第195星:今へ
国舘 大和(24)
千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに根拠地の指揮をとりつつ、環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。関東総司令官という立場であるが、それを隠している。
咲夜(24?)
常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』と接する。高い戦闘能力と強大な『グリット』を備えるが、その素性は謎が多い。
斑鳩 朝陽(18)四等星
千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。大和により、現在は小隊長も務めている。陣営は前衛。
斑鳩夜宵(22)三等星
千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務め、今戦闘では前衛及び大隊の隊長を再び務める。
【朝陽小隊】
譲羽 梓月(23)
冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。
久留 華 (22)
おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。
曲山 奏(20)
明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。
【椿小隊】
写沢 七 (21)
写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。
重袮 言葉 (20)
活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…幻覚・幻視・催眠の『グリット』を操る。
海藤 海音 (16)
誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな機微から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。
【三咲小隊】
椎名 紬 (22)
ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手の視界を共有する『グリット』を持つ。
八条 凛 (16)
自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。自身の『エナジー』を纏わせ、その物体を操る『グリット』を持つ。
大刀祢 タチ (17)
メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。
【夜宵小隊】
早鞆 瑠衣 (18)
十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。
おはようこんにちはこんばんは!!
最高本部所属、最高司令官の護里さん直属『シュヴァリエ』にしてお兄ちゃんの最愛の妹!!
国舘 飛鳥です!!
え、肩書きが長い?良いの〜!!私の出番少ないんだからここぞとばかりにアピールしとかないとみんな忘れちゃうでしょ!!
で!!今日何しにきたかと言うと、みんな暫く咲夜さんの過去の話を聞いてたから、今の時代のことちょっと忘れちゃってるんじゃない??
そこで!!私が簡単にあらすじを説明しに来たよ!!
今から数時間前、千葉根拠地に所属する斑鳩 夜宵さんと、その妹にして私のお友達、斑鳩 朝陽ちゃんが、『グリッター』の最高名誉の一つである『大輝戦』っていう大会の選抜メンバーに選ばれたよ!!
すごいね!!
で、根拠地の司令官であるお兄ちゃんが二人にその報告をするけど、二人とも違う理由で受理することを躊躇うんだ。
あ、この辺りの詳細は第166〜168星を読んでね!!
それと同じタイミングで、最強にして最恐、この世界に最初に出現した『メナス』、【オリジン】がからかい半分で千葉根拠地に迫ってきたよ!!
100年前に倒されたと思ってた『悪厄災』だったからさぁ大変!!
悩んだ末に、お兄ちゃん達はこれを根拠地総戦力で迎え撃つことに決めたよ!!
でも、相手は常識の通じない敵、【オリジン】。
これまで常に勝利を収めてきた朝陽ちゃん達でさえ、圧倒的に劣勢を強いられて、次々と新装備『緊急脱出装置』で離脱していく…
と、そこで突如夜宵さんに異変が!?
豹変した性格に加えて、唐突にパワーアップして【オリジン】に挑んだんだ。
それに呼応するように、今度は朝陽ちゃんまで性格が豹変!?
正体不明なまま、二人は【オリジン】と戦うも及ばず。
幹部と最大戦力を失った根拠地の面々の前に、私と同じ『シュヴァリエ』の戦国 巴ちゃんが現れたんだ!!
護里さんがこの事態を察知して派遣してくれてたんだって!!さすが護里さん!!
巴さんはその圧巻の技術で【オリジン】を圧倒するけど、追い詰められた【オリジン】がまさかのパワーアップ!?
これには流石の『シュヴァリエ』でさえ太刀打ちできず、巴さんまで追い詰められていったんだ…
全員が絶望する最中、満を侍して現れたのが、原初にして最強、始まりの『グリッター』である咲夜さん!!
長い戦いで弱っていたこともあって、咲夜さんは【オリジン】を圧倒するも、あと一歩のところで逃げられちゃうんだ。
そして、自分の戦う姿を見せたことで、咲夜さんはついに皆に自分の過去を明かす覚悟を決めるよ。
それで!!その話を始めたところで、本編は終わってるんだ!!
あらすじはザッとこんな感じ!!
みんな思い出してくれたかな!!
じゃあまた会おうね!!本編、始まるよ!!
●●●
「しっかし驚きましたね!!まさか指揮官があの伝説の『グリッター』だったなんて!!」
「そうですね。正直、話を聞いたあとの今でも信じられません」
咲夜の話を聞き終えた一同は、時間が遅いこともあり医療棟を後にしている道中であった。
「いやいや100年前の話なんて誰も事実確認できないでしょ。本当にウソ言ってるかもしれないわよ?」
「疑ってかかんのやめなよ言葉〜。指揮官の話は流石にガチでしょ。実際にあのめっちゃヤバい【オリジン】と渡り合ってたんだからさ」
「…ま、それもそうね」
メンバーの中で驚きこそあったものの、疑っているものは一人もいなかった。
それを裏付けるカリスマ性と、目の前にした強さが事実を裏付けていたからだ。
「しかし私は別の意味で驚いたがね。指揮官はどちらかと言えば完全無欠・完璧超人みたいなイメージがあったから、過去の話を聞いた時に、まさか人の心を理解出来ない側面があるとは思わなかった」
紬の言葉にタチが頷いて同意する。
「私もその点に驚きました。でも同時に、指揮官の言葉一つ一つに重みを感じていたのは、そう言った過去を経験してきたからこそなんだと理解出来ましたよね」
その答えに、周囲の面々も同意するように頷いた。
その中で、海音が指を折りながら何かを数え出す。
「ほんでもさ、指揮官って要は実践経験は八年くらいなわけだろ?100年前の〜とか、最初の〜とかで際立ってるように見えるけど、実際は夜宵さんとかとそれ程差が無いんだな」
「おバカ」
その発言に、言葉が思わず呆れたような様子で海音の後頭部を叩き、何故かその後胸を揉みしだいた。
「え?何っ!?私間違えたこと言った!?てか揉むな人の胸を!!」
驚きながらも胸を揉み続ける言葉を強引に払い除ける。
言葉はこれを軽い身のこなしでかわし、指先で何かを測っていた。
「B…いや、ギリCね!」
「人の胸のサイズを素手で測るなよぉ!!てか当てんなよぉ!!」
最早涙目になりながら、海音は胸を隠しながら言葉を警戒した眼差しで睨み付ける。
「こらこら言葉、良い話してるんだからそんくらいにしときなさい。Cカップも、そんな離れてないでこっち戻ってきなって」
「は〜い、反省してま〜す」
「うぅ…わ、わかっ……ておいっ!!ひ、人のことを胸のサイズで呼ぶなッ!!」
最早面白いを通り越してかわいそうになってきた面々は、からかい続ける言葉と七の二人を嗜める。
「それで…何で私は頭叩かれたんだ?」
「それは意識を頭に向けさせて胸を揉むために…」
「それはもう良いですから。えっとですね海音さん、確かに指揮官が『グリッター』として戦われた年数は私達と大差ないかもしれません」
説明をする梓月は「ですが…」と続ける。
「当時の背景を考えてみて下さい。今の私達のように、仲間も、組織も、武器も、物資も何もない状況下で能力に目覚めたんです。その中で、たった一人で『メナス』と戦い続け、仲間が増えれば育成を施し、組織を作り上げていった…」
改めて説明を受けてようやく理解したのか、海音はゴクリと唾を飲む。
「しかも、当時から規格外の強さを持っていた【オリジン】に対したった一人で何年も立ち向かい続けてますからね!!正直私達とは積んできた経験値に天と地程の差がありますよ!!」
「うぐっ…確かに言われてみればそうだ…全然理解してなかったぜ……」
とはいえ、他の面々も漠然とそう感じていたところもあるのだろう。
海音と同じく実際に説明を受けて、改めてその凄さを知らしめさせられていた。
「でもそうなるとさ、気になるのは司令官じゃない?あの指揮官を従えてるなんてさ」
「従えてる…とはまた違うのではありませんか?確かに立場的には司令官さんの方が上にはなりますが、決して上司が選べるわけではありませんし、たまたまなのではありませんか?」
凛の発言に対し、瑠衣は否定的な意見を述べる。
「いや!長年ヒトと女の子の写真を撮ってきた私には分かる!あの二人はただならぬ関係よ!なんかこう…私達じゃ測りきれない信頼関係を結んでる気がするわ…!」
それを更に七が否定すると、奏と梓月が頷いてこれに続く。
「ですね!!指揮官は間違いなく司令官を尊敬していると思います!!となると、確かに凛さんのいうことは気になりますね!!」
「ですが、常に尊敬を集める側であった指揮官から慕われるほどの方が、根拠地の司令官に収まるでしょうか…それこそ、最高司令官程の方であるのならばまだ納得出来ますが…」
全員が「う〜ん…」と頭を悩ませるものの、当然答えは出ない。
「まぁでもぉ、司令官は作戦・戦術をたてて司令を出すのが主でぇ、指揮官は直接指揮を取るのが役目でしょぉ?だから、そういった相違点の面でぇ、指揮官は司令官を尊敬してるんじゃないかなぁ」
華の回答に一応の納得を見せつつ、七は「いやいや!」と首を振った。
「私はちょっと違うね!司令官は出来た人といえどまず目が行くのは優男でイケメン!その毒牙に掛かった指揮官は、すっかり司令官にほの字なのさっ!!」
一部のメンバーからは否定的な眼差しで見られるもの、一方で別のメンバーからは支持を得たようで頷いているものもいた。
「そしたら、次の謎の人物は司令官ってことか〜!!なんだかめっちゃ気になるなぁ!!」
「先走って聞きに行くようなマネをしちゃダメよ海音。指揮官の過去だって、相当勇気を振り絞って話してくれたんだろうし、私達が簡単に口外しないと信用して話してくれたんだから」
興奮すると暴走傾向のある海音を、言葉が嗜める。
「…朝陽さん、先程から随分と静かですが、何か考えごとですか?」
と、ここで先程から何も言葉を発さない朝陽。
戦闘で直接の身体へのダメージが無かった為に帰路についていたが、どこか調子が悪いのではと心配し、梓月が尋ねる。
しかし、朝陽は尚も何かを考え込んでいる様子で反応を示さない。
一同が顔を見合わせる中、朝陽は意を決したように頷いて振り返った。
「ごめんなさい皆さん!!私ちょっと用事を思い出したのでお先に失礼します!!」
「え、ちょ、朝陽ちゃん!?」
七の制止も聞かず、朝陽はいずこかへ走り去っていってしまった。
一同は、呆然とその背中を見送ることしかできなかった。
「なぁんか考えてる様子だったよねぇ朝陽ちゃん」
「…ですね。お身体が大丈夫そうでしたので一先ず安心ではありますが…」
「ですが思い詰めているような感じではありませんでしたね!!ここは少し様子を見ましょう!!」
朝陽について答えたのは小隊の面々であった。
直近の朝陽のことを理解しているのは彼女達三人であるため、他の面々もそれ以上口出しすることはせず、ゆっくりと帰路についた。
と、その途中で海音が突如、核心をつくような言葉を溢す。
「あれ?ところで指揮官はどうやって生き返ったんだ?」




