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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
247/481

第213星:偵察

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


斑鳩夜宵(22)三等星

 千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。臨時として朝陽小隊に配属される。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。臨時として夜宵小隊に配属される。


【夜宵小隊】

私市 伊与 (19)

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。自身の肉体の動きを加減速する『グリット』を持つ。


早鞆 瑠衣 (18)

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。


矢々 優弦 (16) 四等星

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。自然の声を聞き取る『グリット』を持つ。


五十嵐 歪(25)

 普段は礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性だが…臨時として夜宵小隊に配属される。

「(頭から…離れない…)」



 何故かは分からない。


 しかし、その日の朝陽達の出来事は、無値の頭に強く焼き付いていた。


 それを思い出すたびに、無値は自室で何度も首を振り消し去ろうとしていた。



「(……『グリッター』は忌み嫌われる存在……あの様な光景はほんの一部。奇跡のようなもの。記憶に留めておく必要はない。削除しなくては)」



 それが、既に自分の中で何度も繰り返されているやり取りであることに、無値は気付いていなかった。



「(…私は、そのように()()()()()()()()。私は、そのような()()()()()()()()())」



 何かを取り戻しつつあった心を抑え込むように、その瞳は再び無機質なものへと成っていった。



「(……メンタルの安定化に成功。任務に支障無し)」



 自分を客観的に分析し、安定したという結果を導き出す無値。



「(……私は意思を持たない。私は目的を持たない。私は、命令を遂行する。それが出来なければ私は…)」



 その時、無値は自分に付けられた名前の意味を思い返す。



『貴方に存在価値はないわ。酷使され、使い潰され、利用される。それが貴方の唯一の存在理由よ』


 価『値』の『無』い存在、それが無値の名前の由来。


 扱われることが唯一の存在理由。


 利用されることが、無二の価値。


 そう()()()()()()()


 そう()()()()()()()()


 それさえも果たせなくなければ……



「(私は()()、捨てられてしまう…)」



 ぶるりッと、無値は思わず身体を震わせてしまう。



「(私は惑わされない…!)」



 無値はそう決意を改める。


 しかし無値は気付いていなかった。


 自分自身を完全に客観的に見つめる事など不可能であることを。


 そして、忠実に任務を遂行すると言う意思を持つ事自体が、既に自らの考えに反していることを……






────






「館山方面と銚子方面で同時に『メナス』が現れた?」



 歪達が各小隊に配属されれようになってから二週間が経ったある日。


 大和達のいる執務室に、報告官である夕から報告が届いた。



「は、はい!たったいま両地区から報告が入りました!」

「危険水域への到達予想時間は?」

「発見が早かったため、30分以上はあるそうです!」



 その吉報に大和が頷くと、直ぐに対応に移る。



「夕君はすぐに警報を鳴らしてくれ。準備から発の時間は5分で済ませるように」

「は、はい!」



 夕は指示を受けると直ぐに部屋を後にした。


 次いで大和は隣に立つ咲夜に確認を取る。



「咲夜、いますぐに対応可能な小隊は?」

「椿小隊が東葛飾方面へ巡回任務のため対応は不可能。三咲小隊は稼働は可能ですが、隊長の三咲さんが復帰してまもないリスクがあります。夜宵小隊と朝陽小隊が宜しいかと」



 迷いのない答えと、的確な判断に大和も同意する。



「よし、二小隊に直ぐに伝えてきてくれ。夜宵小隊は館山方面へ、朝陽小隊は銚子方面を対応してもらう」

「了解しました。配属された歪さん達はどうされますか?」

「基本的には戦闘に加わって欲しいが、歪くんを除けば小隊での初の実戦だ。本人達の意向を確認しつつ、最終的な判断は咲夜に任せる」

「了解しました」



 夕に続き指示を受けた咲夜も、これに続いて部屋を後にした。


 残った大和は、直ぐに対応するための作戦と戦術を組み上げていくが、襲撃ポイントを聞く中で、一つの違和感を感じ取っていた。



「館山に銚子…見事にボク達が対応する地域の正反対の位置だ。これは偶然じゃないだろうね」



 地図を見ながらその襲撃位置を確認し、そしてその意図を大和は察していた。



「恐らくこれは、『エデン』の入れ知恵だろうね。敢えて対応範囲を広げることで混乱させようとでもしてるのかな」



 しかし、大和は不敵な笑みを浮かべた。



「以前敗北したから、今度は手の内を知ろうと言う魂胆かな?」



 その笑みは、大和の心の余裕からくるものであった。



「今回も本体が直接赴くことはないだろうね。まったく、小手調べだなんて、随分と小癪な真似をするようになったものじゃないか」



 そして、大和の自信から溢れていた笑みであった。


 しかし、直ぐにその笑みは消えていった。



「今回は不意も意表もついてこない。あくまで偵察目的。となると勝ちを取りに来ているわけではなさそうだ。うちも新加入のメンバーがいるから、ちょうど良くはある」



 あとは……大和は机にある小型のモニターに映し出された四人をジッと見つめる。



「さて、これでカンナ君を除く三人の本領を見ることが出来るかな…?」






────






「指示は今伝えた通りです。地域が離れているので相互の援護は出来ませんが、貴方達なら十分に対応出来る数です。万が一に備えて、朝陽小隊には三咲小隊を待機させ、夜宵小隊には巡回中の椿小隊を向かわせます」



 咲夜から次々と出される指示を全て聞き取り、朝陽、夜宵の両名、及びその小隊メンバーが頷く。



「どうするか判断に悩みましたが、歪さん、透子さん、無値さんにも今回の戦闘に参加していただきます。大丈夫ですね?」

「了解であります!」

「は、ははははいっ!」

「…はい」



 歪はこれまで通り、透子は怯えた様子で、無値は無機質ながらも、どこか気の籠った声で答える。


 ある意味でいつも通りの返答を返す三人に、咲夜は頷く。



「歪さん、無用な心配だとは思いますが、貴方は以前倒れています。体調に問題はありませんか?」

「お言葉通り、心配ご無用であります!小隊が故に小さなことが大事に至るのは分かりますが、そんな愚行を二度も犯すほど、自分、愚かではないつもりでありますから!」



 歪の言葉に嘘はなく、その表情は力強く、弱ったような様子は一切見られなかった。


 信頼に値する言葉であると信じ、咲夜は歪も送り出すことに決める。



「では直ぐに出発を。この襲撃位置には何か意図的なものを感じます。『エデン』、或いは『アイドス・キュエネ』の介入もあり得ます。十分に注意してください」

「「「了解!!!!」」であります!」

「さぁ行きなさい!そして忘れてはなりません!私達が戦う理由は!!」

「「「生きるために、立ち向かう!!!!」」」






────






「朝陽さん」



 出発直前。朝陽は咲夜に呼び止められる。



「はい、先生!」



 半ば反射的に答える朝陽に、咲夜は先程までの指揮官としての表情ではなく、師としての立場として言葉を掛けた。



「先程話した通り、朝陽小隊には三咲小隊をバックアップとして待機させておきます」



 咲夜は「但し…」と続ける。



「三咲さんは復帰して間も無く、実戦的な復帰はまだです。無理はさせられません。これがどう言う意味か分かりますね?」



 朝陽はすぐに咲夜の言葉の意図を察し、ニコッと自信に満ちた笑みを浮かべた.



「はい先生!大丈夫です、私達だけで終わらせてみせます!」

「良い返答です。ですが過信は禁物です」

「はい!自分に出来ることを全力で尽くしてきます!その上で、勝ってきます!」



 満点の答えに満足そうに頷き、咲夜は朝陽の背中を押し、送り出した。



「その自信と心意気があれば大丈夫。朝陽さん、貴方は強く成長していますよ」

「はいッ!」




「ところで奏さん、そのマスクの意味は一体…?」

「(((忘れてたッ!!)))」

「……ッ!!(最近私の扱いが酷すぎませんか!!)」






────






 小隊が飛び立つ前。


 朝陽が咲夜と話をしているのと同時ごろ、歪は透子と無値に激励の言葉を掛けていた。



「お二人はいよいよ初の実戦でありますな!小隊ではまだ慣れない点はあるでありましょうが、健闘祈るであります!」

「あ、あああありがとうございます……」

「…お任せ下さい。必ずやご期待に応えてみせます」



 透子の答えに頷く一方で、歪は無値の答えに一瞬眉を顰めた。


 しかし、直ぐに元の笑顔を浮かべ、これにも頷いた。


 そしてその直後、咲夜達には気づかれない程度に、僅かながらその本性を現した。



『分かっているでありますな、この戦闘の機会がチャンスであります。必ず手に入れて来るでありますよ?』



 使われたのは声に発しない内身通信。


 誰に気付かれることなく、歪は裏の計画を二人に伝える。



『…はい、お任せ下さい。必ず使命を果たします』

『……はい』



 今度は先程とは逆に、無値の答えに頷く一方で、歪は透子の反応の悪さに一瞬目を細めた。


 しかし、下手な反応は気取られると思い、その場ではその雑念を消した。



「歪さん、出撃しますよ」

「おっと!了解であります、直ぐに行くであります!」



 歪は振り返りながら夜宵に答えると、向かう前にもう一度二人の方は向き直った。



『失敗すれば次はない…でありますよ?』



 その発言に、透子は一瞬肩を揺らす。


 歪はすぐにニコッと笑みを向けると、今度こそ夜宵小隊の元へと走り去っていった。



「そう……やらなきゃ……成功させなきゃ……」



 思い詰めた表情のまま朝陽小隊のもとへ向かう透子を、無値は無表情のままその後を追って行った。

※後書きです






ども、琥珀です


更新が遅れてしまい申し訳ありません。


ちょっとしばらく頑張り続けてきたのですが、やはりちょっとお休みをいただくかもしれません。


内容も雑になりつつあるような気がするので、来週の更新はちょっと考えようと思います。


もし本編更新しない場合は、描いていただいたイラストを元に、主要キャラの登場人物紹介でも投稿しようかなと思います。


本日もお読みいただきありがとうございました。

明日は土日はお休みになりますので宜しくお願いします。

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