表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
The everything Origin Saga
228/481

ー Saga Epilogue ー

 姉さんと【オリジン】の戦いから一週間が経った。


 完全に崩壊した東京本部の再建が行われて、今後はより堅硬で巨大な要塞のような基地、『最高本部』が作られるらしい。


 …そんなもの作る余力があるのなら、もっと人々の役に立つことに使えば良いのに、と思うけど、それが最初から出来てたら世話ないよね。


 変わったことといえばもう一つ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 正直、私の中では納得と失望の半々だった。


 あれだけ、私達とみんなの為に戦った姉さんの姿を見て、「あぁ…みんな恐怖を抱くんだ」と失望した。


 でも同時に、『グリッター』としての力を持たない私には、『恐怖』を感じる感覚も理解できた。


 もし、私達にあの力が向けられたら…


 そう考えるのも無理はないと思った。


 ましてや、姉さんと【オリジン】の最後の戦いは、本当に世界の終焉みたいだった。


 何も知らない人達がそれを目にすれば、怯えるのも仕方ないことなのかもしれない。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 姉さんが信じて託してくれた世界が、こんな形で象られて良いはずが無い。


 姉さんの全てを自分の投げうってまで守った未来が、こんな形で崩れて良いはずが無い。


 だから、私が…私達が変えてみせる。


 直ぐには無理でも、例え何十年、何百年かかろうと、姉さんの意思を何世代にも渡って受け継いで、いつか正しい世界へと正してみせる。



「…こんなところで、立ち止まっていられない…」



 立ち直るまでに、正直時間は掛かった。


 だって、唯一の家族である姉さんを、私は見捨てて見殺しにしたんだから。


 でもここだ立ち止まったら、私は本当に姉さんを見捨てたことになっちゃう。


 それだけは、二度とごめん。だから立ち上がらなきゃ。


 塞ぎ込んでた私の代わりに、ずっと戦い続けてくれてる『グリッター』のみんなのためにも、私は私の使命を果たす。


 だから……



「見ててね、お姉ちゃん!」






●●●






────どうして、ヘラヘラと笑っていられるの?


────どうして、平然と過ごしていられるの?


────どうして、咲夜さんが恐れられなくてはいけないの?



「間違ってる…こんな世界……間違ってる……」



 再建が始められた東京の街中を、私はフラフラと徘徊していく。


 辺りを見渡せば、涙を流す者、沈んだ表情の者、明るく前向きな者…いろんな表情のひとがいた。


 でも、その大多数を占めるのは、私を睨みつける者どもばかり。



「(お前達のために戦い続けてきたのに、向ける眼差しは怨嗟に憎悪ばかりか…)」



 その想いの全てを否定するつもりは無い。


 彼らを守ることが使命であると言う、咲夜さんの志に則って言えば、今回の戦いでヒトも物資も失い、怒りの感情を持つのも理解できる。


 だが……




「おい、この間の爆発を起こした女、死んだらしいぞ?」

「おーおー精々するなぁ…」

「ホントだ。あの女のせいで俺は住むところも働くところもなくしちまって…」

「俺なんか、弟が崩落に巻き込まれて大怪我だぜ。ふざけやがって」

「この間の超常現象も、あの女が引き起こしたんだろ?化け物はどっちだって話だよな」

「ホントにな!でも、これでちったぁ世界も平和になるってもんだろ!」

「最初の戦士だがなんだか知らないが、勝手に死んでくれたら世話ないよな!」



────こんな奴らのために、彼女は命を賭したのか


────こんな奴らのために、彼女は戦い続けたのか



「…おい、なんだよお前」

「その腕章…おーおー、お偉い『軍』所属の『グリッター』様じゃないですか。こんなところほっつき歩いてどうしたんです?とっとと戦地に行って『メナス』の一体くらい仕留めて…」



「…けせ」



「は?」

「お前、何言って…うわぁ!!なんだこれッ!!」

「あ?…う、うわあぁぁぁぁ!!」

「私の友人を侮辱した発言!!全て取り消せッ!!」



 人通りのない建物の裏手で、咲夜さんを侮辱していた二人に近付いた私は、『()()()()()使()()()()


 巨大な蔓に巻かれた二人は、尚も強く巻きつこうとする蔓によって苦しそうな表情を浮かべる。


 が、コイツらの苦悶の表情なんてどうだって良い。



「取り消せ…咲夜さんは自分の命をなげうってまで、お前達のことを守ろうとしたんだぞ…?」

「し、しらねぇよそんなこと!!お前らが勝手にやったことだろうがッ!!」

「は、早く降ろせ!!この化け物がッ!!」



 二人は反省どころか私に罵声を浴びせだした。


 あぁそうか。口で言っても伝わらないようだ。


 よく理解したよ。



「あ、あつッ!?お、おい!!洋服が溶けてきてないかッ!?」

「あぁ!?と、溶けてる!!おい!!なんだこれは!!」

「それは『ヨシ』っていう植物。根から酸を放出して、他の根を溶かす性質を持つ。そして今、その根にいるのは…」



 私は敢えて最後まで答えなかった。


 けど、二人はしっかりとその意味を理解してくれた。



「ふっ、ふざけんな!!早くコイツを消せ!!」

「アツッ!!お、おい!!酸が直接掛かってきてるぞ!!」

「だから最初に言ったはずよ。咲夜さんを侮辱した言葉を取り消せ、ってね。けど貴方達は取り消すどころか罵倒を浴びせた」



 多分、私は光のない目をしていたんでしょうね。


 二人は心底怯えた様子で私の方を見て、やがて情けなくその顔を歪め出した。



「お、俺らが悪かった!!その咲夜ってやつへの言葉は全部取り消す!!」

「だ、だから助けてくれ!!ひ、皮膚が溶け出して……」



 ようやく彼らは自分達の非を認めた。


 そして私は理解した。



「あぁそうか…誰もが咲夜さんのことを理解せず侮辱するのであれば、私がそれを正せば良いんだ!!」



 そう、咲夜さんは()()未来を託してくれた。


 咲夜さんは()()世界を託してくれた。


 なら私は全てを正そう!!この世界が誰の手によって救われたのか!!誰によって守られ紡がれていたのか!!


 世界の全ての人に知らしめてやろう!!



「お、おい!!は、早くこれを解いてくれ!!」

「早くしろよ!!も、もうだいぶ溶けだして…」

()()()()



 近くで騒ぎ立てる煩わしい()の音を止めるべく、私はさらに『ヨシ()』を追加。


 二人は最後に何か叫んでいましたが、全身を蔓に追われてからは何も聞こえなくなりました。



「アハッ!さぁ始めましょう!!貴方の友人であるこの伊吹 加菜が、必ず!!この星は貴方の手によって守られ、貴方のためにあると言うことを、知らしめてみせます!!」



 私はもう『軍』の狗じゃない。


 私はもう『グリッター』でもない。


 咲夜さんを見捨てた二人の言う『レジスタンス』でもない。


 私は『はぐれ者(アウトロー)』だ。


 仲間も、彼女を理解しない奴らも必要ない。


 私は一人で、私の使命を果たす。


 例え、何百年かかろうと、この星がなんたるかを、世界に知らしめてみせる。


 だから……



「見ていて下さい、咲夜さん…」

※後書きです






まさかの二話投稿です。


といってもこれは補足の意味も込めた後日談みたいなものなので、読むと納得、読まなくても平気みたいな内容になってます。


ただその後が何もないと、え、彼女達はどうなったの!?

ってなるかなと思ったので…笑


では、番外編はこれにて完結!!


次回は火曜日に更新する予定ですので宜しくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ