第305星: 第二部《東京VS東北VS四国》
第二部:東京VS東北VS四国
◆東京本部選抜
唯我 天城 (17)
東京本部に所属する『グリッター』。当時見習いの立場にありながら一羽に認められ、正式な『軍』の『グリッター』へ昇格した。任務を経て一つの殻を破ったが、その後、月影 天星に抜擢されたことで、力を追い求めるようになる。『グリット』は『未光粒操作』で、新時代により現認された光速を超えるタキオン粒子を操る力。未だ未熟な力ではあるが、光速に近い速度と衝撃を出せるようになっている。
佐伯 遥 (24)
東京本部エリート。フレンドリーで明るく、堅物で自尊心の高い東京本部では珍しい友好的な人物。一歩間違えれば仲違いしかねない選抜メンバーをまとめ上げる。
草壁 円香 (21)
東京本部エリート。クールで鋭い目つきが特徴。分析力が鋭く、敵の能力から戦闘面を予測する能力に長けている。指揮力も高いが、エリートが故に能力を過信してしまうことも。
片桐 葉子 (21)
東京本部エリート。移り気かつ気分屋な性格だが天才肌で、一度こなした事は大抵モノにする。その分精神面ではやや幼く、小さな煽りに対して過敏に反応する事がある。
◆東北地方
神守 紅葉 (24)
青森根拠地のエース。頭の回転が速く、盤面を読む力や相手の思考を読むことにも長けた切れ者で、常に笑みを浮かべ精神的余裕がある。
幻詠 カナヨ (22)
青森根拠地の裏エース。低く落ち着いた声を持つ物静かな人物だが浮世離れしており、話す内容は抽象的でスピリチュアルな印象を与える。
矢吹 立花 (22)
秋田根拠地のエース。品行方正で押しが強く、声量も仕草も基本的にうるさい。自己肯定も強いが、それ故に他人を貶すことは無く仲間思い。
隠蓑 イロハ (21)
福島根拠地の選抜メンバー。どちらかと言えばサポート役として貢献し、それを護里が見抜き抜擢した。言葉数は多くないが強さに自負を持ち、自分に自信をつけるべく【大輝戦】出場を受け入れた。
◆四国地方
今獅子 スバル (24)
徳島根拠地のエース。やや熱血な面もあるが努力家で、実力者が集うこの場において最もしっかりとした常識人で、実質的に指揮を取る。
双波 セナ (20)
愛媛根拠地の前衛隊長を務める『グリッター』。真っ直ぐで語尾に「っす!」等をつける後輩的キャラ。近接戦闘における戦闘力が非常に高く、近接に特化した海音に匹敵する感覚を実戦で養い、俊敏な動きで相手を翻弄する。
是衝 椰静 (22)
香川根拠地のエース。寡黙で最低限の言葉しか話さないため若干コミュ障だが戦闘での発言は的確。『戦闘補具』を駆使した戦闘スタイル。
撫子 撫子 (22)
高知根拠地のエース。一人称は『なでこ』。子供の頃から名前で揶揄われていたが、親から『優しい立派な女性になって欲しい』という想いを知っているため、揶揄われると怒る。
激闘となった第一部が終わり、会場修繕のための15分のインターバルが与えられる中、既にフィールド近くには第二部で戦う三地域が出揃っていた。
「う〜…改めて本番になると緊張してきたッス…」
その一角で、四国メンバーの一人、愛知根拠地の前衛体調を務めている双葉 セナが緊張した面持ちを浮かべていた。
「大丈夫!!相手は『メナス』じゃないけど、やる事はほとんど変わらない!!今までやってきた事をやれば良いだけだよ!!」
若干熱血感を感じさせながらも、力強く鼓舞したのは、同じく四国メンバーの一人、徳島根拠地のエース、今獅子 スバル。
スバルの言葉に他のメンバーが頷いているところを見るに、四国メンバーにおける臨時のリーダーはこのスバルが担っていると言って良いだろう。
「大丈夫。勝てる」
短い最低限の言葉を口にしたのは、香川根拠地のエース、是衝 椰静。
今のやりとりだけで寡黙な人物である事が分かるが、しかしその言葉は自信に溢れていた。
「そうだよ。たくさん予習もしてきたし、仲も深められたんだから」
僅かにハスキーな撫声で話したのは、高知根拠地のエース、撫子 撫子。
ふんわりとした雰囲気で、どこかおどおどした様子は、およそ戦闘員とは思えなかったが、それでもやる気には満ちていた。
「そ、そっすね!!全員が力を合わせれば絶対に勝てるっす!!自分も頑張るっすよ!!」
「力み過ぎないでね!スバル達はチームだから!」
スバルの指揮のもと、四国メンバーの統率力、そして指揮は高まっていた。
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「ハハハ。やっぱり見ている側と実際に立つ側だと感じる雰囲気が全然違うね。流石の私も緊張してきたよ」
緊張する素振りなど一切見えない、余裕のある笑みを浮かべているのは、東北選抜、青森根拠地のエースの神守 紅葉。
腰に手を当て、悠々と周囲を見渡していた。
「さすが紅葉さん!!緊張しているなどと言いながら微塵も感じさせないその雰囲気!!敢えて緊張しているような言動をとる事で、皆の緊張を和らげようとしているのですね!!お心遣い感謝します!!」
紅葉の思惑を見抜いた上で台無しにするような発言を大声でしたのは、秋田根拠地のエース矢吹 立花。
全く悪意は無く、寧ろ素直に感謝の言葉を告げているが、紅葉は思わず苦笑いを浮かべてしまっていた。
「大丈夫、緊張はしていません。紅葉さんとのいつもの連携、そして皆さんの力を合わせれば、私達を捉えられる者はいません」
その立花とは真逆に、低く落ち着いた声を持つ物静かな雰囲気で場を中和しているのは、紅葉と同じ青森根拠地出身で、裏エースとも呼ばれている幻詠 カナヨ。
その言動もさながら、本人から放たれている独特な雰囲気が、どこか浮世離れしていた。
「わ、私も出来る限り頑張る…です…」
そのカナヨとは違った意味でか細い声で話すのは、福島根拠地からの選抜メンバー、隠蓑 イロハ。
フードを深く被り顔を隠していることから、内気で控えめな性格であることが分かるが、それでも力になろうと意気込んでいた。
「うんうん。皆んな問題なさそうで何よりだ。私も安心したよ」
同じ四国のメンバーの士気は十分であると確認した紅葉は、笑みを崩すことなく、もう一つの選抜メンバーの方を薄めで見ていた。
「(…さて、急遽組み込まれた突貫のメンバー、東京選抜。エリートが集うと言われている本部の皆様のお手前、拝見させて頂こうじゃないか)」
その笑みは、味方を思う笑みから、どこか不敵な笑みへと変わっていることに、気付いた者は誰一人いなかった。
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「は〜ダル…なぁんで私が『大輝戦』になんて出ないといけないのよ」
フィールドに座り込み、露骨に不満そうな表情を浮かべているのは、東京本部エリートの片桐 葉子。
次々と修繕されていくフィールドを見つめながら、もう何度目になるか分からないぼやきを呟いていた。
「だったら辞退すれば良かった話。受けてからぶつくさ言っているのはカッコ悪いわよ葉子」
クールな口調でそれを遮ったのは、同じく東京本部のエリートの一人、草壁 円香。
その口調もさながら、鋭い目つきが特徴で、普通の人なら見られただけで萎縮してしまうだろう。
「確かに受けたよ?でもさぁ、護里さん直々の辞令よ?断れるわけないじゃん」
それについては否定する事は出来なかったのか、円香は何も言わなかった。
代わりに口を開いたのは…
「選ばれたのはその日の任務が空いてたからだろ。実力で選ばれたとは限らないから断っても迷惑にはならなかったんじゃないか?」
人を小馬鹿にするような口調で言われ、葉子は睨むようにしてその人物、唯我 天城の方を見る。
「何その言い草。ちょっと最近成績が良いからって調子乗ってんじゃ無いわよ」
「気に障ったなら謝るよ。アンタより結果を出してて悪かったな」
堪らず立ち上がった葉子の前に出たのは、他のメンバーよりも柔和な表情を浮かべた人物、佐伯 遥であった。
ここまでの三人に比べると、フレンドリーで明るいイメージがあり、堅物で自尊心の高い東京本部のメンバーの中では珍しく友好的な人物であった。
「まぁまぁ、葉子が選ばれたのは事実なんだから、葉子はそれを誇ってれば良いじゃない!そんで天城君、君の実力は認めるところだけど、目上の人への敬意ってものがあるでしょ?少なくとも今は私達はチームメイトなんだから、戦闘ではともかく、言葉遣いには気をつける事、良いね?」
葉子も天城もこの遥には頭が上がらないのか、それ以上言い合うことはなく、互いにそっぽを向く形で場を収める。
「やれやれ…困ったものね。まぁ結果を出してくれれば私も文句は言えないけどね」
一先ず収まったことに安堵しながら、遥は後ろを振り返る。
舞台は既にほとんど修復されており、開始はもうまもなくといった所まで迫っていた。
「さて皆、もうすぐ私達の戦いが始まるわよ。チラッと見えたけど、どこの選抜も気合いは十分。気を抜けば負けるわよ?」
遥は全員に尋ねるように聞くと、天城は不貞腐れたような様子で答えた。
「ハンッ!気合いだけじゃどうにもならねぇよ。強さってのは実力が伴ってのもんだからな。弱いやつが吠えたところで何も怖くねぇ」
天城の言葉にフムフムと頷く遥の横で、同じく不貞腐れた様子の葉子がこれに続く。
「言いたくないですけどソイツの言う通りですよ遥さん。これでも私達は東京本部の『グリッター』、それも選抜に選ばれる程のエリートです。ただ気持ちだけ込めれば勝てると思ってるような奴らなんかには負けませんよ」
遥はうんうんと頷いた後、最後に円香の方を見た。
「私は別に…ただ、いつも通りの事をして、東京本部の強さを見せつけてあげるだけです」
三人の意見を満足げに聞いた遥は、満面の笑みを浮かべ、口を開いた。
「それが分かってるなら良いよ」
ピリッと遥の雰囲気が変わった事を、三人は一斉に感じ取った。
「護里さんがどう言う理由で東京選抜なんてものを作ったのかは分からないし、そもそも護里さんの考えじゃないかも知れない。けれど、出来上がって出場するからには、私達には負けられない理由がある」
遥の言葉に、それまでバラバラであった三人の表情が一つに纏まっていく。
「出るからには勝利する。負けたら私も含め全員東京本部には居られないくらいの気持ちでいるといなさい。負ける事は許されないわ」
天城と葉子は当たり前だと言わんばかりに頷き、円香は勿論だと言った様子で目を閉じた。
「戦場では好きに暴れてきなさい。サポートは私が一旦に担うから。但し必ず勝つ事。これは個人でもチームでもどっちでも良い。けれど絶対。良いね」
指を立てて宣言した遥の言葉に、全員が頷いた。
それと同時に、舞台に第二部開始のアナウンスが鳴り響いた。
「さて、それじゃあ行きましょうか。東京本部のエリート選抜の名は伊達じゃないってところを、見せつけてやりましょう」
遥の言葉が皮切りとなったかのように、第二部の舞台が幕を開けた。
※後書きです
ども、琥珀です。
手が悴んでタイピング出来ない…
日差しの有無で気温に大きく差が出ることを改めて痛感しております…
太陽って偉大だな…というお話でした
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は水曜日の朝を予定しておりますのでよろしくお願いします。




