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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
356/481

第322星:出方

斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。『グリット』は光を操る『天照らす日輪イノセント・サンシャイン』。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?『グリット』は闇を操る『闇夜の月輪ダークネス・エクリプセ』。


矢武雨(やぶさめ) 瑠河(るか) (24)

 栃木根拠地の大隊長を務める大黒柱。生真面目だが状況に応じて思考を変える柔軟性も併せ持つ。以前千葉根拠地の夜宵と共闘したことがあるため、二人に面識がある。弓術の達人で、『グリット』は弓と矢にエナジーを加え、加えた量により矢が分裂する、『放発射抜(ハンドレット・ヒット)』。


道祖土(さいど) 真衣 (22)

 埼玉根拠地のエース。腰の低い人物で、実績を残しながらも謙虚な姿勢を崩さない。逆を言えば自分に自信を持てない性格。



◆中国地方


百目鬼(どうめき) 大河

 鳥取根拠地のエース。身長が2m近くあり好戦的な性格ではあるが、局面を見極める冷静さも兼ね備える。戦闘の荒々しさから、『荒波鬼』の異名を持つ。『グリット』は『硬化』で、『メナス』の攻撃も凌ぐ硬度を誇る。同じ茨城根拠地である駿河とは仲が良い上連携力がある。

 

安鬼(あじき) 駿河

 鳥取根拠地の戦略担当。人の深層心理を理解するのが上手く、要は空気を読むのが得意。言葉巧みに味方の士気をあげたりまとめ上げたりする。


大心地(おごろち) 安奈やすな

 広島根拠地のエース。非常に穏やかでふわふわした性格の女性。庇護欲に狩られるような雰囲気を纏っており、駿河達とは別の意味で士気を上げるのが得意。


渦巻 カリナ

 山口根拠地のエース。刺々しい口調とサバサバした雰囲気、好戦的な様子が特徴の女性。独断行動に走るように見えて、その実、自身の能力を活かすための動きをするのが得意。



◆九州沖縄地方



仙波 盾子(じゅんこ)

 鹿児島根拠地のエース。『メナス』を倒した功績ではなく、味方を幾度と救ってきた功績で選ばれた特異な例で『守護神』の二つ名を持つ。凛々しく毅然とした態度を取るが、頑固ではなく、柔軟な思考も併せ持つ。『グリット』は『守護壁(エスクード)』で、線上に盾を展開する。その盾は非常に堅固でありながら展開も素早く、絶対防御とも評される。


才波 アズサ

 福岡根拠地のエース。寡黙でやや覇気に欠ける口調なのが特徴的だが、自分の役割をしっかりと果たす程度の自覚と覚悟を持っている。


与那覇 ナミ・ミナ

 沖縄根拠地の双子のエース。見慣れた人でも間違える程そっくりな双子で、息もぴったし。時々交互にセリフを呟くこともあるため、思考も全く同じなのではと言われる。『グリット』はナミが『液状化』、ミナが『硬化』。連携もずば抜けており、タッグで右に出るものはいない。沖縄人らしく明るく前向き。

 沖縄根拠地の二大エースとして知られる与那覇 ミナとナミの二人は、双子さながらの抜群の連携力を発揮することで有名である。


 その連携力は、数でこそ劣るものの、北海道根拠地の質をも上回ると言われている。


 その『グリット』は、駿河の言った通り、ナミは『液状化』である。


 人為的に液状化現象を起こすことの出来る能力で、対象は自身が触れたものとなる。


 この『液状化』の『グリット』は大河の『硬化』とは非常に相性が悪く、どれだけ全身を硬くしようとナミに触れられてしまうと硬化が解かれてしまうのである。



「ありゃ〜かわされちゃったさ〜!」

「直前で『硬化』解いたのばれたみたいさ〜。ミナも同じことされたことあるから、何となく感じるものさ〜」



 そのナミの相方であるミナの能力は、『()()』である。


 その効果は大河と同じものではあるが、大河の『硬化』が自身にしか作用しないのに対し、ミナの『硬化』は触れたモノにしか作用しないという違いがある。



「でも離れたってことは効果はあるってことさ〜!」

「そうなるさ〜!だから攻めて攻めて、攻めまくるさ〜!」



 瓜二つの姿をした双子が、全く同じ声で同じ武器を携える姿を見て、大河は小さく舌打ちする。



「(ちっ…確かに『液状化』の『グリット』は厄介だが、それ以上に面倒なのが()()()()()。連携もやべぇが、それを織り交ぜながら力を使われたら、咄嗟に判断出来やしねぇ…)」



 『荒波鬼』と呼ばれるほど、その戦闘スタイルが荒々しい事で有名であるが、無策で突っ込むほど愚かではない。


 そもそも、それだけの人物が選抜に選ばれることはないが。



「ちょっと態勢立て直しましょうか。思ってたより厄介なコンビですし、こっちの攻撃は盾子さんに全部塞がれるからね」

「ちっ……相性の悪さがここまで影響出るとはな」



 いつの間にか側にまで寄っていた駿河の言葉を受け入れ、大河は一時矛を収める。



「つってもこのままじゃジリ貧だぞ。何か手はあんのか?」

「どうかなぁ〜。私達二人じゃ逃げの一手だけど、これはチーム戦だからね」



 チラッと後ろを見れば、自分達もいつでも参戦すると言わんばかりの目をした仲間が待機していた。



「ちっ…思いっきり良く戦って良いところを見せつけてやりたかったんだがな!まぁ失敗しちまったもんはしょうがねぇ!仲間に頼るとすっかね!」



 拳を自分の手のひらに叩きつけ、ここからが本当の戦いだという意思を示し、中国地方の面々が交戦の意思を示す。



「どうやら向こうも連携を組んできそうだ。ミナ、ナミ、あまり前に出過ぎるな。私がいるとは言え、相手も同じ選抜メンバー。万が一があるからな」

「やは〜!了解!」

「なは〜!了解!」



 二人は盾子から離れすぎない位置に陣取り、万全の状態を維持する。



「それから、ここからは君の出番も増えるだろう。素早い指示を期待しているぞ」



 そして、その盾子の後ろでジッとどこを見ているのか分からない視線で膝座りしていた才波 アズサが、盾子の言葉に答える。



「それが私の『グリット』の能力を期待しての話なら…」



 アズサはゆっくりと上を向き、そしてゆったりとした口調で続けた。



()()()()()()()()()?」






●●●






「どうする?二つの地域がぶつかり合ってくれているなら好都合だ。このまま静観して疲弊したところを狙っても良いが…」



 中国と九州がぶつかり合っている場所より少し離れた位置で、朝陽達は話し合いをしていた。


 そこで瑠河は一つの提案をするが……



「……私は」



 一同が瑠河の話に耳を傾ける中、朝陽は少し顔を下げた状態で話し出す。



「私は、キチンと正面からぶつかり合いたいです」



 そして、次の瞬間には、しっかりと顔を上げ、全員の目を見て話した。



「ふむ…漁夫の利を狙うのではなく、真正面からぶつかり合おうと言うのか?我々が優位を取れる状況で敢えて?」



 瑠河の言葉は厳しいものではあったが正論であり、その言葉の節々には『大輝戦』という舞台ならではの圧が込められていた。


 しかし、朝陽はこれに屈しなかった。



「東京選抜の戦い方を見てて思ったんです。『大輝戦』は力を振るう場であって、見せつける場ではないって」



 瑠河は特に何も言わず、朝陽の話の続きを待った。



「東京選抜の皆さんの戦いを否定する訳じゃないです。実際にそれに見合うだけの個々の実力があることは見せつけられました。でも…いえ、だからこそ…!」

「私達は、チームでの戦いを見せつけたい、って事ね」



 朝陽が最後に口籠った箇所を、夜宵がハッキリと理解し言葉にする。



「理由は分からんでもない。しかし、その戦い方をしていたのは東京選抜だけであって、他の地域にそういった傾向は見られなかった」



 「それに…」と瑠河は続ける、



「もしこれが実戦であると想定した時、『メナス』相手に優位を取れる場で、君は真正面からぶつかる事を提案するのか?みすみす仲間をピンチに誘うようなリスクを高めてまで」



 続けざまに放たれる瑠河の正論に、朝陽の口は止まってしまう。


 しかし、その目だけは屈しておらず、纏う光とともに輝いた目で真っ直ぐと瑠河を見つめた。


 しばらく互いに睨み合うような状況。気弱な真衣が間でアワアワとしていると、不意に瑠河が「フッ…」と笑みを浮かべた。



「フッ、ハッハッハ!!アッハッハッハ!!」



 そして、先程までの険悪な表情が嘘のように豪快な笑みを浮かべた。



「ハッハッハ……あぁそうだな。どこまでも素直に正直に、そして真っ直ぐに。それが君の芯なのだろうな」



 目元に涙すら浮かべ、それを拭いながら瑠河は続けた。



「フフ…これが若さか。私は長い間戦いに身を置いて来たから、そういう純粋な気持ちを失ってしまっていたな」



 キョトンとする朝陽の隣で、夜宵は瑠河の気持ちが理解できるといった様子で頷いていた。



「さっきは実戦を想定した時…なんて言ったが、逆を返せばここは『大輝戦』の舞台だ。それならば君の言うやり方もありだろう」

「じゃあ…!」



 朝陽はパッと表情を明るくするが、瑠河が指を一本たて、「但し」と遮る。



「君の言う行動が優位性を無くし、リスクを高めるのも事実だ。改めて確認する。それでも君は、彼女達に正面から挑むと言う言葉を曲げないんだな?」



 恐らくこれが最終確認。朝陽もそれを感じ取っていた。


 そして、それを理解した上で、深く頷いた。


 すると瑠河は、今度こそ圧のある表情を引っ込め、元の笑みを浮かべる。



「ふふ、試すようなことを言ってすまなかった。だが根拠地のメンバーを率いる立場の者として、どうしても確認しておきたかった。それが簡単に曲げられない信念から来ているのかどうかをね」



 瑠河はそう言うと、「さて、っと」と言いながら、自前の弓を手に取った。



「私は朝陽の言う行動に賛同しよう。せっかくの『大輝戦』、しかもバトルロワイヤルだ。派手にやらなければ損だろう?」



 先程とは打って変わって朝陽に賛同すると述べた瑠河。


 それにクスッと笑みを浮かべながら、夜宵がこれに続く。



「私もそれで良いわ。そもそも『メナス』相手にこっちから奇襲をかけられる場面なんて殆どないしね」

「わ、わわわ私は皆さんがそれで良いなら!!」



 真衣だけは少し不安な様子であったが、これで結果として全員が賛同した形になる。



「皆さん…ありがとうございます!!」



 自分の勝手な意見に賛同してくれたメンバーに、頭を下げて感謝する朝陽に、瑠河はフッと微笑みかける。



「礼を言うには早すぎる。戦いはこれから始まるんだからな。覚悟は良いな、朝陽」

「はい!!」



 瑠河の言葉に、朝陽は力強く答えた。


 それを聞いて頷いた瑠河は、矢筒から一本矢を取り出し、それを弓に付けると、グッと上空目掛けて構えた。



「先手は私が打つ。必ず隙ができるからその間に一気に距離を詰める。そしたら戦闘開始だ。良いな?」

「「「了解!!」」」



 全員の返答を確認すると、瑠河はさらに強く矢を引き────



「『放発必中』!!無限拡散!!」



────勢いよく放った。

※後書きです







ども、琥珀です。


昔、私は人が夢を見る時は深い眠りについている時だと思っていました。


しかし大人になり、逆に眠りが浅いから夢を見るのだと知りました。


最近は眠ると夢を見ることが多く、それもあまり良い夢ではなく…あまり宜しくない目覚めを繰り返すんですよね。


夢は見るモノではなく持つモノ。そうあって欲しい…

どうした急に…


本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は月曜日の朝を予定しておりますので宜しくお願いします。

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