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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
8章 ー千葉根拠地総力戦ー
195/481

第189星:流水武技

国舘 大和(24)

千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに根拠地の指揮をとりつつ、環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』と接する。高い戦闘能力と強大な『グリット』を備えるが、その素性は謎が多い。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。大和により、現在は小隊長も務めている。陣営は前衛。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務め、今戦闘では前衛及び大隊の隊長を再び務める。


樹神 三咲 (22) 四等星 《ベイルアウト》

千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務め、今戦闘では後衛部隊の隊長も務める。


佐久間 椿(22) 四等星 《ベイルアウト》

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。『アウトロー』との戦いでかつての自分と葛藤するが、三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』隊長にして、今戦闘では中衛部隊の隊長も務める。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23)

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


【椿小隊】

写沢 七 (21)

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。


重袮 言葉 (20)

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…幻覚・幻視・催眠の『グリット』を操る。


海藤 海音 (16)《ベイルアウト》

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな機微から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。


【三咲小隊】

椎名 紬 (22)

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手の視界を共有する『グリット』を持つ。


八条 凛 (16)

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。自身の『エナジー』を纏わせ、その物体を操る『グリット』を持つ。


大刀祢 タチ (17)

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。


【夜宵小隊】

私市 伊与 (19) 《ベイルアウト》

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。自身の肉体の動きを加減速する『グリット』を持つ。


早鞆 瑠衣 (18)

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。


矢々 優弦 16歳 四等星 《ベイルアウト》

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。自然の声を聞き取る『グリット』を持つ。

 両者の戦い方は真逆であった。


 荒々しく、猛々しい戦いぶりを見せるのは【オリジン】。先程までの余裕めいた様子は無く、本来の『メナス』の本能の赴くままに戦っていた。


 片や戦国。クールな様子に違わない、静かな動きでこれに対抗する。


 動きは最小限で無駄がなく、それでいて滑らかで美しい動き出しであり、遠目に見ていた奏達も思わず見惚れてしまう程であった。


 恐らく攻撃速度は【オリジン】が上回っている(それでも巴の動きは異次元だが)。


 しかし、上回る攻撃の手数に対し、巴は持っていた薙刀を片手首を軸に回転させることで攻防一体の動きを繰り出していた。


 一見して激しい攻防を繰り広げているように見えるが、巴の動きは比較的単調である。薙ぐ、捌く、振るうを繰り返しているだけだからだ。


 恐るべくはそれだけで【オリジン】の攻撃に全て対処していることである。


 直接的な攻撃に加え、触手も持つ『メナス』の近接戦闘は、必然的にその手数が多くなる。


 その為大多数の『グリッター』は近接戦闘を避けることが多い。


 千葉根拠地で言えば海音やタチのような近接戦闘を主軸とする能力の持ち主であっても、味方との連携のもと、ヒット&アウェイのスタイルを取ることが基本である。


 が、この戦国 巴はこれに当てはまらなかった。通常よりも更に多く自在な触手に加え、【オリジン】の超高速の攻撃をものともせず、一人で全て捌いているのである。


 【オリジン】もさながら、『シュヴァリエ』という存在がいかに規格外であるかを目の前で体現していた。



【コォンノ…!!サッサトヤラレロ!!】



 焦れた【オリジン】は超至近距離でありながら、巴に向かってレーザーを放とうと試みる。


 レーザーが放たれるまでの、その数秒の隙を巴は見逃さなかった。


 捌くために回転させていた薙刀を海面につけ掬い上げると、そのまま【オリジン】の顔面に当てる。



【ッ!?プアッ!!】



 予想外の行動に動揺し、眼にチャージしていたエネルギーは霧散していく。


 更に数秒出来た隙のうちに、巴は薙刀を構える。剣道で言えば発相の構えに近いが、その刀身は海面スレスレまで下げられていた。



流水武技(りゅうすいぶぎ)・三の型:旋空陣」



 次の瞬間────ヒュッ!!



 およそ戦闘中とは思えないような、心地の良いほどに()()()()()()()()音が周囲に鳴り響く。



【…!?】



 直後には異変が無かったものの、まもなくして【オリジン】は自分の身体の半分がズレ落ちていったことで、胴体が真ん中で切り裂かれていることに気がつく。



【…ア゛ア゛!?】



 それだけでは無かった。その後ろを振り返れば、同じく切られたのであろう海面が二つに裂けており、更には()()()()()()()()()()()()()()()()()



【切ラレタ水ガ…ソノママ、ニ!?】

「…人は案外痛みに鈍いから、切られても直ぐには気付かないことがあるけど、実は自然も同じ。自然に斬られれば、まるで最初からそうであったかのように形を保つ」



 その様子を見ていた奏達が参加する中、唯一巴と同じく武芸を嗜んでいたタチだけが、より一層深くその意味を理解していた。



「(簡単に言っているが普通じゃない。ちょっとした達人では絶対に神業レベルの武芸…ハッキリ言って本来人間にできる芸当じゃない)」



 タチが他の面々より戦慄していることに気が付き、梓月は今の攻撃についてタチに尋ねる。



「タチ…今の彼女の攻撃が分かるのですか?」



 ハッとした様子で我に帰ると、タチは手を口元に当てながら梓月の問いに答える。



「…恐らくですが、あの薙刀は戦闘補具(バトル・マシナリー)です。攻撃をする時、エナジーを吸収する事でエネルギーの刃が形成され、瞬間的に攻撃範囲を拡張しているのだと思います」

「それは…ですが目新しいものではありません、よね?貴方の『影漆』も似たような性質を持っているはずでしょう?」


 確かに、梓月の言う通り、物質にエナジーを付与して斬撃と化す『影漆』も似た性質を持っている。


 しかし、焦点となるのはそこではなかった。



「確かに、性能自体は目新しいものではありません。ですが、問題はそこではありません。皆さんは先程の彼女の攻撃が見えましたか?」



 タチの問いに、首を縦に振ったものは一人も居なかった。



「そこが一番の問題…いえ、先程の彼女の凄さなのです。ただ刃を伸ばすだけでは意味がありません。私達の目にさえ映らないほどの高速な拡張攻撃…つまりその拡張速度に追いつくほどの速さで、自身も武器を振るわなくてはならないのです」



 最初は理解できていなかった面々も、次第にタチの言っていることを理解し、より一層戦慄の表情の色を濃くしていった。



「彼女はそれを平然とやってのける。戦国 巴にとって、()()は出来て当然の動きなんです。普通じゃない…」



 それは同じ武芸を嗜むものとしての羨望か、はたまた次元の違いからくる恐怖か。タチはなんとも言えない感情を覚えていた。



「…これでも死なないのね、貴方」

【…ウ…ギッ!!】



 苦悶の表情を浮かべながらも、【オリジン】の身体は再び再生を初めていた。


 通常ならとっくに消滅しているような状態でありながらも生きながらえる辺り、【オリジン】はやはり他の『メナス』とは一線を博した存在であった。



【殺ス…殺シテヤル!!絶対ニ!!オマエトノ戦イハナンモ楽シクナイ!!】



 血走った眼差しでこちらを睨みつけてくる【オリジン】の視線を、やはり巴は悠々と受け流す。



「…理解できない。戦いは楽しむものじゃないから」



 薙刀を構え直し、巴は【オリジン】の殺気を真っ向から迎え撃つ。



「(…あの中の誰のおかげかは知らないけど、【オリジン】は相当感情を掻き乱されてる。手数は多くても動きは単調。これならいくらでも対処できる)」



 今までの攻防に余裕があったかと言われれば、それは否である。


 【オリジン】の攻撃速度は、これまで対峙してきた『メナス』とは比べものにならないものであり、少なからず驚かされてはいた。


 しかし、初手で【オリジン】に衝撃を与えられたこと、そして元々巴が対峙した時から、かなり動揺していたこともあって、攻撃が単調になっていたことがプラスに働いていた。


 ちなみに、ここまでの戦闘で巴はまだ一度も自身の『グリット』を使用していない。


 使えない訳ではなく、使う必要はないと判断しているからだ。



「(…今のは使う技の判断を間違えた。一つの致命傷では足りないのなら、再生出来ないほどの手傷を負わせる)」



 戦国 巴の真骨頂は、言うまでもなく人智を超えたレベルで極められた武芸である。


 朝陽達の攻撃をものともしなかった【オリジン】の身体を難なく切り裂いていることからも、その程がうかがえる。


 更に、極めてからも尚も向上心を失わないストイックさもプラスに働き、『シュヴァリエ』の名を戴冠するのに恥じない実力を身につけていた。



「(…次で仕留める。次は、全身を切り刻む)」



 武芸に身を置きすぎたためか、他の事柄に関する興味関心がやや希薄なのが問題ではあるが、今のご時世でそれを咎めるものはいないだろう。


 母親とも呼べる、護里を除いては、だが。



【…オマエ…許サナイ…!!イライラスル殺ス!!】



 流暢であった言葉は拙く短文のようになっており、いかに余裕がないかを現していた。


 しかし、巴はそれすらも取り合うつもりは無かった。巴が戦場で考えるのは、いかに獲物を仕留めるかのみ。


 命のやり取りのなかで、余計な情報は動きを鈍らすと本能的に理解していたからだ。



【ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!】



 故に、巴の扱う技も同様に、ただ命を奪うためのものであった。



「流水武技・四の型:連刃瓦解(れんじんがかい)



 巴は技を繰り出すと同時に、直線的に突撃した【オリジン】と入れ替わりになるように立ち位置が変わる。


 最もイメージし易いのは居合だろうか。すれ違いざまに、巴は目にも留まらぬ早さで【オリジン】の身体を切りつけていた。



【…ッ!!カッ…!?】



 やがて、【オリジン】の身体は少しずつ線状の切り傷が表れ、その傷は賽の目状に全身に広がっていった。



【ガッ…カッ…!!ア、アノ一瞬デ…コンナ…!!】

「…連刃瓦解は内部に斬撃を放つ技。身体の内部で拡散された斬撃は、一部の崩れから全体の組織を刻んでいく。今の貴方の身体のようにね」



 巴は律儀に応えたものの、【オリジン】が返事を返すことはなかった。


 バラバラとなった肉体からは黒い霧が大量に吹き出し、これまでのように再生する様子はなく、ボチャボチャと音を立て、海の底へと沈んでいった。



「…だから言ったでしょ。貴方に興味はないって。だって、どうせ死ぬんだもの」



 最後に薙刀をピッ!と振るい、散っていった【オリジン】にその言葉を言い放ったのであった。

※琥珀です






ども、後書きです


私、メールなどの返信は結構気にしてしまう質で、自分には返って来てないのに他の人には…とか、自分のメッセージで相手に不快な思いをさせちゃったかな?とか、色々思ってしまうんですよ…


メンヘラ気質があるのかもしれません…


本日もお読みいただきありがとうございました!!

明日も更新されますので、どうぞ宜しくお願いします!!

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