表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
250/481

第216星:隠密

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


新島 夕(10)

 大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力には未だ開花していないが、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。臨時として朝陽小隊に配属される。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。臨時として夜宵小隊に配属される。

「行きますよー!!『グリットランチャー』、発射!!」



 奏が叫ぶのと同時にトリガーを引くと、砲身から巨大な弾丸が放たれる。


 見た目は通常のロケット弾と同じであるが、違うのは噴出されている推進剤。


 通常は火薬やガスで加速しているのに対し、『グリットランチャー』は使用者のエナジーを吸収して放たれる。


 『グリットランチャー』の『戦闘補具(バトル・マシナリー)』に補助として付けられた誘導機能によって、弾丸は一定の追尾を行うことができる。


 エナジーによる推進はこの機能が強化され、また通常よりも速く加速、移動する。


 人智を超えた力に人間の科学の力を組み合わせた武器である。



「(…!アレは、『グリットランチャー』。『メナス』の動きを止めるために用意してくれたんですね、ありがとうございます!)」



 一方で、最後の一体を追っていた朝陽も、華達の攻撃の意図を察していた。


 放たれた弾丸に合わせて移動速度を変えつつ、『メナス』がロケット弾の気配に気付かない位置に移動する。


 弾丸の距離は残り100m。速度を考えれば最早考えることは不可能な距離まで迫っていた。



『ッ!!ア゛ァ !!』



 しかし、『メナス』は超人的な感覚によりこれを察知。


 朝陽が視線を誘導したにも関わらず、この存在に感付いていた。



「…警告。『メナス』、『グリットランチャー』砲弾を感知」

()()()()()()()



 まるで機械のように警告する無値の言葉に、華から渡されたライフルを構える梓月が、落ち着いた声で返す。



「鼻から『グリットランチャー』の一発で仕留めようとは考えていません」



 迫り来る誘導弾を回避しようとする『メナス』。それにより動きは単調になる。



「誘導弾で気を引いたところで……」



 クンッ…と梓月はライフルのトリガーを引く。


 そこから放たれたのは弾丸ではなく、レーザーのようなエネルギー弾。


 一筋の閃光となった光線は、回避しようとした『メナス』の肩を的確に貫いた。



『ガッ!?』



 突如肩を貫かれ、思わず『メナス』の動きが止まる。



「ライフルで動きを止め、そして当てる」

『ッ!!』



 続けて呟かれた梓月の言葉通り、動きを止めてしまった『メナス』に、誘導弾が直撃した。


 巨大な爆発音と共に舞い上がる爆煙。


 直ぐに煙は消えていき、中からは身体の半身を失った『メナス』の姿があった。



「ありゃ。誘導にエナジーを使う分、威力は落ちるとは聞いていましたが、仕留めるにも至りませんか…」

「位置も悪かったですね。本来中心地に当てないといけないのを、僅かに回避された動きが重なって半身にしか当たりませんでした」

「まぁでもぉ、普通は身体半分も吹き飛べば即死だからぁ、これはこれで十分な威力はあるんじゃないかなぁ」



 仕留め切れなかったことに動揺することなく、三人は冷静に結果を分析する。



『ウッ……ギイッ!!』



 その状態にありながら、『メナス』は尚もその肉体を回復しようとするが…



「『光の聖槍よ(シェペーア)』!!」



 すかさず、その隙に朝陽が『メナス』にとどめを刺す。


 残った半身を貫かれた『メナス』は、今度こそ黒い塵となって消滅していった。



「やった!!」



 全ての『メナス』を撃退し、奏は喜びを露わにする。



「やったねぇ朝陽ちゃん〜凄いよぉ」

「はい。見違えてしまいました。名実ともに、私達の隊長さんですね」



 出現していた『メナス』は全て消滅した。


 奏だけでなく、華・梓月の両名も勝利を確信し、笑みを浮かべていた。


 三人から賛辞を送られ、朝陽は喜びの感情を奏達に向けた瞬間、その表情を一変させる。



「……警告。海面より『メナス』のパルス反応あり。既に攻撃態勢」



 朝陽の表情に対する違和感を感じたのと、無値の報告は同じタイミングであった。


 直後、奏達のいる真下の海面から、拡散された無数のレーザーが放たれた。






●●●






「朝陽小隊の戦闘エリアに更に『メナス』出現!!襲撃を受けています!!」

「なんだって…!?」



 夕の報告に、大和は驚きレーダーを見る。


 そこには、確かに先程までは何も示していなかった筈のレーダーが、一体の『メナス』のパルスを捉えていた。



「レーダーにはなんの反応も……いや、そうか……通常の個体に目を向かせてレーダーの隙を……」



 状況を整理していくなかで、大和は何故先程まで捉えられなかったのかを推察していく。



「大和…これは、『アイドス・キュエネ』の仕業ですか?」



 一度対峙したことのある咲耶が、似たような状況にあるために尋ねるが、大和はこれに首を横に振った。



「違う。これはもっと単純な手だ。あの空を飛んでいた『メナス』を囮に使ったんだ」

「『メナス』を、囮に?」



 発言の内容が理解できず、夕は思わず聞き返す。



「ボク達が使用しているレーダーは、ソナーと同じ原理で『メナス』の放つパルスを捉えている。但しレーダーは地上に設置されているから、地上に近ければ近いほど精度は上がる。つまり逆を言えば…」

「沖合……それも海底に行けばいくほど、その精度は落ちる?」



 大和の言わんとしていることに気が付き、咲耶が答えると、大和はこれに頷いた。



「あの『メナス』は、初めから他の個体と同じ位置の海底に潜んでいたんだ。けれど、以前使用した『探知機(マーカー)』やコイルを使用すれば探知は可能だった。上空にいる『メナス』に気を取られて、気を配らなかったボクのミスだ…ッ!」



 意表を突くにはあまりにも単純な作戦。


 しかし、だからこそ深読みをしていた大和は、その単純な手に引っかかってしまった。



「め、『メナス』!!攻撃開始しました!!」



 悔しさに顔を覆い隠しているうちに、『メナス』は攻撃を開始。


 大和は直ぐに指示を出そうとすると、夕の隣で夜宵小隊をモニターしていた咲耶が目を見開き、驚きの声を上げる。



「…!夜宵小隊にも『メナス』の増援!!」







●●●






『オ ア ア゛ア゛!!!!』



 海面から現れた『メナス』は、顔を出した瞬間攻撃を開始。


 これまでとは違い、一直線に一筋のレーザーを放つのではなく、広範囲に拡散するように無数のレーザーを放っていた。



「耐熱反射鏡を……!!」

「ダメです!!間に合いません!!」



 華の反応は素早かったが、完全に不意をつかれ流石に対応は間に合わなかった。



「私が…ッ!!」



 開放するまでに時間を要する『耐熱反射鏡ゲトゥルト・シュピーゲル』に代わり、奏が前に出てこれに対応する。


 『目的地変更ディスティネーション・ホールド』により迫り来るレーザーを曲げて味方を守っていく。



「グッ…!?こ、これは予想よりも…!?」



 レーザーを曲げ続ける奏であったが、想像よりも威力が高く、その表情は苦悶に満ちていた。



「ま……ずい!!も、もう持ちません!!か、回避をッ!!」



 奏はそう言うものの、レーザーは奏達を中心に広範囲に放たれており、退路は無いに等しい。


 華はすぐさま再び反射鏡を展開しようとするが、それよりも早く奏の限界を迎え、『グリット』が解けてしまう。



「きゃあっ!!」

「ま、まずい!!皆さんとにかく回避行動を!!」



 無数のレーザーが奏達を襲い、次々と攻撃をかすめていく。



「『光の守護盾よ(シュッツァー)』!!」



 そのうちの一発がが直撃する寸前、高速で奏達のもとへ向かっていた朝陽が間一髪のところで光の盾を展開する。


 先程までの『(シルト)』とは異なり、相手の攻撃を受け流すことは出来ないものの、その分盾の範囲が広く、耐久性にも優れる技である。



「皆さん大丈夫ですか!?お怪我は!?」



 シールドを展開した朝陽が奏達の様子を確認すると、全員が大なり小なりの傷を負っていた。


 不幸中の幸いなのは、直撃して大怪我を負ったものがいないことだろう。


 一先ず全員が無事であることを伝えるが、間一髪であったことは間違いない。


 朝陽は攻撃が止んだのを見計らってシールドを解除すると、怒りの面持ちで海面から顔だけを覗かせている『メナス』に向けた。


 『メナス』はゆっくりとその身体を地上に現すと、朝陽に対し真っ向から睨み返した。



「気を付けて下さい朝陽さん。あの個体、外見こそ普通の個体と同じですが、どこか変です」

「はい、分かっています。姿も隠していたみたいですし、攻撃の仕方もちょっと陰湿でした。気を付けます」



 怒りの感情こそ持っていたが、それでも朝陽は冷静だった。


 槍を握りしめ、仲間を傷つけた『メナス』に目を向け、再び光を纏って飛翔した。

※後書きです







ども、琥珀です


最近喉の粘膜がやられてしまっているのか、錠剤を飲むと喉で引っかかってしまいます。


咳き込みすぎると良く無いとしりつつも、出てしまうのが咳…困ったものですね…


なんの話なんでしょうね。


本日もお読みいただきありがとうございました。

明日も朝の7時頃に更新されますので宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ