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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
8章 ー千葉根拠地総力戦ー
194/481

第188星:戦国 巴

国舘 大和(24)

千葉根拠地の司令官として配属された青年。右腕でもある咲夜とともに根拠地の指揮をとりつつ、環境面、戦術面、待遇面の改善にも取り組み続け、『グリッター』達からの信頼を勝ち得た。関東総司令官という立場であるが、それを隠している。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いながら、時に優しく、時に厳しく『グリッター』と接する。高い戦闘能力と強大な『グリット』を備えるが、その素性は謎が多い。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。自分に自信が持てない面もあるが、明るく純心。大和と出会い『グリッター』として覚醒。以降急速に成長を続け、戦果を上げ続ける。大和により、現在は小隊長も務めている。陣営は前衛。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。実力もさながら面倒見の良い性格で仲間からの信頼は厚いが、妹の朝陽には弱い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は夜宵小隊の小隊長を務め、今戦闘では前衛及び大隊の隊長を再び務める。


樹神 三咲 (22) 四等星 《ベイルアウト》

千葉根拠地所属。生真面目な性格な反面融通が利かないことも。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を冷静に判断、指揮する。当初は大和方針に反対していたが和解し、現在は『三咲小隊』隊長を務め、今戦闘では後衛部隊の隊長も務める。


佐久間 椿(22) 四等星 《ベイルアウト》

千葉根拠地所属。洞察力に優れ、トラップを作る『グリット』を扱う。『アウトロー』との戦いでかつての自分と葛藤するが、三咲とのやり取りで再び『グリッター』としての姿を取り戻す。『椿小隊』隊長にして、今戦闘では中衛部隊の隊長も務める。


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。物体を操る『グリット』を持つ。


久留 華 (22)

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。物体を圧縮する『グリット』を持つ。


曲山 奏(20)

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。物体を屈折させる『グリット』を持つ。


【椿小隊】

写沢 七 (21)

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。物体をコピーする『グリット』を持つ。


重袮 言葉 (20)

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…幻覚・幻視・催眠の『グリット』を操る。


海藤 海音 (16)《ベイルアウト》

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。僅かな機微から動きを直感的に読み取る『グリット』を持つ。


【三咲小隊】

椎名 紬 (22)

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。相手と視線を合わせることで、相手の視界を共有する『グリット』を持つ。


八条 凛 (16)

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。自身の『エナジー』を纏わせ、その物体を操る『グリット』を持つ。


大刀祢 タチ (17)

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。攻撃した動線上に『エナジー』を残し攻撃する『グリット』を持つ。


【夜宵小隊】

私市 伊与 (19) 《ベイルアウト》

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。自身の肉体の動きを加減速する『グリット』を持つ。


早鞆 瑠衣 (18)

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。人体・物体を強化する『グリット』を持つ。


矢々 優弦 16歳 四等星 《ベイルアウト》

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。自然の声を聞き取る『グリット』を持つ。

 奏達は目の前で何が起きたのかは理解出来なかった。


 ただ目の前人影が現れると同時に、今まで目の前にいた【オリジン】の身体が()()()()()()()()



【…ア゛?】



 流石の【オリジン】と言えど状況が掴めず、気の抜けたような声を上げる。


 そして自分の身体の状態に気がつくや否や、全触手を操り周囲を薙ぎ払った。


 風圧とそれによる海面の波が生じ、一同はそれに飲み込まれそうになるが、再び奏達の前に立った人物が、手に持っていた薙刀を一薙ぎ。


 それだけで波が裂け、更には攻撃をした側の筈の【オリジン】がその衝撃で吹き飛ばされていった。


 その光景に、一同はただただ呆然することしか出来ず、その視線は当然、突如現れた人物に向けられた。


 そこに立っていたのは、物静かな雰囲気ながら鋭い圧を感じさせる女性であった。


 着ている衣服は弓道着のような形状をしており、振り袖の巫女服をを加えた和風の着こなしをしていた。肩の部分が露出しているのは、恐らく機動性確保のためだろう。


 首元程まで思われる薄茶のロングヘアーの上側をポニーテールの様に結い上げており、額には日の丸が描かれた鉢巻をしていた。



「あ、貴方は…?」



 その絶大な力を目の前にして、梓月は恐る恐る尋ねると、女性はゆっくりと振り返り、クールな表情、目つきで梓月達を見る。



「…最高司令官直属、『シュヴァリエ』戦国 巴。これで通じる?」



 その言葉に、全員が驚愕の表情を浮かべたのは言うまでも無い。


 『シュヴァリエ』は『軍』の中でも最高位の戦力であり、その強大さから本当に必要な戦場にしか現れないからである。


 しかし、そう言う意味ではこの戦場に現れたのはある意味必然であるとも言えるだろう。


 何故ならば、相手は原初にして最強の【オリジン】であるからだ。



「(それでもまさか…『シュヴァリエ』の戦いがこの目で見れるとは…これはまたと無い機会ですね!!)」



 『グリッター』であるのならば、『シュヴァリエ』という地位は誰しもが憧れる場である。


 誰もが尊敬する早乙女 護里の直属であるからだ。


 とはいえ、『シュヴァリエ』に選ばれる者は並大抵の実力者では決して選ばれない。


 奏達は勿論のこと、かつてロシアからやってきたヴィルヴァーラですら叶わないだろう。


 『シュヴァリエ』と言うのは、それ程までの猛者の集まりなのである。


 と、何故か巴は梓月に抱き抱えられている夜宵の方をジッと見ていた。



「…ねぇ、()()



 巴は夜宵の方を指差しながら、どこか拙さを感じさせる言葉で梓月に尋ねる。



「…()()()にやられたの?」



 拙さ、と言うよりは言葉足らずと言ったほうが正しいだろうか。


 淡々とした口調で最低限ことだけを発し、問い詰めてくる。



「えぇまぁ…そうですね」



 実際に攻撃を喰らった訳では無いのだが、【オリジン】との戦いで力尽きたという点を踏まえれば間違いでは無いため、梓月は肯定的に答えた。



「…そ」



 巴はさして興味もなさそうに淡白に答えると、再び前へと向き直った。


 奏達は気付かなかったが、振り返ってから巴の瞳には、僅かに怒りの感情が混じっていた。


 それが、誰のためなのか、何故なのかは分からない。


 その視線の先では、断ち切られた筈の【オリジン】が身体の再生を進めていた。


 真っ二つになった身体の中央からは黒い霧のようなものが漏れていたが、再生が進むに連れてそれも無くなっていく。


 メナスの死因は、人間と同じく致命傷を負うことで消滅する、といったのが一般的な見解である。


 胸を貫く、脳を潰す、人体に多大なダメージを与えるなどによって、メナスは再生することが出来ず塵となっていくことが多かった。


 しかし、その常識さえも【オリジン】には通用しないようで、身体を真っ二つにされたにも関わらず、その肉体は再生を続けていた。


 それから間も無くして完全に再生した【オリジン】であったが、先程までとは異なり、その表情に笑みは無かった。



【マタ知ラナイヤツ来タ…今度ハ、ダレ?】

「…同じことを聞かれるの嫌い」



 正確には【オリジン】は一度も巴に聞いてはいないのだが、巴にとっては奏達からの質問も【オリジン】

からの質問も同列であるという認識を持っているようであった。



【アッソ!私モウ遊ブノ止メタシドウデモ良イケドネ!!オマエモ直グ殺スカラ!!】



 【オリジン】の言葉に嘘はない。先程までの無邪気さはなりを潜め、今は全身から強い殺気を放っていた。


 冗談ではなく、【オリジン】は今からが戦闘に入るのである。


 それを知ってか知らずか、巴は変わらず淡々とした様子で答えた。



「…どうでも良い。私貴方のこと知らないし」



 これも正論であった。


 巴は先程までの【オリジン】の行動を認知しておらず、巴にとってはこれが最初の戦闘であるために、遊びのことなど知りもしないからだ。


 と言っても、そのことを知っていたからといって、この戦国 巴の行動が変わるという訳でも無いのだが。


 これまでと違い淡白な反応を繰り返す巴に対し、【オリジン】は苛立った表情を浮かべ睨みつける。



【…オマエ、ナンカ腹立ツ。嫌イ】

「どうでも良いってば。貴方に興味もないし好かれたい理由もないから」



 その言葉で【オリジン】の琴線が切れたのか、海面を強く蹴り、巴に一気に詰め寄った。


 これまでとは違う、目視すらも困難な速度に奏達は目を見開いて驚く。



【ッ!?】



 その刹那の世界に反応したのは、【オリジン】ともう一人、戦国 巴であった。


 蹴り出した勢いで、海水が飛び散る中目の前に迫ってきた【オリジン】の動線上に、巴が握っていた薙刀の刀身が迫っていた。


 これを身体を捻ることでどうにかかわした【オリジン】であったが、かわした先について来るように、再び薙刀が振われた。



【クッ!!】



 【オリジン】はたまらず両腕をクロスさせて防御の態勢を取る。


 この戦いの中で初めて追い詰められて取った行動であった。


────ギィン!!


 まるで金属同士がぶつかったような音を立てたあと、巴の攻撃を受けた【オリジン】は、海面に数度身体を打ち付けながら、数メートル後方まで飛ばされていった。


 その光景を、奏達は呆然と見届けていた。というよりも何が起きたのかが理解できていなかった。


 【オリジン】の移動により水飛沫が起き、視界を塞がれている間に、気付けば攻め込んでいたはずの【オリジン】が吹き飛ばされていたからだ。


 それでも、その巴の手によって起こされていたということだけは感覚的に理解していた。


 その巴は、【オリジン】が離れたことを確認すると、視線だけ後ろに向け、奏達に話しかける。



「…ここからは私一人でやる。だからここにいてね」



 それは、朝陽の口からも告げられた内容と似通ったものであり、遠回しに邪魔であると伝えられ、奏達は悔しげな表情を浮かべる。


 しかし、先程までの朝陽達の戦闘と、今の巴の戦闘を見ていれば、そうすることが最善であるということを痛感させられ、頷くことしか出来なかった。


 それを確認した後、巴はゆっくりと前へ進み、奏達から距離をとっていった。


 その背中を、ただただ見送ることしか出来ず、奏達は再び複雑な表情を浮かべていた。






●●●






 驚いていたのは奏達だけだはなかった。根拠地で戦場を見ていた大和と咲夜の二人も驚きの表情を浮かべていた。



「彼女は…戦国 巴君?何故彼女がここに…」



 大和だけでなく咲夜も驚く中、情報官である新島 夕だけはこの状況を分析し、それをモニターに映し出す。



「司令官、こちらをご覧ください」

「…これは?」



 映し出されたのは根拠地周辺の地図であり、前方、現在朝陽達がいる場所には薄黄色いモヤがかかっていた。



「このモヤは【オリジン】の放つ電磁波です。送られてきた観測データを元に作成してみたものですが、通常の『メナス』の十倍は強いものです」



 夕の説明に、大和が頷く。



「この強大な電磁波によってボク達も本部への通信手段を失ってしまったからね。納得のいく数字だ」



 大和が理解を示したところで、夕は話を続ける。



「本来であれば、この『メナス』の放つ電磁波は、近隣の支部や根拠地にしか観測されません。ですが、【オリジン】はご覧の通りこの規模の電磁波を放っています。つまり…」

「…【()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」



 結論に至った大和の発言に、夕は深く頷いた。



「これほどまでに強力な電磁波ですから十分に可能性はあると思います。ですから、最高司令官はここに『シュヴァリエ』の戦国さんを送り届けたのではないでしょうか?」



 鋭い読みと、的確な情報収集が為した推論に、大和は思わずほおを緩めた。



「すごい才能だ夕君。十分にあり得る内容だよ。こういう時信じられる情報があると指揮を取る立場としてはとても助かる。君が情報官で本当に良かった」

「〜〜〜!!ありがとうございます!!」



 感極まった様子で頭を下げる夕を愛おしく思いながら、大和は再びモニターへと目を向ける。



「(巴君がここに現れた理由は分かった。あとで奏君達に連絡を入れて通信の周波数を合わせるとして…)」



 大和は夕の推測を経た後、一つの疑問を感じていた。



「(彼女が増援だとして、彼女一人なのは何故だ…?確かに『シュヴァリエ』一人でも現場の士気は十分に高まる。しかし、その上で相応の人員がいれば尚上がったはず。護里さんにしてはおかしな判断だ)」



 しばらく考えた末に、大和はこれ以上考えることを放棄した。



「(考えても仕方のないことか。どうせ上の奴らが増援を渋ったんだろう。そう考えれば寧ろ巴君が来てくれただけでも十分すぎる増援だ)」



 大和の推測は、関東総司令官を兼任しているだけあり、上層部を知っているために完璧に当たっていた。


 完全に考えることをやめた大和は、直ぐに巴の情報を仕入れ、今後の方針を練り始めていた。


 一方で咲夜は、最初こそ巴の増援に驚いた表情を浮かべていたが、その表情は再び険しくなっていた。



「(彼女の増援は確かに心強い…ですが…)」



 モニターを見る咲夜の視線の先は、巴ではなく、【オリジン】に向けられており、何か大きな不安を抱えているようであった。

※後書きです






ども、琥珀です


後書きでこんなことを書くのもアレですが、新型かまた猛威を奮って来ましたね…


勿論自粛する必要はあるのですが、実際に仕事で外に出ざるを得ない方はやむを得ないですよね…


全ての職がテレワーク出来るわけではないですからね…私も絶対に現場に行かなくてはいけないので…難しい問題です…


本日もお読みいただきありがとうございました!

また明日更新されますので宜しくお願い致します!

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