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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
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第246星:消攻戦

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。



斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。



斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?



【夜宵小隊】

私市 伊与 (19)

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。自身の肉体の動きを加減速する『グリット』を持つ。


早鞆 瑠衣 (18)

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。


矢々 優弦 (16) 四等星

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。自然の声を聞き取る『グリット』を持つ。


佐久間 椿(22) 四等星

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。元『アウトロー』であり、一時『アウトロー』としての自分が蘇るも三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』の隊長を務める。



【椿小隊】

写沢 七 (21)

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。


重袮 言葉 (20)

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…幻覚・幻視・催眠の『グリット』を操る。


海藤 海音 (16)

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな機微から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。



樹神 三咲 (22) 四等星

千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務める。



【三咲小隊】

椎名 紬 (22)

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手の視界を共有する『グリット』を持つ。


八条 凛 (16)

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。自身の『エナジー』を纏わせ、その物体を操る『グリット』を持つ。


大刀祢 タチ (17)

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。



【レジスタンス】

五十嵐 歪(25)

 礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性。正体は対『軍』組織『レジスタンス』の構成員で、対象の物質を口内に含む事で情報を得る『グリット』を有する。


霧島 カンナ(28)

 ミステリアスな雰囲気を醸し出す女性。落ち着いた振る舞いで同じメンバーをフォローする包容力を持つ。正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員で、情報を豊富に有する千葉根拠地襲撃を立案した今回の騒動の主犯者。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。その正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員で、兵器として育てられた戦闘員。これまで感情を見せることは無かったが、朝陽の言葉を聞いて僅かに心境に変化があり…?


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。その正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員。カンナ達の教育で恐怖を植え付けられ、『グリッター』は恐れられる存在でしかないと思い込んでいたが…?

 姿を消した二人の気配は、やはり感じ取ることは出来なかった。


 僅かな土を蹴る音や、風の変化などを感じ取り、そこから位置の把握を試みようとするものの、やはり二人も戦闘のエキスパートであり、同じ手は二度は通用しなかった。



「(音がしない…風を切る音や、地を蹴る気配も…激しい動きを避けて、上手く溶け込んでるんだ…)」



 先程の朝陽の対応はまぐれではない。


 咲耶との訓練を重ね研ぎ澄まされた感覚が、本来なら感知することは出来ないはずの気配を感じ取り、反撃に転じられたのである。


 しかし、二人もやられたままで終わる程、素人ではない。


 朝陽の感知能力が危険であると判断した二人は、透子の能力の真価を発揮すべく、今度こそその気配を完全に絶っていた。



「(多分もう、さっきみたいに事前に感じ取ることは出来ない。だから、私の『感知範囲(エナジー)』に触れた瞬間に対応するしかない)」



 朝陽が自身の身体の周囲に展開した膜上の『感知範囲(エナジー)』は、僅か数10㎝程。


 感知範囲から朝陽の身体に攻撃が届くまではコンマ数秒程度しかかからないだろう。


 先程よりも更に素早く反応し回避しなくてはならず、これは至難の業と言えるだろう。



「(でも…あの人なら半端な攻撃はきっとかかわす…)」



 巧妙に気配を消した動きで朝陽に滲み寄る透子は、尚も朝陽を警戒していた。


 朝陽ならばコンマ数秒の間であっても、回避し得る可能性があるからだ。



「(だからこそ、初手は慎重に…且つ確実に。初手が当たれば、無値の『グリット』で()()()()())」



 その一点においては、透子は絶対的な自信を持っていた。


 勝敗は長期戦にはならい。寧ろ一瞬で決まる可能性の方が高い。


 それはどちらにも言えることである。


 だからこそ、透子は確実性を取るべく、タイミングを図っていた。


 しかし、朝陽の集中力は透子の想像を上回っていた。


 元々実力のある人物であるという情報は聞かされていたが、実際に対峙した朝陽は情報以上の実力者であった。


 それもただ強い、というだけではなく、どこか強者としての風格を漂わせていた。



「(で、ででででデータと見た映像じゃここまでの雰囲気は無かった…と、とととととなると、朝陽さんのこの強さは、この短い期間で手に入れたってことだよね…?そ、そそそそんな短期間で強くなれるはずは……)」



 にわかには信じられないことではあるが、しかし透子の推測は当たっていた。


 透子達の情報には、【オリジン】との戦いの後に日夜、咲耶との訓練の情報は当然ない。


 だからこそ、朝陽の急激な成長に驚きを隠すことが出来なかった。



「(透子…しっかり…)」



 それを冷静にさせたのは、通信機越しに声を掛けてきた無値であった。



「(私達の攻撃は、感知されるかもしれない。でも、私達の攻撃は()()()()()()()()()())」



 無値の感情のこもっていない声が、この時はプラスに働き、透子の思考をクールダウンさせていく。



「(触れれば殆ど私達の勝ち。だからそれだけに集中しよう)」



 無値の言葉に、透子はしっかりと頷く。



「(そうだ。む、むむむ無値の『グリット』は当たれば勝ち。何も殴り合う必要はない!私は無値が当てられる位置まで運べば良い)」



 それまで緊張の面持ちを浮かべていた透子の顔から、力みが消えていく。



「(それで良い…んだよね?)」



 そこにほんの少しの迷いと葛藤を残しながら、透子は少しずつ、しかし確実に朝陽との距離を詰めていった。


 神経を張り巡らせている朝陽でさえも、やはり感知することが出来ない。


 その距離はあと数メートルというところまで迫っていた。



「…ッ!?」



 その時、不意に予想だにしない位置からの攻撃を感じ取った朝陽は、全身に張り巡らせていた感覚が働き、半分無意識に防御を展開する。



「クッヒヒ!!隙ありぃ!!お二人に気を張りすぎでありますよぉ!!」



 それは、夜宵達と対峙していた筈の歪が放った攻撃であった。



 夜宵達と対峙していた一瞬の隙を突き、朝陽に攻撃を仕掛けてきたのだ。



「このッ!!」

「私達を無視するなんて許せないなぁ〜?」



 直ぐに二人が歪に攻撃を仕掛けるが、その放たれた一発の意味合いは大きかった。


 それまで保っていた集中力が、歪の攻撃に向けられ、コンマ数秒の反応で対応を試みていた透子達への意識が削がれてしまっていた。



「しまっ…!?」



 即座に集中し直そうと試みた朝陽であったが、いつでも仕掛けられる距離まで近付いていた二人は、その作られた隙を逃すことはなかった。



「ふっ!!」



 既に目の前にまで迫っていた無値の攻撃を、集中力を削がれた状態でありながら防御したのは日頃の咲耶との訓練の賜物であるといえるだろう。


 繰り出されたいくつかの攻撃を、『グリット』での回避では間に合わないと判断した朝陽は、手足を駆使することで防ぐことに成功していた。


 無値の攻撃の勢いを利用して後方へ飛んだ朝陽は、再度集中力を高め、追撃に備えようとしたが、その行動は意味を為さなかった。



「え…」



 何故なら、先程まで姿を消していた二人が、忽然と姿を現したからだ。



「なん…で…アレ?」



 朝陽がその場から崩れ落ちたのはその直後であった。



「手足…が…」



 起き上がろうとするものの、()()()()()()()()()()、朝陽の身体を支えることが出来なかった。


 かろうじて動かすことのできる顔だけを無値、透子の二人がどこか憐れむような表情でこちらを見下ろしていた。



「こ…れは…手足だけの感覚が…これが…無値ちゃんの…」



 感覚のない箇所が、無値の攻撃を防いだ部分であることに気付き、朝陽はこれが無値の『グリット』によるものであると理解した。



「そうです。相手に触れた箇所の感覚を一定時間奪う。それが私の『グリット』、『五感伴鈍(ロスト・センス)』です」



 無値の言う通り、朝陽の感覚のない箇所は、それぞれ先程の一瞬で防御に使用した手足の部分のみであった。


 しかし逆を言えば、無値は朝陽の動きを封じるための適切な個所を、的確に潰していたのである。



「私の『グリット』の持続時間は決して長くはありませんが、それでも十分なエナジーを注ぎ込みましたので1分程は動かすことは出来ません。この状況で、その時間は、絶望的でしょう?」



 朝陽は思わずゾッとした。


 攻撃する箇所もさながら、相手を確実に仕留めるためのその動きの迷いの無さに、である。



「(これが…戦闘訓練に特化した『レジスタンス』の戦士…強いし、怖い…)」



 絶望的な状況のなか、無値、透子の二人はゆっくりと近付いてきていた。


 そして、顔のすぐ近くまで寄って来たところで歩みを止め、真上から朝陽を見下ろす。


 朝陽もそれに合わせるように、限界まで顔を上に向け、無値達の顔を真正面、至近距離から見つめた。



「…ぁ」



 その時、朝陽はあることに気が付いた。



「終わりです、朝陽。貴方を倒せば形勢は一気にこちらに傾く。貴方を倒し、私達は作戦を遂行させる」



 無値の手に握られていたのは、汎用型の戦闘補具(バトル・マシナリー)。しかし、動けない人間一人を殺めるだけならわけの無い代物である。



「さようなら…朝陽。()()()()()()()()()()()()()()()()()



 獲物が振りかぶられ、死が間近に迫っている状況にも拘わらず、朝陽の頭には『(ソレ)』が全く存在していなかった。


 何故ならこの時、朝陽の思考を占めていたのは…



「どうして…()()()()()()()()()()()()?」



 無表情が常であるはずの無値が、今まで見せたことのないような悲痛な表情を浮かべていたことに対する感情であった。



「…は?」



 振りかぶられた武器がそこでピタッと止まり、無値自身も気づいていなかったその表情、そして感情に動揺する。


 少し後ろを見れば、透子は顔を手で覆い隠し、朝陽の結末を見ないようにまでしていた。



「かな…しい?私が?なぜ…?」



 無値の動揺は凄まじかった。


 なまじ、自分がそのような表情をしていたと自覚出来てしまっていた分、衝撃が大きかったのだろう。


 しかし、朝陽は二人のその表情を見てすべてを察した。そして自分が採るべき行動を理解した。



「…そっか。やっぱりそうだったんだね」

「ッツ!?なに…を!!なにがっ!!」



 自分でも何を言っているのか分からない。しかし、朝陽が次に言うであろう言葉は、自分を決定的に変えてしまう、と無値は直感していた。



「無値ちゃん、自分でいま言ってたもんね。『貴方()()()()()()()()()()()()()()()()』、って」

「…ぁ」



 無値自身の中にあった靄っとした影のようなものが広がり、そして一斉に晴れていった。


 同時に、これまでの自分を創り上げていった決定的な何かが崩れたような感覚も覚えていた。



「覚えててくれたんだね、私の言葉。届いてたんだね、私の想い」



 様々な感情が入り混じった様子の無値とは対照的に、朝陽の表情は晴れやかで、とても穏やかであった。



「良かった。本当に…これで私は…迷わないで動ける」



 根拠地を守るという朝陽の覚悟に迷いは無かった。それでも、二人に対する心のわだかまりは全ては溶けていなかった。


 しかし、無値の言動により、それもすべて解決した。


 最早、朝陽に何も迷うことはなくなった。



「なら私は…絶対に二人に殺されてあげられない!!」

※後書きです







ども、琥珀です


私はあるチームの運営をしているのですが、チームに限らず運営というのは大変なもので、ただメンバーがいれば良いというわけではなく、人間関係、調和、連携など総括して運営しなくてはいけないため、仕事とは別に相談を受けたりと大変な日々を過ごしております…


まぁその反面、楽しいこともあるので、一概に大変なことばかりでも無いんですけどね…笑


本日もお読みいただきありがとうございます。

次回は月曜日の朝更新予定ですので宜しくお願い致します。

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