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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
10章 ー開幕:『大輝戦』編ー
326/481

第292星:思考の間

第一部:北海道 VS 中部 VS 近畿


◆北海道選抜メンバー


加我 真白

 北海道根拠地のエース。あらゆる武器の達人で、『シュヴァリエ』の一人である戦国 巴に憧れている。


三雲 冴子

 北海道根拠地の裏エース。実力と行動で引っ張るタイプの真白に対し、言葉と知略で味方を引っ張る根拠地の顔。


能代(のしろ) (そそぐ)

 北海道の構成員の一人。物事に無頓着で、あまり意欲を見せないが、根拠地の面々は信頼しており、頼まれれば行動する。『グリット』は『緩徐侵冷(イロウジョン・ゼロ)』で、時間の経過とともに一定空間内の温度が徐々に下がっていく。北海道根拠地メンバーが十分に活動できるマイナス50°で止めることも可能。


真白 冷那

 北海道根拠地構成員の一人。北海道地方は一つしかないため選ばれたが、それでも選ばれた自負はあり、同時に選ばれた責任感を持っている。



◆中部地方


矢巾(やはば) アズキ 【脱落】

 静岡根拠地のエース。可憐でキュートであると自負する少女。実際それに見合うだけの外観もあり、それに実力も伴っているため人気は高い。『グリット』は『私を見つけて(プリティ・シュリンク)』で、サイズを1センチ程まで縮めることができる他、小さくなった分圧縮された攻撃を放てる。小柄になった時専用の『戦闘補具(バトルマシナリー)』、『可憐な翼(プリティ・ウィング)』がある。近畿メンバー、織田野々の攻撃により脱落。


小鳥遊 結華

 愛知根拠地のエース。極めて珍しい根拠地所属ながら実家暮らしという、育ちの良いお嬢様で純真無垢な人物。但しいつかはその家系を継ぐために、交渉などにおいては強かさを供える。


鍜名(かじな) 剣美

 新潟根拠地のエース。剣術の達人で、『現代の上杉謙信』とも言わせしめる程の実力を持つ。口数は少ないが仲間への理解は深く、また情にも厚いため、仲間のことを第一とする。


長野 絵摩(えま)

 長野根拠地のエース。能天気ながら掴み所のない人物で、時に人をからかうお調子者。但し戦況を見極め、状況に応じた動きをするのが上手い。『グリット』は『具現絵化(ライブ・アクション)』で、描いた絵を実体化させる能力。精密に描けば描くほど精巧な作りの出来になる。



◆近畿地方


黒田 カナエ

 兵庫根拠地きっての智将。近畿の平穏にこの人有りとまで言われ、近畿では犬猿の仲である奈良や大阪の根拠地からも一目置かれている。『グリット』は『念通信(テレパシー)』で、自身のエナジーを飛ばして脳内に語りかけるものだが、それだけに留まらず、自身の考えを理解できるように断片的に送り込むことも可能。


射武屋 沙月

 奈良根拠地のエース。明るく前向きながら冷静で、矢の腕には自信がある。個性的なメンバーが揃う近畿メンバーを纏めるリーダーシップ性も備わっている。『グリット』は放った弓に様々な効果を付与する『付乗の矢アタッチメント・アロー』で、局面を打開する爆破や、壁を貫く高速の矢など、様々な場面に対応できる。


真田 幸町

 京都根拠地のエース。猪突猛進、直往邁進の恐れ知れずで真っ直ぐな性格。どんな敵にも真っ向から挑むため時に窮地を招くが、基本的に素直な性格のため、止まれと言われれば止まる。また、無闇に突っ込んでも勝てる実力も備わっている。


織田 野々

 大阪根拠地のリーダー。傲岸不遜で唯我独尊で傍若無人。自分こそが次に選ばれる『シュヴァリエ』と疑わない。基本的に京都根拠地とは犬猿の仲で、特にリーダー格である武田晴風とは仲が悪いものの、忠実で真っ直ぐな真田はそこまで嫌っていない。傲慢な性格ではあるが、それに見合う器は持っている。

「ごめんなさい剣美さん、アズキちゃんをやられちゃった」



 追撃に出ていた絵馬と結華が剣美の下へ合流し、自分達の失態を報告する。



「仕方がありません。私でさえこれが誘導であると気づけませんでした。チーム戦であるというのに、皆さんに追撃を任せ、私一人で戦いを挑んでしまいました。私の責任です」



 メンバーを一人落とされたなかで、剣美は絵摩と結華を責めることなく、寧ろ自分に非があると発言した。



「黒田カナエさん…噂には聞いていましたが、それ以上の方ですね」

「だね〜…どうする?一応他にもプランはたててきたけど…」



 絵摩は筆と紙、そして巻物を構えつつ、剣美に意見を尋ねる。



「一度これまでに建てた作戦は捨てましょう。考え合いでは勝ち目がないことは、今の攻防だけで十分に分かりました」

「分かりました。では……どうなさいますか?」



 剣美の考えに賛同しつつ、結華は次の動きを剣美に委ねる。



「まずは別行動を控えましょう。孤立すればするほど、彼女の作戦のツボにハマります。逆に固まっていれば、隙がなくなる分、カナエさんの知略も打開出来るはずです」



 結華、絵摩の二人は、剣美の言葉に頷く。



「その上で、彼女の知略を、()()()()()()()()()()()



 がしかし、その後に続けられた言葉に、二人は声を上げて驚く。



「そ、そんな強引な作戦で宜しいのですか?時間を掛ければ他にやりようがあるのでは?」

「理由は二つあります。一つは先程も申したように、考えて動く作戦の練り合いでは私達が不利です。寧ろ罠に嵌められる可能性があります。だからこその、究極の極論、力押しでねじ伏せるのです」



 最初こそ驚いていた二人であったが、剣美の言葉を聞くうちに、それが一番有効であると考え始めていた。


 先に実行した連携技は、この短期間で考えた中でも最も速効性が高く、そして実行した中で最も成功率の高いものでもあった。


 それが破られるどころか読まれていたとなると、剣美の言う通り、知略の練り合いでは勝ち目がない。


 だからといってただ待つだけでは、相手に考える時間を与えて益々不利になるだけ。


 となれば、現代の『上杉謙信』と呼ばれる程の実力者である剣美を基点に、攻めの姿勢を見せるのが最も有効だろう。



「力押しで行くのにはもう一つ理由があります」



 納得しかけていた二人に、剣美は指を一本たて、そして指先だけをグルリと回した。



「お気付きでしょうが、周囲の気温がドンドン下がっています。これは、北海道メンバー、能代(のしろ) (そそぐ)さんの『グリット』によるものです」



 それは二人も気付いていた。


 フィールド内は既に、万能性の高い軍服を纏っていても、僅かに肌寒さを感じる程までに下がりつつあった。



「皆さんもある程度は大丈夫でしょうが、特に私は寒さに対して耐久性があります。しかし、それでもこのまま気温が下がり続ければ、私でさえ活動に支障が出ます。ですから、あまり時間をかけている余裕は無いのです」



 なるほど、と二人が頷いた後、結華がある事に気が付く。



「それでは、狙いは近畿メンバーではなく、北海道メンバーに切り替えるということでしょうか?」



 結華の問いに、剣美は静かに頷いた。



「やむを得ません。このままでは彼女達にとって有利な状況を作られつつ、更に私達だけで戦っていてはただの消耗線です。恐らくですがカナエさん達近畿メンバーも、そして北海道メンバーもそれは予想がついているでしょう」



 その後のことことは剣美は口にしなかった。


 自分達がただそう動かざるを得ないように誘導されているなどと言ってしまえば、士気に関わると考えたからだ。



「(黒田カナエ氏にばかり目が行きがちですが、カナエ氏にその選択肢を選ばせている北海道メンバーの者も中々の曲者。その知略は残念ながら私では及ばない)」



 剣美は決して力押しを好む単純な性分ではない。


 冷静に戦況を見極めながら、味方の動きを指揮しつつ、自身も前線で力を発揮するリーダータイプである。


 しかし、相手がハッキリとした智将レベルともなると話は別である。


 剣美の戦略的なレベルは、カナエ、冴子に比べると並である。


 その差を覆すべく、連携技を考案したり、速攻での決着を挑んだものの、()()()()()()というものを侮っていたために、それを逆手に取られてしまったのである。


 とどのつまり、剣美は自分の考案したプランと行動の浅はかさに責任を感じていたのである。



「(独りよがりになるつもりはありません。ですが、私の浅はかな考えでアズサさんを落とさせてしまった失態は、取り戻して見せます)」






●●●






「(と、剣美さんなら考えてそうですよねぇ〜)」



 絵摩達が合流したあと、その後を追うようにして、カナエと野々の二人も幸町と沙月に合流していた。


 そしてその間にも頭を働かせていたカナエは、剣美の性格と思考を理解した上で、次に取るであろう行動とその理由まで汲み取っていた。



「おい、本当にここから彼奴らは北海道メンバーを狙うのだろうな」

「えぇえぇ、間違いありませんとも。彼女達にとっても、そして私達にとっても、この状況を放っておくことに何のメリットもありませんからね」



 野々の問いに自信満々に答えたカナエであったが、一つだけ懸念点があった。



「幸町殿、一つだけ確認したいことがあるのですが…」

「はい!なんでしょう!!」



 先程まで剣美と激戦を繰り広げていた幸町に対し、カナエが尋ねる。



「いま剣美さんと打ち合った感じ、どんな感じでしたか?」

「正直なところ、()()()()()()()()()()()()!!私の『グリット』がフル活用されれば少しは別ですが、真正面から打ち合ったらまず勝てませんね!」



 ハッキリと言うべきことでは無いが、しかし自分の方が劣っているとハッキリと定めた上で伝えてくれるのは、カナエとしてはありがたかった。


 しかしそれは同時に、カナエのプランに一つの懸念要素を付与することに繋がった。



「(う〜ん、まずいですね。予想していたとは言え、やはり鍜名(かじな) 剣美さんの実力は化け物級。幸町さんに沙月さんを付け加えれば互角レベルの戦いは出来そうですが、これから三つ巴になることを考えるとあまり好ましく無い…最悪野々さんの『グリット』に頼るにしても、互いに近接戦闘を得意としていることを考慮すると、二人にも攻撃の余波が当たりかねません。それは選択肢としてまず外さなければなりませんが…)」



 悩みはしていたが、カナエは既に答え自体は見出していた。



「(一対一でキツイのであれば、一対一対一の状況を作り出せば良いだけのこと。つまりは、北海道メンバーで最強と謳われる加我 真白さんを間に入れれば、漁夫の利を得ることは十分可能)」



 そして、現状のままでいけば三つ巴の戦いに発展するのは時間の問題であることは間違いない。


 問題はどうやってその状況を作り出すか、にあった。



「(北海道選抜なんて言ってはいますが、実際はあの巨大な敷地面積を支部に分けてるとは言え一つの根拠地でまとめ上げてる連中です。その連携力は、申し訳ないですが先程の中部メンバーの連携攻撃とは比べものにならないはず…つまりは、彼女達は孤立しての動きは絶対にしない。そうなると、幸町さんと真白さん、そして剣美さんで一対一対一の状況を作り出すのは難しい…)」



 と、その時、カナエの頭脳がすぐさまその解決策を閃いた。



「お!さっすが私!!思いついちゃいましたよ〜!!」



 突然大声を上げたものの、近畿メンバーは慣れているのか、誰一人として驚かず、そして反応しなかった。


 それは言ってしまえば、こう言った時のカナエの発想と作戦に信頼を置いていることを意味していた。



「(向こうが誘いに乗らないのなら、こっちがその状況を作ってやれば良いだけのことです!!)」



 作戦を思いついたカナエは、早速自身の『グリット』を使用し、作戦を伝えて行った。


 その内容は……

※後書きです







ども、琥珀です


新年、琥珀製お年玉、連続更新2日目です


私の仕事は朝番というものがあるのですが、地獄です。

朝が早いことが地獄なのでは無く、朝の寒さが地獄です。


着替えて寒い、外に出て寒い、車に乗って寒い、職場で寒い。

暖かい空間が欲しい…そんな冬の琥珀でした。


本日もお読みいただきありがとうございました。

明日も更新予定ですので宜しくお願い致します。


マイページに赤文字で表示されるお年玉もまだまだ大歓迎ですのでお待ちしております。

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