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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
330/481

第296星:マイナス50度の世界

第一部:北海道 VS 中部 VS 近畿


◆北海道選抜メンバー


加我 真白

 北海道根拠地のエース。あらゆる武器の達人で、『シュヴァリエ』の一人である戦国 巴に憧れている。


三雲 冴子

 北海道根拠地の裏エース。実力と行動で引っ張るタイプの真白に対し、言葉と知略で味方を引っ張る根拠地の顔。


能代(のしろ) (そそぐ)

 北海道の構成員の一人。物事に無頓着で、あまり意欲を見せないが、根拠地の面々は信頼しており、頼まれれば行動する。『グリット』は『緩徐侵冷(イロウジョン・ゼロ)』で、時間の経過とともに一定空間内の温度が徐々に下がっていく。北海道根拠地メンバーが十分に活動できるマイナス50°で止めることも可能。


真白 冷那

 北海道根拠地構成員の一人。北海道地方は一つしかないため選ばれたが、それでも選ばれた自負はあり、同時に選ばれた責任感を持っている。



◆中部地方


矢巾(やはば) アズキ 【脱落】

 静岡根拠地のエース。可憐でキュートであると自負する少女。実際それに見合うだけの外観もあり、それに実力も伴っているため人気は高い。『グリット』は『私を見つけて(プリティ・シュリンク)』で、サイズを1センチ程まで縮めることができる他、小さくなった分圧縮された攻撃を放てる。小柄になった時専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『可憐な翼(プリティ・ウィング)』がある。近畿メンバー、織田野々の攻撃により脱落。


小鳥遊 結華

 愛知根拠地のエース。極めて珍しい根拠地所属ながら実家暮らしという、育ちの良いお嬢様で純真無垢な人物。但しいつかはその家系を継ぐために、交渉などにおいては強かさを供える。


鍜名(かじな) 剣美

 新潟根拠地のエース。剣術の達人で、『現代の上杉謙信』とも言わせしめる程の実力を持つ。口数は少ないが仲間への理解は深く、また情にも厚いため、仲間のことを第一とする。


長野 絵摩(えま)

 長野根拠地のエース。能天気ながら掴み所のない人物で、時に人をからかうお調子者。但し戦況を見極め、状況に応じた動きをするのが上手い。『グリット』は『具現絵化(ライブ・アクション)』で、描いた絵を実体化させる能力。精密に描けば描くほど精巧な作りの出来になる。



◆近畿地方


黒田 カナエ

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる。


真田 幸町

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格。どんな敵にも真っ向から挑むため時に窮地を招くが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。


織田 野々

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器は持っている。

「ゲホッ!ゴホッ!」



 『氷柱結界』が砕け散り、その衝撃で冷那と雪の二人は吹き飛ばされていた。


 そんな状況下で、冷那はがっしりと雪を抱き抱えると、巻き上がった爆煙に隠れ、一つの岩陰へと移動した。



「はぁ…はぁ…これが、最後の『エナジー』……」



 そう言うと冷那は、未だ意識を集中させて動かない雪の前に手を添え、ゆっくりと冷気を発していく。


 雪本人を凍らせないように、その周囲を凍らせていく。



「ゼッ……ハッ……ゼッ……これで、少しは……大丈夫……」



 最初に展開した『氷柱結界』に比べれば、本人の周囲に展開しただけの小規模なものではあったが、それでも一人を守るには十分な厚みがあった。



「あとは……お願いね……雪ちゃん」



 息も絶え絶え。差し出していた手も伸ばせず地べたに下ろしてしまうほど脱力する冷那の言葉に、僅かではあったが、雪が小さく頷いた。


 それを見た直後だった。



「残念だが、嬢ちゃんはここまでだな。『エナジー』が切れて立つことさえ出来ないだろう。審判判断(ジャッジアウト)宣言するけど良いね?」



 いたの間に接近してきたのか、フィールド内で経過を見ていた、『シュヴァリエ』、京極 俊雅が直ぐ側で問いかけてくる。


 驚く力も無いのか、それともこうなることを分かっていたのか、冷那は脱力した様子ながらどこか満足げに深く頷いた。


 それを確認すると、俊雅は観戦スペースにいる自分と同じ『シュヴァリエ』、結束 移魅に目配せし、移魅もそれを察し腕を伸ばした。


 すると冷那の目の前に謎の空間が現れ、飲み込まれるようにしてその姿を消していった。


 目を瞑っていた冷那が目を開けると、気が付けば北海道メンバー用に設置された観戦用スペースに座っていた。



「これが『シュヴァリエ』かぁ……やることなす事が神業だなぁ」



 そんな事を言いながら、北海道メンバーで唯一脱落した冷那は、余った広いスペースで大の字になって横になる。



「はぁ〜……役割的にこうなるかもしれないって、事前に冴子さんに聞いてたとはいえ、やっぱ身内で一番最初に脱落ってのは、何か辛いな……」



 冷那のネガティブな発言とは裏腹に、その功績は十分と言えるだろう。


 冴子の考えた作戦を実行するために、自らの役割を全うし遂行。


 結果として、現状フィールドは北海道メンバーに大幅に有利な状況にまで持ち込む事に成功している。


 これは、ひとえに冷那が時間を稼ぎ雪を守り抜いたからに他ならない。



「……やるべきことはやった。勝ち進めば、脱落した人も明日の試合には出れる。あとは皆を信じるしかないね」



 ゆっくりと起き上がった冷那は、自分が最後の最後で思いついた起点が功を奏している様子を見て、不敵に笑った。






●●●






「…おい、どうなってる。お前の想定よりもこの気温(事態)は遥かに早いぞ」



 そう尋ねたのは近畿メンバーの織田野々。


 理由は、気温がカナエの予想よりも遥かに早く()()()()()()()()()()()()()()()()()()



「す、すす素直に申し訳ない。これは私も予想だにしていなかったことです」



 通常の戦闘員よりも肉体的には弱いカナエは、身体を温めるように擦りながら、素直に謝罪する。


 冷那が最後に仕掛けた策は、見事にカナエの裏を取る事に成功していたのだ。



「謝るのは良い。それよりもなぜ急激に気温が下がった?」



 野々はカナエを責めるようなことはせず、この不可解な現象についての説明を求めていた。



「ま、まままぁ端的に言えば、私達の狙いを利用された、といったところでしょうか。り、りり理論的に言えば、我々に『氷柱結界(あの壁)』を敢えて溶かさせ壊させる事で、た、たた大気の水分量を増やす。そそそして、それを擬似的に凍らせる事で、周囲の温度を更に急激に低下させた。即ち、マイナス50度の世界へ誘った、とまぁここここんな感じですかね」



 寒さに震えるカナエから説明を受けた野々は、納得しながらも感心したように頷いた。



「彼奴が退場する前からただならぬ雰囲気を感じてはいたが、我が身を犠牲にして一矢報いたというわけか。敵ながら見事よ」



 上から目線ではあるものの、自身が上だという自負がありながら敵を褒め称えるその姿は、どこか貫禄を感じさせた。



「して、どうするのだカナエ。今はまだ大きな影響には至っていないが、十分もすれば流石に身体に影響が出始めるぞ」



 マイナス50度の世界を一見全く意に介していないような様子を見せる野々とは対照的に、野々は身体を擦り、歯をガチガチ鳴らしながら、必死に知恵を振り絞る。



「よ、予想外の事態ではありますが、そ、そそ想定内の状況ではあります。こ、こここれで北海道メンバーは、ゆ、ゆゆ有利な状況になったわけですから、こ、こここから一気に攻勢に出るはずです。そ、そそそうなれば元の作戦通りにいくはずです」



 カナエが元よりたてていた作戦は継続しているが、その当の本人であるカナエは、早くも限界が訪れていた。


 元々カナエは、戦闘による『戦果』ではなく、持ち前の知識で上げた『成果』で選抜に選ばれたメンバーである。


 その為、『グリッター』ではあるものの、戦闘員に比べると、やや肉体的強さは他の面々に劣る。


 その差が早くも出ている状況であった。



「(此奴のことだ。明日のことも考えて色々と温存しながらの戦いを計算しているのだろうが、こういった状況となったいま、下手をすれば却って体力を削られかねん。場合によっては……動くとするか)」



 カナエの作戦を信用しながらも、野々はその裏で密かに自信の『グリット』を発動できる用意を進めていた。






●●●






「シッ!!」

「はぁ!!」

「とぉ!!」



 そこから少し離れたところでは、剣美、真白、幸町の三人が互いに刃をぶつけ合っていた。


 三者の実力はほぼ互角。


 幸町は加速を続け、その勢いを武器に渡り合い、真白は様々な武器の投影とそれを駆使した技術で、そして剣美は他の追随を許さない剣捌きで、それぞれ戦いあっていた。


 がしかし、真白はこのままではいずれ敗れることを理解していた。


 自分、そして幸町が『グリット』を駆使することで互角に持ち込んでいるのに対して、()()()()()()()()()()使()()()()()()()


 その状況が続けば、いずれ自分と幸町の『エナジー』が尽き敗れるだろう。


 恐るべきは剣技だけで二人と渡り合える剣美の強さだが、もう一つ真白にとって誤算だったのが、二人の動きがあまり鈍っていないこと。


 既に体感的にはマイナス50度には達している筈だが、2人の動きが鈍っている様子はない。


 理由は単純。動き続けているからである。


 そのため、肉体的に凍えることはなく、従来と同じレベルで動くことが出来ているのだ。



「(剣美さんは加えて新潟根拠地出身…寒さにもある程度耐性がある。それを考えれば、幸町さんが一番最初にバテるはず…!)」



 真白の現在の狙いは幸町であった。しかし現状幸町にその気配は一切見られない。



「(薄々分かってたけど、もしかして幸町さんって『エナジー(スタミナ)』お化けかな!?)」



 そもそもの『グリット』が『直進邁進猛進(ストレートアクセル)』という肉体を酷使するものである。


 それを選抜で使用できる程に高めているのだから、最初に体力切れを起こすという狙いは待ち損かもしれない。


 そう考えを切り替えた真白は、戦闘スタイルを変える事を決めた。



「行くよ、()()!!」

「はい、絶好の機会です!!」



 その瞬間、それまで姿の見えなかった冴子が真白の直ぐ背後に現れた。



「「!?」」



 驚く剣美と幸町を他所に、冴子の身体が淡く輝きだし、それに包まれるように真白の身体も輝き出す。



「…ッ!!」



 次の瞬間、二人の姿はなく、一瞬見失った後にその背後に気配を感じ取った剣美が、間一髪のところで対応する。


 ぶつかった勢いを利用して距離を取った剣美であったが、自分が相手を見失った事への驚きと、ギリギリまで追い詰められた事に心臓の鼓動を早めていた。



「仕留め損なった」

「大丈夫です。そこらかしこにマーキングはしてあります。このまま一気に持っていきましょう」



 その会話を耳にした剣美が、ようやく自分を追い込んだ状況の事を理解した。



「…なるほど、今のが三雲 冴子さんの『グリット』、『移転瞬印(マーキング・ムーブ)』ですか」



 そう言うと剣美は太刀を鞘にしまい、これまでとは違う、更に腰を落とした姿勢を取った。

※後書きです






ども、琥珀です


私は戦闘は遠距離戦闘よりも近接戦闘の方が好きで、それも出来るだけ高速戦闘の方がテンション上がります。


ゲームやアニメでの超早いアクションはもちろん、特撮などで見られる高速戦闘も大好物です。


その為か、必然的に私の戦闘シーンもそういった傾向になってしまうんですよね…


これが読者の皆様に取って良い方向に働いていることを祈るばかりです…


本日もお読みいただきありがとうございました。

明日も朝更新予定ですので、宜しくお願いします。

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