表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
1章 ー朝陽覚醒編ー
15/481

第十四星:反撃

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。司令官である大和を補佐する。


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めているが、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『天照す日輪イノセント・サンシャイン』を覚醒させた。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。戦場に現れた妹の朝陽の危険にいち早く勘付き重傷を負った。


樹神 三咲 (22)

 千葉支部所属。夜宵の率いる『輝く戦士グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。メガネがトレンドマーク。


塚間義一(35)

千葉根拠地における指揮官で階級は少佐。『グリッター』に対する差別意識が強く、彼女達を平気や道具のように思い扱っている。特攻をしろと命じたところに大和が現れ、更迭された。

 間違いなく仕留めたはず。


 『人間エモノ』は完全に油断していて、自分達はその隙を完全についた。


 だからこそ、脅威(メナス)達は目の前で起きた光景が信じられなかった。


 メナス達はレーザーを一斉に放った。


 3つのグループに別れていた『人間』に対し、30のメナス達がそれぞれ均等的に撃ち込んだ。


 そもそもが光速の攻撃だ。油断していた状況で避けられる筈もない。


 しかし、突如として目の前にそれは現れた。


 謎の金属、いや、刃に近いモノがそれぞれのグループに2つ。それは光のごとく『人間』の前に現れ、そして発光した。


 二つの光はまず、刃の交点を頂点としてちょうど開いた傘くらいに、円錐型へと展開していった。


 そこへ自分達(メナス)のレーザーが直撃する。


 通常なら貫通するはずだ。しかしレーザーは、その表面をまるで滑るように曲がり、海の方へと逸れていった。


 他の二つのグループも同様のようだった。


 海を貫いたレーザーはその熱で僅かに海水を蒸発させ、水蒸気を発生させていた。



────同じだ



 メナスは本能的にそう感じ取っていた。


 同じというのは、朝陽が『グリッター』として覚醒した直後に放ったレーザーのあとに見た水蒸気のことだ。


 そもそも何故あれだけの攻撃を受けて生きていたのかが不思議であったが、恐らく今のと同じ方法で攻撃を逸らしたのだと、メナス達は理解したのだ。


 その仕組みを理解できていないのは、『グリッター』側も同じであった。


 突如目の前に現れた物体が発光したかと思えば、それが自分たちの身を守ってくれた。


 それぐらいしか理解は及ばなかった。


 しかし、ただ一人、三咲だけは誰が自分達の身を守ってくれたのかを知っていた。


 三咲は『対敵生命体感知エクスタミネーター』を通して見ていたのだ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



「朝陽…あなた覚醒したばかりでこんな…」



 そう、朝陽はメナスの意図を察知した瞬間、『六枚刃フリューゲル』を光速移動(てんかい)させ、『(シルト)』を発動させていた。


 朝陽の防御技である『シルト』は、攻撃をただ正面から受ける盾ではない。


 円錐型に展開された光は、頂点から底辺にかけて高速的に流れており、攻撃が物体的質量を持っているものであるのならば、流すことで無効化することが出来る盾である。


 そしてその『シルト』を展開する役割を担うのが、この『六枚刃フリューゲル』。


 通常は『光輝く聖槍ブリリアント・ヘレバルデ』の水晶部分を浮遊しているだけだが、朝陽の意思で自由自在に飛び回すことが出来る。


 そして当然、その役割は防御だけに留まらない。



【────!?】

「『光の矢よ(プフェイル)』!!」



 当然、攻撃の役割も果たす。


 朝陽の言葉と共に『フリューゲル』が発光。


 矛先から放たれた光が矢の形となって、六体のメナスを同時に貫いた。


 突然の攻撃に、『メナス』は抵抗することも出来ずそのまま消滅。


 敵も味方もただただ呆然と見届けることしかできなかった。


 その中で朝陽だけは臨戦態勢の姿勢を崩さない。


 槍を構えた朝陽は、攻撃の手を休めず、再び一気に加速した。


 同じ手は通用しない。


 朝陽の追撃を感じ取ったメナス達も近距離戦に切り替える。


 髪を触手に変え、個体の数と手数で押し切る構えだ。


 同様に朝陽も展開させていた『フリューゲル』を呼び戻し、これに応戦。


 互いに人間の持つ身体能力を超えた戦闘を繰り広げていた。



「凄すぎるわね…一人で十体近くのメナスとやり合ってるわよあの子…」

「三咲さん、これ、私達にできる事あるんですか?」



 その隙を見計らって三咲達『グリッター』は合流に成功。


 しかし、朝陽の圧倒的な戦闘能力を前にして、戦いに参加することが出来ずにいた。


 同じ『グリッター』から見ても、朝陽の『グリット』の力は頭一つ抜けていたのだ。



「(この特異性と『グリット』の強さ…こんなに驚いたのは夜宵隊長の『グリット』を見て以来ですね…皆の言う通り、これでは私たちが入っても邪魔になるだけなのでは…)」



 三咲も同様の考えに至ろうとしていた。


 しかし、その考えを耳元の通信機が振り払う。



『バカなことを言うんじゃない。いくら朝陽君が圧倒的な《グリット》の力に目覚めたとしても、《グリッター》としてはまだ半人前だ。そういう所をカバーするのは君たちの役目なんじゃないのか?』



 大和の言葉を聞き、全員がハッとする。



「そう、そうでしたね。もとより私達は一人で戦ってきたわけじゃありませんし…」

「支え合ってこその『私達(グリッター)』、だよね~」



 三咲と椿の発言に、集まった『グリッター』全員が頷いた。


 これで『グリッター』側の意思は固まった。あとは自分達がどう力になるかが問題だ。



『じゃあ早速仕事だ君達。まずは夜宵君を保護するんだ。聞いた情報通りなら、今、夜宵君は朝陽君の光に包まれた状態で守られたままの状態で放置されているはずだ』



 三咲達は肉眼で夜宵の姿を探し出す。


 大和の言う通り、夜宵は朝陽の光に包まれた状態で、海の上に浮いていた。



「えぇ、確かに…」

「朝陽ちゃんが『グリット』に開放した位置に佇んでいるわね~」

『恐らくだけど、朝陽君はそちらに意識を少し割いていて、十分に戦闘に集中できていない可能性がある。加えて夜宵君を守るためにエナジーも回してもいるだろう』



 三咲は大和が言わんとしていることを理解し、頷く。



「つまり、隊長を保護すれば、朝陽はより力を発揮できるということですね?」

「…あれでまだ全力じゃないなんて信じられないけどね~」



 何はともあれ、三咲達の最初の方針は決まった。夜宵の身柄の確保である。


 そこからの行動は迅速だった。三咲と雪を先頭に陣形を組み、メナスを警戒しながら最短最速ルートで夜宵のもとへ駆け寄る。


 その動きにメナスも気が付き、攻撃を仕掛けようとするも、同じくその動きの意図に気が付いた朝陽が、いち早く『フリューゲル』を展開し、その動きを妨害。


 三咲達の道を開けるようにカバーする。


 しかし、それでも未だ数で上回っているのはメナスだ。


 朝陽のカバーが追い付かなかった数体のメナス達が突破し、三咲達に襲い掛かる。


 爆発的な加速力で、その距離は一気に縮まっていく。



()()()()()!!」



 しかし、三咲達に動揺した様子はない。


 寧ろ仕掛けてくるのを待っていたかのように迎撃を開始しだした。


 元々メナス達が動き始めた三咲達を襲撃する可能性が高いことは分かっていた。


 それを読んでいた大和は、三咲達にもう一つ指示を出していた。



──── ()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 つまりは、陽動である。


 朝陽の覚醒したばかりの今の力量で言えば、カバー出来ない個体が出るのは明確である。


 そこで、敢えてそのカバーできない個体を三咲達が引き付けることで、朝陽の負担を減らそうという作戦である。


 朝陽の側を離れて三咲達に向かって行った個体は9体。


 残った個体が22体であるため、13体もの個体を朝陽は相手にしなくてはならないが、それでも大幅に負担は減った。


 そして三咲達の数は11名。


 数の上では互角となり、十分に応戦できる状況を作り出せている。



「指示通り、隙を見て2人が戦域から抜けて隊長を救出。残りでメナスを各個撃破します。いいですね」

「朝陽ちゃん一人でたくさん相手して貰ってるんだから、私達も時間はかけてられないわぁ。全速力で撃退して、朝陽ちゃんのカバーに行くわよ」

「「「了解!!」」」



 いまここに『グリッター』の意思は一つになった。九十九里浜海岸戦も、いよいよ大詰めである。






●●●






 遠くから聞こえる仲間たちの声に、朝陽は不謹慎ながら溢れる笑みを抑えることが出来なかった。



────ずっと待ち望んでいたこの瞬間。



 同じ『グリッター』の言葉が、遥か彼方にいるように感じることはもう無く、遠くにいながら側にいるような感覚を覚えていた。



「私今、皆と肩を並べて戦えているんですね…」



 今、三咲達は朝陽のカバーをするために動いてくれている。


 朝陽が、戦えると、勝てるということを信じて付いて来てくれている。


 それだけで、朝陽は体の奥から力が湧いてくるのを感じていた。



「うん、分かるよ『天照す日輪イノセント・サンシャイン』。アナタも私と同じ気持ちなんだよね」



 朝陽は槍を再び強く握り、力強い瞳をメナスに向ける。



「行こう、『イノセント・サンシャイン』!!私達の光で皆を守るんだ!!」



 朝陽に応えるように、その光と槍は、より輝きを増していった。


※ここからは筆者の後書きです!興味のない方は読み飛ばして下さいませ!!





ども、琥珀でござんす!!


待ちに待った(?)戦闘回でございます!!

朝陽ちゃんの無双ぶりはいかがでしたか??次回ももう少し無双しますよ多分笑


最近早朝に仕事があることが多く、更新も朝早くになってしまいました…次回の更新は月曜日ですが、恐らく今日と同じ時間になるかと思いますので宜しくお願いいたします!


本日も【Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―】をお読みくださりありがとうございました!!月曜日の更新話も宜しくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ