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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
115/481

第110星:幕間

国舘 大和(24)

再び根拠地に現れた青年。『軍』関東総司令部より『特級』の階級を与えられ、新司令官として正式に根拠地に着任した。右腕でもある咲夜とともに早速指揮にとりかかり、朝陽の『グリット』覚醒を促した。『グリッター』とのぶつかり合いを経て信頼を勝ち得た。


咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。指揮官として司令官である大和を補佐する。並外れた戦闘能力でグリッター達の信頼を集め、彼女達に戦う術を伝える。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


斑鳩夜宵(22)三等星

千葉根拠地に所属する女性。所属している根拠地における『グリッター』達を束ねる部隊の元隊長。実力さながら面倒見の良い性格で、仲間からの信頼は厚い。自身の『グリット』の強大さに悩みを抱えている。現在は『夜宵小隊』の小隊長。


樹神 三咲 (22) 三等星

千葉支部所属。夜宵の率いる『グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。戦場全体を見渡せる『グリット』で戦況を見渡す。大和方針に反対している。『三咲小隊』小隊長。


佐久間 椿(22) 三等星

千葉支部所属。夜宵率いる『グリッター』部隊メンバー。包囲陣形の時には後方隊の指揮を任せられる。洞察力に優れ、物体を還元して透明な罠を作る『グリット』を効率よく扱う。おっとりした口調が特徴。『椿小隊』小隊長。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。根拠地の『グリッター』と少しずつ交友を深めていたが…?


早乙女 護進(28)

派遣交流の監査役として千葉根拠地にやってきた(というか連行)非戦闘員・専門指揮官。『軍』最高司令官である早乙女 護里の息女であるが、品行は非常に悪い。大和の戦術の師であるが、過去に重いトラウマを抱えており…?


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23) 四等星

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。


久留 華 (22)四等星

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。


曲山 奏(20)四等星

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。


【椿小隊】

写沢 七 21歳 159cm 四等星

 写真を撮るのが大好きで、同時に仲間のことをよく観察し、僅かに変化に気遣うことができる。


重袮 言葉 20歳 158cm 四等星

 活発で女の子が大好きでいつもセクハラまがいの行いをするが、時折その表情に影を落とすことがある…


海藤 海音 16歳 151cm 四等星

 誰に対しても物事をハッキリ言う性格だが、仲間のために行動する優しい心の持ち主。


【三咲小隊】

椎名 紬 22歳 四等星

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。


八条 凛 16歳 四等星

 自信家で勝気な性格だが実際は素直で純粋な性格。


大刀祢 タチ 17歳 四等星

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。


【夜宵小隊】

私市 伊与 19歳 四等星

 年齢関係なく他者を慕う後輩系『グリッター』。近接戦闘を得意とする。


早鞆 瑠衣 18歳 四等星

 十代には見えない落ち着きを持つ、お嬢様系『グリッター』。支援を得意とする。


矢々 優弦 16歳 四等星

 幼少期を山で過ごし、『グリット』無しでも強い戦闘力を発揮する。自然の声を聞くことができる。

 夜宵と優弦の二人が前に出る中、残った夜宵小隊の面々と椿小隊は後方に残り、疲弊した朝陽達の周囲を守っていた。



「みんな〜よく頑張ったねぇ〜。あとは私達が守るから、安心して休んでてねぇ〜」



 椿を筆頭に、計6名のメンバーが力強く頷き、朝陽達は思わず全身から力を抜く。


 その中で唯一三咲だけが未だ険しい顔つきをしていた。



「椿さん達が来てくれて本当に助かりました。けれど、この敵に対してどう戦うおつもりですか?」



 三咲の言葉を聞いて、安堵していた他の面々にも再び緊張が走る。


 しかし、それを聞いても椿は尚笑みを崩さなかった。



「大丈夫だよ〜あの二人に任せておけば絶対に勝てるから〜」

「…その根拠は?」



 現場で戦って来た分、やはり疑心的になってしまう三咲に対し、椿は笑って答えた。



「そだね〜…司令官のお墨付き!だからかなぁ〜」


 その言葉を聞き、三咲はキョトンとしたのち、ようやく強張っていた表情を緩ませた。



「成る程…それなら安心ですね」



 それは他の面々も同様で、最低限の警戒心は残しつつも、全員一様に安堵していた。


 ただ一人、ヴィルヴァーラを除いて。



「(どの戦闘場面でも常に気を張っていた彼女達が、司令官の名を出しただけでこうも気を緩ますだなんて…司令官ヤマト…侮れない人物ね…)」



 ヴィルヴァーラが考えを張らせている中、前線の二人はついに交戦が始まっていた。


 姿を一瞬現したメナスがレーザーを放つも、夜宵が予め展開していた闇が光を飲み込む。



「私は準備を進めていくわ。優弦は聴き取れたら直ぐに指示を頂戴」

「分かった…よ。今まで…とはちょっと違うから、時間はかかる…かも」

「私も時間は必要だったから丁度良いわ」



 二人の間では既に作戦が決まっていたのだろう。明確な内容は口にせず、行動に移っていく。


 とは言っても、二人はその場から動かない。優弦は目を瞑り意識を集中させ、夜宵は正面を見たまま微動だにしない。


 姿を消しているメナスも、その異様な光景に不気味さを覚えたのか、直ぐには攻撃を仕掛けてこなかった。


 沈黙の時間は僅か数分であったが、先程までの激戦もあり、朝陽達にとっては永遠のような長さを感じていた。






●●●






 その様子をモニターで見ていた護進も、その異様な光景に違和感を覚えていた。



「いつ攻撃が来るか分からない戦況で棒立ちだと?斑鳩 夜宵の『グリット』で攻撃を防ぐことは出来るだろうが、反撃も出来ない。一体どうするつもりだ大和」

「結論を急いじゃダメですよ護進さん。貴方も様々な情報を統合し計算し、緻密な戦術を立てていたじゃないですか」

「…ちっ、いちいち過去の私と比べやがってムカつくな」



 護進の苛立ちを笑顔で流し、大和は再びモニターに目を向ける。


 やはり何度見てもその映像に変化はなく、本当に映像が機能しているのかさえ不安に感じるほどであった。


 その中で唯一、大和だけは、二人がいま行なっていることを知っていた。



「(メナスが警戒して攻撃を仕掛けてこないのは好都合だ。これで夜宵君達の勝利は()()()()。あとは…)」



 既にこの戦闘の勝利を確信した大和は、もう一つの不安の種を警戒していた。






●●●






 その異変に、遠くで戦場を視認していた『アイドス・キュエネ』も困惑していた。



『…予定ヨリモ早カッタトハイエ、囮ニ引キツケラレタ人間ガ戻ッテ来ルコトハ予メ計算シテイタ…ケレド、コノ動キハナニ…?』



 通常のメナスが全滅することも、『アイドス・キュエネ』にとっては計算済みのことであった。


 寧ろ、敢えて通常の個体と別次元の個体を分けることで、身心的にも精神的にも疲弊させることが目的であり、その役割は十分に果たされていた。


 あとはジリジリと嬲り、仕留めるだけ…その目論見はつい先程まで順調に進んでおり、『アイドス・キュエネ』は勝利を確信していた。


 しかし、夜宵達が現れ、その状況は変化しつつあった。



『(アノ人間共ガ戻ッテコヨウトモ、我々ガ優位デアルコトハ変ワラナイ筈…ナノニナンダ…コノ違和感ハ…)』



 理由のわからない違和感に襲われ、『アイドス・キュエネ』の表情が僅かに崩れた瞬間、ソレは現れた。



【揺レタネ?】



 ゾワッ!!っと全身を走る()()とともに、反射的に仕掛けようとした攻撃の手を、『アイドス・キュエネ』はギリギリのところで止めた。



『ア…アァ、誰カト思エバ、我ラガ【オリジン】様ジャアナイデスカ…』



 そこに立っていのは、10を越えたばかりくらいの少女。


 その表情も少女のように幼く笑んでおり、一見するだけではとてもメナスであるとは思えない。


 しかし、白銀の髪に灰白い肌、そして真紅の瞳。その特徴が、目の前に立つ少女がメナスであることを証明していた。



【アレ?思ッテタヨリモ驚カナイネ?前回ノ戦イデ死ンダンジャ…ミタイナ反応ニナルト思ッタノニ】



 可笑しそうに笑う【オリジン】に対し、『アイドス・キュエネ』は嫌悪感剥き出しで【オリジン】を見ていた。



『アノ程度ノ攻撃デヤラレルコトハナイコトヲ、私達ガ一番理解シテイマスカラネ』

【フーン、ソッカ。心配シテ貰エナクテ残念!!】

『(チッ…心ニモ無イコトヲ…)』



 隠す気も無いが、『アイドス・キュエネ』は心の中で舌打する。



『ソレデ…貴方ハ何故ココニ?私ノ勝利ノ瞬間ヲゴ覧ニナラレニ来タノデ?ソレトモ、私ノ邪魔ヲシニ?』



 殺意さえ含んだ物言いに、しかし【オリジン】は相変わらず意図のわからない笑みを浮かべて答えた。



【アハハ!邪魔ナンテスルワケナイジャナイ。君ハ仲間ナンダモノ】



 白々しい…『アイドス・キュエネ』はそう思いつつも、余計な火種を撒かないよう、心の中に留めた。



【デモネ、勝利ノ瞬間ヲ見ニ来タワケデモナインダー】



 が、次に【オリジン】が発した言葉を無視することは出来なかった。



『ソレハ…ドウイウ?』

【ンフフ〜♪】



 【オリジン】はそれまで目を細めて浮かべていた笑みを、ギョロリ…と目を見開いた笑みへと変質させた。



【君ガ敗北スル瞬間ヲ見ニ来タノヨ】

『〜〜〜ッ!?』



 自身が敗北すると発言されたことよりも何よりも、『アイドス・キュエネ』は自分を見つめる目の前の生物に、何よりも心を揺さぶられていた。


 生み出されたばかりの『知性』が、そして生まれ持った『本能』が、目の前の【オリジン】に逆らってはいけない、そう告げていた。


 それでも、自身が他の方よりも遥かに優れた個体であるという矜持を持っていた『アイドス・キュエネ』は、最後のところで持ち直し、気丈に【オリジン】を睨み返した。


 その様子を見て【オリジン】は、嬉しそうにまた目を細めて笑みを浮かべた。



『私ガ負ケル…デスッテ?何ヲ根拠ニ…』

【ソウヤッテ見テ見ヌ振リヲシテル時点デ、君ハ負ケテルヨ。君モ感ジテタデショウ?違和感ヲ。ダカラ揺レタンダ】



 全てを見透かされ、全てを見抜いているかのような物言いに、『アイドス・キュエネ』は苛立ちを超えて恐怖を覚え始めていた。



【ソノ感覚ハ合ッテルヨ。君ハ負ケル】

『ッ!!私ガ!!《知性》ヲ身ニ付ケタコノ私ガ!!又シテモ()()人間ニ負ケルト!?』



 感情を剥き出しにした『アイドス・キュエネ』の言葉に、【オリジン】は可笑しそうにケタケタと笑う。



【アッハハ!!君ノ言ッテル人間ガ誰ナノカ私ハ知ラナイケド、今コノ場デハ違ウッテ言エルヨ。タダ…】

『…ハッ!?』



 目は一瞬たりとも離さなかった。にも関わらず、気付けば【オリジン】は、『アイドス・キュエネ』と目と鼻の先距離にまで迫っていた。



【指揮ヲスル人間ガ入レ替ワッテイルコトスラ気付ケナイナンテ、チョット失望ダナァ…】



 目の前に一瞬で移動したことにも驚きつつ、その発言内容に、『アイドス・キュエネ』は激しく動揺する。



『指揮スル人間ガ入レ替ワッタ…?ソンナ兆候ハドコニモ…』

【マァ、今回ソレハ大シタ問題ジャナイカラネ。気付ケナカッタノハガッカリダケド…】



 改めて失望という言葉を聞き、不安と怒りを覚える『アイドス・キュエネ』であったが、今はそれよりも優先すべき答えがあった。



『デハ私ニ何ノ落チ度ガアッタト!?私ノ作戦モ能力モ完璧ダッタ筈ダ!!負ケル要素ナド何モナイ!!』



 感情の赴くままに言葉を吐き出す『アイドス・キュエネ』に、最早感情ない笑みを向け、【オリジン】は静かに口を開く。



【フフ…ソレハ、コノ後ノ戦イヲ見テレバ分カルヨ】



 最早勝敗は決している言わんばかりの物言いに、苛立ちを覚えながら、『アイドス・キュエネ』は最後の戦いに目を向ける。

※後書き






ども、琥珀です

緊急事態宣言は解除されたのに、私の心は曇り模様です…

やはり執筆は心ですね…曇っていると良い作品が書き上がりません…


早く晴れると良いな…

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