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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
251/481

第217星:強化

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


新島 夕(10)

 大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力には未だ開花していないが、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。臨時として朝陽小隊に配属される。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。臨時として夜宵小隊に配属される。

「軽傷を複数確認。治療に入ります」



 朝陽が『メナス』に立ち向かう中、無傷であった無値は腰につけられたポーチから、簡易医療パックを取り出す。



「これくらい大丈夫ですよ!!それよりも朝陽さんの援護に……」



 治療を受けていた奏は、直ぐに援護に向かおうとするものの、フラッと身体を揺らし、隣にいる梓月にもたれかかる。



「いきなりの最大出力に、身体がちょっとオーバーフロー気味みたいですね。暫くすれば元には戻るでしょうけど、奏さんは少し休んだほうが良いです」

「…無念!」



 奏は一瞬躊躇ったものの、このまま戦っても足を引っ張るだけであると思い直し、素直に受け入れる。



「それにしてもぉ、なんだか変な個体だねぇ。攻撃の仕方もそうだけどぉ、私達から隠れるような動きをしてたみたいだしぃ…」



 その隣では、同じく無傷であった透子が華のケアを行なっていた。



「そうですね。正体は分かりませんが、とにかくいままでの個体とは何かが違うのは確かです」



 奏の治療を終えた無値に、続けて治療を受ける梓月がこれに続く。



「今の朝陽さんなら問題は無いとは思いますが、私達も何があっても対応出来るよう準備はしておきましょう」



 気を引き締め直す梓月の言葉に、華が頷く。


 全員の意識が『メナス』に向けられており、透子、無値の両名が、密かに血液を閉まったスピッツを懐に入れていることに、誰も気が付かなかった。






●●●






「せぇい!!」



 海面にいる『メナス』に対し、朝陽は『光輝く聖槍ブリリアント・ヘレバルデ』を横薙ぎに振るった。


 しかし、『メナス』はこれをものともせず無造作に手掴みした。



「えっ!?」



 明らかにこれまでとは違う動き、そして強さに朝陽は思わず声をあげてしまう。



『────ォ ア ア゛ア゛!!』



 槍を掴んだ『メナス』は、そのまま勢い任せに朝陽を投げ飛ばした。



「くっ!!」



 凄まじい勢いに、朝陽は『フリューゲル』に『グリット』のエナジーにより推進力を与え、体勢を立て直す。



「これは…」



 その『メナス』の強さに、朝陽は困惑しつつも警戒を高める。



『朝陽くん』

「司令官?」



 と、そこへ朝陽の耳元につけられた通信機から、大和の声が届けられる。



『モニターで現状は確認している。けど現場の声を聞きたい。対峙している《メナス》は普通とは異なるかい?』



 朝陽は改めて目の前に立つ『メナス』に目を向け、大和の問いに答える。



「外見にはこれといって特徴はありません。ただ身体能力が他の個体よりも高いようです。それに、攻撃手段も多彩です」

『成る程……』



 朝陽の返答内容をに、大和はやはりと言った様子で答える。



『実はその個体は、レーザーの範囲外まで離れた海底に潜んでいたんだ。捉える手段があったのに見逃したのはボクのミスだ。本当にすまない』

「謝らないで下さい。私達も戦い終わったと思って気を抜いてしまったので」



 大和一人に責任を負わせないよう、朝陽も自分にも過失があったと伝える。



『…ありがとう、お互いに次に活かそうか。さて、つまり何が言いたいのかと言うと、ボク達のレーダー網を掻い潜る手段と行動を用いれる程の知性を持っていると言うことだ』

「え!?じゃあこの個体は『悪厄災(マリスディザスター)』ですか!?」



 朝陽の言葉に、大和は「いや」と答える。



『いま確認している生体パルスはそこまで強大なものじゃない。それに見たところ《知性》といっても他の個体よりも優れている、という程度のもののようだ。《悪厄災(マリスディザスター)》ではないだろう』



 大和に言われ、朝陽も確かに…と思い直す。


 『悪厄災(マリスディザスター)』は映像で見ても身体が震えるほどのプレッシャーがあった。


 【オリジン】は足が竦むほどの存在感を持っていた。


 目の前の個体は、確かに他の『メナス』に比べて圧は強い。


 しかし、足が竦む圧でも、身体が震えるほどのプレッシャーが放たれている訳でもない。


 例えるのなら、他の個体よりも()()()()()()()ような印象であった。



『実を言うと…』



 大和は悩んだ様子ながら、ゆっくりと口を開いた。



『夜宵くんの小隊にも、同じモノと思われる個体が現れている』

「え!?お姉ちゃんのところにもですか!?」



 朝陽は動揺するが、目の前の『メナス』からは目を離さない。



『大丈夫です、心配いりません。私が常に監視していますし、必要であれば椿小隊を向かわせます。現状その必要はない、と伝えれば安心出来ますか?』



 代わりに答えたのは咲耶であった。


 いつものように冷静な口調で説明をされ、日々鍛錬を受けている朝陽は、咲耶こ言う通り安心し落ち着きを取り戻した。



「分かりました!ありがとうございます先生!まずは目の前の『メナス』に集中します!」



 咲耶の姿は見えなかったが、朝陽には咲耶が頷いている気配をしっかりと感じ取っていた。


 通信はそこで終わり、咲耶は全意識を『メナス』に向けた。



「(予想よりも強くてさっきは攻を焦っちゃったけど、冷静になれば対応は出来るはず)」



 朝陽は出来うる限り咲耶との訓練の状況を似通らせるため、光を操り海面に擬似的な足場を作り出す。



『ォ ア ア゛ア゛!!』



 それを何かの攻撃の予兆と考えたのか、『メナス』は雄叫びをあげ、朝陽に勢いよく突っ込んでくる。


 元々攻撃は単調な『メナス』の動きそのものであるため、朝陽もそれに準じて対応するが、その時、朝陽は何かを直感的に感じ取った。



《こと対『メナス』に関しては、私のような特定のメソッドに従った杓子定規のような戦い方よりも、貴方のようなその場に応じて戦う臨機応変さの方が強さを発揮されます。この点に関して言えば、貴方のその直感力は強みであると言えます》



 その時思い返されたのは、訓練の時に咲耶が朝陽に向けて言った言葉であった。


 確信があったわけでは無いが、朝陽は自分の直感を信じ、攻撃ではなく守備に回った。



「『光の壁よ(ヴァント)』!!」



 槍を中心に、『(シルト)』よりもより防御性の高い『(ヴァント)』を形成。


 その直後、迫っていた『メナス』は、先程と同じように拡散させる無数のレーザーを放ってきた。


 動きが先読みされたことに驚いた様子を見せるが、しかしそれでも攻撃は止まなかった。



「(動きを読まれて驚く仕草も見せてるのに攻撃を続けてる?まだ何かある!)」



 朝陽がその時違和感に感じたのは、『メナス』が海面スレスレではなく、足の脛付近まで沈ませていたことであった。


 これは、故意に身体の一部分を隠しているのでは無いかと、理解ではなく感じていた朝陽は、その感覚に従い、更に守りを固めに入っていった。



「『閃光の壁よブリリアント・ヴァント』!!」



 直後、槍の周囲を浮遊していた『フリューゲル』が周囲に展開され、正面にのみ形成されていた壁は、立体的な正五角形の形を作っていった。


 朝陽の直感は的中し、その直後に海面の中から無数の触手が朝陽の周囲より襲い掛かってきた。


 しかし、そのいずれも朝陽の光の壁に阻まれ、攻撃が届くことは無かった。



『ゥヴ!!』



 攻撃の全てを読まれたことで、驚きよりも怒りの形相を『メナス』は浮かべていた。



「(こんな絡め手を使ってくるなんて、やっぱり今までの『メナス』とはちょっと違う。身体能力だけじゃなくて、間違いなく知性がついてる)」



 厄介な個体であることには間違いないものの、それでも朝陽に迷いはなかった。



「でも、やることは変わらない。動きを読み取り、感じ取って、仕留める」



 咲耶からの教えをしっかりと活かし、今度は朝陽から攻勢を仕掛ける。


 レーザー攻撃を警戒し、超至近距離まで詰め寄った朝陽は、真っ直ぐに槍を突き出す。



『ゥ゛ア゛ア゛!!』



 当然、『メナス』は高い動体視力で捉え掴もうと手を伸ばす。



「『光の矢よ(プフェイル)』!!」



 先程と同じ動作であったことから、恐らく同様の行動をしてくると読んでいた朝陽は、その瞬間、槍の先端から『光の矢』を放った。



『────ッ!?』



 超至近距離から放たれた朝陽の矢は、超人的な『メナス』の反射神経により避けられてしまう。


 しかし、朝陽も端からこの攻撃が当てられるとは思っていなかった。


 急な攻撃でバランスを崩した『メナス』の軸足を蹴り飛ばし更に状態を崩す。


 そのまま槍をグルッと回転させ、槍の石付の部分で顎を叩き上げた。



『グッ……ギィ!!』



 叩き上げられた『メナス』の身体は浮かび上がり、海面から釣り出される。


 そして顔が上がったことにより、腹部が丸出しとなり、朝陽はそのまま槍の石付の部分を叩きつけた。


 『メナス』は身体をくの字にしながら、何度も海面を跳ねるようにして吹き飛ばされる。


 『メナス』に通常の攻撃はほとんど効果はない。


 しかし、身体能力で勝る『メナス』に、肉弾戦が通用するということは、朝陽に良い自信をつけることに成功していた。



「さぁまだまだ行きますよ!先生に教えてもらった手前、負けるわけには行きません!」



 未知の強さを誇る『メナス』を相手に、朝陽は意気揚々と立ち向かっていった。

※後書き






ども、琥珀です


報連相は大事です。絶対です。

他者に対して良かれと思っての行動も、当人にとってはよく思われてないかもしれません。


自分の考えを伝え、同意を得て、行動に移す。

これは絶対に大切です。


皆さんも報連相は心がけましょう。


本日はお読みいただきありがとうございました。

明日も朝の7時ごろ更新されますので宜しくお願いします。

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