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Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―  作者: 琥珀
1章 ー朝陽覚醒編ー
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第九星:参戦

国舘 大和(24)

朝陽が出会ったぶつかった青年。纏っている服装から『軍』の将校であると思われるが正体は不明。優しい笑みを浮かべるなど心優しそうな青年。しかしてその正体は…


斑鳩 朝陽(18)

千葉根拠地に所属する少女。『グリッター』としての力を秘めているが、開花に至っておらず、現在は指揮官の報告官を務めている。戦えないことに引け目を感じている。


斑鳩夜宵(22)

千葉根拠地に所属する女性。根拠地にいる『グリッター』を束ねる部隊の隊長。責任感が強く、仲間たちから信頼されているが、妹の朝陽が絡むとポンコツ化する。


樹神 三咲 (22)

 千葉支部所属。夜宵の率いる『輝く戦士グリッター』部隊の副隊長を務めている。生真面目な性格で、少し緩い隊長に変わって隊を締める右腕。


塚間義一(35)

千葉根拠地における指揮官で階級は少佐。『グリッター』に対する差別意識が強く、彼女達を平気や道具のように思い扱っている。

 その声は夜宵にとってとても聞き覚えのあるものあるだった。


 今日の今までずっと一緒に過ごしてきた、夜宵にとって誰よりも何よりも大切でかけがえのない存在。


 けれどここには絶対に居るはずのない声。


 戦場(ここ)に立ちたいと願い、戦場(ここ)に立てないと泣き、日々隠れながら鍛錬を積んでいた最愛の少女(いもうと)



「朝陽…?」



 夜宵達の目の前に現れ、脅威(メナス)に立ち向かっていたのは、戦う力を持たないはずの朝陽だった。


 不意を完全に突かれたメナス達。しかしその不意を突いた攻撃(やり)を、驚異の身体能力を誇るメナスは顔を逸らすことで躱す。



「躱された!?」



 隊員の誰かが叫んだ。


 しかし朝陽に慌てる様子はなく、直ぐにそれを確認すると、持ち手の握っていた部分に装着されていたトリガーを引く。



 次の瞬間────


【────ッ!?】


────バアァァァァァァァァァァァ!!!!


 突如として槍先から大爆発が起こり、辺りには爆発による閃光と爆音が響き渡る。


 自ら起こしたその爆発に吹き飛ばされるような形で朝陽が爆炎から抜け出してきた。


 機槍は戦闘補具(バトル・マシナリー)の中でも高い攻撃力を誇る槍である。


 有効的な扱いをすれば、十分にメナスへダメージを通すことが可能である。


 しかし、この武器は重大な欠陥があることが開発後直ぐに判明し、使用するものは僅かとなっていた。



「うっ…イタッ…!」



 その欠陥とは、威力を重視し過ぎたが故の、使用者への負担ケアが行き届かなかったことだ。


 地雷レベルの火力を持つ小型爆弾が一度に100近く放たれ、その上それが僅か30㎝程の距離で一斉に爆発するため、使用者も無事では済まない。


 朝陽も爆発による爆炎と熱風で、衣類越しに火傷を負い、更には爆風によって吹き飛ばされていた。


 元々薄手のものであった服などほとんど耐熱の役割など果たさず、朝陽の腕は痛々しく赤くなっていた。


 それでも、朝陽の口元には笑みがあった。


 それは、今自分が仕掛けた攻撃によってメナスを撃破に成功したからだ。



「やった…!これなら私にも…私も戦える!!」



 メナスは暫く黒い瘴気を放ちながら、やがて黒い塵となって霧散していった。


 メナスについては未だに不明な点が多く、何故死亡すると黒い塵となって散っていくのかは不明である。


 しかし、この霧散こそがメナスを倒したという証明になることも事実だ。


 朝陽は自分も戦えるということを証明できたことに笑みを浮かべていたのだ。



「朝陽…アナタ、どうして…」



 その様子を、夜宵はただ呆然と見届けることしか出来なかった。


 しかし次の瞬間ハッと我に帰ると、急いで朝陽の前へと駆け寄る。



「朝陽!どうしてこんなところにいるの!?それにそのバトル・マシナリーは…」

「お、お姉ちゃん見た!?私、やったよ!!メナスを一体やっつけたよ!!」



 心配と驚きの表情を浮かべる夜宵を余所目に、朝陽は笑みを浮かべていた。


 夜宵の表情を見る余裕がないほどに興奮しているのだろう。



「そんなことを聞いているんじゃない!!まだ『グリッター』の力も解放出来てないアナタがどうして戦場に立っているの!!」



 次いで夜宵は、朝陽の全身の武装に目を向け眉を顰める。



「そのバトル・マシナリーは…あの指揮官に押し付けられたのね!?」



 強い口調で問い出され、ようやく朝陽の声色が怒りに満ちていることに気が付いた。



「ち、違うよ!!これは私が望んで使ってるんだよ!!」

「嘘を言いなさい!!戦うことを望んでなかったアナタが戦闘補具(そんなもの)を使ってまで戦場に出るわけがないでしょう!!言いなさい朝陽!!あの指揮官に脅されてここにいるのでしょう!!」



 興奮していたのは夜宵も同様であった。


 朝陽の言葉にまともに取り合わず、大声で怒鳴り散らかす。



「違う!!私は本当に自分から望んでここに…」

「だったら尚更よ!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」



 夜宵はメナス達の奇襲により多少なりと冷静さを欠いていた。


 普段ならあり得ないであろう朝陽の心の不安を煽り、逆撫でしてしまったのだ。



「な、なによそれ…!!お姉ちゃんに私の何が分かるっていうのよ!!」

「…え」



 朝陽がここまで強く返してくるとは思っていなかったのか、その剣幕に、思わず夜宵はたじろいでしまう。



「私が…私だけが『グリッター』の力に目覚めないで、私だけが皆の力になれないでいて…ずっとずっと不安で…やっと戦えるようになったのに…傷付いて帰ってくる皆の力になれるようになったと思ったのに!!」

「…あ」



 そんなこと、分かっていたはずだった。


 朝陽が悩み苦しんでいること、そしていつも自分達のことを心配してくれていることなど、知っていたはずなのに。


 夜宵はここで漸く、先ほどの自分の言葉が失言であったことに気がつく。



「お姉ちゃんに私の何が分かるっていうのよ!!ずっとずっと戦うことが出来たお姉ちゃんが、分かった風なこと言わないでよ!!」



 そう叫ぶと、朝陽は機槍を強く握りしめ、再びメナスの方へとホバーを走らせる。



「ま、待ちなさい朝陽!!」

「ッ!!隊長危ない!!」



 夜宵が慌てて追いかけようとするが、二人を分断するかのように目の前をレーザーが通り過ぎる。



「この!!」

「隊長!!冷静になってください!!朝陽ちゃんが心配なのは分かりますが、今我々も窮地なんです!アナタが率先してチームワークを乱せば今度こそ終わりです!!」



 三咲は長年夜宵と戦場を共にしてきたパートナーである。


 その経験上、朝陽のことでいっぱいになっている状態の夜宵をそのまま向かわせることは危険だと分かっていた。



「でも、朝陽が!!」

「ですから!!」



 気が動転している夜宵の両肩を、三咲は力強く両手で抑え、叫ぶ。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!()()()!!私達に下さい!!」



 真正面で目を合わせハッキリと伝えられ、夜宵は漸く冷静さを取り戻していく。



「そう…そうね…でも、私達姉妹のいざこざにアナタ達を巻き込むなんて…」



 冷静さを取り戻したが故の、いつもの責任感の強さが出てしまい、夜宵は仲間たちを巻き込むことを躊躇っていた。


 そんな夜宵の躊躇を、三咲は鼻で笑いながした。



「えぇそうですね。隊長からすればこれはただの姉妹喧嘩なのかもしれないですね。実際、聞いただけなら朝陽ちゃんは指揮官の指示を聞いただけのようですし、先程の発言は完全に隊長の失言のようでしたしね」



 三咲に言われずとも、夜宵も自分自身で明らかに悪いことは自覚していた。


 朝陽の考えを、悩みを無視して、自分のその場の考えを押し付けてしまった。


 だからこそ、ちゃんと謝りたかった。


 死の覚悟を背負って戦場に出てきた朝陽の覚悟を認めて、その上で、そんな無茶をして欲しくなかったのだと、伝えたかった。



「姉妹喧嘩に口出しするつもりはありませんよ。寧ろたまには喧嘩したら良いんです」

「え」

「でもここは戦場。そして今朝陽ちゃんは『グリッター』として戦っている。なら、」



 夜宵は少しずつ俯いていた顔を上げ、三咲と目を合わせる。



「なら、朝陽ちゃんは…いや、朝陽は立派な私達の仲間です。仲間を助けることに、何を迷う必要があるんですか」

「…!」



 今度こそ、夜宵の中から迷いが消えた。自分が隊長として何を果たすべきなのかを、改めて理解した。



「椿ちゃん、そっちの戦況は?」

『あんまり芳しくないかなぁ〜。せっかく作り上げた包囲網も襲撃で崩されちゃったし、皆の位置もバラバラ。何より数で劣ってるから突破されちゃうわね〜』



 通信機越しに聞こえる激しい戦闘音が、緩い口調で話す椿の言葉が事実であることを裏付けている。



「分かった。ここからは一人一体じゃ荷が重い。撤退を前提に陣形を変える必要があるわね…」



 撤退ともなれば、まず間違いなく指揮官の逆鱗に触れることだろう。


 ましてや今回は自分たちの不始末から逃したメナスによる襲撃であることに加えて一体も殲滅できずに逃げ帰ることになる。


 それだけでは済まされないかもしれない。


 けれど夜宵に迷いは無かった。


 ここで戦えば命を無駄にするだけ。


 夜宵達が戦う理由は、メナスの殲滅ではなく、『生きるために立ち向かう』こと。


 それを考えれば、撤退などなんてことは無かった。



『この状況で?まぁ、撤退に関しては全然良いけどね〜。夜宵ちゃんがそう言うなら従うよ〜』

「私もです。けどどのような陣形を?」

「それは…」



 戦況は最悪だ。


 数での質でも劣っているこの状況で、いくら夜宵と言えども直ぐには最善の判断は下せない。


 と、そこへ、耳元につけられた通信機が受信し、鳴り響いた。

※ここからは筆者による後書きです!!興味の無い方は読み飛ばして下さい!!



ども、琥珀です!!

【Eclat Etoile ―星に輝く光の物語―】第九星をお読み下さりありがとうございます!


いやぁ姉妹喧嘩始まっちゃいましたねぇ。私は喧嘩苦手なので色々相手をたてる性格なのですが、きちんと意見をぶつけ合うのことも大切ですよねぇ(笑)


朝陽達が使用している武器は、壊滅しても一応百年後なので未来武器的なものだと思ってください。といってももっと未来的な武器は私の想像力じゃ無理なので近未来程度に抑えます(笑)


本日もお読み下さりありがとうございました!!明日も十時頃に更新しますのでよろしくお願いいたします!!

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