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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
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第229星:巨大生命体

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


新島 夕(10)

 大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力には未だ開花していないが、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。

 その日は突然訪れた。


 根拠地一帯に鳴り響く警報音。根拠地内に居た『グリッター』達は、習慣付いた動きで戦闘の準備に取り掛かる。


 そしてそれは、執務室にいる大和達も同様であった。


 執務室の下層に位置する司令室へと移動し、咲耶、夕は情報の収集に努める。



「二人とも、状況の説明を」



 これまでと変わらず、大和は柔らかながら落ち着いた声で二人に尋ねる。


 しかし、二人はこれまでとは違った様子を見せていた。


 いつもならば即座に回答が返ってくるのにも関わらず、夕のみならず咲耶でさえも固まっていたのだ。



「二人ともどうしたんだ。状況の説明を」



 大和が再度声をかけると、二人はハッとした様子で我に帰り説明を始める。



「す、すいません。ですが…これは、これを、どう説明したら宜しいものかと…」



 咲耶がこれ程動揺する様子を見せるのは、珍しかった。


 そして同時に、事態がそれ程重いものであることを理解する。



「…!調査班から連絡!現場の映像が出せるそうです!」

「モニターに映してくれ」



 夕からの報告を受け、大和はすぐに映像を出すように伝える。


 夕は手早く機器を操作すると、司令室の天井に付けられたモニターに映像が映る。



「これは…」



 そして、大和も何故咲耶達があれほど当惑していたのか理解した。


 そこに映し出されていたのは、()()2()0()m()()()()()()()()()()()()()()()






●●●






「了解しました!私達が急行します!」

『頼んだ。全く得体の知れない物体だ。情けない話、どういう指示を出したら良いのか分からない。まずは距離を保って様子を伺ってくれ』



 巡回中であった朝陽小隊は、大和からの指示を受け現場へと向かい始める。



「得体が知れない、かぁ。司令官がそう言う言い回しをするんだからぁ、相当だよねぇ」



 移動を始めて間も無くして、華が一同に話しかける。



「そうですね。『悪厄災マリス・ディザスター』が襲撃してきた時も、強個体の『メナス』が現れた時も、先ずは私達にやるべき事を指示してくれた方です。それが様子を伺うに止めると言うことは、何も掴めないほどの存在、という事」

「気を引き締めて行きましょう!!」



 各々が気を引き締め直すなか、やや後方を飛ぶ二人、透子と無値は暗い表情を浮かべていた。



「二人とも!!」

「ヒッ!?は、はい!!」

「…ッ!はい」



 声を掛けられると、透子はともかく、珍しく無値も驚いた様子で返事を返した。


 気付かないうちに朝陽は飛翔の速度を緩め、二人の隣まで降りて並走していたのだ。


 声を掛けたのが朝陽であることに気が付くと、透子は思わず安堵する。



「(あれ…?なんで私…安堵してるんだろ…)」



 自分の心から浮かんだ感情に疑問を持ちながらも、透子は改めて朝陽の方へと向き直る。



「大丈夫ですか?もし体調が優れないなら、今回は根拠地の方で休んでも…」

「い、いいいいえ!大丈夫です!」

「同意。たったいまの集中力を欠いていた事は認めます。ですが、体調に異常はありません。気を引き締め直します」



 心配をする朝陽に断りを入れ、二人は戦闘に意欲を見せていた。


 二人の様子が明らかにこれまでとは異なる意味でおかしいとは思いつつも、朝陽は二人を信じて再び前方へと飛翔していった。


 朝陽が前方へ移動する朝陽の姿を目で追っていた二人は、再び複雑な表情を浮かべていた。






●●●







『朝陽小隊、現着しました!でも…これって…』



 現場に到着した朝陽達は、手元に付けたアームに備わっているカメラで問題となっている存在を映していた。


 広角度から映し出された事で、その存在の全容を見ることが出来たが、それでもその正体は掴めなかった。



「…得体が知れませんね。これ程巨大な存在に、これまで気付けない筈がないのですが」



 改めてその異形の存在を見て、咲耶は思わず固唾を飲む。


 その中で、大和は冷静にその存在の解析を進めていた。



「…あの物体が有る周囲で海水が蒸発している。つまりアレは熱源を持った存在ということになるね。それに、ピンク色の外表面は時折脈動しているように見える。そこから推察されるにアレは……」

()()()……と言うことですか?」



 恐る恐る尋ねる咲耶の答えに、大和は頷いた。



「まぁどう見ても意思疎通はとれそうに無いし、そもそもあの生命体に意思があるとも思えない。対処に困る存在だね」



 大和はため息をこぼしながら、キィッと音を立て背もたれに寄りかかる。



「さて、どうしたものかな…朝陽くん、ソイツが動いている様子は?」

『……いま現在は確認されていません!』



 朝陽の答えを聞いた後、念のため夕の方を見るものの、夕も同様に頷いた。



「仕方ない、少し様子を見ようか。下手に攻撃して暴れ出されても面倒だ。正体を探るところから始めよう」



 大和が出した結論に、咲耶、夕の両名が頷く。



「夕くん、瑞樹くんを至急呼び出してくれ。恐らく彼女の力が必要だ」



 夕は「分かりました!」と答えると、直ぐに通信機に手を伸ばし、科学班班長である一ヶ瀬 リナと連絡を取り出した。



「咲耶、すぐにもう一小隊の出撃用意を頼む。これ程イレギュラーな存在だ。小隊一つだと対応しきれないかも知れない」

「分かりました。どちらの小隊を出しますか?」



 咲耶が尋ねると、大和はニッと笑みを浮かべた。



「こういうバカデカく広範囲な物体全体を見渡せる、うってつけなのは、彼女に決まってるじゃ無いか」






●●●









「いやはや…これは流石に予想外でありますな」



 警報が鳴り響いたことで待機していた歪とカンナは、朝陽から送られてきた映像をアームのモニターで見ていた。



「自分もそれなりに戦いに身を置いてはきましたが、こんな物体初めてみたであります。不気味というか、得体の知れない恐怖を感じるでありますな」



 歪はオェーと気持ち悪そうな表情を浮かべる。


 それとは対照的に、カンナは真剣な面持ちでこれを見ていた。



「私も初めて見たわ。けれどちょっと興味深いわね。物体…と言うよりは生命体みたいね。出来ればサンプルを回収して見たいところだけど…」



 自分の発言に対して首を振り、カンナは諦めた様子で息をこぼす。



「これは流石に無理な。巨大すぎて人目につき過ぎてる。目を盗んで回収するのは至難の業。これを対象にした任務なら兎も角、今回はイレギュラー中のイレギュラー。諦めるしかないわ」

「で、ありますな。既に人員も割いてもらっている状況。これ以上の任務外の行動は、支障をきたしかねないであります」



 どこか口惜しそうに答えるカンナを横目に、歪も同意の意見を述べた。



 そして今度は、目をスッと細めて尋ねる。



「……では、作戦に変更は無く…と言うことで良いでありますか?」

「……えぇ、もう少し派手に動き出したら、予定通り開始するわ」



 カンナの返答に歪は頷き、再びモニターの方へと目を向ける。


 イレギュラーな事態が起きているその裏で、もう一つ、小さく無い陰謀が暗躍を始めようとしていた。






●●●






「もう怪我は大丈夫なの〜?」



 大和からの指示を受け、準備を進めていた三咲のもとへ、椿が現れる。


 椿は友人を前に苦笑いを浮かべながら答えた。



「えぇ、問題ありません。寧ろ休み過ぎてしまったくらいです」

「……そっか」



 三咲の言葉に嘘はなく、顔色は良く無理をしている様子も無かった。


 準備を終えた三咲は「よしっ」と言って立ち上がり、真っ直ぐ椿の方を見る。



「そんな心配そうな顔をしないでください。無理をするようなことはしませんし、今回の出撃も偵察を目的としたものですから」



 表情に出さないように努めてはいたものの、やはり勝手知ったる友人の前では意味をなさず、直ぐに看過されていた。



「……【オリジン】との戦闘の時はすいませんでした。私のために怪我を負ってしまったんですよね」

「ん〜ん。椿ちゃんがやられたのを見たら頭に血が上っちゃって。一矢報いてやろ〜って思っての行動だから自業自得だよ」



 椿はふんわりとした笑みとは裏腹に、感情的になってしまったその時のことを語る。



「フフッ。では、ありがとうございます、の方が良いのかもしれないですね」

「アハハ。感謝されるのもちょっとおかしな話ではあるけどね〜。結局その後、私も『ベイルアウト』しちゃったし〜」



 椿と三咲は互いの発言に笑みを浮かべ笑い合う。



「さて、それではそろそろ行ってきますね」

「うん、いってらっしゃい〜。何かあったら直ぐに助けに行けるようにはしておくから〜」



 椿は手をヒラヒラさせながら三咲を見送ると、もとのふんわりした雰囲気を一転させ、シリアスな雰囲気を纏う。



「大丈夫。()()()は何とかしてみせるよ」



 そう言い残し、椿もゆっくりとその場をあとにした。


※後書きです







ども、琥珀です。


一週間+αのお休みをいただきありがとうございました!


おかげさまで英気を(少し)養うことが出来ました!

これからまた週五更新頑張って参りますので宜しくお願いします!


本日もお読みいただきありがとうございました!

明日も朝に更新しますので宜しくお願いします!

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