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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
274/481

第240星:超神経

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。



斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。



斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?



【夜宵小隊】

私市 伊与 (19)

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。自身の肉体の動きを加減速する『グリット』を持つ。


早鞆 瑠衣 (18)

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。


矢々 優弦 (16) 四等星

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。自然の声を聞き取る『グリット』を持つ。



佐久間 椿(22) 四等星

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。元『アウトロー』であり、一時『アウトロー』としての自分が蘇るも三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』の隊長を務める。



【椿小隊】

写沢 七 (21)

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。


重袮 言葉 (20)

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…幻覚・幻視・催眠の『グリット』を操る。


海藤 海音 (16)

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな機微から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。



樹神 三咲 (22) 四等星

千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務める。



【三咲小隊】

椎名 紬 (22)

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手の視界を共有する『グリット』を持つ。


八条 凛 (16)

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。自身の『エナジー』を纏わせ、その物体を操る『グリット』を持つ。


大刀祢 タチ (17)

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。



【レジスタンス】

五十嵐 歪(25)

 礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性。正体は対『軍』組織『レジスタンス』の構成員で、対象の物質を口内に含む事で情報を得る『グリット』を有する。


霧島 カンナ(28)

 ミステリアスな雰囲気を醸し出す女性。落ち着いた振る舞いで同じメンバーをフォローする包容力を持つ。正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員で、情報を豊富に有する千葉根拠地襲撃を立案した今回の騒動の主犯者。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。その正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員で、兵器として育てられた戦闘員。これまで感情を見せることは無かったが、朝陽の言葉を聞いて僅かに心境に変化があり…?


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。その正体は対『軍』組織『レジスタンス』の一員。カンナ達の教育で恐怖を植え付けられ、『グリッター』は恐れられる存在でしかないと思い込んでいたが…?

 椿の着眼点は間違ってはいなかった。


 正体不明の攻撃は夜宵の闇を警戒し、椿達に襲い掛かることは無くなった。


 その分椿と夜宵の小隊の面々を襲撃する結果にはなってしまったものの、攻撃の対象が増えたことで、個人に対する攻撃は散見したため、負担は多少軽減されている。


 しかし、小隊の面々はそれに加えて『レジスタンス』の構成員とも戦闘を行なっている為、決して状況が改善された訳では無い。


 また、『レジスタンス』は『グリッター』でこそ無いものの、常人で考えれば戦闘スペックは高い。


 更に人数も多く、加えて比較的安全に使える戦闘補具(バトルマシナリー)も有している為、海音達も苦戦を強いられていた。


 だからこそ、勝負の要は夜宵、椿がいかに素早く歪、カンナの両名に勝利するかに掛かっている。


 椿はそこまで読んでこの状況を作り出していたが…



「クヒッ!どうしたでありますかぁ?早く決着をつけるのではないでありますかぁ?」

「…ッ!ゲホッ!」



 予想外だったのは歪達の強さである。


 両者の真っ向からの戦いが始まり5分ほどが経とうとしていたが、夜宵・椿の両名は明らかに劣勢であった。


 片膝をつき、息を荒げる椿と、それを支えるようにする夜宵は、それでも気丈に歪達を睨むようにして見る。



「椿、大丈夫?」

「勿論だよ〜。でもちょっとこれは想定外だったかも〜。まさかあの二人がこんなに強いなんてね〜」



 普段通りを装っているものの、椿が疲弊しているのは明らかであった。



「(純粋な戦闘では根拠地の中でも随一の椿がこんな短時間で…いくら私達の行動や戦闘スタイルを知られてるとはいえ…)」



 椿は『グリット』を駆使してサポートに徹する役割を担うことが多いが、元『アウトロー』ということもあり、純粋な戦闘能力も高い。


 でなければ、ピンポイントに罠を仕掛けてそこへ誘導する、という離れ業はそもそも成立しない。


 ある意味で最も優れた『戦士』は椿であると言えるかもしれない。


 その椿が、同じ二対二という状況にありながら、完全に劣勢に立たされていた。


 夜宵の考えるように、こちらの動き等は()()されているとはいえ、それにしてもである。



「(椿なら、臨機応変にこれまでとは違う行動パターンを形成するくらいは出来るはず。でも多分、それすらも歪さんには見抜かれてる…だとすれば、私が足を引っ張ってる…?)」



 夜宵はその特異性が高く強力な『グリット』、そしてリーダーとして振る舞うカリスマ性と強い意志で実力を発揮するタイプである。


 現状で言えば、その強みは『グリット』の能力しか発揮されていないが、その強さでさえ歪に知られたことで封じ込められている。


 二対二ではあるが、夜宵が十分に戦力になれていないのも劣勢となっている要因ではあるだろう。



「(ん〜…歪さんの『グリット』が情報を得る能力なんだとしたら、私が『アウトロー』だったってことも知ってるはず…でも、さっきの口振りからするとその事は知らないはず…なら、私の情報は抜き取られてないことになる…)」



 僅かな戦闘のなかで、情報を整理していた椿が感じていた違和感はそこであった。



「(他の人の情報…例えば記憶まで読み込めると想定して、私の動きや能力を読んだのだとしたら、行動パターンを変えた動きに少しは動揺なりなんなりして良い筈…でも、あっちのカンナさんは全くそれに動じてない…)」



 両者の戦闘スタイルは似通っていた。


 夜宵がサポートに周り、椿が前衛で戦うのに対し、歪達はカンナが前衛に出て、歪がそれをサポートするような形で戦っている。



「(カンナさんが前衛寄りだったのは予想外だったけど、いくらなんでもそれだけが理由でここまで押されることは無いと思うんだけどな…となると、原因は、カンナさんの『グリット』…かな)」



 苦戦を強いられる中で、椿は劣勢に追い込まれている原因を探り続けていた。


 一つの要因は先ほどの通り夜宵が十分に戦力になり得ていない事。


 しかし椿は、もう一つの違和感を覚えていた。



「(私の罠、ちょっと避けられ過ぎなんだよね〜。いくら情報を得てるからって、こんな全部避けられるもんかな〜)」



 これまで椿は前衛での戦闘中に、複数回に渡って『グリット』による罠を仕掛けていた。


 しかし、いずれも罠が作動しカンナに襲い掛かる前に避けられてしまっていた。


 その想定外の事態に動揺し、椿は数回攻撃をその身に受けてしまったのである。



「(んん…?罠が作動して……?)」



 そこで椿は、違和感の中に違和感を感じ取る。



「(…そうだ、カンナさんに避けられて来たのは、全部罠が作動してからだった。つまり、カンナさんは私の罠の位置と効果を見切っているわけじゃ無い)」



 答えには至らなかったものの、椿は自分の『グリット』が決して効果がないわけではないことを理解し、瞳に力を取り戻す。



「(過程は分からないけど、カンナさんは私の『グリット』を避ける能力を持ってる。なら、分かっていても避けられない形へ誘導すれば…)」



 頭の中で一つの仮説を立てた椿は、夜宵にソッと作戦を耳打ちする。


 当然、歪達はそれを訝しげに思うが、妨害に出る事は無かった。



「…やっては見るわ。でも、知ってると思うけど、私の『グリット』の展開速度は決して早くない。過信はしないでね」

「大丈夫だよ〜。でも信頼はしてるかな〜」

「…大丈夫じゃないわよそれ…」



 そうは言いつつも信頼されていることに僅かに喜びを感じながら、椿の指示通り、夜宵は闇を展開していく。



「(謎の攻撃がこっちにこないように展開している分に加えて、二人の動きを制限するための闇も増量しないといけない。余力はまだあるけど、時間はかけてられないわね)」



 夜宵の闇が徐々に広がっていることを察した二人は、一度距離を取ろうと試みる。



「おっと、そっちには行かせないよ〜」



 しかし、その動きの誘導こそが狙いであった椿は、二人の動きを先読みし、先回りしていた。



「ちっ、鬱陶しい…なら貴方を直接倒してしまえば良いのでしょう?」



 そう言って椿に迫るカンナに、歪は慌てた様子で声をかける。




「待つでありますカンナ殿!!その動きは誘われて…ッ!!」



 そう言うや否や、椿の目の前にまで迫ったところで、カンナの足元がパッと輝く。


 それが椿の『グリット』による罠であると()()()()()()、カンナは常軌を逸した反応速度でその場を離れる。


 しかし、先程までカンナが立っていた場所で起きたのは、空砲のような音が鳴り響いただけであった。



「残念、仕掛けたのはただの風船でした〜。どうせ避けられると思ったからね〜。コスパ良くコスパ良く〜」



 カマをかけられ僅かに苛立った様子を見せるカンナとは裏腹に、椿はこれまでカンナが自身の罠を避けられた理由を見出していた。



「やっぱり私の罠の位置までは分かってなかったんだね〜。そんでもって、私の罠が発動した瞬間回避行動に移った…差し詰め、カンナさんの『グリット』は、『超反応』…って感じかな」



 ピッ!と指を立てて推測を伝えると、カンナは一瞬目を開き、やがてうっすらと笑みを浮かべた。



「へぇ…あの一瞬の攻防の中でそこまで読み切ったのね。情報としては聞いていたけど、やはりこの根拠地はデータよりも曲者が揃っているようね」



 カンナは不敵な笑みを浮かべるだけで、動揺する素振りは一切見せなかった。



「御名答。私の『グリット』は人智を超えた反射神経、『超神経(イクシード・ナーブ)』。私にとって考える・感じる=動くということになるわ。だから貴方の罠が作動した瞬間に反応することなんて、わけない事よ」



 自身の能力を当てられたにも関わらず、カンナは飄々としていた。


 当てたと言っても、理解が及ばない『特異系』や『超能力系』ではなく、カンナの『グリット』は『強化系』である。


 そのため、遅かれ早かれ気付いていた可能性は高い。


 それもあり、カンナは然程動揺した様子を見せていないのかも知れなかった。


 かく言う椿も、能力こそ素早く見出すことは出来たが、対応、対策が思い付いた訳ではなかった。



「(いやぁ〜正直かなり相性悪いよね〜私と。さっきみたいに夜宵ちゃんの『グリット』で誘導できればまだ手はあるけど、何回も引っ掛かるような実力者じゃどうみてもないし…)」



 そもそもの問題として、歪もさながらカンナの純粋な戦闘能力は非常に高い。


 能力の相性の有無を抜きにしても、元『アウトロー』である椿を上回る実力を備えていた。



「(もっと言えば経験値も私より上なんだよね〜。これまで掻い潜って来た修羅場も多分向こうのほうが上。これを上回るのは容易じゃないね〜)」



 戦況は完全に不利。


 後方では、正体不明の攻撃に苦戦する仲間達の声が時折届く。


 心の奥底に僅かに焦りが見え始めた時、戦場となった根拠地に、一筋の光が降り立った。

※後書きです







ども、琥珀です


投稿再開、となると得てして緊張感が生まれるもので、やはり執筆に良くも悪くも影響が出ますね。


悪い方はともかく、良い方を前面に出して執筆ペースを維持したいものです…


本日もお読みいただきありがとうございました。


次回は月曜日の朝の更新予定ですので、宜しくお願いします!

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