第241星:光、降り立つ
国舘 大和(24)
千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。
早乙女 咲夜(24?)
常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。
斑鳩 朝陽(18)四等星
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。
【朝陽小隊】
譲羽 梓月(23)
冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。
久留 華 (22)
おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。
曲山 奏(20)
明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。
斑鳩夜宵(22)三等星
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?
【夜宵小隊】
私市 伊与 (19)
年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。自身の肉体の動きを加減速する『グリット』を持つ。
早鞆 瑠衣 (18)
十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。
矢々 優弦 (16) 四等星
幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。自然の声を聞き取る『グリット』を持つ。
佐久間 椿(22) 四等星
千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。元『アウトロー』であり、一時『アウトロー』としての自分が蘇るも三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』の隊長を務める。
【椿小隊】
写沢 七 (21)
写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。
重袮 言葉 (20)
活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…幻覚・幻視・催眠の『グリット』を操る。
海藤 海音 (16)
誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな機微から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。
樹神 三咲 (22) 四等星
千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務める。
【三咲小隊】
椎名 紬 (22)
ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手の視界を共有する『グリット』を持つ。
八条 凛 (16)
自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。自身の『エナジー』を纏わせ、その物体を操る『グリット』を持つ。
大刀祢 タチ (17)
メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。
【レジスタンス】
五十嵐 歪(25)
礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性。正体は対『軍』組織『レジスタンス』の構成員で、対象の物質を口内に含む事で情報を得る『グリット』を有する。
霧島 カンナ(28)
ミステリアスな雰囲気を醸し出す女性。落ち着いた振る舞いで同じメンバーをフォローする包容力を持つ。正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員で、情報を豊富に有する千葉根拠地襲撃を立案した今回の騒動の主犯者。
無値(14)
無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。その正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員で、兵器として育てられた戦闘員。これまで感情を見せることは無かったが、朝陽の言葉を聞いて僅かに心境に変化があり…?
日浦 透子(16)
常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。その正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員。カンナ達の教育で恐怖を植え付けられ、『グリッター』は恐れられる存在でしかないと思い込んでいたが…?
椿達とカンナ達両名は勿論。
周囲で戦闘を行なっていた面々も、一瞬戦いの手を止める。
「あの光…まさか…」
全員が直ぐにその光の正体に気付くが、そのなかでも真っ先に気付いたのは夜宵だった。
「良かった…間に合った!!」
光が散っていき、その中から現れたのは、夜宵の予想通り朝陽であった。
朝陽は周囲を見渡し、一先ず全員の無事を確認する。
カンナ達にとっても予想外の登場だったのか、ほんの一瞬朝陽に気を取られていた。
「隙有り〜」
その中で、唯一カンナ達から目を離さないでいた椿は、カンナではなく自身の直ぐ側に罠を仕掛けると、指を鳴らして発動させる。
「ッ!?」
次の瞬間、カンナ達は謎の力で一気に後方へ吹き飛ばされてる。
しかしよく見れば、椿達も同様に吹き飛ばされており、驚く夜宵を椿が支えているような状態であった。
「ちっ…私じゃなくて椿を罠の対象にして使われたから反応が遅れたわ…でも今のは何かしら?」
すぐさま体勢を立て直した二人は、今の攻撃に眉を顰める。
「空気圧とかで押されたって訳じゃなさそうだけど…」
「アレでありますな。感覚的に磁石の反発感に近かったであります。恐らく二つの磁石を同じ極で重ね合わせて『グリット』を発動したのでありましょう」
身体に感じた違和感から、歪は攻撃の正体を考察していく。
「成る程、うん、確かにそんな感じね。それになるほど、そう言う使い方もあるってわけか。また一つ覚えたわ」
二人がまた一つ椿の攻撃パターンについて分析を進めていく中、戦地に降り立った朝陽は夜宵達のもとへと近寄っていく。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
夜宵達の身を案じ近寄った朝陽は、二人に声をかける。
「私達は大丈夫…だけど貴方、『カルネマッサ』は、三咲達の方はどうしたの!?」
当然、夜宵達にとっては自身の怪我よりもそっちが気になってしょうがない。
朝陽は一瞬暗い面持ちを見せるも、すぐに力強く見つめ返した。
「あっちは大丈夫。キチンと三咲さん達の許可をもらってこっちにきたし、三咲さん達にも考えがあったみたいだから」
大和が対応に時間を要するほどの謎の生命体。
それ程の敵にして朝陽のいう「大丈夫」という言葉を夜宵は一瞬疑った。
根拠地の身を案じた三咲や華が、朝陽を根拠地へ向かわせる為に言った方便なのでは無いかと考えたからだ。
しかし、それで朝陽を向かわせたところで、放っておけばその脅威はやがてこの根拠地にまで届く。
それを分かっていながら、何の策も無しに朝陽を送り出すような真似を華達がするとも考えにくい。
そう結論付けた夜宵は、朝陽の言葉を信じることにした。
「お姉ちゃん、こっちの状況は?」
既にカンナ達を敵として警戒している朝陽は、二人に注意を向けながら夜宵に尋ねる。
「…気付いてはいるみたいだけど、あの二人は何かしらの内通者よ。目的は分からないけど、私達の根拠地を襲撃して、何かを目論んでるみたい」
「歪さん、カンナさん……じゃあやっぱりあの二人も……」
夜宵からの説明を受けながら、朝陽は沈痛な面持ちを浮かべる。
「それに〜、どうやら歪ちゃんの方は私達の能力の情報を得る力を持ってるみたいなんだよね〜。だからどうにも私の罠が無力化されちゃって〜」
「能力を読み取る力…それで椿さんがこんなにも苦戦を…」
朝陽は次の行動に悩んだ。
このまま夜宵と椿に加わるか、背面で苦戦する面々に加勢するか、でだ。
一瞬の間を開けた後、朝陽は意を決したように二人に話しかけた。
「お姉ちゃん、椿さん、こっちはまだお二人に任せて良いですか?」
椿はその答えに一瞬困惑した。
劣勢なのはどちらも同じではあるが、歪、カンナの両名、若しくは片方でも崩すことができれば、状況は大きく変わるからだ。
しかし、姉である夜宵は、朝陽が何か考えがあって自分達に伝えているのだと理解していた。
「…何か、あるのね?」
「確信はないんだけど…でも思うところがあるの。もしかしたら、って思うことが…」
朝陽の言葉に自信は無かったが、それでもその目には力強さが宿っていた。
それをみた夜宵は、ふっと笑みを浮かべて小さく頷いた。
「分かったわ。こっちは私達が持つから、朝陽は向こうをお願い」
夜宵の答えに、朝陽と椿はそれぞれ驚いた表情を浮かべた。
椿が何かを言う前に、朝陽はパッと顔を輝かせると、「ありがとう!」と言い残し小隊メンバーの方へと向かっていった。
その後ろ姿を見つめながら、椿はちらっと夜宵の方を見る。
「夜宵ちゃん、これで良かったの〜?状況的には朝陽ちゃんにはこっちを手伝って貰った方が良かったんじゃない〜?」
その椿の視線と言葉の内容に気付いていた夜宵は、振り返りながら椿に笑みを浮かべた。
「そうね。それは確かに椿の言う通りだと思う。でも私達はこれまで朝陽に何度も助けられてきたし、何度も窮地を救ってきてくれた。その朝陽が、何かを感じたのなら、きっとその通りに動かしてあげるのが一番だと思ったのよ」
夜宵は「それに…」と続けながら、その瞳に交戦的な光を灯していく。
「いくら朝陽が成長したからって、私達も何年も戦い続けてきたプライドがある。なんでもかんでも朝陽頼りになるのは許せないでしょ?」
夜宵の言葉に、椿は暫くキョトンとした様子を浮かべたあと、やがて可笑しそうに吹き出した。
「ふふっ、確かにそうだね〜。朝陽ちゃんがあんりにも強いからついつい頼っちゃってたけど〜、これでも私達、何年も『メナス』との戦いで生き抜いてきたんだもんね〜」
そして夜宵に続き、椿も目を鋭くして歪達の方を見る。
「それじゃ〜、先輩らしいところ、見せちゃいますかね〜」
「私はお姉ちゃんっぽいところを、ね!」
劣勢でやや怯んでいた気持ちを締め直し、二人は再び交戦態勢に入る。
一方で、いつでも襲撃できた歪とカンナの両名は、意外にも手を出してくるとこはしなかった。
理由は、夜宵達と同じく、朝陽が夜宵達と合流して自分達に挑んでくると考えていたからだ。
他のメンバーと違い、朝陽の情報は手に入れることが出来ていない。
複数の情報を統合して推測は建てているものの、それもあくまで憶測に過ぎない。
加えて、朝陽の成長は他の追随を許さないほど急激且つ柔軟であるために、流石の二人も慎重にならずにはいられなかったのである。
朝陽が二人の元をさり、小隊メンバーの方へ向かっていくのも、自分達を誘っているのだと思って警戒していた。
「…どういうことでありましょう。我々が朝陽殿の情報を手に入れているかどうかを知らずとも、状況的にはあの二人に加勢した方が、後々有利になるはず…あくまで向こうの立場として考えた場合、でありますが…」
未だに何か思惑があるのでは、と疑う歪に対し、カンナは薄らとその意図を察したような表情を浮かべていた。
「…まぁ放っておいて良いんじゃないかしら。私達にとっては好都合なわけだし」
カンナの言葉に、歪は「まぁ…確かに」と自分を納得させる。
「ただ、あの子がここに来るのが計画外だったのは事実よ。もう少し慎重に事を進めていく予定だったけど、その余裕はもうないわ。システムジャックの対応も下手をすれば始められているかもしれないし、さっさと私達の仕事を終わらせましょう」
それまでの大人びた様子が控えられ、カンナは本来の冷徹な戦士としての一面を色濃くしていった。
その圧は凄まじく、真正面から対峙する夜宵と椿はもちろん、隣に立つ歪でさえ冷や汗を垂らすほどであった。
しかし歪みも直ぐにこれまで通りの状態に持ち直し、前に立つ二人と対峙した。
状況はほとんど変わらず。しかし方やポジティブな要素が加わり、方やネガティブな要素が加わったことは、ほんの僅かではあるが、秤の均衡を傾けたのであった…
※後書きです
ども、琥珀です
最近私が休みの日に限って雨が降るもんで、何も出来やしやせん。
いや出来ないことはないんでしょうけどね。
炊事はともかく、買い物とかそう言ったことは出来るでしょうけども…
何かね…意欲的なアレがね…
だからついついゴロゴロしてしまう琥珀なのでした…笑
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回は水曜日の朝更新予定ですので宜しくお願いします!




