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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
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第263星:成果報告

 華の考えた作戦は、ある意味至極単純なものであった。


 『カルネマッサ(相手)』が見切れるほど巨大な敵ならば、対処できるほどに()()()()()()()()()()


 それを可能にするのが華の『グリット』、『抑圧開解(リベラシオン・プーセ)』である。


 物体を限度なく圧縮できる彼女の『グリット』ならば、この巨大な物体を圧縮し、対処可能、否、無害なレベルまで圧縮できるという算段だったのだ。



「うっぎっ………ぎぎぎぎぎぎ!!!!」



 が、誤算だったのはここからであった。


 普段のおっとりとした表情の華からは想像も出来ないほどの気の入った表情。


 その表情が、この作戦の最後の詰めである圧縮の困難さを表していた。



「(なんて強大な圧力ッ!!この物質量に収まってるのが既に奇跡なくらい既に圧縮されてる!!!!)」



 いま華がやっているのは、例えるなら限界まで折り込まれた紙を更に折り込もうとしているようなものであり、それは通常よりも遥かに『エナジー』と体力を使用すること意味する。



「(圧縮がッ……進まない!!!!)」



 既に大量の『エナジー』を『カルネマッサ』の圧縮に使用している華であったが、その外様に大きな変化は見られなかった。



『…ッ!気をつけろ!《カルネマッサ》が君達を見ているぞ!!』

『奏さん!!直ぐ右上です!!』

「ふんぬぅ!!ラストスパートォォォ!!!!」



 紬、三咲の両名の声を聞き、既に限界まで酷使していた『エナジー』を振り絞り、奏が超至近距離から放たれたレーザーを捻じ曲げた。



「大丈夫です!!安心してください華さん!!作戦が成功するまでは私が華さんの身を守ります!!」



 奏は負担を感じさせないいつもの口調で語りかけていたが、額は大量の汗が垂れ、エナジー欠乏症に陥りかけているのか、その顔色は青ざめつつあった。



「クッ…!!華さんの周囲に残影を残します!!これで少しは身を守れるはずです!!」



 そう言うとタチは、見事な太刀捌きで華の周囲に剣技を奮った。


 しかし、元々の『エナジー』量が多くない故に剣技を中心に戦っていたタチも、奏と同様に既に疲労の色が見えていた。


 それでも、そんな素振りを全く見せない二人を見て、温和で冷静な華の心が珍しく燃えたぎった。



「皆が私の作戦を信じて身を挺してくれてるんだもんねぇ〜」



 それまで片手で行っていた『グリット』の動作を、両手で触れることで更に大量の『エナジー』を流し込む。



「たまには私も根性見せないとねぇ〜っ!!」



 華の正真正銘の全力。それが目に見えて効果を表し出していた。


 それまで僅かに縮んでいた程度の『カルネマッサ』の肉塊が、一気にその規模を小さくしていったのだ。



「ち・ぢ・ま・れえええぇぇぇ〜!!」



 歯を食いしばりながらひたすら全力を振り絞り続ける華。


 そのサイズは既に少し巨大な岩まで小さくなっていき、そしてついに両腕で収まるほどに圧縮されていった。


その瞬間────極限まで圧縮された『カルネマッサ』が、まるで爆発するかのように発光し、同時に離れていた三咲達にまで届くような爆風が吹き荒れた。



「!?華さん!!奏!!華さん!!タチ!!」



 予想外の出来事に、三咲は焦った様子ながら三人に通信を入れた。


 先程の爆風によりいくらか電波が乱れているためか、通信機からは雑音しか聞こえてこなかった。


 超至近距離での爆発。


 直前まで『カルネマッサ』を観察していた三咲と紬の二人も、三人の直後の姿まで見ることは出来なかった。


 最悪のケースも覚悟しなくてはならない、そう考え出した時だった。



『いや〜間一髪!!危ないところでしたね!!』



 聞き覚えのある、思わず通信機を外したくなるような声量で声が返ってきた。



「奏!!他のみんなは!?」

『全員無事ですとも!!発光した瞬間にタチさんが《カルネマッサ》に刃のエナジーの残滓を巻き付け、私が爆風等を曲げましたから!!』



 全員無事の報告を受け、後方支援組の三人も安堵の息を吐きだす。



『作戦は無事成功…かなぁ。最後の爆発が予想外で完全に把握できてないのだけは気になるけどぉ、最後は空虚になった感触はあったからぁ』



 その後に付け足された、華からの作戦成功の言葉は、今度は全員が歓喜の表情を浮かべた。



「やったわね!!司令官や指揮官に頼らずにこの事態を切り抜けたわ!!」



 一番喜びを表面に出していたのは凛。


 両手に握って身体の前に持っていくと、ルンルンと踊るようにして喜びの感情を見せていた。


 三咲、紬の二人もその様子を微笑ましく見ながら、自身達も喜びみを噛み締めていた。



『ところで後衛の皆様〜!!』



 とそこで、奏から再び通信が入る。



「はい、どうしました?」

『私達三人とも《エナジー》が切れまして、《バトル・マシナリー(ホバー)》をまともに起動する余力さえない状態でして。既に体が半分ほど沈みかけているので助けブクブクブク……』

「もっと早く言いなさいバカッ!!三人ともサルベージに行くわよ!!」






●●●






『…と言うのが今回の作戦の経緯になります。三名共無事救出し、ただいま帰還中です。ご報告が遅くなり申し訳ありません』

「いや、ボク達の方こそ連絡をせず済まなかった。いち早く連絡をすべきだったのに」



 報告を聞き終えた大和は、先ずは自分の失態を詫び、通信機越しに頭を下げた。


 そしてその後、彼女達を称えるような誇らしげな笑みを浮かべた。



「そして本当に良くやってくれた。ボク達が不在な中で君達だけであの敵に対応してくれたのは本当に素晴らしいことだよ。根拠地司令官として、これ程誇らしいことはない」

『い、いえ…!これも全ては今までの司令官方のご教授があったからで、連絡についても、根拠地で何かあってのことでしょうから』



 最初の頃からは想像もつかない、大和に対して謙遜するような発言に、大和は思わず笑みを浮かべてしまう。



「本当に謙遜しないでくれ。これは君達の弛まぬ努力の結果だ。素直に誇って良いことだよ。君達は多くの命を救ったんだ」

『……ありがとうございます。でも私達はまだまだ未熟です。これからも私達へのご指導ご鞭撻の程、お願いしますね』



 どこまでもひたむきで前向きな発言に、大和は感心しつつも了承の意を伝えた。



「沙雪さんには治療の準備をして貰えるように伝えておくよ。気をつけて帰ってくるんだよ」



 大和の言葉に『はい』と返事を返すと、三咲達からの通信は切れた。


 張り詰めていた空気が今度こそ緩み、夕は「はぁ〜」と安堵の息を吐いた後、体を俯かせ…



「いやったぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 その場で飛び跳ねるほどの喜びを露わにしていた。



「今度こそ全部終わったんですね!!これで私達の根拠地と皆を守ることが出来たんですね!!」



 喜びの感情を抑えることが出来ず、兎に角バタバタと手足を振る夕であったが、やがてハッと我に帰り、大和の方へ振り返った。



「ご、ごめんなさ…、あ、いえ、す、すいませんでした!!戦いが終わったばかりだと言うのに直ぐに浮き足立ってしまって…!!」



 先程まで喜びの感情を爆発させていたところから、改まってビシッと姿勢を正す姿に、大和は思わず吹き出してしまう。



「ハハハ!!良いんだよ夕くん。嬉しい時は笑う、悲しい時は泣く、それは人として当たり前のことなんだから」



 大和はゆっくりと立ち上がり、夕に近寄ると、ソッと肩に手を乗せた。



「君は情報官こそ務めているけれど、まだ若い。そういった感情は大人になればなるほど出し辛くなるものだ。だから今は思いっきり、素直に出し切るくらいで良いんだよ」



 大和の言葉を受け、夕は再度パァッと明るい笑みを溢して「ハイッ!」と頷いた。



「さて、ボク達は今回罠に嵌められて殆ど皆の力になれなかった。司令室での作業はボクが済ませておくから、君は地上の皆の手伝いと、三咲くん達の出迎えをしてあげなさい」

「え、でも……」



 大和一人に作業を任せてしまうのは申し訳ないと思ったのか、夕は躊躇っていた。



「ここでの作業なんてボク一人で十分な程度だよ。今回の事件の報告書の作成も並行して行うつもりだし、却って都合が良いくらいだ。それなら君も外の作業を手伝ったほうが役に立つ。だから皆のところへ行ってきなさい。そして、君の素敵な笑顔で、皆を労ってあげなさい」



 素敵な笑顔と言われ、夕は僅かに頬を赤らめるものの、やがてその通りだと思い、改めて頷くと、司令室から去っていった。



「ハハ、本当に素直で良い子だな。あの子にとっては失礼な話だけど、『グリット』なんかに目覚めず、いつまでもあんな純粋な心を持っていて欲しいな」



 大和は去っていった夕のあとを見届けた後、ゆっくりと司令室の自分の席へと戻り、ゆっくりと腰掛けた。


 その瞬間の出来事だった。



「動くな」



 大和の首元に、ナイフのような鋭利な武器が突きつけられていた。

※後書きです







ども、琥珀です


団体をまとめる立場、即ち代表になった際、私が重視するのは『和』です。


どれだけ技術があっても、どれだけ才能があっても、それで団体の『和』を乱すのなら、私は心を鬼にして注意喚起を行います。


それでも治らないのであれば、時に離れていただく発言をする覚悟も持ち合わせているつもりです。


これだけ『和』を気にするのは日本人…極端にいえば私だけかも知れません。


それでも、団体でやるのならば協力し、歩み寄り、理解し合うことが大切だと思います。


……はい、最近あった団体で代表を務めている私の辛いことでした…


本日もお読みいただきありがとうございました!

次回は金曜日の更新になりますので宜しくお願いします!

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