第203星:配置
国舘 大和(24)
千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。
早乙女 咲夜(24?)
常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。
斑鳩 朝陽(18)四等星
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。
斑鳩夜宵(22)三等星
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?
佐久間 椿(22) 四等星
千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。元『アウトロー』であり、一時『アウトロー』としての自分が蘇るも三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』の隊長を務める。
【新加入メンバー】
五十嵐 歪(25)
礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性。
霧島 カンナ(28)
ミステリアスな雰囲気を醸し出す女性。落ち着いた振る舞いで同じメンバーをフォローする包容力を持つ。
無値 (14)
無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。
日浦 透子(16)
常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。
「と言うわけで!不肖この五十嵐 歪!本日から夜宵小隊にてお世話になるであります!不束者ではありますが、何卒宜しく!」
大和の通達から数日後。
夜宵率いる小隊の中に、五十嵐 歪が一時的に配置されることとなった。
歪はニカッ!と笑みを浮かべながら、旧『軍』が行っていたとされる敬礼のポーズで一同に挨拶を行う。
「宜しくお願いします。歪さんとカンナさんは私達より歳が上ですし、そんな畏まった(?)言い方しなくて良いんですよ?」
千葉根拠地は年齢面だけで見ればかなり平均値が低くなっている。
これは『グリッター』全体の平均年齢が30代と比較的低いことも関係している。
基本的に『グリッター』の能力である『グリット』が劣化することは無い。
しかし、身体機能の低下、及びそれに伴うエナジー量の低下は必然的に起こる。
個人差は見られるものの、おおよそ三十代後半から明確な低下が見られ始めていることが多く、多くの『グリッター』は、そこを一つの契機とし、前線での戦いから退くことが多い。
当初、『軍』の上層部はそれを認めず、尚も前線で戦うよう命令していたが、当時若き護里が機能効率の低下や新たな育成者として貢献して貰える方が遥かに効果的であることを立証し、認めるに至った経緯がある。
それを抜きにしても千葉根拠地の年齢が低いのは、これまで冷遇されてきた一貫として、扱いやすくするために、敢えて経験が少ない『グリッター』が配属されていた、という裏の理由もあった。
「お気遣い感謝するであります!ですが申し訳ない…自分は昔からこのような話口調でして。ご不快に思われた申し訳ないのでありますが、慣れていただけると助かるであります」
夜宵の言葉に対し、歪は申し訳なさそうにしながら返答する。
「あ、そうでしたか。ごめんなさい、私の理解が足りませんでした」
「いえいえ!自分への配慮の上のご発言でしたから!お気になさらず!」
無意識に歪の個性を否定してまっていた夜宵であったが、当の本人はさほど気にした様子は見られなかった。
「それで、こちらが小隊の皆さんでありますな。以前開いていただいた歓迎会にいらっしゃらなかった方もいらっしゃるようなので、改めてご挨拶を!GSから『軍』へ加入した、五十嵐 歪であります!」
声を張った歪の挨拶に答えるように、伊与が前へ出て挨拶を返す。
「私市 伊与です!最近までちょっと入院してたけどもうバッチリ!この小隊では前衛を任せられてます!宜しくお願いします!」
小隊の中では最も元気の良い伊与が挨拶をすると、それに瑠衣が続いた。
「私はもうお会いしていますが一応…早鞆 瑠衣と申します。小隊では味方のサポート役を務めさせて頂いております。どうぞ、宜しくお願いします」
明るく快活な伊与とは逆に、瑠衣丁寧な振る舞いで挨拶をする。
最後になったのは優弦。いつも口元にしている黒いマスクを外し、挨拶を返す。
「矢々 優弦…役割は後方支援…で、弓を使って牽…制するよ」
ひとしきり自己紹介を終え、歪はフンフンと頷きながら一同を記憶しているようであった。
「伊与殿、瑠衣殿、そして優弦殿でありますな!了解したであります!宜しくお願いお願いするであります!」
再び敬礼のポーズをする歪に釣られ、他の三人も思わず同じポーズを取ってしまう。
その光景に思わず笑みを浮かべていた夜宵は、今回の任務について振り返る。
「さて、今日は安房方面への巡回よ。『メナス』の出現頻度が増えているから、十分に警戒はしてね。特に最近は『知性』を持った行動も多いからね」
「「「はいっ!!」」」
「了解であります!!」
いつもとは違う返答が混ざり、やや違和感がありながらも、夜宵小隊の面々はバトル・マシナリーを使用して飛翔していった。
その様子を見届けていた椿は、改めて小隊の面々と新しく加入したカンナとの顔合わせを行う。
「というわけで、今日からしばらくここでお世話になることになった霧島 カンナよ。まだまだ貴方達への理解が足りていないけれど、精一杯頑張るわ。宜しくね」
この根拠地にはいないタイプの大人な女性のオーラに、七と海音の二人はやや気圧されている様子であった。
しかしそこは咲夜にさえ歯向かった海音、そしてセクハラ魔の七。
持ち前のコミュ力の高さを活かし、返事を返す。
「私は海音!海藤 海音だ!海辺育ちだからピッタリの名前だろ!」
「私は写沢 七!趣味は写真撮影で、映える写真と盛れる女性を撮るのが好きよ!」
「自己紹介は良いけど何なのよその決めポーズは。やめてよこっち見ないで。私はやらないわ」
昔放送されていたという、某特撮ライダーのような決めポーズを加えた自己紹介をした二人は、これに続けと言わんばかりに言葉に目を向けるが、言葉はこれを完全に拒否する。
「二人がごめんなさいね。私は重祢 言葉。二人に比べたら常識人だと思うわ。宜しくお願いします」
こちらは何の変哲もないただの挨拶ではあるが、代わりに手を差し出し握手を求める。
カンナはこれに応えながら笑みを浮かべる。
「ふふっ、こう言う面白さは大歓迎だわ。貴方も宜しくね、言葉」
「こちらこそ」
二人はしっかりと握手を交わし、直ぐにその手を離す。
「じゃあ自己紹介が終わったところで〜、私達の今日の仕事の話をするよ〜」
ポンッ、と手を叩き、椿は仕事の話に内容を戻す。
「私達の今日の巡回経路は長生方面。『メナス』への警戒は勿論だけど〜、前回の【オリジン】との戦いの余波が出たないかの再確認も行うよ〜」
椿の任務内容に、七が苦そうな表情を浮かべる。
「げぇ…地域巡回と視察ってことは、近くを歩くってことですよね?やだなぁ……また陰口言われそうで……」
七の発言は全員同じ認識なのか、それぞれが複雑そうな表情を浮かべていた。
当然ではあるが、『グリッター』への差別意識は変わらず根強く残っている。
飛行巡回や、実際の戦闘の場になれば特に何も無いものの、視察や地域巡回ともなれば、直に触れ合う可能性が非常に高くなる。
そうなると、陰口はほぼ毎回、ひどい時には直接的な罵声を浴びせるものや、噂では物を投げられるケースもあったと言う。
護里の台頭により、一時期の最も酷い差別の時期に比べれば落ち着いたものの、それでも無くすまでには至らなかった。
だからこそ、七達が視察を嫌悪するのも無理はない話であった。
「まぁまぁ〜。視察に関しては私達だけじゃなくて〜、後から朝陽ちゃんも合流するってことらしいから、少しは気分が紛れるでしょ〜?」
椿の言葉に、七達は朝陽達には申し訳ないと思いつつも頷いた。
「てか、その辺は民間の方が大変だったんじゃないですか?より一般的に接することが多かったでしょう?」
七は素朴な疑問をカンナに投げかける。
「ん〜…まぁ確かにそんな発言を浴びることはあったけれど…『軍』に所属している貴方達に比べれば比較的軽度なものだったと思うわよ」
「え、そうなの?なんで?」
「ちょっと七、食い入りすぎ。カンナさんが困っちゃうでしょ」
言葉に嗜められ、七はハッと我に帰り久々に謝罪する。
「ウフフ、構わないわよ。私も『軍』の『グリッター』になったわけだし、そういった事を認識しておく必要はあると思うから」
しかし、当の本人は一切気にした様子は見られず、寧ろ快活な笑い声をあげていた。
「民間と『軍』だと、やっぱり印象というか、心象が違うようなのよねぇ。民間は有志のようなイメージを持たれてるみたいで、あまり強い圧を掛けられることはなかったわ」
カンナは「逆に…」と続ける。
「『軍』の場合、これが責務や使命のような物に置き換えられるようなのよね。まぁ『軍』自体がかなり大きな組織だから、ちょっとやむを得ないところがあるとも思うのだけど」
カンナの説明に、全員が思わず納得しかけるが、海音だけは違っていた。
「なんでだよ?組織の大きさは関係ないだろ。そもそも私達が差別されること自体がおかしな話なんだからさ」
意識したものでもなんでもなく、自然と海音の口から出てきた言葉に、一同は呆然とする。
「あんた…時たまホントに核心つくような発言するわよね。冗談抜きでちょっとキュンときちゃったわ」
「な、なんだよ…私なんか変なこといったか?」
「フフ…違うよ〜。良いことを言ったんだよぉ〜」
椿も思わず笑みを浮かべ、海音の頭を撫でた。
「そんじゃ、私達も行こうか〜」
気持ちに身が入った一同は、椿の言葉に頷き、ゆっくりと飛翔していった。
※後書きです
ども、琥珀です
特に書くことないんですけど、今年も花粉が凄いみたいですね
幸いなことに私は花粉症ではないのですが、周りにはくしゃみやら鼻水やらで苦労されている方がチラホラと…
花粉症を完全に抑える薬が早く出来ると良いですね…
本日もお読みいただきありがとうございました!
明日明後日の土日は更新をお休みさせていただき、月曜から再開しますので宜しくお願いします!




