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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
121/481

第116星:一ヶ瀬 瑞樹

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。『グリッター』とのぶつかり合いを経て信頼を勝ち得た。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。指揮官として司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の元隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は『夜宵小隊』の小隊長。


樹神 三咲 (22) 三等星

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。『三咲小隊』小隊長。


佐久間 椿(22) 三等星

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。『椿小隊』小隊長。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。根拠地の『グリッター』と少しずつ交友を深めていたが…?


日下部 リナ(24)

千葉根拠地の技術班班長を務める女性。開発よりも改善・改造を好み、バトル・マシナリーを『グリッター』のために改造している。技術力は確かなもので信頼も厚い。職人としては大人しい性格だが、意見はハッキリと伝える強さも備えている。

「リナさんにお呼ばれしたと聞き及び馳せ参じましたわ!!」



 大和が科学班班長、一ヶ瀬 瑞樹(いちがせ みずき)を現場から呼び出して15分後、瑞樹はノックすらせず扉を蹴破るような勢いで会議室に飛び込んできた。



「リナさんどうされたんですの!!私に御用とお聞きしましたわ!!」



 入室するや否やリナを視界に収め、瑞樹は一気に駆け寄ると、リナの手を取った。



「あ…いや…えと、わ、わざわざ現場から戻ってもらっちゃってごめん…ね」



 その食い付きっぷりに、いつも自信に満ちた力強さを見せているリナが完璧に気圧されていた。



「まぁ水臭いこと言わないでくださいまし!!幼馴染(私と貴方の中)ではありませんか!!」



 取った手をブンブンと振り回され、リナの身体も遠心力で揺れてしまう。


 科学班と技術班の仲は悪いといったが、実は班長であるリナと瑞樹の二人は険悪ではない。


 寧ろその逆で、班長である二人は仲が良く、幼馴染であることもあって勝手知ったる仲である。


 特に瑞樹のリナへの愛情は凄まじく、片道30分以上はかかるはずの道を、通信を聞いてから15分で戻ってくるあたり、察しである。



「さぁさぁさぁ何でも仰って下さい!!お金にお困りですか!?でしたら私の家からお持ち致しますわ!!」

「違う違う違う違う!!!!一旦落ち着いて!!私の話を聞いて!!あとちゃんと司令官に挨拶をして!!」



 最早会話が成り立たないレベルの押し会話に一先ずストップをかけるべく、大和への挨拶を促す。


 すると瑞樹はギュル!!っとおよそ人間とは思えないような動きで大和の方を見る。


 思わずあの大和さえビクつかせる奇行を見せた瑞樹は、先程までの蘭々とした表情をスンッと潜める。



「ど〜も」

「あ、どーも…」

「……………えっ終わり!?」



 敬意のかけらもない挨拶に思わず呆然としてしまったリナが、ハッと我に帰り突っ込む。



「はい♪終わりですわ!!」

「ダメだって瑞樹!!ちゃんと司令官には挨拶を…あぁホラァ!!指揮官が無言の圧をこっちに向けてきてるから!!」



 慌てて瑞樹の肩を寄せ、小声で呟くリナに対し、瑞樹は何故か頬を朱に染め照れながら返す。



「んま!リナさんったら大胆ですわ…」

「じゃなくてさ!!司令官なんだよ!?ここで一番偉い人なんだよ!!礼儀はちゃんとしないと!!」

「そうは言われましてもねぇ…私、興味のない方にはど〜もぶっきらぼうになってしまいがちでして〜」



 尚もいじけた子供のような言い分にカチンときたリナは、瑞樹の肩から手を退かし少し距離を置きながら、ボソッと言い放つ。



「あっそ。私、礼儀知らずの人ってきら……」

「先程は大変失礼致しましたわ大和司令官。一ヶ瀬 瑞樹、司令官のお呼びにお応えして馳せ参じましたわ」



 言い切る前に瑞樹は大和に詰め寄り、態度を一転させ大和に挨拶を交わす。


 挨拶を終えると、瑞樹はコソコソとリナに目配せし、「これで宜しくて?」とパチパチ目配せしてくる。


 リナは「はいはい…」と呆れながら頷くと、次いで自分の席の隣に座るよう促す。


 子供のように嬉しそうな笑みを浮かべると、瑞樹は喜んでその隣に腰掛ける。



「じゃ、じゃあ瑞樹君も揃ったところで会議を再開しようか。それでリナ君、瑞樹君を呼んだ理由は?」

「はい。瑞樹を呼ぶまでの間に準備したモノです。まずはこちらをご覧下さい」



 そういうとリナは端末を操作し、会議室に設置されたモニターに画像を映し出す。


 そこには、黒丸の球体、その球体が無数に書かれたモノ、そして黒丸を重ね、大きな黒丸となった三つの図が描かれていた。



「ふむ…これは?」

「今回の四次元能力に対して、私が考えた対策…というか理論です。それをこれからご説明しますが…瑞樹」

「なんでしょう?」

「これから私が話すのは、科学をかじった程度の素人が話す妄想みたいなもの。だから、なんの意味もない話だと思ったら、直ぐに止めて欲しいの。時間を無駄にしたくはないからね」



 その言葉を聞き、瑞樹は自分がここに呼ばれた理由を察する。そして、それを了承する旨を頷いて伝える。


 リナもそれを見て早速説明に入る。



「私の推察は、今回の四次元が強力な重力の発生した磁場空間だと仮定したものです」

「ふむ…強力な磁場が発生し、それによって歪められた空間…それが『アイドス・キュエネ』の四次元能力だと言うことかな?」



 大和の説明に、リナは頷いて続ける。



「その根拠はその紙に描いたもので説明します。私達の世界は、粒子と呼ばれるもので構築されています。今回はその粒子…物質を一次元とします」



 リナは一番端の黒丸の上に『一次元』と付け足す。



「ではこの場合の二次元とは何だと思われますか?」



 端末から目を離し、全員に問いかける。



「…この画像を基に考えるのであれば、物体。即ちその粒子を集め構築し生み出した立体状の物質が二次元になるのではないでしょうか」

「さすが咲夜さん。その通りです」



 咲夜の答えに頷き、リナは2番目の無数の黒丸が書かれた箇所に『二次元』と追記する。



「じゃあ三次元は何になるんですか?」



 朝陽が首を傾げて尋ねると、瑞樹が興味深そうにしながら答える。



「二次元が構築なら次はそれを使用したモノ…即ち建築。私達が物質を固定し作り出したモノが三次元…ということですわね?」

「最後の説明ありがとう瑞樹。そう、それが『三次元』です」



 そう言うとリナは、最後の大きな黒丸に『三次元』と付け加える。



「創出し生み出し構築する…成る程、面白い次元定理だね」

「けれど直前、幅員、そして立体、それぞれの次元に当て嵌まっています」



 大和と咲夜の二人は、リナが提唱する次元の説明を少しずつ理解しながら聞いている。



「本題はここからです。では、ここから推察される電磁場の『四次元空間』とは何か…」



 再度端末を操作し、モニターの画像が切り替わる。切り替わった画面には、先程の黒丸が散らばっているモノが映し出されていた。



「それは即ち、私達の次元とは真逆、粒子のブレが正体であると考えました」

「粒子のブレ…」



 大和や咲夜でさえまだ本質を掴めていないなか、瑞樹だけがその内容の結論にいち早く気が付き、リナの話を聞きつつ、自身も思考に耽けだしてく。



「つまり、『アイドス・キュエネ』の創りだす空間は、固定される粒子的物質の固定を疑似的に緩和させ、意図的に乱れさせることの出来る性質をもった空間だと言うことです」



 リナの結論に、大和を始め一同は納得したように頷いた。



「待ってください。固定された粒子をバラバラにしたら、構築されていない物体に戻るだけなのでは?」



 一同がその説明に頷くなか、三咲が新しい疑問をぶつける。



「…()()()()()()()()()()()()()()()…つまり、私達がこれまでに認識してきた物体とは異なる構成粒子…即ち認識できない四次元空間になる…ということですわね?」



 その疑問には瑞樹がすぐに答え、リナはそれに深く頷いた。



「成る程…元来固定されているはずの粒子を意図的に乱すことで、ボク達が認知出来ない世界…それが『アイドス・キュエネ』の四次元世界…けれど、どうしてこの推察に行き着いたんだい?」

「…きっかけは、ヴィルヴァーラさんの話を聞いてからです」

「…私の話が?どうして?」



 本人もまさか自分の話がきっかけになっているとは思ってもおらず、驚いた表情を浮かべていた。



「三咲さんの話では、ヴィルヴァーラさんが氷牢を創って以降、メナスはその氷牢に近付こうとしなかったとのことでした。寧ろそこから正反対に回り込み、離れて攻撃をするなど、まるで避けているようにも思えたんです」

「…確かに言われてみれば…ですが、それがこの話とどう結びつくというんです?」



 尚も疑問に思った三咲の質問に、リナは強い口調で答えた。



「その結びつきこそが、私の推察の核心部分。即ち『アイドス・キュエネ』の四次元空間の弱点だからです」


※後書き






ども、琥珀です

雨が強い日もあれば、カラッと晴れる日もある…不安定な日が続きますね…


気圧も変化するので、私も身体の調子が悪いです…

皆様もお身体にはお気をつけて下さい

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