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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
2章 ー小隊編成編ー
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第29星:小隊

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。新しい環境で新しいことに挑もうとするが…?


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めているが、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『天照す日輪イノセント・サンシャイン』を覚醒させ、仲間の命を救った。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。戦場に現れた妹の朝陽の危険にいち早く勘付き重傷を負う。現在は療養中。


樹神 三咲 (22)

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。


佐久間 椿(22)

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。

 鳴り響いた警報と同時に、根拠地のグリッター達は即座に準備を進め、10分と経たないうちに集合していた。


 そこへ、大和から呼び出されていた朝陽達三人と、指揮官である咲夜も合流する。



「皆さんお待たせしました。準備は整っているようですので、このまま今回の作戦を説明します」



 既に準備が完了していることに密かに感銘を覚えながら、咲耶はメンバーに今回の作戦の趣旨と要綱を伝える。


 当然、一同は驚きの表情を浮かべていた。


 しかし、今回の戦況、咲耶の判断、そしてなにより小隊化反対派筆頭であった三咲がこの件を商談したことを知り、強く反対するモノは誰一人いなかった。



「作戦内容は今お伝えした通りです。次に小隊のメンバーを伝えます。編成は四人一組。名前を呼ばれた者から順に素早く集まり、事前の話し合いを行っておくように」



 咲耶の言葉に反論する者はおらず、一同は頷く。


 突然の小隊編成での戦いでありながら、ここまであまり動揺を見せていない一同だったが、ここに大和が行ってきた下積みが効果をもたらしていた。


 大和はこの一週間、ひたすらメンバー間でのコミュニケーションを重視する訓練を行うよう咲耶に指示を出してきた。


 それは、メンバー間同士の理解が十分ではないと感じたからだ。


 咲耶もこれに同意し、自分の能力の理解と応用、そしてメンバー同士の能力の相乗効果をより効果的に発揮すべく、実戦と対話を兼ね備えた訓練(くみて)を行ってきたのである。



「(もちろん、それを力に変えたのは彼女達自身の素直さと勤勉さによる努力の賜物。今回の戦闘でそれを十分に発揮していただきたいものですが…)」



 咲耶は心の底でそう願いながら、タブレット型端末を手に取り、小隊メンバーを伝え始める。



「それではまず、樹神 三咲を隊長とした小隊です。

椎名 紬(しいな つむぎ)八条 凛(やじょう りん)大刀祢おおとね タチ、以上三名」



 名前を呼ばれた三人は返事をし、咲夜から何かを受け取ると、それぞれ三咲が待つ場所へと移動していく。


 それを見届けて、咲耶は再び端末に目を向ける。



「次いで佐久間 椿を隊長とした小隊です。

写沢 七(うつりざわ なな)重祢 言葉(かさね ことは)海藤かいどう 海音あまね、以上三名」



 海音だけ必要以上に大きい声で返事を返したのち、ダッシュで椿の下へ。


 それに続くように、残った二人も移動いていく。



「最後は斑鳩 朝陽を隊長とした小隊です。

譲羽 梓月(ゆずりは しづき)久留 華(ひさどめ はな)曲山 奏(かねやま かえで)、以上三名です」



 こちらもそれぞれ返事をし、集まっていく。しかし、咲耶の前には三名程人が残っていた。



「今ここに残っている、私市(きさいち) 伊与(いより)早鞆(はやとも) 瑠衣(るい)矢々(やや) 優弦ゆづるの三名は、今後復帰する斑鳩 夜宵の小隊に配置されます」

「じゃあ…今回は、どうする…の?」



 疑問に思うであろう問いに、咲耶も当然答えを用意してあった。



「前回の戦闘のように不測の事態が生じる場合もあります。今回あなたがた三名は私の指揮の下、根拠地(ここ)の警備並びに非常事態戦闘員として残って頂きます」



 出撃出来ないことに僅かに不満を持っている様子はあったが、それでも咲耶の指示自体には納得したらしく、三人は頷いた。


 咲耶もそれを確認すると、既に話し合いを終えている三小隊の面々に声をかける。



「各小隊、話し合いは終えましたね?今回は上陸阻止ではなく、上陸後の即時撃退です!!被害は最小限に留め、いち早くメナス達を退けなさい!!」

「「「はいっ!!!!」」」



 どの小隊とも、初の実戦による試みであるという不安や不満は微塵も感じさせず、気合十分といった様子である。


 この素直で切り替えの早い彼女達の様子は、咲耶は本当に評価していた。



「小隊編成での戦いであろうと。初の実戦であろうと、私達の掲げる志は変わりません。良いですか?私達が戦う理由は!!」

「「「生きるために、立ち向かう!!!!」」」





●●●





「前回の襲撃といい、今回の編成といい、ボクのやることは後手に回ってばかりだな…司令官になっても力不足を痛感するばかりだよ…ホント」



 各撃退ポイントへ移動していく朝陽達の姿を、窓越しに見届けながら大和は帽子を深く被り直す。



「それでも、彼女達はボクに応えてくれた。ならボクも必ずそれに応えなくてはいけないな。本当の仕事はここからだ」






●●●






────朝陽小隊



「え、えと、私達は指示があった通り、このまま市原地区沿いの海岸へ向かいます。メナスの上陸と対峙のタイミングはほぼ同じだと思うので…その、そのまま交戦という形を取ろうと思うのですが、ど、どうでしょうか!!」



 どこか自信がない様子で、小隊長である朝陽がメンバーである3人に尋ねる。


 その声にはいつもの元気は無く、風を切る音で流され、どうにか聞き取ることが出来る程度の大きさだった。


 風を切る…というのは、今朝陽達は空を移動しているために生じているのである。


 今回は、前回の出撃の時につけていた海上戦闘用のホバーでは無く、移動・対空戦闘を想定したジェットパックが備え付けられた戦闘補具(バトル・マシナリー)を足に装着している。


 ジェットパックの推進力と、両サイドにつけられたサイドローターによる抵抗により飛行を可能としているのである。


 原理としてはヘリコプターに近いものの、小型化により推進力は元来のソレにはまだ及ばない。


 それでも最高で時速100km近くは出すことが可能である。


 陸路とは異なり空中であるため、基本的な移動手段はこのバトル・マシナリーであり、朝陽達が対応するどのエリアにもおおよそ10分前後で辿り着くことが出来る。


 人類復権後の、科学の粋の1つと言っても良いだろう。


 とは言っても、当然グリットにより肉体が強化されたグリッターだからこそ扱えるのだが…




閑話休題




「おや?おやおやどうされました朝陽さん!!いつものお元気が無いようですが!!」



 先行していた朝陽に並走し出したのは、小隊メンバーである曲山(かねやま) かなでだ。


 明るく元気で爽やかな性格で、それを象徴するようなベージュ色の髪が風になびいている。



「え、えと…その…」

「分かりますよ朝陽ちゃん。いきなり小隊長ですもの。それは戸惑いますよね」



 奏とは対照的に、落ち着いた口調で話しかけたのは、同じく小隊メンバーの譲羽ゆずりは 梓月しづき


 こちらはネイビー色の髪をハーフアップで結ったものを風で揺らしている。



「そ、それも勿論あるんですが、私のような新参者が、皆さんを差し置いて小隊長だなんておこがましいと思いまして…」

「なぁんだそんなこと考えてたんだぁ」



 ふわふわっとした話し方で会話に入ってきたのは、こちらも同じく小隊メンバーの久留ひさどめ はなだ。


 こちらはふわっとしたぱっつんヘアーの小豆色の髪をフワフワとなびかせている。



「だって…戦闘経験も知識も、私が皆さんを上まっているところなんて何にも無いですし…それでアレコレ指示とかを出すのは申し訳ないというか…寧ろ危険を招きかねないんじゃ無いかって…」

「指示を出すことだけが小隊長の役割ではありませんよ朝陽さん!!」



 風を切る音などなんのその。ハツラツとした声で奏が答える。



「指示ではなく、行動で示すのも人を率いる者の使命です!!そしてその人にとって必要なサポートは何かを考えるメンバー、それも一つの隊の形なのです!!」

「行動で示す…でも、私メナスと直接対峙したのもこの間が初めてで…」

「確かに、直接戦闘を行ったのは先日が初めてかもしれませんが、()()()()()()()()()()値すると十分示してくれた戦いでした」



 梓月の言葉に、朝陽は「え?」と顔を向けた。



「行動で示して下さる隊長に対し、そのメンバーが行うのは、それを最大限に活かすサポートです!!」

「だからこそ、司令官さんは比較的実戦経験の多い私達3人をメンバーに組み込んだんじゃないかなぁ?」



 確かに…と朝陽は思う。


 組まれた3人は、いずれも朝陽より年上で、夜宵と同じくらいの実戦経験メンバーだ。


 小隊長とはいえ実戦に出て10日程度しか経っていない朝陽と組むには適した人物たちであると言えるだろう。



「何より、朝陽さんが何ヶ月もの間鍛錬を続けてきたということを、私達は知っています!!」

「え!?」



 それは、当の本人は隠れてやっていたつもりの訓練の日々。しかし、その影の努力は必ず誰かが見ているものだ。



「私達は朝陽ちゃんがやってきたグリッターとして積み上げてきた軌跡を知っています」

「だからぁ、小隊長としてもぁ、グリッター個人としてもぉ、朝陽ちゃんのことは信頼してるんだよぉ」

「み、皆さん…」



 迷いは吹っ切れ、朝陽の顔にも笑顔が戻る。



「サポートは私達にお任せください!!」

「その代わり、朝陽さんはその輝きで…」

「私達を導いてねぇ」



 フッと、朝陽は一気に肩の重荷が降りたのを感じていた。


 隊長の役割は味方に指示し、引っ張り、そして戦わないといけないものだと考えていた。


 実際に、それをやり通してきた(あね)を見てきたから。



「(そんなの…今の私にはおこがましすぎたんだね…)」



 この小隊に、朝陽の指示が必要なメンバーなど一人もいない。


 そんな人達が、朝陽(じぶん)を支えてくれると言っている。これほど頼りになることはないだろう。


 ならば、朝陽が隊長としてなることなど簡単だ。



「分かりました!!それでは私が前に出ます!!皆さん、サポートをお願いします!!」



 仲間を信じて、先陣を切ることだ。



「「「了解!!!!」」」

※ここから先は筆者の後書きになります!!興味のない方はどうぞ読み飛ばしてください!!







どうも、琥珀でございますm(_ _)m

台風も現れ、いよいよ本格的な夏が近づいて来た…という感じでしょうか?

本編と小隊編成化と、いよいよ本格的な改革が進んで参りました!!

今後どのように物語が進んでいくのか、どうぞお楽しみに!笑


本日もお読みくださりありがとうございました!次回の更新は金曜日になりますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

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