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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
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第114星:対策会議

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。『グリッター』とのぶつかり合いを経て信頼を勝ち得た。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。指揮官として司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の元隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は『夜宵小隊』の小隊長。


樹神 三咲 (22) 三等星

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。『三咲小隊』小隊長。


佐久間 椿(22) 三等星

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。『椿小隊』小隊長。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。根拠地の『グリッター』と少しずつ交友を深めていたが…?


日下部 リナ(24)

千葉根拠地の技術班班長を務める女性。開発よりも改善・改造を好み、バトル・マシナリーを『グリッター』のために改造している。技術力は確かなもので信頼も厚い。職人としては大人しい性格だが、意見はハッキリと伝える強さも備えている。

『アイドス・キュエネ』との戦いから1日が経った。


 凛は沙雪の素早く的確な処置により、全治1ヶ月とは言われたものの命に別状は無いと報告を受け、一同は歓喜の声を上げる。


 余談だが、意識を取り戻してから真っ先に顔を出したのは、意外にも護進だった。自身の失態で傷を負わせてしまったことを謝罪したそうである。


 今回の戦いは、『アイドス・キュエネ』率いるメナスの群団が市街地を狙わなかったこともあり、一般民の生活に大きな被害を及ぼすことはなかった。


 公にはされていないが飛鳥の影の活躍もあり、一般民が不安に至ることもなく、寧ろ大掛かりな戦闘で無傷の勝利(あくまで一般民目線)をあげたことは、人々に安心感を与えたようであった。


 朝陽、ヴィルヴァーラの二人も大事には至らず、両者とも日常生活を送るだけならば、今日明日からでも問題ないとのことであった。


 休暇を貰った桐恵は、最初こそその立場から根拠地の面々とは距離があったものの、持ち前の接しやすいキャラから、半日もせずに打ち解けていっていた。


 あくまで今はオフの日の一般人であると通し、夜宵達との距離を縮めたようである。


 そんな桐恵は、朝イチで本部へと戻っていった。まだまだ仕事があるとボヤいていたが、根拠地の面々と過ごせたことは良いリフレッシュになったと笑顔で語り帰っていた。


 そして、時刻は昼を過ぎた頃。根拠地の司令室には大和、咲夜、各小隊長、技術班班長の日下部 リナ、そしてヴィルヴァーラの計七人で会議を開いていた。


 昨日までの勝利のムードはもうそこにはなく、『軍』としての顔つきをした一行が席についていた。



「みんな、昨日の戦いの翌日でありながら集まってもらってすまない。けれど緊急ミーティングが必要だと思い招集をかけさせて貰った。議題はもちろん、今回のメナスの擬態のことだ」



 大和が口にすると同時に、室内に緊張した雰囲気が漂う。



「正確には擬態ではなく、別次元に移動する『アイドス・キュエネ』の能力らしい。知っての通り非常に厄介な能力で、現存するレーダーでも探知は不可能だ。そこで、実際に戦闘を行った君達の経験から、解決策を模索していきたい。何か考えのあるモノはいるかい?」



 大和の問いかけに、朝陽が(傷んでいない方の)手を上げ、大和が頷いて発言を促す。



「あの…それはお姉ちゃんや優弦ちゃんの『グリット』で対応する、ではダメなんでしょうか?次元を越えてくる…なんて人智を超えた能力である気がしますし…」



 朝陽の答えに反応したのは、名を挙げられた夜宵であった。



「それはダメよ朝陽。確かに私と優弦で今回の戦いは対応出来たかもしれないけれど、毎回こうは行かないと思うわ。例えば私達の小隊がパトロールに行っているときに襲撃されたら?私か優弦のどちらかが致命傷を負っていたら?対処できないわ。私と優弦が揃ってようやく対応できるなんて、コストが高すぎる」



 夜宵の発言に頷きつつ、大和がそれを捕捉する。



「そうだね。その対策でこの根拠地はそれで良いとしても、他の根拠地や本部はどうする?夜宵君も優弦君も一人しかいない。同時に襲われたり、離れたところを襲撃されれば、ボク達に打つ手はない。だから、こうして対策会議を開いているのさ」

「う…す、すいません…」



 自分の考えの浅はかさを恥じながら、朝陽はゆっくりと手を下ろす。



「まぁそうは言っても〜、現実問題解決策なんて思いつかないよね〜。四次元を操るなんて人智を超えた力だし〜、それにはやっぱり人智を超えた力の『グリット』じゃないと対応できないんじゃないかな〜」



 緩そうな笑みを浮かべながらも、発言内容は至って真面目な椿が早くも白旗を上げる。



「私も丸一日考えていましたが、実際戦場で戦っていた身としましては、やはり椿や朝陽の意見に賛同してしまいすね。触ることは愚か視ることすら困難な能力。夜宵さんと優弦が戻ってきてくれなかったらと考えるとゾッとします」



 朝陽、椿に続き、三咲もその意見に同意する。朝陽の発言に意見した夜宵も、そこを否定するつもりはないだろう。



「ふむ…では現場じゃない、客観的な見方に変えてみよう。日下部君、君の考えはどうだい?」



 話を振られたリナは、腕を組み難しそうな表情を浮かべる。



「ん〜…私は科学者じゃなくて発明家ですからねぇ…理屈は分かっても、それを分析、解析するのはガラじゃないというか…寧ろ、分析・解析してくれたデータを基にそれを実行できる力にするのが私達の役目なので、現状はお役にたてないですかねぇ」



 リナの発言ももっともであった。


 リナ達技術班の役割は主として『開発』。科学的なことに精通しているとはいえ、理論付けて解析するのは専門外なのである。



「そもそも科学班はどうしたんですか?こういう時こそ彼女達の専売特許だと思うんですけど?班長がいないのはともかく、その代理すら来ないなんて…司令官からの招集だっていうのに」



 人当たりの良いリナしては珍しく怒りの感情を表に出していた。


 実は科学班と技術班は仲があまり良くない。個人間ではなく、組織という意味でだ。


 担当こそ違うが、同じ分野を生業としていることもあり、意見の食い違いやぶつかり合い、時に無茶振りをふっかけあったりと、事が起こるたびに小さな喧騒が起きていた。


 大和はその対立を、意見の偏りを出さないために必要なものであると判断した、不必要に介入するようなことはしてこなかった。



「うん、そのことなんだけどね。実は彼女達から申し出があって、直接現場の調査に行ってもらってるんだ」

「え、瑞樹達がですか?」



 リナの言葉に大和が頷く。併せて朝陽も納得したようにポンッと手を叩いた。



「あぁ、それで私の小隊の皆さんは出動してたんですね」

「そう。奏君、華君、梓月君の三人には、彼女達科学班の護衛を依頼したんだ。ごめんよ、小隊長の君に確認は取ろうとしたんだが、丁度処置の時間と被ってしまってね」

「い、いえ私への確認なんて!司令官が必要と判断されたのでしたら全然構いません!!」



 大和に謝罪をさせてしまった、と捉えた朝陽は、両手を顔の前でブンブンと振る。



「ふ〜ん…瑞樹ったら、私に何の声かけもせずに言ったんだ…ふ〜ん…」



 一方で、リナは大和の話を聞いてどこか不貞腐れたような様子を見せていた。


 何となく理由を察した大和であったが、どちらかと言えば彼女達のプライベートに関する内容であったちめ、触れることはしなかった。


 代わりに口を開いたのは、大和の隣に座る咲夜であった。



「では大和。解決案を話し合うのは彼女達が帰ってきてからの方が宜しいのでは無いでしょうか?恐らく、今回の件について最も具体的な考えを持っているのは科学班の方々かと思いますし…」



 咲夜の話に、大和は「イヤ…」と首を振った。



「実は科学班には事前に話を聞いててね。残念ながら彼女達も現状は対抗策は思いついて無いそうだ。だからこそ、その手掛かりを見つけるために、今現場に赴いてるんだよ」



 大和の説明を受けて、咲夜は「成る程…」と呟きながら頷く。



「ですが、科学班(彼女達)ですら今は解決策が思い付かないとなると、手詰まりのように思えますね…」



 咲夜の言葉に、大和も「そうだね…」と返し、否定はしなかった。


 と、ここで大和はここまで一度も口を開いていない人物にも意見を求めた。



「君の考えはどうかなヴィルヴァーラ君」



 自然と一同の視線がヴィルヴァーラへと集まり、彼女は自身の名前を呼んだ大和へと目を向けた。

※本日の後書きはお休みです

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