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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
5章 ー海外交流編ー
113/481

第108星:本音

咲夜(24?)

常に大和についている黒長髪の美女。一度は必ずしも目を奪われる美貌の持ち主で、礼儀正しい。落ち着いたただ振る舞いからは信じられい圧力を放つことも。現在、現場を離れている大和に代わり、根拠地の指揮を執っている。


斑鳩 朝陽(18)四等星

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めており、開花に至たらないまま戦場に立ったが、大和の言葉により、『グリット』を覚醒させ、仲間の命を救う。大和から信頼され、小隊長にも任命される。


ヴィルヴァーラ・スビルコフ (20) 二等星

ロシアスルーツク支部所属。海外派遣交流により日本の千葉根拠地にやってきたロシアの『グリッター』。根拠地の『グリッター』と少しずつ交友を深めていたが…?


早乙女 護進(28)

派遣交流の監査役として千葉根拠地にやってきた(というか連行)非戦闘員・専門指揮官。『軍』最高司令官である早乙女 護里の息女であるが、品行は非常に悪い。大和の戦術の師であるが、過去に重いトラウマを抱えており…?


【朝陽小隊】

譲羽 梓月(23) 四等星

 冷静で優しいお姉さん。物事を達観気味に多角的に捉えるベテラン。


久留 華 (22)四等星

 おっとりで実は大食いキャラも、人見が良い。経験豊富なベテラン。


曲山 奏(20)四等星

明るく元気で爽やかな性格。真面目な性格ながら物事の核心をつく慧眼の持ち主。


【三咲小隊】

椎名 紬 22歳 四等星

 ややキザッたい口調だが、経験も多く冷静な女性。


八条 凛 16歳 四等星

 自信家で勝気な性格だが、実際は素直で純粋な性格。


大刀祢 タチ 17歳 四等星

 メナス襲撃後も密かに残った武家の家系で、礼儀を重んじる。根拠地の少ない常識者。

「ッ!!爆発!?」



 一同が見つめる中で、目の前に形成されていた氷壁が輝き、次の瞬間、大爆発とともに爆散していった。



「な、なかで一体何が!?」

「それはあとです!誰か、ヴィルヴァーラさんの救出を!!」



 爆破に動揺するタチであったが、それよりもヴィルヴァーラの身を案じた朝陽が声に出して叫ぶ。


 それに反応した華と梓月の二人は、周囲を最大限警戒しながらヴィルヴァーラの元へと詰め寄る。


 振り散る氷片の中にその影を見つけた梓月が、落下するヴィルヴァーラをキャッチし、直ぐに朝陽達の元へと合流する。



「ケホッ…ゲホッ!!」

「ヴィ、ヴィルヴァーラさん、大丈夫ですか!?」



 全身から焦げた臭いと煙の臭いを漂わせ咳き込むヴィルヴァーラを、朝陽が心配そうに覗き込む。


 ヴィルヴァーラは全身をグッタリとさせながらも、朝陽の方を向き、笑みを浮かべた。



「心配…いらないわ。爆発する寸前、全身を氷壁で守ったから。まぁ、衝撃を防ぎ切れずに…全身を打ち付けてしまったけれどね…」



 爆発の規模こそ大きかったものの、ヴィルヴァーラの状態はそこまで酷くないようであった。


 そのことに、一先ず朝陽達は胸を撫で下ろす。



「どう…?ミサキ。メナス達の姿は確認できる?」

「…いえ。姿を見せていたメナスの姿は確認できません。いまの爆発で、全個体を撃破したようです」



 ヴィルヴァーラに言われ、三咲は『グリット』を使用し一帯を見渡すも、その姿は見つけられなかった。



「凄い…ですけど、どうしてこんな無茶を。ここまでしなくても、私達が力を合わせれば、手はあったかもしれないのに…」



 梓月の指摘に、ヴィルヴァーラはバツが悪そうな表情を浮かべながら答えた。



「…現状の戦力を考えると、このままでは押し負ける可能性が高かった。その上朝陽の傷の再発。このままでは敗北するしかなかったわ。だから、一か八か、逆転の手を狙ったのよ」

「結果的にそれは功を奏しましたけど…一歩間違えれば貴方も重傷を負っていたかもしれないんですよ?」

「…そう、ね。貴方達が協力してくれれば、もう少しスマートに事を収められたかもしれない…けれど、私がこの作戦を話していたら、貴方達は実行することを許してくれたかしら?」



 ヴィルヴァーラの言葉に、一同は口を紡ぐ。恐らく誰一人として、その作戦に賛同する者は居なかったであろう。


 他国ならば露知らず、朝陽達にとって、仲間を犠牲にするような作戦は断固として認められないからだ。


 それを見越して、ヴィルヴァーラは朝陽達には告げず、無理やり作戦を決行したのである。


 がしかし、ヴィルヴァーラがこの作戦を一人で行ったのには、もう一つ理由があった。



「…それにその…貴方達を…〜ったのよ」

「え?」



 その理由を口にしたヴィルヴァーラの声は小さくか細く、目の前にいるのにも関わらず朝陽達は聞き取ることが出来なかった。


 聞き返されたことが恥ずかしかったのか、ヴィルヴァーラは顔を僅かに赤く染めながら、先ほどよりも大きく、はっきりした口調で言葉を発した。



「だ…だから!!仲間(アナタ)達を巻き込んで怪我をさせたくなかったのよ!!」



 言い終えるや否や、ヴィルヴァーラは更に顔を赤く染め、ソッポを向いてしまう。


 対して一向は一様に驚きの表情を浮かべながら顔を見合わせ、次の瞬間には歓喜の笑みを浮かべていた。



「ヴィルヴァーラさん…いま、私達のことを仲間だって…!!」



 がしかし、その歓喜の輪は直ぐに終わりを迎えた。



「…!!後方4時の方向から攻撃!!」



 三咲の咄嗟の発言に、華と梓月の二人が驚きながらも反応し、一瞬で『耐熱反射鏡ゲトゥルト・シュピゲール』を展開させる。


 次の瞬間、展開された『耐熱反射鏡』にレーザーが直撃。


 三咲の指示と華・梓月の反応の良さによりことなきを得たが、一同は肝を冷やしていた。



「…全く…一難去ってまた一難…それももっと厄介なのが残ってるってわけね…」



 既に戦闘能力は残っていないであろうヴィルヴァーラが、脱力気味に口ずさむ。


 そのヴィルヴァーラのお陰で戦闘意識を姿の見えないメナスにのみ充てることが出来るようになったのは大きいが、それでも不利な状況であることは変わらなかった。



「全員近くに寄って、全方位対応態勢を!!姿を現した瞬間に指示を出します!!」



 三咲の指示に従い、現場に残った七人が円陣を組むような陣形を取る。


 朝陽とヴィルヴァーラの二人はボロボロであったが、防御くらいならまだ出来る余力が残っていたのか、何とか立ち上がり陣形に加わる。



「ここを耐え忍めば必ず司令室が打開策を出してくれます!!踏ん張りどころですよみんな!!」

「「「了解!!!!」」」



 長年、夜宵の副隊長を務めてきただけはあり、三咲の言葉で、僅かに落ちていた全員の精神面が再び締まり直す。


 意識を集中させ、中隊の面々は必死の防戦に繰り出す。


 護進や咲夜が、必ず打開策を出してくれると信じて…






●●●






「臨時中隊尚も交戦中!!通常個体は全て倒されましたが、姿の見えない個体に苦戦しています!!」



 夕の報告に、護進は悔しげに僅かに表情を歪ませる。



「(ちっ…敵の姿が攻撃の瞬間に現れると分かっても、それが遠方じゃ打つ手がねぇ…仮に何人かを前進させても、向こうから距離を取られたら意味がない…と言うよりも個人で攻撃を防げる訳がねぇんだ…)」



 ガリガリガリと乱雑に髪を掻き毟り、まとまらない思考をどうにかして落ち着かせようと試みるも、答えの見つからない状況にますます苛立ち、思考は更に乱れる。



「護進さん、このままでは削り切られてしまいます。何か行動(アクション)の指示を…」

「分かってる!!」



 思わず怒鳴り散らすかのような声を上げてしまい、護進はハッとするが、直ぐに自分の行いを恥じて再び苛立ちが募っていった。



「アァ〜、クソッ!!」

「(いけない…長らく前線から離れていた反動が出てる…予想外の事態に対応する冷静さを失ってしまっている…)」



 明確な動揺の様子を見せている護進から視線を外し、今度はモニターに目を向ける。


 そこには、メナスの攻撃に紙一重でついていっている面々の姿が映し出されていた。



「(護進さんの代わりに、私が何か打開策を…ですが、この状況…護進さんでさえ思い付かない策を、私が考え付くはずがない…)」



 咲夜が思い浮かべるのは一人の人物。彼女が誰よりも頼りにし、信頼している青年。


ーーーもし、彼ならば…


 しかし、彼はいまここにはいない。いない人物のことを思い浮かべてしまい、咲夜は首を振って雑念を捨てる。


 思わず目を瞑ってしまいたくなるような過酷な状況下で、更に咲夜達を絶望に陥れる報告が入ってくる。



「司令官代理、指揮官!!臨時中隊の『耐熱反射鏡ゲトゥルト・シュピゲール』の残がゼロです!!いま使用しているモノも臨界点ギリギリです!!このままでは…」



 夕の声も悲痛さを増しており、必死に震えを隠そうとしているのが伝わってきていた。



「ふ、ふふ…」



 と、不意に護進が笑い声を上げだす。



「ふふふ、ハハハ…ハハハハハハハハハハハハ!!!!」



 顔を隠し、仰反るようにして大笑いをする護進を、夕は訝しげに見つめ、咲夜は心配そうに覗き込んだ。



「護進さ…ッ!?」



ーーーダァン!!!!



 次の瞬間、護進は両拳を全力で振り下ろし、机を叩きつけた。


 その表情は悔しさと自身への嫌悪感で歪んでいた。



「何も変わってないな私は!!あの時と同じ過ちを…また繰り返して…目の前で…部下を死なすのか…誰も救えない、導けない指揮を出して…一人で苦しむのか…!!」

「〜ッ!!諦めてはいけません護進さん!!まだ彼女達は生きています!!貴方が諦めた時こそ本当の敗北です!!何かがきっかけになるやもしれません!!彼女達に、死中に活を!!」



 咲夜の必死な言葉かけも、護進の心の闇には届かなかった。



「行き届くことさえできない世界には…どうすることもできやしないんだ…」



 その一言は、咲夜達のすべてを絶望に飲み込むのに十分なモノだった。


 咲夜も夕も、俯きかけたその時ーーーーー



「触れることの出来ない世界なら、飲み込めば良いんですよ」



 その人物は、現れた。

※後書き






ども、琥珀です!

心に余裕がないと、物語もなかなか思い浮かびませんね…


なんとか書けてはいる状況ですが、内容がわたしと同じく情緒不安定な感じがします…


それでも、書くことをつらいとまではいってないので、まだ頑張ります!

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