね。

でも、いつか何かのきっかけでラーメン屋もてたら良いな、なんて考えてます。


小説も、夢を現実にしているようかものですからね。


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は水曜日の朝を予定しておりますので宜しくお願いします。

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