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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
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第115星:解決の光明

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。『グリッター』とのぶつかり合いを経て信頼を勝ち得た。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。指揮官として司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の元隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は『夜宵小隊』の小隊長。


樹神 三咲 (22) 三等星

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。『三咲小隊』小隊長。


佐久間 椿(22) 三等星

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。『椿小隊』小隊長。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。根拠地の『グリッター』と少しずつ交友を深めていたが…?


日下部 リナ(24)

千葉根拠地の技術班班長を務める女性。開発よりも改善・改造を好み、バトル・マシナリーを『グリッター』のために改造している。技術力は確かなもので信頼も厚い。職人としては大人しい性格だが、意見はハッキリと伝える強さも備えている。

「君の考えはどうかなヴィルヴァーラ君。何か解決策や打開策は思いつくかい?」



 名前を呼ばれたことで、ここまでずっと沈黙していたヴィルヴァーラは、大和に視線を向けて口を開いた。



「…それよりも、そもそも私がこの場にいること自体が驚きだわ…私はこの根拠地どころか国のモノですから無い余所者だって言うのに…そんなに警戒心がなくて大丈夫なのかしら?」



 会議の場に呼ばれた時、ヴィルヴァーラは驚きと同時に躊躇をしていた。


 もしかしたら、自身の行いを咎める場であるかもしれない、と考えたからだ。


 結果としてそれは杞憂に終わった。大和がヴィルヴァーラを呼んだのは、純粋に今回の戦闘における意見を聞きたかっただけだったからだ。



「(まぁ別に…()()()()()でも構わなかったけれどね…その件については、私はもう()()()()()()()()()())」



 ヴィルヴァーラがその考えを口にすることは無かった。知られることを怖がったわけではない。


 ただ、会ってまだ1日も経っていない目の前の青年が、信頼に値する人物かどうかを測りかねていたからだ。


 朝陽はもちろん、この場にいる全員が大和に信頼を置いていることは一目瞭然である。


 ヴィルヴァーラ自身も大和が悪い人物だとは思っていないが、朝陽達との出会いの話を聞いたとき、その時の情景が不必要に大和への過剰な信頼関係を引き起こしているのではないかと、僅かに疑っていた。


 だからこそ、ヴィルヴァーラが胸の内に秘めているコトを、直ぐに目の前の青年に打ち明けることは出来なかった。



「例え所属が国外であろうと、君は今千葉根拠地の『グリッター』の一員だ。加えて、今回最も実績を挙げた人物でもある。だったら、その最前線で戦った人物の意見を尋ねるのも道理だろう?」



 ヴィルヴァーラの嫌味ともとれる発言に、しかし大和は微笑を崩さずしっかりと返した。


 ヴィルヴァーラは思わず沈黙してしまう。



「(…不思議な人…気分の良い言い回しじゃなかった筈なのに、一切気にしてない。多分、本心から…)」



 ヴィルヴァーラも意味もなく嫌味のような発言をしたわけではない。


 こうして相手に揺さぶりをかけることで、相手の本性を炙り出そうとしていた。


 これまでヴィルヴァーラが相対してきた『ロシア』の『軍』の上層部は、こう言った発言に対し過剰な反応を見せてきていた。


 激怒するもの、嘲笑するもの、見下すもの…そのどらも全てがヴィルヴァーラを貶すようなものばかりであった。


 ヴィルヴァーラは日本の『軍』の人物なり人柄なりについては無知であったが、『軍』の派生国であるロシアがこうなのだから、大元である日本も同様、いや下手をすればそれよりも酷い反応が返ってくるだろうと考えていた。


 大和がそこまでの人物とは思っていなかったが、ここまで堅実に、また誠意を持って返されているとは思ってもおらず、言葉に詰まってしまっていた。



「あぁ、すまない。流石に唐突過ぎたかな?ボクはどうもそういのに疎くてね。こういう場にも慣れていないだろうし、落ち着いてから話してもらっても…」

「…ごめんなさい…いえ、失礼致しましたヤマト司令官。無礼な発言をお許しください」



 ヴィルヴァーラの視線の先に座る大和はそのどれとも違った。


 ほんの僅かなやりとりから伝わる誠実さ、相手とまっすぐ向かい合う誠意。どれもがこの根拠地に来た時から感じていた温かさであった。



「(あぁそうか…ここで感じてきた好意的なモノ…その全ての大元はこの人から与えられてきたんだ…)」



 初めて会った時の衝撃で言えば、『軍』の戦闘員であるヴィルヴァーラからすれば咲夜の底知れなぬ力の方が遥かに上だった。


 しかし、出会いを好意的に捉えることが出来たのは、即ち、出会えて良かったと感じることが出来たのは大和であった。



「(こう言う人が世に沢山いれば…きっと世界は、違う道を歩めた筈なんだ…この人が、本当の私の上官だったら…私はきっと…)」

「ヴィルヴァーラさん、大丈夫?やっぱりまだ身体の調子が悪いんじゃ…」



 と、再び長い沈黙を作ってしまっていたヴィルヴァーラの身を案じて、隣に座っていた朝陽が声をかけてくる。


 直ぐにそれを悪く思ったヴィルヴァーラは謝罪をし、改めて自身の考えを口にする。



「ご期待に添えず申し訳ありませんが、私も解決策や打開策は思いついていません。情けない話、私が最後に使った氷の牢屋…あれが何よりの証拠です」

「ふむ…と言うと?」

「姿の見えないメナスがいると分かった時点で、私の中ではいかに目の前にいるメナスを減らすか、という思考で動いていました。そこで最も問題になるのが、詰めの場面で妨害されること。その箇所を、どう切り抜けるかが問題でした」



 作戦中の先を読んでいたヴィルヴァーラの思考を知り、一同が感心するなか、大和は一人納得したように頷いていた。



「成る程。閉じ込めと牽制…それであの氷牢か」



 まさか今の短い説明だけでその意図まで察せられるとは思っていなかったヴィルヴァーラは、僅かに驚いた表情を浮かべるが、他のメンバーのために説明を始める。



「流石、ご理解が早いです。氷牢の目的は、勿論視認可能なメナスを閉じ込め、一気に仕留める意味もありましたが、他にも視認不可なメナスに対する牽制の意味合いもありました」

「牽制…内部に入ってこれないように、ということかしら?けれど、四次元にいる時は、そのメナスは物質をすり抜けてくるから意味は無いんじゃないかしら?」



 ヴィルヴァーラの説明に、夜宵が反応する。



「そういう意味じゃ無いわ。内部に入られたらそれはそれで構わなかったの。寧ろ、内部に来てくれたら爆発に巻き込まれて仕留められるチャンスでもあったしね」



 目の前でその爆発を見ていた朝陽と三咲が確かに、と頷く。



「そうか…内部に移動すれば一人は殺せる。けれど、内部に引き込むこと自体が狙いだとすれば迂闊には入れない…あの氷牢は、四次元メナスの動き自体を牽制する意味もあったということね」

「その通りよヤヨイ。ほんの僅かでも躊躇ってくれれば良かったの。その迷いが時間と勝利を引き寄せてくれると思ってたから。結果、メナスは一掃できて、ヤヨイ達が合流するまでの時間も稼げた。あの時の判断は、間違っていなかったと思うわ。貴方達には心配かけてしまったけれどね」



 結果があの爆発戦法なのだから、心配するのも仕方ないだろう。



「けど、いま説明した通り、私ができたことは牽制までです。それ以上のことはできませんでした。これが事実です」



 ヴィルヴァーラの話す通り、残念ながら彼女も打開策となるような案は持っていなかった。


 会議室には気まずい沈黙が漂い、流石の大和も表情に陰を落としていた。


 その中で、リナは何かをブツブツと呟きこぼしていた。



「…?リナ君?」



 そのことに気が付いた大和がリナに呼び掛けるが、声が届かないほど集中しているのか、反応は返ってこなかった。


 何か重要なことに気が付いたのかもしれない…大和はそう考えて暫く様子を伺っていた。


 やがて、考えをまとめ終えたのか、リナがゆっくりと口を開いた。



「ヴィルヴァーラさん、氷の牢を作ってから姿が見えない方のメナスは攻撃を仕掛けてきましたか?」

「え?どうかしら…外部は遮断していたから私は気付かなかったけれど…」

「私が見ていました。我々外部には攻撃がありましたが、氷の牢やヴィルヴァーラさんに対する攻撃は一切ありませんでした」



 リナの問いかけに、代わりに答えたのは『グリット』で全体を見渡していた三咲であった。



「攻撃はどのあたりからしてきたか覚えていますか?ヴィルヴァーラさんの氷牢を軸にお願いします!」

「位置は…確か私達の背後…つまり彼女の氷牢の真逆ということになるかしら」



 その答えを聞くや否や、リナはバンッと机を叩きながら立ち上がる。



「もし、私の仮説があってるとしたら…」



 次いで、リナは大和の方を勢いよく向く。



「大和司令官!!直ぐに瑞樹達を呼び戻してください!!」

「それは構わないが…どうしてだい?」



 リナは至って真面目な表情で、力強く答えた。



「四次元対策が、取れるかもしれないからです!!」

※後書き






ども、琥珀です!

梅雨入りが始まりましたね


恵みの雨とはいえ、私は雨が苦手で…

散歩が趣味の一つなので、外に出れないのは辛いです…

それからジメジメしてるのも嫌ですね…


大切な天候の一つではあると思いますが、やはり早く終わって欲しいな…

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