第309星:東京選抜VS②
第二部:東京VS東北VS四国
◆東京本部選抜
唯我 天城 (17)
東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。
佐伯 遥 (24)
東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。『グリット』は『輝弾射手』で、『エナジー』を攻撃用の『エネルギー』に変質して放つ能力。シンプルが故に強く、弾にも誘導や炸裂、起動変化など様々な効果を与える事が出来る。
草壁 円香 (21)
東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。
片桐 葉子 (21)
東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。『グリット』は『輝伝衝波』で、手首から指までに沿うようにして複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける事で物体の表面に光の筋を伝播させ、攻撃対象の近くに『エナジー』による攻撃を行う事が出来る。
◆東北地方
神守 紅葉 (24)
青森根拠地のエース。頭の回転が速く、盤面を読む力や相手の思考を読むことにも長けた切れ者で、常に笑みを浮かべ精神的余裕がある。能力は『分身裂』で、自身の身体を映し出す分身と、肉体を持つ分裂能力を持つ。分身は数が多いが実態はなく、分裂は実態を持つが数が多いほど弱体化して現出する。
幻詠 カナヨ (22)
青森根拠地の裏エース。低く落ち着いた声を持つ物静かな人物だが浮世離れしており、話す内容は抽象的でスピリチュアルな印象を与える。
矢吹 立花 (22)
秋田根拠地のエース。品行方正で押しが強く、声量も仕草も基本的にうるさい。自己肯定も強いが、それ故に他人を貶すことは無く仲間思い。『グリット』は『大気射出』で、周囲の空気を一定方向に射出し、空へ浮上したり、相手を吹き飛ばしたりする。持続時間は数秒で、後先考えず放つと自分が吹き飛ぶ。
隠蓑 イロハ (21)
福島根拠地の選抜メンバー。どちらかと言えばサポート役として貢献し、それを護里が見抜き抜擢した。言葉数は多くないが強さに自負を持ち、自分に自信をつけるべく【大輝戦】出場を受け入れた。『グリット』は『無色消姿』で、触れた箇所と同色に身体を染めることができる。
◆四国地方
今獅子 スバル (24)
徳島根拠地のエース。やや熱血な面もあるが努力家で、実力者が集うこの場において最もしっかりとした常識人で、実質的に指揮を取る。『グリット』は『獣化・獅子』で、『エナジー』を集約し、獅子を象ったエネルギー体の姿になる。走力や攻撃力、五感に至るまで獅子レベルまで向上するレアな能力。性格は元のままを維持している。
双波 セナ (20)
愛媛根拠地の前衛隊長を務める『グリッター』。真っ直ぐで語尾に「っす!」等をつける後輩的キャラ。近接戦闘における戦闘力が非常に高く、近接に特化した海音に匹敵する感覚を実戦で養い、俊敏な動きで相手を翻弄する。
是衝 椰静 (22)
香川根拠地のエース。寡黙で最低限の言葉しか話さないため若干コミュ障だが戦闘での発言は的確。『戦闘補具』を駆使した戦闘スタイル。
撫子 撫子 (22)
高知根拠地のエース。一人称は『なでこ』。子供の頃から名前で揶揄われていたが、親から『優しい立派な女性になって欲しい』という想いを知っているため、揶揄われると怒る。『グリット』は『撫返』で、両手同士で繋ぎ合わせた『エナジー』で相手の攻撃を吸収し跳ね返したり曲げたりするモノ。また近接戦闘の攻撃を絡め取ることも可能。
「ちっ、今ので二人とも仕留めるつもりだったのに…」
奇襲に失敗した葉子は、不満を隠さず舌打ちする。
これが東京メンバー、片桐 葉子の『グリット』、『輝衝伝播』。
手首からに指先にかけて複数の光の帯が出現し、この状態で壁や地面を叩き付ける、又は触れる事で物体の表面に『エナジー』を伝播させ、攻撃対象の近くで『エナジー』による攻撃を行う事が出来る能力である。
「ネタがバレると読まれやすくなるからソッコーで倒したかったのに…生意気に防いじゃって、ムカつく」
葉子の言う通り、その『グリット』の弱点は明確で、残弾数と発動した瞬間が分かりやすい事である。
特に残弾数については光の帯で分かるため、実力者同士の戦いになると、敢えて打たせて減らそうと試みる者もいる。
片手分打ち終わらない限り再装填はされないため、いま葉子の右手の帯は、一本分しか残されていなかった。
「(無駄打ちして再装填を待っても良いけど、その時間を測られるのも嫌ね)」
天城を子ども扱いする葉子ではあるが、その天城に対して見せたように、精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。
加えて移り気かつ気分屋な性格だが、一度こなした事は大抵モノにする天才肌でもある。
そのため、今の奇襲を防いだ後方の二人、そして即座に危険性を察知したスバル達前衛を本能的に強敵と認識していた。
「スバルさん、どうするっすか?あれだけ無動作で素早く攻撃が来たら対処しきれないっすよ」
「でもだからって距離を取ったら相手に有利なだけだよ。スバル達には遠距離で攻める手段はないからね」
同じく葉子が実力者である事を再認識したスバル達は、警戒しながらも再度仕掛けるタイミングを図っていた。
「成る程、寧ろ接近戦で攻めた方が彼女の強みを消せるってわけっすね!!」
「そう言う事。スバルはさっき全身の『獣化・獅子』を使っちゃったから、暫くは使えないけど、部分的には使えるから、二人であの帯を使う間も無く攻め続けよう」
「了解っす。でもそれなら後方の二人も呼んで一斉に攻めた方が良いんじゃ?」
一気に攻めるという点と、スバルが全開で『グリット』を使用できないと言う点を考慮して、セナが全員での攻撃を提案するが、スバルは首を横に振った。
「それはダメ。纏ってたらあの攻撃の的になる。一気に全滅する可能性は無いかも知れないけど、一斉にダメージを受けてたら彼女の目論み通りだ。まずはスバル達二人で行こう」
「なるほど、了解っす!!」
今度こそスバルの意図を理解したセナは、グッと両脇で拳を構える。
「後ろは二人で対応できるはず!!スバル達二人で倒すくらいの勢いで行くよ!!」
「おっす!!」
そして、スバルとセナの二人は思い切り良く葉子のもとへと踏み込んでいった。
●●●
「『機槍』─爆円弾」
天城が『機槍』を思い切り良く振り回すと同時に、槍の先端から小型の爆弾が無数に発射される。
着弾と同時に爆発したことで、紅葉が作り出した分身が次々と消えていく。
「む…」
紅葉にとって、分身を消されることはなんら問題ない。
分身一つに使用する『エナジー』量はさほど多くない。減らされたのなら増やせば良いだけである。
しかし天城の使用する『機槍』の爆円弾が問題だった。
「(爆弾の数が多い。これだと私の分身の生成が間に合わないな)」
紅葉の分身生成は決して遅くはない。寧ろ一体の生成にかかる時間は一秒ほどと早い部類に入るだろう。
しかし、天城の『機槍』が放つ爆弾は、一秒に一体以上の分身を消し去っている。
このまま同じ方法で分身を増やしても数が減る方が上回り、意味を無さないだろう。
「(口調から突貫小僧かとも思ったけど、思ってたより考える力もあるようだ。でも少しだけ、強さを誇示する部分とは違う育成感を感じる)」
天城にとっては皮肉と感じるかもしれないが、これは前任指導者である射手島 一羽の育成の賜物である。
地道な訓練の継続と、場面局面における展開、打開の思考など、全ては一羽が教えたものであった。
しかし皮肉なことに、天城はそれが一羽の指導によるものであることには気付いていなかった。
『紅葉さん、どうする?』
爆発音で声が通らないため、イロハが通信機を利用して紅葉に尋ねる。
「そうだね。私のもう一つの能力を使っても良いけど、アレを早く使うにはデメリットが多すぎる」
『私もそう思う。でもこのままじゃ全部消える』
イロハの言う通り、分身体はもとの半分ほどまで減っており、それ程時間が掛からないうちに全て消滅するだろう。
紅葉も、もちろんそれは理解していた。
「そうだね。心苦しいけど前衛交代だ。頼んだよ、立花君」
「お任せあれ!!」
紅葉がそう告げると、後方から吹き飛ぶようにして立花が天城に突っ込んでいく。
「ちっ…」
天城もそれに気付き、『機槍』から爆弾の放出をやめ、立花の豪快なドロップキックを正面から防いだ。
「なんの!!第二段階!!」
しかし、立花にとって受け止められるのは想定内。
キックを受け止めた足先に『空気』を圧縮させ、勢いよく放出した。
その噴射の勢いは凄まじく、地面に残された土で土煙が起き、視界が失われるほどであった。
「不意打ちでこれをやられるとたまらないよね。キャッチしたのが火のついたロケット花火みたいなものだからね」
その攻撃を見ていた紅葉が、同情的な口調で可笑しそうに笑いながら呟いた。
初見であれを避けられるものはそうはいないだろう。しかし、この時、攻撃を仕掛けた立花だけが違和感に気が付いていた。
「(攻撃に手応えがありません!!)」
防ぐ時に使用された槍の感触は今も足に残っている。
しかしそもそも、吹き飛ばしたはずの槍の感触が足に残っていること自体がおかしかった。
「(これは…まさか当たってな……)」
立花が直感的に危険を察知したのと、足に残っていた槍の感触が無くなったのは同時だった。
そして、土煙の中から槍の先端が立花に向けられ────
「『機槍』─爆進」
立花目掛けて無数の小型の爆弾が放たれた。
直後、立て続けに爆発が起き、周囲が揺れるほどの音が響き渡る。
「立花!!」
予想外の反撃に、紅葉が動揺した様子で声を荒げるが、次の瞬間、爆炎の中から高速で後方退避する立花の姿を確認した。
「あ、危なかったです!!足の向き彼の方じゃ無かったら、もっと直撃を受けていました」
爆炎の中から退避してきた立花の身体はボロボロで、防御に使用したであろう両手は火傷を負っており、全身は煙を上げて僅かに焼け焦げていた。
出血も少量ながらしており、受けたダメージが小さくない事を表していた。
次いで爆煙から姿を現したのは、立花とは逆に無傷な姿の天城であった。
「ちっ、結局『光速操作』使っちまったか…まぁ脱落するよりはマシだな」
天城は立花の『大気射出』による空気の放出を受ける直前に『グリット』を発動。
放出速度を上回る速度で真横に回避し、そして反撃に転じていた。
発動までの時間と発動後の速度、そして発動する状況を見極める眼など、これまでに不足していた部分が確かに成長していた。
そして、いまの奇襲を防ぎ、尚且つ無傷な天城の姿を見て、紅葉の表情が変わった。
表面上は余裕のある笑みを崩していなかったが、それまで相手が一人であると思い勝てると思い込んでいた自分の甘さを捨てていた。
「(成る程、これが東京本部のエリートか。その肩書きは伊達じゃないと言うわけだね)」
改めて、天城の強さを認識し、そしてその強さを見誤っていたことを認め、紅葉は考えを改めた。
「カナヨ、イロハちゃん予定変更だ。私達の連携を駆使して彼を全力で倒そう」
先程使用した通信機で、紅葉は後方にいる二人に指示を出した。
『連携…アレをやるってこと?』
『良いんですか、こんなにも早く出してしまって』
カナヨ、イロハ共に不安げな様子であったが、紅葉の考えは変わらなかった。
「出し惜しみして敗れてたら意味がないからね。それなら思い切って使ってしまおうじゃないか。そして彼に見せてあげよう、私達の本当の強さを」
そう言って紅葉は、それまでとは違う不敵な笑みを浮かべた。
※後書きです
ども、琥珀です。
いつもより一時間遅くなってしまい申し訳ありません!
仕事の都合で調整できませんでした…
最近私は動画編集にハマりまして、今はまだ音に合わせて映像を繋ぎ合わせる程度のことしか出来ませんが、いつかはもう少し編集技術を学べればな、と思います。
プログラミングとかはまた種類が違うと思いますが、パソコンに強くなりたいです。
日に日にインドア極めつつあります。
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は金曜日を予定しておりますので宜しくお願いします。




