表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
334/481

第300星:『戦神』

第一部:北海道 VS 中部 VS 近畿


◆北海道選抜メンバー


加我 真白

 北海道根拠地のエース。あらゆる武器の達人で、『シュヴァリエ』の一人である戦国 巴に憧れている。『グリット』は『投影武器オールマイティ・レプリカ』で、これまで使用・対峙してきた武器をイメージすることで、『エナジー』を使用しライン状にエネルギー体の武器を形成し生み出すことが出来る。


三雲 冴子

 北海道根拠地の裏エース。実力と行動で引っ張るタイプの真白に対し、言葉と知略で味方を引っ張る根拠地の顔。『移転瞬印(ムーブ・マーキング)』で、触れた箇所にマーキングし、自身、又は触れた味方ごとそこへ高速移動できる能力で、連続使用も可能。


能代(のしろ) (そそぐ)

 北海道の構成員の一人。物事に無頓着で、あまり意欲を見せないが、根拠地の面々は信頼しており、頼まれれば行動する。『グリット』は『緩徐侵冷(イロウジョン・ゼロ)』で、時間の経過とともに一定空間内の温度が徐々に下げる事が出来る。北海道メンバーが活動できるマイナス50°で止めることも可能。


真白 冷那 【脱落】

 北海道根拠地構成員の一人。北海道地方は一つしかないため選ばれたが、それでも選ばれた自負はあり、同時に選ばれた責任感を持っている。『グリット』は『氷凍結(フローズン)』で、空気中の水分を凍結させたり、放ったりする。能力としては氷雪地帯において真価を発揮するため、但し雪との相性は良い。『エナジー』切れにより脱落した。



◆中部地方


矢巾(やはば) アズキ 【脱落】

 静岡根拠地のエース。可憐でキュートであると自負する少女。実際それに見合うだけの外観もあり、それに実力も伴っているため人気は高い。『グリット』は『私を見つけて(プリティ・シュリンク)』で、サイズを1センチ程まで縮めることができる他、小さくなった分圧縮された攻撃を放てる。小柄になった時専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『可憐な翼(プリティ・ウィング)』がある。近畿メンバー、織田野々の攻撃により脱落。


小鳥遊 結華 【脱落】

 愛知根拠地のエース。極めて珍しい根拠地所属ながら実家暮らしという、育ちの良いお嬢様で純真無垢な人物。但しいつかはその家系を継ぐために、交渉などにおいては強かさを供える。『グリット』は『境界延離ボーダー・ディスタンス』で、エナジーの残滓を縦に引けば縦に、横に引けば横に空間がズレる特異系な能力。織田野々の攻撃により脱落。


鍜名(かじな) 剣美

 新潟根拠地のエース。剣術の達人で、『現代の上杉謙信』とも言わせしめる程の実力を持つ。口数は少ないが仲間への理解は深く、また情にも厚いため、仲間のことを第一とする。


長野 絵摩(えま) 【脱落】

 長野根拠地のエース。能天気ながら掴み所のない人物で、時に人をからかうお調子者。但し戦況を見極め、状況に応じた動きをするのが上手い。『グリット』は『具現絵化(ライブ・アクション)』で、描いた絵を実体化させる能力。精密に描けば描くほど精巧な作りの出来になる。織田野々の攻撃により脱落。



◆近畿地方


黒田 カナエ

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる万能系の『グリット』。


真田 幸町 【脱落】

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格だが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。『グリット』は『直進邁進猛進(ストレートアクセル)』で、進めば進むほど加速していく。但し加速しすぎると自分でも見えず、立ち止まると徐々に効力を失う。『戦神』と化した剣美の攻撃を受け、脱落した。


織田 野々

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器は持っている。

 鍜名 剣美には二つの二つ名がある。


 一つは『現代の上杉謙信』。


 こちらは二つ名と言うよりは呼び名に近いが、歴史として語られる『初代グリッター(さくや)』よりも更に前に伝記等で記された、伝説の武将の一人として例えられているのである。


 そしてもう一つが『戦神(せんじん)』鍜名 剣美。


 これは、人物と比較して付けられた二つ名ではなく、鍜名 剣美自身が、その持ち前の強さを見せつけた事で付けられた、正真正銘の二つ名である。


 理由は単純にして明快、そのまんまの意味である。


 『戦の神』。即ち戦闘に於いて神という名を戴冠するに相応しいとされた、最強の称号である。



「おいおいおい…ついに動き出したぞ『戦神』が」



 同じ地域のメンバーであり、その中で最も近接戦闘に優れていた幸町が敗れ、近畿メンバーは再び集結していた。



「アレよね。『戦神』の二つ名って、『シュヴァリエ』を除けば最強とまで呼ばれるに至ったっていう」

「事実かどうかは知らんが、50にも及ぶ『メナス』の総進撃を、仲間を逃がしつつ一人で全て撃退したのが経緯だったか?事実だとしたらマジモンの化け物だな」



 野々、沙月が他所よりも高い岩場の上から剣美を見下ろしながら呟く。


 当然、その位置は剣美の目にもつくわけで、その視線が近畿メンバーにも向けられた。


 瞬間、まだ距離があるにも関わらず、野々達の立つ場所には足が竦むような重圧がのしかかっていた。



「…ははは!!おいおいどうやら噂は事実のようだぞ!!」

「…みたいね。正直全力で逃げ出したいわ」



 野々は気丈に、沙月は気怠そうにこれに応じた。


 対して、これまで饒舌であったカナエは、黙ったままの状態であった。



「おい、どうするんだカナエ。彼奴の牙がいつこっちに向くか分からないぞ。早めに指示を出せ」

「分かってますとも。沙月殿から貰った矢もあと一本しかありませんし、これが最後のチャンスですからね」



 野々は一瞬、剣美の圧にあてられ、戦意を喪失した可能性を懸念していたが、カナエはそんな様子は微塵も感じさせず、知恵を振り絞っていた。



「野々さん、真正面から剣美さんとぶつかったら、どのくらいやりあえますか?」

「それは我の『グリット』無し、且つ、今の彼奴の状態とでの話か?」

「そうです」



 条件を聞き出した上で、野々は僅かに考えた末、直ぐに答えた。



「まぁ()()()()()()()。そもそも彼奴の『グリット』と我の『グリット』は相性が悪いからな。仮に使ったとしても十分だな」

「…野々さん程の方をしてそこまで言わせますか。沙月さんの援護があっても?」



 今度は視線を沙月に向けるが、沙月は困った様な表情で、頰を掻きながら答える。



「いやぁ五分五分にもっていくのも無理だと思うな。最初の状態でもあの剣捌きの速度でしょ?そこから更に早く鋭くなってるんだとしたら、こっちも相応に矢の速度を上げないといけないけど…」



 うーん、と考え込む沙月は、その後何度か首を横に振った。



「あの攻防に私が割って入るのは危険かな。矢の速度を上げるのに比例して、どうしても精度が落ちちゃうから、下手したら野々ちゃんを巻き込みかねないもの」

「心配するな。そんな事をしたら先ずは貴様からフィールドの外に押し出してやる」

「ほら、こんなこと言ってるし」



 ジーッと睨み合う二人を他所に、カナエは思考を続ける。



「貴様こそどうなのだ。いつもならもっとスラスラと作戦やら戦略やらを思い付くだろ」

「そだね。考え込むのは大切だけど、らしく無い気はするね」

「そりゃ私だってここまで混沌とした状況ともなれば考えますよ。気温はマイナス50より下がって、常人なら活動出来ない気温にまでなってる。これを定期的に体感してる北海道メンバーが優位な状況で、『シュヴァリエ』を除けば最強と謳われる剣美さんが覚醒し出したわけなんですから」



 確かに、と納得する沙月の横で、野々が引っかかた箇所を指摘する。



「おい、いま覚醒し出したと言ったな?剣美が()()()()になるには、何か条件があると言うことか?」



 カナエは僅かに黙り込んだ後、小さく頷いた。



「確証のない事を仮説に立てて戦略として練るのはポリシーに反するので、話しませんでした。これは許してください」



 と前置きをした上で、カナエはその仮説について説明をしだす。



「剣美さんの()()()()、まぁここは噂名通り『戦神』と仮称しますが、アレは恐らく、本人がキレた時になります」



 いざ説明をすると、野々と沙月はポカンとした様子を見せる。



「キレるって、あれ?怒った時とかの感情を表す…」

「それです」

「うっそ〜…」



 沙月はただただ呆然とするばかりであり、野々は呆れた様にため息を溢した。



「仮にも最強を名乗る状態が、怒りとはな。拍子抜けの様に思えるが…」

「あ、でもキレると言っても、他者に対してキレるわけではないようです。味方を守れなかったり、敗北しそうになったりすると『戦神』状態になると聞いたことがあります」



 続けざまの情報を経て、野々の表情が若干変わる。



「…なるほど?自分自身の不甲斐なさ、つまりは自責の念に駆られると、『戦神』になると言うわけか。とんだネガティブな奴よの!」



 愉快そうに笑う野々の隣で、沙月は考え込んだ様子で呟く。



「でもさ、それってつまり、彼女を『戦神』にしちゃったのは私達のせいってことじゃない?」



 その意見に対して、カナエが何かを言おうとする前に野々が答えた。



「いや、遅かれ早かれだろう。どちらにせよ我々は明日の舞台を目指してここでの勝利を目指している。状況は違ったかもしれんが、我々が勝ちを目指す以上、いずれ中部メンバーは敗れていただろうし、そうなれば彼奴も『戦神』に成っていた。我々の責任ではないぞ」



 野々の意見に、カナエもうんうんと頷いた。



「逆を言えば幸町はタイミングが悪かったな。勢いのついた彼奴を止めるのは容易く無いが故に、『戦神』になった剣美にやられてしまった。幸町がいればまた違ったであろうからな。惜しい奴を失った」

「純粋なうちの前衛って幸町ちゃんだけだからね」

「幸町さんは向こうの前衛組を上手く抑え込んでくれてました。残酷な言い方ですが、今は居ない人の話をするのはやめましょう。特に、私達はこの環境下では体力と体温を削られるわけですし」



 カナエの意見に、二人も同意する。



「しかし動こうにもこうも手詰まりとなるとな。我はそう簡単に負けることはないが、流石にあのレベルともなると絶対は無いと思い知らされる」

「ほんと、一人であの境地とか、一体どんな修行とか訓練積んでるんだろうね」



 と、何気なく溢された沙月の一言に、カナエが敏感に反応した。



「沙月殿!!いまなんと仰いました!?」

「うえっ!?い、いや、一体どんな修行したんだろうな〜って…」

「その前!!」

「その前…って、一人であの境地ってとこ?」



 その部分を聞いた後、カナエは最後の矢を突き立て、火を灯す。


 そしてその火で凍えかけた身体を温めながら、直ぐに思考に入った。


 野々と沙月の二人は互いに顔を覗き込み首を傾げながらも、カナエが点けた火を囲い、自身達も体温を温めていった。


 時間にして一分。カナエはバッと顔をあげると、二人の方を見た。


 その表情は、何かを閃いた智将らしい表情であり、野々と沙月の二人もニッと笑みを浮かべた。






●●●






「皆さん、この場面をしっかりと見ておくように。恐らく、ここが最終局面になるはずです」



 これまで戦いを静観していた咲夜が、関東メンバー全員に声をかける。


 その言葉に全員が頷くなか、朝陽は好奇心から咲夜に尋ねた。



「……先生の予想では、勝利するのはどの地域だと思いますか?」



 咲夜は朝陽の方をチラッと見た後、僅かに考え込んだのち、首を横に振った。



「残念ながら分かりません。個の実力を見るのなら、変貌を遂げた中部の剣美さんに分があります。しかし、北海道メンバーには優位な環境と人数差、そして連携力があります」



 咲夜は「ただ…」と少し離れた場所に位置する近畿メンバーを見つめた。



「彼女…黒田カナエさんなら私以上にこの局面を打開し、勝利を掴むための道筋を考えているはず。勝敗の鍵は、彼女にあると言っても過言ではありません」



 朝陽は改めて、指揮を取る人物の凄さを理解させられていた。


 同時に、自分達がこれまでどれほど大和や咲夜に救われていたのかを痛感させられていた。


 緊迫の第一部。戦いの幕はもう間も無く降りようとしていた。

※後書きです







ども、琥珀です。


祝、本編300話到達〜(拍手)


飽きっぽい私がまさかの300話到達に、ちょっとだけ自己満足に浸ってます。


しかしながら、本編は恐らくまだ三分の一も進んでません。

これからも執筆して、完結を目指して頑張りますので応援宜しくお願いします。


赤文字で表記される応援なんか特にモチベに繋がります←


本日もお読みいただきありがとうございました。

明日も朝更新予定ですのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ