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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
252/481

第218星:貫穿ーラディーレンー

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


新島 夕(10)

 大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力には未だ開花していないが、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。臨時として朝陽小隊に配属される。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。臨時として夜宵小隊に配属される。

 戦いを続けていくうちに、朝陽はこの『メナス』が強化されたものであると結論つけた。


 先程までは身体能力が強化されと考えていたが、正しくは知性が強化された個体であると気付く。



「(パワーが上がったんじゃなくて、身体の使い方が上手くなったんだ。乱雑に攻撃をするんじゃなくて上手く自分の身体能力を引き出してるから、そう感じるんだ)」



 乱雑に振われる拳、無闇に放たれるレーザー、無造作に群がる触手。


 そういった攻撃の単調さは、組織のメソッドして対応方法が確立され、対処されてきた。


 その動きが、目の前に立つ『メナス』からは感じられなかった。


 臨機応変さ、巧みな攻撃・タイミングなど、これまで対峙してきた『メナス』とは明らかに違う、言ってしまえば成長した姿のようであった。



「(でも、それは私も同じ!!)」



 朝陽の言う通り、成長というのは『メナス』だけのものではない。


 寧ろ、人類の専売特許である。


 囲うだけでなく死角を突いた『メナス』の触手攻撃を、朝陽は『フリューゲル』を展開し防いでいく。


 今まで補助的な役割として振るってきた槍を巧みに操り、繰り出される『メナス』の攻撃を滑らかに捌いていく。



『ォ ア゛ア゛ア゛!!』



 攻めきれないことに怒りを覚えたのか、『メナス』は再び触手を広げる。


 ただし今回は、死角を突くのではなく、純粋に質量で押し切るためのものであった。


 常人なら捌くことが出来ないほどの数の触手であったが、しかし相手が悪かった。



「『フリューゲル』!!」



 朝陽には自身の翼であり、手足である刃がある。


 それを駆使し、自分の体を覆い隠しかねないほどの触手を全て切り裂いていく。



『ォ ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』

「ハ ァ ア ア ア ア ッ !!」



 互いの咆哮がぶつかり合い、攻撃の衝撃と相まって周囲に轟き渡る。



『────!?グッ…ギィッ!?』



 この激しい攻防に競り勝ったのは、朝陽であった。


 視界を覆い尽くす触手を断ち切り、朝陽の槍は『メナス』の肩の部分を貫いていた。



「『光の聖槍よ(シェペーア)』!!」



 しかし朝陽は攻撃の手を止めない。


 貫いた肩口にある槍の先に光を集め、刀身の部分を肥大化させる。


 光の刀身は『メナス』の肩口から縦に切り裂き、『メナス』の腕を両断した。


 朝陽はそこから更に追撃を試みるも、片腕をやられた『メナス』の強烈な反撃に対し防御を強いられ、距離をとられる。



「攻め切りたかったけど…でもこれなら押し切れる。今のは反撃の力を見誤ってただけ」



 予想以上の反撃を受けたにも関わらず、朝陽は慌てる様子なく、落ち着いて事態を飲み込む。


 強化された『メナス』の力は予想以上であったが、想像以上の朝陽の成長がこれを上回っていたからだ。


 不足していた経験値は咲耶との模擬戦で培われ、達していなかった技術は実践の中で磨かれていく。


 その成長幅が、強化された『メナス』の力を超えていた。



『グッ……ゥヴ!!』



 『メナス』は怒りの形相で朝陽を睨みつつ、反撃に出た瞬間に斬られた腕を回収していた。


 そして、その腕を乱暴に根元に押し付け、回復力を活かして無理矢理繋ぎ直していた。



「通常の回復よりも速度が早い。普段も少ないのかも…そのまま再生させるのはあまりダメージにならないのかな」



 少なからず驚きの感情はあったものの、朝陽はこれを冷静に分析する。



「今まで通りの攻撃じゃ倒す前に回復されちゃう。なら、回復する前に消滅させる攻撃で一気に倒す!」



 朝陽はそれまでの()()()の姿勢を止め、本格的な攻撃体勢に移る。


 その気配を感じ取ったのか、『メナス』は全身で身構え警戒の姿勢をとる。


 一瞬、身体に力を溜める仕草を見せると、次の瞬間、朝陽は『メナス』の間の前にまで迫っていた。


 驚きの色に染まる『メナス』は、しかし半ば無意識に本能が働き、出遅れながらも反撃に出る。


 しかし、その出遅れは、今の朝陽には致命的であった。



光の弾よ(ゲジョス)!!」



 超至近距離、否、もはやゼロ距離から、朝陽は光の弾丸を発射。


 反撃に意識がいき、防御にまで知性が回らなかった『メナス』は、無防備な状態でそれを受け、弾丸の勢いに押されながら、『メナス』は後方へと吹き飛ばされていく。



「光を集約……ううん、()()()()()!!」



 飛ばされていく『メナス』に槍の矛先を向けながら、朝陽はその先端に光を集めていく。


 大量の光が刀身の先に集約され、小さな光球が作られていく。


 およそ集められた光の量に見合わないサイズの小さな光の玉は、代わりに肌をひりつかせる程のエネルギーが留められていた。



『──── ォ ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』



 その間に、『メナス』は朝陽の光弾を打ち破り、吹き飛ばされていた身体を急停止させる。



「『閃光の貫穿よブリリアント・ラディーレン』!!」



 しかし、朝陽の動きは迅速であった。


 既に極限まで集約されていた光を、朝陽は『メナス』の動きに対し躊躇せず放つ。


 光は光速で『メナス』に迫り、攻撃の気配を察知した『メナス』は回避が間に合わないと悟るや否や、触手を展開し両腕で身体を隠すことで、万全の状態の防御体勢に入る。



────キュウ……ゥン…



 朝陽の放った閃光は、そんな壁など存在しないかのように、真っ直ぐ、そして静かに『メナス』を貫いた。



『ッ!?カッ…ッ!?』



 攻撃は、『メナス』の腹部を小さく貫いただけ。


 しかし、超高密度に圧縮された光は、『メナス』の身体を貫いた瞬間、光のエネルギーが解き放たれ、全身を駆け巡って絶大なダメージを与えていた。


 バチバチバチッ!と『メナス』の全身から電気のような光が噴き出ると、その後ゆっくりと『メナス』の身体は崩壊を始め、間も無くして完全に消滅していった。


 恐らく今回の襲撃の要であったであろう強化された個体の『メナス』は、成長した朝陽に成す術なく破れ去ったのであった。






●●●






「…!朝陽小隊、強化個体の『メナス』討伐!軽微な負傷はありますが、全員無事とのことです!」



 夕からの報告に、大和は安堵と歓喜の笑みを浮かべる。



「そうか…想像以上、いや、さすがと言うべきかな」



 大和は静かに咲耶に目を向けるが、咲耶はいつものようなクールな表情を崩さなかった。


 ……と、本人は思っていたようであるが、実際は口元に隠しきれない笑みを浮かべていた。



「当然です。彼女が本来の力を出し切り、そして成長を続けていれば肩を並べられる者は数える程しか存在しないでしょう」



 自信げに答える咲耶は、「それに…」と続ける。



「彼女を鍛えているのは私です。このくらいはやり遂げていただなくては困ります」



 そう言って、咲耶は再び笑みを浮かべるのであった。


 しかし咲耶の表情は直ぐに引き締め直される。


 朝陽について語っている時も、片時も目を離さなかったモニターを食い入るように見る。



「大和、戦いはまだ終わっていません。夜宵小隊は今も交戦しています」



 咲耶の言葉は大和にもしっかり届き、強く頷く。



「その通りだ。夜宵くん達はまだ戦っている。朝陽くん達が勝ったからこそ、彼女達も守り抜かないとね」



 大和も気を緩めていたわけではない。


 しかし咲耶の言葉を受け、再び気を引き締め直した。



「咲夜、夜宵小隊の状況は?」

「残存の敵は残り三体。内二体が通常個体、一体が朝陽小隊と邂逅したモノと同様、強化個体です」

「同じ強個体が二対同時に…となると、突然変異のようなものではないと言うことか」



 突如現れた個体に大和は考えを巡らせるものの、一旦その考えを放棄する。


 個体の強さの正体を見極めることよりも、まずは勝利し生還させることが最優先であるからだ。



「戦況は?」

「やや分断されてはいますが、夜宵隊長と歪さんが強個体に応対、残された三名が二体の『メナス』と対峙しているようです」



 報告を受け、大和は僅かに考え込む。


 夜宵小隊は他の小隊に比べると、経験の浅いメンバーが組み込まれている。


 その大きな理由として夜宵の存在が挙げられる。


 元々夜宵はこの根拠地の『グリッター』を実質指揮していたほどの実力とカリスマ性を持っている人物である。


 そのため、小隊編成に比較的若いメンバーを組み込むことで、より身近に夜宵から学び、成長を促そうという大和の狙いがあった。


 実際、メンバーである伊与・瑠衣・優弦の三人は、小隊編成になってから成長速度が確実に上がっており、それは数字としても残っている。


 しかし、今回に限ってはそれが裏目に出ていた。



「(夜宵くんと分断されたことで、指示が通りにくくなってる。だからか小隊メンバーの動きが鈍い)」



 夜宵のもとで著しく成長した三人であったが、逆を返せば、夜宵(トップ)抜きの状況に慣れていないことを表す。


 ここまで大和や咲耶が指示を出すものの、やはりぎこちなさは見られていた。



「(残りの通常の『メナス』は二対。伊与くん達だけでも対応はできると思うが、万が一ということもある。何とか夜宵くんと合流させたいが……)」




 戦場の動きに頭を悩ませながらも、大和が次の指示を出そうとした時のことであった。



「…!戦況に変化あり!」



 咲耶の言葉が司令室内に響き渡る。

※後書きです







ども、琥珀です


先日後書きにて、『咲耶』を『咲夜』と誤って書き続けてしまったことを後書きにて書いたのですが、それを見てか、誤字報告にて数度修正をいただきました。


少しずつ修正を始めてはいたのですが、本当に嬉しかったです…こんな後書きを読んでくださっていることが…笑


自力での修正は今後とも続けていきますが、誤字報告にて修正をして下さった読者の皆様、本当にありがとうございます!


これからももしお気付きの点がありましたら、誤字報告宜しくお願いします!


※誤字次いでに誤翻訳の修正を…


朝陽の技である『光の矢』を、これまで『クーゲル』と翻訳しルビを振ってきたのですが、こちらもミスでした…


正しくは『プフェイル(若くはプファイル)』でしたので、更新お休みの土日の間に順次修正をしていこうと思います…


本編に影響はございませんが、印象を変えかねない読み誤翻訳でした…以後気をつけます…


本日もお読みいただきありがとうございました!

土日は更新お休みになり、次回は月曜日に更新されますので宜しくお願いします!

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