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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
8章 ー千葉根拠地総力戦ー
199/481

第193星:終幕

【※後書き御必読お願い致します!】


早乙女 咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主。落ち着いたただ振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』と接する。その正体は100年前に現れた最初の『グリッター』本人であり、最強の戦士。

 眩い閃光に迸る衝撃が続き、朝陽、そして夜宵の両者はゆっくりと意識を取り戻した。



「うっ…ここは?私、いつの間に意識を…」



 先に口を開いたのは夜宵であった。先程までの記憶は無いのか、何故自分が横たわっているのかを理解出来ていないようであった。



「…あっ!元に戻ってる!皆も無事!約束を守ってくれたんですね!」



 一方の朝陽も、先程までの記憶は無いようであったが、夜宵と違って直前までの記憶はハッキリしているようで、意識が戻ったこと、奏達が無事であることに歓喜の表情を浮かべていた。



「あ!そ、それで【オリジン】は?」



 朝陽の問いに対して、誰かが答えるよりも先に答えはやってきた。


 目が眩むほどの閃光が、周囲を包んでいったからだ。


 明るく鋭い輝きを放つ白銀の光は周囲を照らし、朝陽達の視界を奪っていった。


 間も無くして視界を取り戻した一行が目にしたのは、身体の半身を失った【オリジン】と、その前に立つ咲夜の姿であった。



「し、指揮官!?いま、指揮官が【オリジン】と戦っているんですか!?」



 朝陽だけでなく、夜宵もその光景に驚いていた。それも無理もない話で、奏達でさえ、まだその現実を受け入れきれて無かった。


 唯一、比較的早くから受け入れることが出来ていたのは、七、言葉の二人であった。


 この二人は、前回の『アウトロー』の任務の際に、咲夜が戦う姿を見ていたからだ。


 その時でも十分に強さを見せつけられていたと感じていたが、咲夜の強さはその更に上をいっていた。


 受け入れることが出来たことに加え、二人は他の誰よりも衝撃を受けていた。



「既に力の大半を使い果たしていた貴方と、こんな形でお別れをするのは少し寂しい気もしますね。慈悲は与えませんが」

【ウッ…グッ…アハハ…!!マダ…マダ遊ビタイヨ!!】



 先程までの変貌振りは既に見られず、【オリジン】は既に元の白髪白肌へと戻っていた。



「いいえ、もうお終いです。私達の100年に及ぶ因縁に、ケリをつけましょう」



 咲夜に躊躇はなく、身に纏われていた白銀の光を迸らせ、【オリジン】にとどめを刺そうとしていた。



【ゼェッタイニヤダ!!オマエトハ全力デ遊ビタイモン!!】



 最後の悪あがきだろうか、【オリジン】は強引に触手を展開し、咲夜に襲い掛かる。



「シッ!!」



 当然、その刃は咲夜には届かない。身体を華麗に一回転させ、その全てを白銀の光で断ち切っていく。



「往生際が悪いですよ。貴方の行く末はここで終わりです」



 弱っているとはいえ【オリジン】をも上回る強さを見せる咲夜の動きは、見るものを魅了するような華麗さも兼ね備えていた。


 美しくキレのある動き、その戦う姿はまさしく『輝戦士(グリッター)』の名に相応しいものであった。



【相変ワラズ物分カリガ悪イナァ…】



 その咲夜を前にして、【オリジン】は不敵な笑みを浮かべた。


 咲夜が訝しげな表情を浮かべながらも、【オリジン】の僅かな動きに最大限の警戒を続ける。



【私ガゼッタイッテ言ッタカラニハ、ゼッタイナンダヨ、サクヤ】

「…?一体何を…」



 その時、咲夜は本能的に【オリジン】の狙いと意図を察し、物凄い剣幕で振り返った。


 その視線の先には朝陽達の姿があり、そして、それよりも更に手前では、怪しく発光する、先程咲夜が断ち切った無数の触手が残っていた。



「…!触手にレーザーのエネルギーを…!!」



 狙いを理解した咲夜は、あと一歩まで追い詰めていた【オリジン】から離れ、触手と朝陽達の間に割ってはいった。



【アッハハハハハハハハ!!バイバイサクヤ!!今度ハ全力デ遊ボウネェ!!!!】



 次の瞬間、【オリジン】の残した触手が一斉に爆発を始めていった。


 咲夜の閃光に勝るとも劣らない光の数々に、朝陽達は再び視界を失っていった…






●●●






「…ふぅ、逃げられましたか」



 数々の爆発に対して、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()咲夜は、もはやどこにも【オリジン】の姿がないことを確認し、小さく息をこぼした。


 下手をすれば華達が行った大規模な爆発にも匹敵するほどの威力であったにも関わらず、咲夜の身体には傷一つついていなかった。


 やがて咲夜はゆっくりと振り返り、朝陽達の姿を確認した。


 朝陽達もボロボロではあったが外傷はなく、先程の爆発による怪我も見られなかったため、安堵の息を溢す。


 次いで、一人離れたところでずっと戦闘を眺めていた巴の姿を確認し、ゆっくりと近付いていった。



「無事…ではありませんね。それなりに傷を負っていらっしゃるようです。お手を…」



 【オリジン】に敗北し、誰とも知らない人物に圧倒的強さを見せつけられた巴は、その手を振り払おうとするが、同時にその強さに畏敬の念も抱いていたために、僅かに逡巡した末、その手をとった。



「…貴方は一体何者なの?その強さは一体…」

「…そうですね。彼女達も当然知りたがるでしょうし、これ程戦う姿を見せておいて秘密にしても、不信感を抱かれてしまうでしょう。ですからキチンとお話を致しますよ」



 咲夜はそのあと「ただし…」と付け加える。



「貴方がキチンと根拠地で治療を受けてくれたら、と言う条件が前提ですが」



 巴はそこまで根拠地の面々と関わりを持つつもりは無かった。


 戦場に来てからずっと通信をしてきた大和も同様のことを言ってくるであろうと見越して、その正体だけを聞いて去るつもりであったが、それすらも見透かされていたことを理解し、巴は大人しくその条件を飲むことにしたのであった。






●●●






「先生!!海堂 海音さんの症状安定しました!!」

「先生って呼ばないで…ありがとう。少し休んで良いわよ」



 治療終了の報告をしてきた助手看護師達の報告を聞き終え、沙雪は休憩を言い渡して部屋を後にさせる。



「やれやれ…久々にこんな医者っぽい仕事したわ…」



 次々と運ばれてくる根拠地の面々の対応を続けていた沙雪は、大和からの報告で言われた最後の患者の処置を終え息をつく。



「ふふふ、お疲れ様でした」



 と、そこへフワッとした包容力のある女性の声が、沙雪に話しかけてくる。


 沙雪が振り返ると、そこには小柄な女性がオペ服を着こなして立っていた。



「あ〜…えっと、その、急なお声かけに応じで下さりありがとうございました、蓮水先生」

「いいえ〜♪」



 慣れない敬語の辿々しさに、女性ー蓮水 寧花ーは可笑しそうに笑う。


 寧花は千葉根拠地に併設されている、未覚醒『グリッター』の訓練学習生の面倒を見る教官である。


 朝陽は勿論、五つ違う梓月も寧花の元『グリッター』としての教育を受けてきており、千葉根拠地の面々が基本的に温和で仲間思いであるのは、この人物の影響が大きかった。


 実は最高本部にいた時の沙雪の医療現場の上司でもあり、沙雪にとって数少ない頭の上がらない人物の一人でもあった。



「(…て言うかこの人一体何歳なのよ…私がまだ見習いだった頃からベテランとして働いてて、ここに来たら今度は何年も教官をやってるんでしょ?見た目変わらなさすぎよ…)」



 沙雪の考えに気付いているのかいないのか、身長140cmに届くかどうかの小柄で豊満な女性は、ニコニコと温和そうな笑みを浮かべていた。


 二人は室内の椅子に座り静まった部屋の中に響く心電図の音を聞いていた。


 今回はリナ達技術班と、瑞樹達科学班の『ベイルアウト』システムのおかげもあり、今回の戦闘で死傷者は一人も出なかった。


 当然、沙雪達の腕があっての話である。怪我をした五人はどれも重症で、処置を誤れば命を堕としかねない状況であった。


 特に三咲はその傾向が強く、常に飄々としていた沙雪が珍しく焦った表情を見せたほどであった。


 それでも、こうして全員の状態を安定させ、命を救ったということから、沙雪がいかに名医であるかを表していた。



「…良かったわね、今度はちゃんと守れて」



 上司であると同時に、沙雪の過去を知る人物でもある寧花は、優しく声をかける。



「…はい」



 聞かれる人によっては不快感を覚える過去ではあるが、寧花は常に沙雪を支え続けてくれた人物であるため、そのような感情は一切覚えなかった。


 そして、その言葉を受けて、改めて安堵の息を溢した。


 しかし、ベッドに横たわる五人を見て、再び表情を険しくさせる。



「それにしても、大和(アイツ)が指揮を取ってたのにこれだけの被害を出すなんて、思いもよりませんでした」

「そうね〜。あの子凄い優秀な子で、ここに来てからも怪我をさせるなんてこと殆ど無かったのにね」



 予め、今回の戦闘が相当危険な戦いになることを聞かされており、沙雪自身も覚悟はしていたつもりであった。


 しかし同時に、口には出さないものの、大和のことを認めていた沙雪が、心の奥底で大きな被害は出ないだろうと考えていたのも事実だ。


 だからこそ、目の前で横たわる五人の痛々しい姿に、流石の沙雪も胸を痛めていた。



「今回の敵…【オリジン】でしたか?たった一人でこんなことに…」

「私も流石に対峙したことは無いから分からないけど、かつては死者も出て被害者も桁が違うレベルで出ていたそうよ。こう言うことを言うのは彼女達に失礼だけど、死者もなく、怪我を負ったのも五人で済んだのは奇跡だと思うわ。流石大和君ね」



 確かに、と沙雪も考え直す。言い伝えレベル程の存在である【オリジン】に対し(全員の尽力あってこそだが)、犠牲がこれだけで済んだのは、大和が積み上げてきた根拠地の底力によるものである。


 かつての被害度を鑑みれば、この程度で済んだのは奇跡と言わざるを得ないだろう。


 そして、その最大の功労者としてあげるのなら、間違いなくここまでの力を培ってきた大和である。



「…ま、アイツは納得しないでしょうけどね」

「そうね〜。あの子は一人の怪我人も出したく無かったでしょうからね。暫くは落ち込んでるんじゃないかしら」



 二人はその姿を思い浮かべて笑みを浮かべる。


 その直後、部屋のドアがゆっくりと開けられる。二人がそっちを見ると、戦いを終えた朝陽達一同が、沙雪の治療を待ち望んでいたのであった。

※後書きです






ども琥珀です。


後書きに今後のお知らせの内容を載せていきます。


ご確認ください!


【今後のお知らせ】

本編である『Eclat Etoileー星に輝く光の物語ー』の更新は明日を最後に一旦停止致します。

と言うのも、1月21日からは番外編となり、本編とは異なる作品扱いとして、別枠で投稿することになるからです(分類的には新作投稿扱い)!!


そのため、本作品を読んでくださっております読者の皆さまには、1月21日は私のプロフィール等から作品一覧に飛んでいただき、そちらからのご一読をお願い致します!


更新時間は本編と同様に朝八時からになりますので宜しくお願いします!

更新頻度はあらためて後書きなどでお知らせさせていただきます!


新作(番外編)投稿後も、是非ブクマ登録等をお待ちしております!

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