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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
249/481

第215星:圧倒

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


新島 夕(10)

 大和と咲夜をサポートする報告官を務める。『グリッター』としてこ能力には未だ開花していないが、自分にできることを精一杯こなす純真無垢な少女。10歳とは思えない礼儀正さを兼ね備える。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。臨時として朝陽小隊に配属される。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。臨時として夜宵小隊に配属される。

 自分達よりも更に上空を通過したかと思えば、海面スレスレを飛ぶ。


 『メナス』達はとにかく梓月達の視界を惑わし隙を窺っていた。



「は、はははは背面来ます!!」



 前方の『メナス』に気を取られていると、後方にいた『メナス』がレーザーを発射。


 円陣のを組み、その正面に立っていた透子が『耐熱反射鏡ゲトゥルト・シュピーゲル』で対応するが、ジリ貧な状況であった。



「いやぁやられたねぇ。まさかこんな手を使ってくるとはねぇ」



 緊張感をかけらも感じさせない声色で華が呟くが、実際対応に困っているのは事実であった。



「『輝線銃(グリットガン)』で牽制することは出来ますが…有効な対応策にはなり得ませんね」

「あの速度はぁ、私達のジェットパックじゃちょっと追いつかないもんねぇ」



 自由に飛翔できる『メナス』とは違い、梓月達の飛行はあくまで人工的なもののため、空中戦に挑むのは得策ではない。


 とは言え、数で勝っているとはいえ、このまま防御に徹していてはいずれ物資が底を尽きる。


「危険覚悟で距離を詰めるか、こちらも人数をバラけさせて対応するか…考えられるのはこの二つの案でしょうか」

「どっちもリスクあり気の作戦だよねぇ。でも、それしか無いかなぁ…」



 梓月、華の両名が覚悟を決めようとした瞬間、四人のもとへ奏が現れる。



「その必要はありません!!」

「わぁびっくりしたぁ」

「奏さん!?朝陽さんの援護はどうされたんですか?」



 梓月が驚くのも無理はない。


 これでこの場には小隊ほぼ全員が集結したことになり、逆に朝陽はいま、完全に孤立した状況になってしまっているからである。



「いやぁそれが、小隊長からここの手助けをしてほしいと頼まれてしまいまして!!」

「それは……確かに私達はいま打つ手がない状況ではありますけど、それでは今度は朝陽さんが…!」



 梓月は心配そうな表情で奏に訴えかけるが、奏は全く動じていなかった。



「お気持ちは分かります梓月さん。ですが梓月さんもご覧になられたはずです、先程の朝陽さんの動きを」



 奏の言葉で思い出される、朝陽のあの鋭く素早い動き出し。


 無駄は無く精錬された動きは、思わず見惚れてしまうような動きであった。



「何があったのかは分かりませんが、朝陽さんは既に私達より一歩上のレベルにまで行かれてしまいました。今の朝陽さんなら、この状況は打破できます」



 その時、不意を突くようにして『メナス』からレーザーが放たれる。



「フンッ!!」



 これを、あらかじめ『グリット』を発動していた奏が屈折させ、『メナス』の方へと跳ね返した。


 『メナス』はこれを難なく回避するが、先程までの防戦一方とは違い、反撃をしてきたことに警戒する様子を見せる。



「だから梓月さん、私達がすべきことは、朝陽さんの負担を減らすことです。朝陽さんが順に『メナス』に対応してくれます。私達はそれまで、目を惹きつけましょう!!」



 それだと朝陽の負担が大きくなる。


 そう分かっていたものの、下手な動きは更に状況を悪くすることも理解していた。


 朝陽の心配をしつつ、何も出来ない自分を悔いながら、梓月は奏の提案に頷いた。



「朝陽さん……お願いします」






────






 その言葉が朝陽に届いていたわけではない。


 それでも、朝陽は身体に力が篭ったことを感じ取っていた。


 身体に帯びた光は更に輝きを増し、そしてその飛翔速度も更に加速していく。


 遠目から見れば、高速で移動する朝陽の姿は、まるで流星のように尾を帯びて美しく流れて見えるだろう。



『────ア゛ァ゛!?』



 そして、『メナス』もその高速で迫る朝陽の存在に気が付く。


 従来空を飛ぶことが出来ないはずの人間が、空を飛ぶ能力を持つ『メナス(自分)』達よりも速く飛んでいることに、驚きの表情を浮かべる。



『────ア゛ァ !!』



 迫り来る朝陽に、『メナス』は牽制も含めてレーザーで攻撃を仕掛ける。



「『円環路(クライス・ヴェーグ)』」



 予め反撃は予想していた朝陽は、『フリューゲル』を展開。


 それを、自身を軸にするようにして高速回転させると、『メナス』のレーザーはこれに直撃し、円を描くようにして跳ね返されていった。



『────ガッ!?』



 跳ね返されたレーザーは、『メナス』の片手を撃ち抜き、消滅させていった。


 『メナス』が動揺しながら消滅した腕を見ている間にも、朝陽はその距離をどんどん詰めていた。



『ギィ…ッ!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』

「…!」



 腕を消された怒りか、はたまた迫り来る朝陽への焦りか。


 『メナス』は一気に方向転換し、朝陽の方へと向かってきた。


 そして無造作に連発してレーザーを放ち、朝陽の動きを牽制する。



「『光の盾よ(シルト)』!!」



 これに対し、朝陽は『フリューゲル』を前方に集め光を連結させていく。


 やがてその光は傘のような形をなしていき、朝陽を守る盾となる。



『ギィッ!!』



 朝陽の作り出した盾は頂点から下方へエナジーが流れているため、『メナス』のレーザーが直撃すると、まるで水のように後方へと流されていく。


 両者が距離を詰め続け、残り100mを切ったところで、朝陽が動く。



「『閃光の槍よブリリアント・ランツェ』」



 その言葉とともに、先程まで盾として機能していた『フリューゲル』が、その矛先を『メナス』へと向ける。


 光の帆が更に広がり、朝陽を包み込むほどの大きさになる。


 先程までの矛先が肥大化した槍ではなく、朝陽自身が光の槍の矛となっていた。



『────ッ!?』



 もはや叫ぶことすら出来ない。


 叫ぶ間すら与えない無慈悲な光の槍は、貫くことなく『メナス』の全身を消滅させた。


 光の槍を解除した朝陽は、消滅を確認することなく、再び次の『メナス』に狙いを定める。



「残り…二体!!」



 そう言うと朝陽は再び光を纏って飛翔を始めた。






────






「……報告。小隊長朝陽が『メナス』を撃破しました」

「え、もうですか!?」



 華達が防戦一方の戦いを続ける中、戦闘を見ていた無値が一同に報告する。


 奏が合流してからまだ2分弱。その間に朝陽は『メナス』を仕留めていた。


 時間としては決して不可能な時間ではないが、相手は逃げるように高速で移動していた。


 そこに追いつき、無駄なく仕留めるという実力と要領があってこその成せたことである。



「すごい……ですけど、いくらなんでも急成長し過ぎではありませんか?」

「……さっきの朝陽ちゃんの動きを見てて思ったんだけどぉ、あの動きのキレ、どっかで見たことがある気がするんだよねぇ」



 梓月が唖然としていると、華がふと朝陽を見ていて気付いたことを口にする。



「……動き…キレ……あ、あれは指揮官の動きではありませんか!?」



 華の言葉をヒントに答えに至った奏の発言に、梓月が驚きながらも頷く。



「な、成る程。確かに言われてみれば…」

「朝陽ちゃんが最近夜な夜な居なかったのもぉ、凄く疲れてたのもぉ、指揮官から訓練を受けてたからだったんだねぇ」



 隣に立つ華も、納得して頷く。



「とは言え、恐らく指揮官から教えを受けたのは最近のはず。それを、この短期間でモノにしているのは、間違いなく朝陽さんの才能と努力の賜物ですね」

「そもそも指揮官に弟子入りとは、その行動力と発想が凄まじいですね!!」



 皮肉でもなんでもなく、素直に感心した様子の奏はは、再び迫り来るレーザーを難なく屈折させる。


 第二波を警戒し、攻撃された方向に意識を向けるが…



「なんと!?」



 そこでは、既に戦闘は終わっていた。


 朝陽の光の槍が、たった今攻撃を仕掛けた『メナス』の胸を貫いていたのだ。



「まさか……わざと攻撃する瞬間を待っていた…?」

「みたいねぇ。敵の数が減って、私達にも余裕が生まれたしぃ、防げると見込んでの動きだったのかもぉ」



 華達が話している間に、朝陽は最後の一体に向かって移動を開始していた。



「このままでは私達は何もしないまま終わってしまいますね!!」

「手間が無いのは良いことですが、それは些か私達の沽券にかかわりますね」

「だねぇ。最後くらいは役に立たないとねぇ」



 そう言って華はまたポットを開放。


 そこから出てきたのは、大型のライフル銃と、巨大な砲身を持つロケットランチャーであった。



「ちょっと物騒でぇ、『グリッター(私達)』らしくない武器だけどぉ、相手の位置は遠いししかたないよねぇ」



 ゆったりとした笑みを浮かべた華は、ライフルを梓月に、ロケットランチャーを奏に手渡した。



「これで『メナス』の動きを止めて、朝陽さんに留めをさしてもらおうと言うわけですか。直接倒せないのは悔しいですが…」

「元々私達はサポート向きでしたから!むしろこれこそ私達の役割そのものでしょう!」



 梓月、奏の両名は、それぞれ渡された武器を構える。


 完全に包囲された最後の個体の『メナス』を前に、戦いは早くも決着を迎えようとしていた。


 その時ただ一人。



「…!」



 人見知りであるが故に気配に敏感な透子だけが、海面の奥底から一瞬滲み出た気配に気が付いていた。

※後書きです







ども、琥珀です


すいません、今更ながら痛恨のミスに気付きました。


咲耶の名前は、咲『耶』が正しいのですが、続けて書いているうちに、咲『夜』になっていました…


今後は咲耶で改めて統一していきます…


本日もお読みいただきありがとうございました。

明日も朝の7時ごろに更新されますので宜しくお願いします!

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