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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
238/481

第204星:二手

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。



【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


【新加入メンバー】

五十嵐 歪(25)

 礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性。 


霧島 カンナ(28)

 ミステリアスな雰囲気を醸し出す女性。落ち着いた振る舞いで同じメンバーをフォローする包容力を持つ。


無値(14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。

「えっと、それで一応私がこの小隊の……」

「一応は入りませんよ!!」

「……私がこの小隊の隊長を務めさせて……」

「させて貰ってるわけじゃないですよ?」

「……務めてます、斑鳩 朝陽です。宜しくお願いします……なんで今日そんなに厳しいんですか皆さん」



 新加入のメンバーを前に自己紹介を始めていた朝陽に対し、奏、梓月の両名から鋭い指摘が入る。



「最近朝陽ちゃんボ〜ッとしてることが多いからねぇ。ちょっと私達が気付けしてあげようかなぁってぇ」

「それに関しては私が全面的に悪いので何も言えないんですけど……何か方向性が違いませんか?」



 形容し難い違和感を感じながら、ひとまず朝陽は切り替え、改めて新メンバーの()()に向き合う。



「えと、じゃあお二人も改めて自己紹介を……」

無値(むい)です」

「ひ、ひひひひ日浦 透子です」



 無機質・無感情に答える無値と、逆に感情が籠りすぎてテンパる透子。



「え…えっと……」



 朝陽は必死に場を作ろうと試みるも、全くの逆の反応を見せる二人に、朝陽はただ困惑することしか出来なかった。



「(朝陽さん朝陽さん)」



 と、そこで困り果てていた朝陽に、梓月が小声で話しかける。



「(このお二人は、他の小隊に配属されたお二人とは事情が違うようです。加えて私達の小隊にだけ、現状とは言え二人配属されています。このまま任務にあたれば、支障が出てしまうかもしれません)」

「(それは…じゃあどうしたら良いんでしょう?)」



 朝陽もそれに合わせて小声で返すと、梓月は小さく微笑んだ。



「(幸い、今日の私達の任務は近隣の巡回のみです。ですので、小隊を更に二つに分けて対応しましょう)」

「(えっ!?隊を更に二つに、ですか!?)」



 驚く朝陽であったが、梓月は真面目に言っているようであった。



「(で、でも…司令官が許して下さるでしょうか…)」

「(キチンと理由があっての行動ですし、万が一に事が起きても対応可能な距離です。指摘を受けることが有れば私が責任をとります)」



 尚も不安そうな様子の朝陽に対し、梓月は「それに…」と続ける。



「(このまま何も対処せず、漫然と行動する方が、指揮官に叱られそうではないですか?)」

「(う……確かに……)」



 その事実を最近特に体感している朝陽は、思わず身体を震わす。



「(…わかりました。じゃあ二手に分けてみましょう。どのように分けますか?)」



 朝陽の言葉に梓月は僅かに悩む様子を見せた後、考えを話す。



「(無値さんは奏さんと華さんにお任せしましょう。どうやら私達に対して頑なに心を閉ざしているようなので。華さんは人の心を引き出すのが上手ですし、奏さんはどストレートに相手に語りかけられますから)」

「(な、成る程…?か、奏さんはともかく、華さんは確かにそうですね)」



 奏には申し訳なく思いながらも、朝陽は一先ず納得する。



「(逆に日浦さんはどう対応したら良いか分からずパニックになっているように見えます。なので私と朝陽さんで、落ち着いた環境を作ってコミュニケーションを図れるようにしましょう)」



 こちらは納得のいく理由と人選であり、朝陽もすぐに頷いた。



「(私が皆さんに説明をします。彼女達も配属されたばかりですし、今日は編成初日です。それも踏まえて、ゆっくりと距離を掴んでいきましょう)」



 そういうと梓月は、ゆっくりとその場を離れ、華と奏、そして無値と透子にそれぞれ異なる事情で説明を始めた。



 透子だけは何やら不安な様子であったが、梓月の丁寧な説明に納得し了承した。


 紆余曲折ありながらも、朝陽達は二手に分かれ巡回を始めたのであった。






●●●






 各小隊が飛び立っていく姿を、大和、そして咲耶の両名は執務室のなかから見届けていた。



「…成る程、二手に分けて負担を減らしつつ、良い環境を作り上げようとしているのか。これは梓月君の考えかな?」



 通り過ぎざまにその様子に気付いた大和が、面白げに笑みを浮かべた。



「宜しいのですか?大和からの指示ではなく、許可も与えていませんが…」

「構わないよ。理にかなった動きだと思うし、二手に分かれても十分対応できる距離だからこそのプランだと思う」



 大和は重なった書類をトントンと机で叩きまとめながら返事を返す。



「あの二人に関しては、これを機に仲を深めてくれると良いんだけど…」



 大和の発言に咲夜は違和感を感じ、咲夜は作業の手を止め思わず尋ねる。



「宜しいのですか?もし万が一の自体が生じた時、仲が縮まり過ぎれば()()が生じると思いますが…」



 大和から話を聞いていた咲夜は、有事の際の朝陽達のことを心配していた。


 咲夜の言葉の意図を察した大和は、椅子に深く腰掛け、やや暗い眼差しでどこでもない方向を見ていた。



「…あの二人は少し事情が違う気がしてね。特に彼女……無値君はどこかきな臭い」

「無値さんが…ですか?確かに感情表現が異様に小さいようには感じます。ですが優弦さんも同じような性質かと思いますが」

()()()()()。優弦君は感情表現に乏しいだけであって、しっかりと喜怒哀楽を持っている。けれど彼女、無値君の場合、乏しいわけでも押し殺しているわけでもない。消されているんだ」



 物騒な発言ではあったが、咲夜の表情が直ぐに一変する。


 似たような症例を、咲夜は知っていたからだ。



「……まさか、彼女()?」



 咲夜の発言に、大和は帽子を深く被り、その表情を隠した。



「ま、まだ推察域は出ないよ。情報も足りない。これ以上憶測だけで物事を判断するのは止めようか。ボクの考え過ぎかも知れないからね」



 帽子を被り直した先の大和の表情は、いつもの温和なものであった。


 しかし、咲夜は見逃さなかった。


 帽子を深く被った時の大和の表情は、普段の優しい青年の()()ではなく、怒り狂う修羅のような表情であったことを……


 咲夜はその事には触れなかった。


 大和の言う通り、これ以上は憶測に過ぎず、見当違いの可能性もあるからだ。


 何より、四人については咲夜は大和から何の指示も受けていない。


 その様子を見るに、大和が既に裏で動いていることは間違いないが、咲夜に話さない以上、現在は本当に情報を掴めていないのだろう。



「(大和程の情報網を広げておきながら、何も情報が無い、と言うことの方がおかしい話ですがね…)」



 大和の本来の立場は咲夜も知っている。


 そして、大和が総司令官になってからの人脈と、()()()の人脈を駆使すれば、大抵の情報は得ることができる。


 その大和が、四人が加入してからの数日の間に何の情報も掴めないということは、寧ろ異常なことである。



「(意図的に隠蔽されている…ということですか。それも、大和でさえ簡単には入手できない程に)」



 それが却って自らの不審さを醸し出すことになるとは、彼女達も思いもよらなかったであろう。


 それは逆を言えば、大和の正体を彼女達は知らないということになる。



「(彼女達自身で情報を秘匿したのか、それとも、彼女達の()()()()()人達が隠蔽したのか。それによって彼女達への対応が変わりますが……いずれにせよ大和の情報網を掻い潜るほどの強かさを持ちながら、大和の素性を暴けない脆さを持った相手のようですね)」



 咲夜はあくまで現状の分析と推察だけを広げる。


 大和ならば、いずれ彼女達の素性を明かすに至るだろう。


 しかし、それまでの間に有事が起こるかも知れない。その時に備えて、咲夜は可能性を広げていた。


 その上で、咲夜が大和に声を掛けなかった理由はもう一つある。


 それは、帽子の影に隠された、あの怒りの形相。


 長い間大和の隣で過ごしてきた咲夜でさえ、声を掛けることを躊躇うほどの憤怒。


 そして、その怒りの理由を理解しているが故に、咲夜は口を開くことが出来なかった。



「(どれだけの時が経とうと、貴方の心からその怒りが消えることは無いのですね…大和)」



 僅かに悲しみを覚えながら、咲夜は静かに執務へと戻っていった。

※後書きです







ども、琥珀です。


ソシャゲのやり過ぎを懸念して、暫く封印していたのですが、三ヶ月が限界でした。


新しいソシャゲに手を出し、今や毎日レースを見届ける日々です…


更新ペースは落とさない程度に頑張ります(?)


本日もお読みいただきありがとうございました!

明日も朝の7時ごろに更新されますので宜しくお願いします!

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