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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
9章 ー第三勢力侵攻編ー
236/481

第202星:共通点

国舘 大和(24)

 千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに指揮をとりつつ、根拠地内の環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。実は関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


早乙女 咲夜(24?)

 常に大和に付き従う黒長髪の美女。一度は誰しも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いた振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』を導く。その正体は100年前に現れた伝説の原初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。


斑鳩 朝陽(18)四等星

 千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。力不足を痛感し、咲夜に弟子入りを志願する。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務める。その身には謎の人物の心が潜んでいるようだが…?


佐久間 椿(22) 四等星

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。元『アウトロー』であり、一時『アウトロー』としての自分が蘇るも三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』の隊長を務める。


【新加入メンバー】

五十嵐 (ひずみ)(25)

 礼儀正しく誠実で、やや堅苦しい口調ながら気さくな女性。 


霧島 カンナ(28)

 ミステリアスな雰囲気を醸し出す女性。落ち着いた振る舞いで同じメンバーをフォローする包容力を持つ。


無値(むい) (14)

 無感情・無機質な反応の少女。歪、カンナの命令に忠実に従う。


日浦 透子(16)

 常に何かに怯えているような様子の少女。歪、カンナに従う。

「新規メンバーの、臨時編成ですか」



 ある日。


 執務室に呼び出された夜宵、朝陽、椿、三咲の四名は、司令官である大和から相談を持ちかけられていた。



「うん。彼女達が根拠地に来てから二日が経ったし、四人とも人となりや雰囲気にも慣れてきた頃だと思うんだ。そこで、ここからは実戦に向けての準備を進めていこうと思う」

「成る程……それで、私達がここに呼ばれたわけは?」



 三咲は大和に本題を促す。



「この根拠地の強みは、小隊編成による広範囲の対応と、メンバーが入れ替わっても可能な臨機応変な柔軟性にあると思う」

「そうですね〜。結構編成いじる事が多いですけど〜、困る事は無かったですからね〜」



 大和の発言に、椿が同意する。



「その通り。そして、それは新しく来た四人も共通のものであって欲しいんだ。そこで…」

「…各小隊に一人ないしは二人配属して、慣れていただこう、ということですね」

「その通りだ」



 夜宵の満点の回答に、大和は笑みを浮かべて頷いた。



「資料などで能力を覚えても、実際の現場で見るものとは違うケースが多い。いずれ何かしらの形で小隊に組み込む事になるとはいえ、先ずは連携や能力の個性に慣れて欲しい。だから、君達の小隊にまずは一人ずつ配置する」

「前に来たヴィルヴァーラさんの時と同じですね〜。それなら私達にも分かりやすいかも〜」



 朝陽達はロシアとの交流会の際にも、そのロシアからやってきたヴィルヴァーラ・スビルコフを小隊に組み込んだことがあった。


 その時とはやや状況は異なるものの、その経験をもとに対応することは十分可能であるだろう。



「分かりました。私達の方で対応します」

「助かるよ。今日中に対応してもらう人は決めるから、後でメールを見といてくれ」



 と、やり取りが終わったところで、一同は全員が避けていた事柄に目がいく。



「………」



 フラフラ、ボーッとした状態で、今のやり取りに一切加わっていなかった朝陽のことだ。


 眠ってこそいないが心は完全にここにあらずといった様子で、立ち惚けていた。



「朝陽さん」



 その朝陽に対し、ここに来てからずっと朝陽に圧を放っていた咲夜が声をかける。



「……………」



 しかし、その声にも反応せず、朝陽はぼーっとしたままであった。


 無言の圧が更に強まり、その場にいた朝陽を除く全員がダラダラと冷や汗をかき始めていた。


 やがて咲夜はゆっくりと朝陽に近づいて行き……



「ッシ!!」



 いきなり掌底を繰り出した。



「ハッ!?ワッ!?たぁ!?」



 それを、朝陽は意外にも俊敏な動きで回避した。


 顎を狙って放たれた掌底を、身体を後方に捻らすことでかわし、そのまま片手でバク転し、立ち上がったのだ。



「……うっそ〜」



 全員が予想を裏切られ呆然とする中、椿が思わずといった言葉で言葉をこぼす。



「ハッ!?あ、あれ!?もう夜ですか!?」



 当の本人である朝陽は、ようやく意識が覚醒したようで、慌てた様子で周りを見渡す。


 そして、自分に視線が集まる中で、ようやく自分が置かれている状況に気付き、サッと顔を青くした。



「ご、ごごごごごごめんなさい!!わ、私ぼーっとして……」



 そしてひたすら謝り倒す朝陽。


 放っておけば土下座をしかねない勢いのため、大和は「まぁまぁ」と嗜め立ち上がらせる。



「【オリジン】との戦いが終わって気が抜けてしまうのも無理はない。エナジー欠乏症にもなって、いつもより身体の調子が上がらないのもあるだろう。詳細は後程配置のメンバーと一緒に載せて送るから大丈夫だよ」

「うぅ…本当に申し訳ありません」



 涙目で謝る朝陽を、大和は怒鳴るようなことはしなかった。



「他のみんなもご苦労様。また何かあれば呼び出すとは思うけど、それまでは通常の軍務に戻ってくれ」



 その言葉を最後に、夜宵達は一礼し部屋を後にした。


 朝陽も全員に慰められながら、一番最後に、一番深くお辞儀をして部屋を去っていった。


 ドアの閉まる音が室内に響いたあと、大和は隣に立つ咲夜をジーッと見つめる。



「咲夜ぁ〜?」

「ご、ごめんなさい…」



 理由を説明するまでもなく、咲夜はすぐに大和に謝罪をした。


 大和も自分の失態を理解している咲夜をこれ以上責める事はせず、小さなため息をこぼすに留まった。



「…あれから訓練の内容は変えていないのかい?」

「いえ…小休憩を挟んだり、模擬戦の本数を減らしたりしてはいるのですが……」

「……ですが?」



 咲夜はどこかいい辛そうにしつつ、ゆっくりと説明を続けた。



「私が終わりにしようとしても、『もう一本』と求めてくるんです……鍛え甲斐があってつい…」

「それを止めるのは教える側の仕事だよね?」

「……仰る通りです」



 思わず本音が出てしまい、それを嗜められて咲夜は再び反省する。



「まぁ教える側が難しいのはよく分かるよ。でも咲夜。君が一人の弟子を取るのは朝陽君で()()()だろう?上手くバランスを取るように出来るのは君の方の筈だよ」



 咲夜もそれは重々理解しているのだろう。改めて申し訳なさそうにしながらも、一つ理由を付け加えた。



「…一人目の、柳瀬さん。彼女は戦闘に関してはほとんど経験がなく、教える側としても基礎の基礎から伝授させていく必要がありました。そのため、トレーニングの内容もシンプルで簡略なものが多かったのです」

「確か『メナス』が出現する前の日本は、戦争の全くない平和な世界だったんだよね?それなら納得のできることだ」



 戦争の真っ只中に生まれた大和からすれば、平和な世界は想像もつかなかったが、そこは当時の世界に生きていた咲夜の言葉を信じていた。



「そして二人。貴方の妹、()()。彼女は柳瀬さんとは真逆で、才能の塊のような子でした。また、備わっている『グリット』の能力も相まって、トレーニングを密にしても翌日には万全の状態となっていたのです」

「…成る程。理解したよ。咲夜はその最初の子と飛鳥の差が激しすぎて、その中間ラインを見定めることが出来ていないわけか」

「お恥ずかしい話ですが…」



 大和は咲夜の言う柳瀬という人物のことは何も知らない。逆に飛鳥のことは誰よりも知っている。


 それを考えると、咲夜の苦悩も分かるような気がしていた。



「…ボクが言うのもなんだけど、飛鳥と比較しちゃダメだね。妹は戦闘に関しては比較できるものはいない程の天才だよ。あの歳で『シュヴァリエ』になってるのが何よりの証拠だ」

「…はい、本当にその通りです。ですが、柳瀬さんと飛鳥、そして朝陽さんの三人に共通していることがありまして」



 大和は「へぇ…」興味深そうに身を乗り出し、咲夜に話の続きを促した。




「彼女達は全員、ひたむきに諦めない性根の持ち主なのです」

「諦めない…根性みたいなものか」



 大和の答えに、咲夜は頷く。



「はい。最初に教えた柳瀬さんは、それで覚醒し他の面々にも負けない力をつけました。飛鳥は、その直向きさで持ち前の才能を遺憾なく発揮しました。そして朝陽さんは、自分の足りない力を、直向きに補おうと努力しています。彼女達の常に前へ進もうとする思いに、私も報いなくてはいけない…そう思ってしまうのです」

「彼女達に感化されている…ということかな」



 なるほど…と言った様子で大和は背もたれに体重を預ける。



「君の…君()の意思は良く分かった。その想いは大切にすべきだし、尊重すべきだとも思う。でも、()()()()()、やっぱりその強さが行き過ぎ暴走しないようにするのが、師匠(きみ)役目だよ。それは今の朝陽君を見ていたら分かるよね」

「…はい」

()()()()



 大和が続けた言葉に、咲夜は顔を上げる。



「彼女達の強さが、その諦めない根性だと言うのなら、それを最大限に活かすのも君の役目だ。君ももう一度指導者として成長しないとね。だから朝陽君のことは君に任せる。頼んだよ」

「…はい!必ず、やり遂げてみせます!」



 大和からの信頼をしっかりと感じ取った咲夜は、力強く頷いた。


 朝陽のことを咲夜に任せた大和は、自身は更に広い物事に目を向けていた。



「(個々人のことは咲夜に、()は根拠地全体のことを。お互いにやれることでベストを尽くしていく。悪いが()()()()()()()()()()()())」



 既に先を見越している大和は、小さく笑みを浮かべた。

※後書きです







ども、琥珀です


ちょっとここまで朝陽の修行についてしつこいくらいかいてきてしまったので、次話からは少しお話を進めようと思います。


逆に今まで一つの物語が浅すぎたと思っていたのですが、極端で調整できないのが私の悪癖…


今後改善に向けて精進します…


本日もお読みいただきありがとうございます!

明日も朝の7時にこうしんされますのて宜しくお願いします!

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