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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
345/481

第311星:東京選抜VS④

第二部:東京VS東北VS四国


◆東京本部選抜


唯我 天城 (17)

東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作(タキオン・レイン)』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。



佐伯 遥 (24)

東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手(バレットアーチャー)』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。


草壁 円香 (21)

東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。


片桐 葉子 (21)

東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波(トランスミッション)』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。



◆東北地方


神守 紅葉(くれは) (24)

 青森根拠地のエース。頭の回転が速く、盤面を読む力や相手の思考を読むことにも長けた切れ者で、常に笑みを浮かべ精神的余裕がある。能力は『分身裂(アバタール)』で、自身の身体を映し出す分身と、肉体を持つ分裂能力を持つ。分身は数が多いが実態はなく、分裂は実態を持つが数が多いほど弱体化して現出する。


幻詠(まほろよみ) カナヨ (22)

 青森根拠地の裏エース。低く落ち着いた声を持つ物静かな人物だが浮世離れしており、話す内容は抽象的でスピリチュアルな印象を与える。『グリット』は『幻影霧イリュージョン・ミスト』で、口から吐き出した霧で幻影を作りだす。紅葉とは阿吽の呼吸且つ親友で、分身の姿を変えることも可能。


矢吹 立花 (22)

 秋田根拠地のエース。品行方正で押しが強く、声量も仕草も基本的にうるさい。自己肯定も強いが、それ故に他人を貶すことは無く仲間思い。『グリット』は『大気射出(フライ・ハイ)』で、周囲の空気を一定方向に射出し、空へ浮上したり、相手を吹き飛ばしたりする。持続時間は数秒で、後先考えず放つと自分が吹き飛ぶ。


隠蓑(かくれみの) イロハ (21)

 福島根拠地の選抜メンバー。どちらかと言えばサポート役として貢献し、それを護里が見抜き抜擢した。言葉数は多くないが強さに自負を持ち、自分に自信をつけるべく【大輝戦】出場を受け入れた。『グリット』は『無色消姿(ハイデンカラー)』で、触れた箇所と同色に身体を染めることができる。



◆四国地方


今獅子 スバル (24)

 徳島根拠地のエース。やや熱血な面もあるが努力家で、実力者が集うこの場において最もしっかりとした常識人で、実質的に指揮を取る。『グリット』は『獣化・獅子(ライレオン)』で、『エナジー』を集約し、獅子を象ったエネルギー体の姿になる。走力や攻撃力、五感に至るまで獅子レベルまで向上するレアな能力。性格は元のままを維持している。


双波 セナ (20)

 愛媛根拠地の前衛隊長を務める『グリッター』。真っ直ぐで語尾に「っす!」等をつける後輩的キャラ。近接戦闘における戦闘力が非常に高く、近接に特化した海音に匹敵する感覚を実戦で養い、俊敏な動きで相手を翻弄する。


是衝(これちか) 椰静(やしず) (22)

 香川根拠地のエース。寡黙で最低限の言葉しか話さないため若干コミュ障だが戦闘での発言は的確。『戦闘補具(バトルマシナリー)』を駆使した戦闘スタイル。


撫子(なでしこ) 撫子(なでこ) (22)

 高知根拠地のエース。一人称は『なでこ』。子供の頃から名前で揶揄われていたが、親から『優しい立派な女性になって欲しい』という想いを知っているため、揶揄われると怒る。『グリット』は『撫返(なでがえし)』で、両手同士で繋ぎ合わせた『エナジー』で相手の攻撃を吸収し跳ね返したり曲げたりするモノ。また近接戦闘の攻撃を絡め取ることも可能。

 一方の葉子対四国メンバーでは、激しい近接戦闘が続いていた。


 『エナジー』の酷使で回復するまで全身の獅子化が出来ないスバルは、部分的な獅子化でこれを補っていた。


 攻撃力を求めるなら手を、早さを求めるなら足を、といった具合に素早く部分部分を獅子化させ、近接戦闘に応用させていた。


 一方のセナは、元から前衛での接近戦を主戦場にしているだけあって、その動きは素早かった。


 踏み込むタイミングから攻撃を仕掛けるタイミングも抜群で、スバルのサポートを受けながら上手く葉子に攻め入っていた。



「ちっ…鬱陶しいわね」



 対する葉子も流石というべきか、抜群の連携を見せる二人に対し、上手く応対し捌いていた。


 この戦闘の間に取り出していた小型の戦闘補具(バトル・マシナリー)、『輝短剣(エナジーダガー)』を駆使し、牽制を交えながら連携による攻撃を跳ね返していた。



「その『グリット』、効果はめちゃくちゃ厄介だけど、接近戦で使用する間を与えなきゃ脅威にはならないね!!」



 スバルの放った言葉に、葉子は心の内で舌打ちをした。理由は、スバルの言葉が的を射ていたからだ。



「(たった一回見せただけで『輝伝衝波(トランスミッション)』の性能をそこまで見極められるとは思ってなかった…ちょっと気持ち、切り替えた方が良いわね)」



 葉子は気分屋ではあるが、逆を返せば一度スイッチが入れば、ポテンシャルを十分に発揮できる状態に入るということを意味する。


 そして、『輝伝衝波(トランスミッション)』の初撃を防がれたことと、スバルの鋭い観察眼により、葉子の中から慢心が取り除かれた。


 しかし、元より葉子に対して最大外警戒していたスバル達には関係なく、だからこその拮抗した勝負となっていた。



「(でも二人がかりで互角って、やっぱ東京本部は違うってことね!!)」



 攻撃を続けながらも攻め込みきれない状況に、スバルは驚きを隠せずにいた。


 しかし、スバル達も全国から選ばれた選抜メンバーの実力者。


 東京本部のエリートと言えど、二対一の状況で徐々に葉子が押し込まれていく。



「そこっ!!」

「ッ!!」



 攻め込み続けるなかで一瞬できた隙を、セナは見逃さなかった。空いた脇に的確に攻撃()を叩き込む。


 これを葉子は間一髪腕を固めて防ぎ、衝撃に耐えながら後ずさる。



「…やるわね。まさか捌き切れないとは思わなかったわ」



 手をぷらぷらとさせながら、葉子は珍しく相手を称えた。



「でも思いっきり攻撃したのは失敗だったわね。これで間合いはまた────」



 その瞬間、葉子の身体が横くの字に曲がる。不意に見舞われた衝撃に回避のしようもなく、葉子は吹き飛び転げ回る。



「ッ!いったいわね!!何よ今の!!」



 と、露骨に怒りを露わにしながら、葉子は直ぐに今の攻撃の正体に気が付く。



「あ〜忘れてた。そう言えばアンタの『グリット』ってこういう効果なんだっけ?」



 葉子がそう語りかけると、攻撃を仕掛けた本人であるセナがニッと笑みを浮かべた。


 これが愛媛根拠地の前衛隊長を任せられている、双波 セナの『グリット』、『二重衝撃(ツインインパクト)』。


 その効果は、攻撃を当てた箇所に対し、二度目の衝撃を二倍の威力にした衝撃を当てる、というものである。


 攻撃を当てれば当てるほど、更に追撃が来るまさに近接戦闘の申し子とも呼べる能力で、これまで数々の『メナス』討伐で結果を出してきた。


 また、打撃に特化した『グリット』であると知ってからは、独自に近接戦闘に磨きをかけ続けてきた。


 千葉根拠地で例えるならば、同じく近接に特化した海音に匹敵する程の感覚を実戦の中で養い、俊敏な動きで相手を翻弄する技術を身に付けていた。



「(エースじゃなくて前衛隊長が選ばれてる時点で近接戦闘は避けるべきだったわ。一人ならまだしも、あの『グリット』を交えられながら戦われたら面倒臭いもの)」



 葉子もそれを理解し、ダガーを構えていた反対の手から、今度は拳銃(ハンドガン)型の戦闘補具(バトルマシナリー)を取り出した。


 原則、この『第輝戦』の舞台において、バトルマシナリーの使用は禁じられていない。


 バトルマシナリーと併用することで、成果を上げてきたものや、能力の真価を発揮する者もいる為である。


 但し、直接的な殺傷能力をもつレベルのバトルマシナリーに関しては、開催前に一度提出し、出力を抑えたものと交換する形となっている。


 いま葉子が取り出した輝線銃(グリットガン)も、もし当たった場合でも強烈な衝撃が走り、『グリッター』に直撃しても悪くて気絶する程度に抑えられている。



「…!スバルさん、彼女、『輝線銃(バトルマシナリー)』を増やしたっす!!」

「流石にこれ以上近接戦闘には付き合ってくれないか。武器もスバル達には相性の悪いものだし、この辺りの素早い判断は流石東京本部のエリートって感じだね」



 迂闊に近付かなくなったことで、スバル達は思い切って攻め込む事が出来なくなっていた。


 どうするか判断に迷っていたところに、後方で待機していた二人から通信がスバル達に届く。



『スバルさん、私達も前衛に回して下さい』



 そう主張したのは、先程椰静を守った撫子であった。



「でも、それだと彼女の『グリット』の標的にされちゃうよ」

『それは後方(ここ)にいても同じ』



 そう答えたのは椰静。


 そしてその椰静の言う通り、距離を取られ、更には詰めることも難しくなったいま、有利なのは『輝伝衝波(トランスミッション)』の間合いを手にした葉子である。



『わ、私なら彼女の放つ【グリット】を返せますし、攻撃にも参加出来ます』

『私の【グリット】はセナと相性良い。どうせなら組んで戦った方が活かしやすい』



 二人の意見は明確でハッキリしており、スバルが悩む時間は少なかった。



「分かった。全員で一気にかかろう。各々彼女の『グリット』には気をつけるように。撫子ちゃんのカバーだけに頼っちゃダメだよ」

「『『了解』』っす!!」



 スバルがそう指示を出すと、後方にいた二人が合流すべく前に出る。


 その意図を察した葉子は、自分にとって有利になる状況を作り出す行動であると同時に、接近されたらピンチになる布陣であると判断し、『グリットガン』で牽制後、右手に残された最後の一発を放った。


 『グリットガン』の牽制を防いだのは、腕を獅子化させたスバル。


 そして地面を伝播させての攻撃は合流する二人の足元から炸裂したが、これは撫子が前に出ることで防御する。



「(ちっ…右手の装填(リロード)まで1分…二人だけなら『グリットガン』でも牽制出来たけど、四人になると流石に厳しいわね)」



 葉子はチラッと右手に持つハンドガンと、五つの光の帯を確認する。



「(リロードまでの1分間、この右手の『輝伝衝波(トランスミッション)』をどう使うかが重要ね。どうやらあのオドオドした子には『輝伝衝波(トランスミッション)』の衝撃波が効かないみたいだし、避けて使うか、崩しに使うか…)」



 様々な攻撃パターンを考えているなか、スバル達は全員が合流していた。



「攻撃のフォーメーションはさっきと同じ、スバルもセナちゃんが前掛かりに、椰静ちゃんは隙を見て()()()()()、撫子ちゃんは彼女の『グリット』に警戒しつつ、機を見計らって攻撃に参加して」

「分かった」

「わ、分かりました!」



 作戦はどこまでもシンプルに。しかしそれこそがスバルを筆頭にした四国メンバーの強みである。


 そして一行は、これ以上考える暇を与えず、葉子のもとへと攻め込んでいった。






●●●






「第一部の頭脳戦とは打って変わって、第二部は殴り合いのような戦闘だな。二つの陣営に別れているようだが、どちらも白熱しているようだ」



 その戦いの様子を、瑠河は興味深そうに眺めていた。



「二部には、カナエさんや冴子さんのような参謀タイプがいませんからね。攻め合いになるのはある意味で真っ当なことです。ですが…」



 咲夜が説明をするなか、口を止めたのは、隣にいる朝陽がどこか怒った表情を見せていたからである。



「どうしました、朝陽さん」

「……私、なんだか東京本部の戦い方、好きじゃないです」



 朝陽がここまでマイナスな感情を言葉にするのは珍しい為、夜宵も含めて僅かに驚いた表情を見せる。



「…何故です?」

「四国の皆さんも、東北の皆さんも、全員で力を合わせて戦ってます。それなのに東京選抜の皆さんは、1地域に一人だけ向かわせて、それで戦ってる…なんだか、気分が良くないです…」



 朝陽の言葉を受け止め、咲夜は何度か頷いたのち、朝陽を嗜める。



「確かに見ている側としては気分が良くないでしょう。ですが、ある意味でこれも戦い方の一つです。先程は参謀タイプはいないと言いましたが、東京本部の佐伯 遥さんは頭がキレるタイプです。独断行動を戦術に変えるような動きをしていましたし、それで勝ち抜けると判断したのでしょう。戦術は結果論に過ぎない面もありますし、それが正しいかは分かりませんけれども」



 咲夜の説明に、朝陽は理解は示しつつも納得出来ていない表情を浮かべていた。



「だからって…チーム戦なのにこんな戦い方…」

「こういう戦い方があるのも事実です。それを関東選抜(私たち)がやるかどうかは別にしても、こういう戦術があるのだと言うことを学んでおきなさい」



 朝陽はどうしても東京選抜の戦い方は好きになれなかった。


 それでも、学んでおけという咲夜の教え通り、しっかりとそれを受け止め、その後も経過を見届けることを決めた。



「(…一人で挑ませている。そういう風に見てとれますが、実際は遥さんの攻撃はいつでも射程圏内に入っている。つまりは実質どちらの戦場も二人分の戦力はあるという事…)」



 咲夜は舞台のなかで傍観の姿勢を見せている遥をジッと見つめる。



「(朝陽さんにはあのように言いましたが、出来る攻撃を敢えてしない点に、まるで、その必要がないと言わんばかりの余裕を見せるような戦いぶりが一番腹立たしく感じますね)」



 その内心をそっと秘め、同じような思いを抱いていた朝陽にシンパシーを感じながら、咲夜も引き続き第二部の観戦を続けた。

※本日の後書きはお休みさせていただきます






本日もお読みいただきありがとうございました。

次回の更新は水曜日の朝を予定しておりますので宜しくお願いします。

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